ドラえもん のび太の新魔界大冒険~絆の戦士と7人の魔法使い~ 通常形式版   作:憲彦

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リメイク版第4話!は~じま~るよ~!


魔法の世界で

 眠りについたのび太は、ある夢を見ていた。深い森と壊れかけた遺跡のある場所だった。普段の彼なら、夢の中であろうと絶対に近付かない様な場所。だが、何かに引き込まれる様にどんどん奥へと入っていく。

 

 そこで、ひときわ目を引く物を見つけた。たいして大きくは無いが、不思議な形をした飛行機のような物だ。だが、それは鉄などのような素材ではなく、石で出来ていた。何と無く、本当に深い理由はなく、その石で出来た飛行機の形をした物体に触ってみた。

 

 すると次の瞬間、のび太は強い光に飲み込まれた。そしてそこで見た。人を襲い、食らい、恐怖に陥れる異形の怪物。それと戦う、強力な兵器を持っている人達、短剣の様な物を引き抜いて光に包まれる人達。そして……

 

 “銀色の巨人と黒い巨人”の戦いを。

 

「なに……これ……?」

 

 あまりの光景に、呆然としながらそう呟いた。すると次の瞬間、また光景が変わった。今度は森と遺跡の前ではなく、車通りの少ない山道だ。そこには1台のマイクロバスが停まっており、不審に思って中に入ってみた。

 

「すみませーん。……誰もいない?何で?」

 

 中にはついさっきまで人が居たような感じがする。なのに中には誰も居ない。不可思議な状況に首を傾げながら、奥から転がってきたビールの缶を拾ってみた。

 

「空?……ウワァッ!?ッ!?」

 

 手に取ると、中から紫色のドロッとしたものが出てきてのび太の手に付着した。驚いたのび太はすぐに缶を投げ捨て、バスから出ようとしたとき、自分の後ろには紫色のブヨブヨした奇妙な生物が居たことに気付く。本能的に命が危ないと悟ると、全力でそこから逃げ出した。

 

『キャァァァ!!』

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ウワッ!!ウゥッワ!!」

 

 全力で走っていたが、化け物から伸ばされた触手に捕まり、ズルズルと引き摺られた。ガードレールがあったので、必死にしがみ付くが、このままでは捕食されるのも時間の問題だろう。

 

「た、助けて!ドラえもぉぉぉぉん!!!」

 

 何時ものようにドラえもんを呼ぼうとする。だが、ここは夢の中。当然ドラえもんは助けにこない。スゴい力で引っ張られ、体力も限界に近付いてきた。

 

『キャァァァ!!』

 

 化け物は口らしき部分を大きく開け、のび太を飲み込もうとする。

 

「グッ!ウワッア!!もう……!!」

 

 諦めるな……

 

「え?」

 

 その言葉と同時に、突然光が落ちたかと思うと、化け物の触手がのび太から外れ、化け物は巨大な拳の様なものによって潰されていた。そして、彼の目の前に現れたのは、さっき見たのとは少し違うが、銀色の巨人だった。

 

「君は、一体……誰なんだ?」

 

 巨人は何も言わず、のび太を見つめているだけだった。だが、何故かのび太は恐怖心を抱かなかった。その巨人は光になると、のび太の中に入っていく。この夢はここで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁぁ~。雨やんだのかな?」

 

 何時もの目が覚める時間になると、ドラえもんは寝ボケながら、朝の空気を部屋にいれるために窓を開けた。だが、見慣れない影が空を飛んでいる。何かと思い目を開けると、そこには眠気も一気に吹き飛ぶような光景が広がっていた。

 

「ドドド!!の、のび太くん!起きて!起きて早く!」

 

「んぁ~?あぁ!?」

 

 布団に入っているのび太を引っ張って、窓の前に座らせる。そして、メガネをかけさせると、先程のドラえもんと同様に、一気に目が覚めた。何故なから、外には2人が見慣れた光景ではなく、多くの人が箒や絨毯に乗って空を飛んでいたからだ。

 

「「うわぁ……ん?」」

 

 箒に乗って、郵便受けに紙を入れる郵便配達員が見える。そんな状況に目を輝かせている2人だが、

 

「うわあああああああ!!!退いてえぇぇぇぇ!!!」

 

 前方からとんでもないスピードを出して、会社に向かっているであろうサラリーマンの絨毯が飛んできた。

 

「「うわあああああああ!!!」」

 

 2人は急いで顔を引っ込め、サラリーマンも間一髪のところで家を避けた。が、その数秒後に、警察の服を着た人に違反切符を切られている。

 

 そんな状況ではあるが、2人は顔を見合わせて、キラキラひた顔で叫んだ。

 

「「魔法の世界だ!!!」」

 

 朝食を食べるために台所まで来ると、また驚いた。目の前では宙に浮かびながらトーストにバターが塗られ、牛乳が勝手にコップに注がれ、サラダも勝手に混ぜられていた。そして、常にコンロが置かれていた場所にコンロはなく、フライパンに乗せられた卵は玉子の手から出てくる光線の様なものに焼かれていた。

 

「チンカラホイ」

 

 そう唱えると、目玉焼きは宙を飛んでトーストに乗り、そのままのび太とドラえもんの口に詰め込まれた。

 

「早く食べないと遅刻するわよ」

 

「遅れるわけないよ。空飛ぶ絨毯で一飛びだもん」

 

「なに寝ぼけたこといってるの。空飛ぶ絨毯なんか家にはないでしょ」

 

 トーストにかじり付きながら余裕そうに答えるのび太だが、玉子にフライパンを洗われながら、家にはないと呆れ気味に言われた。

 

「え!?無いの!?」

 

「あんな高いもの家には必要ありません。パパだって免許持ってないし。のびちゃんも早く箒に乗れるようになりなさい」

 

 のび太もドラえもんも驚いている。どの家にも1枚あるものだと思っていたようだ。だが、この世界にも物価があり、空飛ぶ絨毯はかなり値が張るようだ。この世界でも経済的な事では深刻な物があるようにも思える……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事が終わり、部屋に戻って着替えをする。魔法の世界で現実的な問題を突き付けられたが、かなりウキウキしているようだ。

 

「早くしないと、本当に遅刻するよ」

 

「分かってるって……あれ?」

 

 ドラえもんに注意され、すぐに着替えを終わらせようと服に手を伸ばす。だが、そこに置いていた着替えは、のび太がいつも着ているような黄色の半袖と短パンではなく、普段なら着ないような白いズボンと赤いTシャツ。そしてオレンジ色の上着だった。

 

「……?」

 

 戸惑うが、それしかないので着ることにした。だが、服を着るとポケットに違和感がある。何かが入っているようだ。手を突っ込んで取り出してみると、2つのある道具が入っていた。

 

「なーんかで見たことあるような気が……」

 

「のび太くん?なにやってるの?」

 

「ん?何?」

 

「……いや。その服どうしたの?」

 

 のび太はその2つを持ちながら考え事をしていたが、ドラえもんが来て現実へと引き戻された。そして、今着ている服のことについて質問される。まぁ当然だろう。普段は着ない系統だし、そもそも持っていない服だからな。

 

「何か、これが置かれてあったんだ」

 

「ふーん。あっ、早くしないと遅刻するよ」

 

「え?うわああ!!ヤバい!!!」

 

 取り敢えず2つの道具はもう一度ポケットに入れ、急いでランドセルを背負って家から出ていった。

 

「行ってきまーす!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々とあったが、取り敢えず放課後。

 

「はあああああああ…………」

 

「おっとととととと!ニャアアアアーン!!」

 

 学校から帰ってきたのび太は、部屋に入るなりいきなり倒れてきた。ドラえもんはもう少し避けるのが遅ければ、のび太の枕にでもなっていただろう。

 

 まず、何故のび太がこんな状況になっているのかと言うと、魔法の基本である物を浮かせる術『物体浮遊術』が使えずに、怒られたからである。その後も、野球をやったわけだが、当然ガンガン魔法が使われる。魔法の使えないのび太はチームメイトに怒られ、家では玉子に物体浮遊術が出来なかったことを怒られた。

 

 ……自分で望んだ世界とは言え、少し気の毒だ。

 

「ああ!もう!!元の世界とちっとも変わらないじゃないか!!」

 

「うーん……どうも、魔法も勉強と同じで、努力しなと出来ないらしい。僕たちが魔法を使えないのは、習ったことが無いからだよ」

 

 確かにそうだ。物体浮遊術がいかに基礎の基礎とは言え、魔法の使い方を習ったことの無い人達からしたら、使えないのは当然だ。

 

「はぁ、元の世界に戻そっか……」

 

 少し悔しそうだが、使えないのなら仕方無いし、これ以上はこの世界に居る意味もない。もしもボックスを取り出して元の世界に戻そうとする。が、その時、窓を叩く音が聞こえた。そこには、箒に乗っているジャイアンとスネ夫が居た。

 

「おいのび太!ホーキング行こうぜ!」

 

「行こうぜ!」

 

 何の前置きもなく、いきなり伝えた。

 

「ホーキング……?」

 

「サイクリングの箒版じゃないかな?」

 

 よく理解していないのび太に、ドラえもんが自分なりの解釈をのび太に話した。

 

「パパがさ!ドイツ製の最新型を買ってくれたんだ!見てよ!この吸い付くような手触り!股擦れ防止用の低反発サドル!どう?1回くらいなら乗せてあげてもいいけど?」

 

 自慢と冷やかしに来たようだ?と言うか、いつもはフランス製の物ばかり使っているのに、何故箒に関してはドイツ製なんだ?

 

「あら、やだスネちゃん。のびちゃんは箒に乗れないのよ~」

 

「あ~ら、そうでしたわね奥さん。誘って悪いことしちゃいましたわねぇ~」

 

「ねぇ~」

 

 予想はしていた。だが、やっぱりイラつく。

 

「さぁさ!行きましょ!」

 

「行きましょ行きましょ!」

 

「「ごめんあっそばせ──っ!!!」」

 

 笑い声を上げながら、山の方へと飛んでいった。

 

「まったく。あの2人のやることは、どこの世界でも変わらないんだからぁ」

 

 完全にドラえもんは呆れており、のび太は箒にすら乗れないことに対して悔しがっていた。

 

「さっ、元の世界へ戻そう」

 

「待って!」

 

 ドラえもんがもしもボックスで世界を戻そうとしたとき、その直前でのび太が待ったをかけた。

 

「せっかく魔法の世界に来たんだ!せめて1つ!簡単な魔法でも良いから、使えるようになりたいんだ!!」

 

「んー、のび太くんにしてはいい根性だ」

 

 のび太の珍しいやる気を見て、もしもボックスの扉にかけていた手を外し、協力する姿勢を見せた。どこまでも協力する様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、のび太は静香の家の庭で、ドラえもんに見守られながら魔法を教えてもらっていた。因みに今、物体浮遊術で人形を浮かせようとしている。

 

「チンカラホイ!」

 

「うーん、ダメダメ。そんなに力を入れちゃ。もう少し落ち着いて」

 

 力みまくった呪文を唱えるのび太に、静香がおちつくようにと助言を与える。何事も力の入れすぎは良くないと言うことだろうか?

 

「チンカラホイ!」

 

 少し力を抜いてもう一度やってみるが、やはり人形はピクリとも動かない。これにのび太はダラ~ンと首を落としてしまった。

 

「諦めるな!いま埃が1つ浮いたぞ!」

 

「「本当!!?」」

 

「あー……冗談だよ」

 

 この言葉に2人とも首をガックリとしてしまった。まさに上げてから下げるである。その後も、何度か続けてみたが、結局人形が浮かぶことはなかった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、どうしてもダメだ……!」

 

「ここまで来ると、何か別の問題があるように感じるんだけど……」

 

「そうねぇ……あ!そうだわ!出来杉さんを呼んでみましょう!!」

 

「確かに。アイツなら何か分かるかもね……」

 

 普段なら文句の1つや2つ言うところだが、疲れきっている上に、今回は頼るしか方法はない。と言うことで、素直に出来杉の力を借りることにした。連絡をしてから20分程だろうか?それくらいで箒に乗った出来杉が到着した。

 

「やぁ。遅くなってごめんね」

 

「いやぁ、別に大丈夫だよ」

 

「早速だけど出来杉くん。のび太くんが魔法を使えない原因を教えてくれないかな?」

 

 よほど気になるのか、本人が聞くよりも先に出来杉に尋ねた。

 

「うん。分かったよ。僕が調べた範囲だけど、魔法を使えない原因は3つしかないんだ」

 

「3つだけ?」

 

「そう。1つ目は、単純に魔力が足りないだけ。でも物体浮遊術の様な基礎だったらこれには当てはまらない。2つ目は呪文を間違えてる可能性。魔法は本来、頭の中で各々の呪文を唱えてから、『チンカラホイ』の合図で発動するんだけど、基礎の物体浮遊術にはそれと言った呪文があるわけじゃないし、天気を操ったり物質を別の物質に変えるような複雑な魔法じゃない限り起こらないんだ」

 

「じゃあ、もう1つは?」

 

 最初の2つに当てはまらないとなると、のび太が魔法を使えない原因は、最後の1つとなる。気になって答えを急かすようにのび太が聞いた。

 

「多分、範囲の問題じゃないかな?たまに居るらしいんだ。無意識に体が勝手に範囲を帰る人が。……そうだなぁ~、後ろの塀の所まで下がってから、もう一度やってみてよ」

 

「分かった!」

 

 出来杉に言われた通り、後ろの塀まで下がった。そしてチンカラホイの言葉と共に、人形に向けて物体浮遊術をかける。すると先程とは違い、人形の周りに大きな風が吹き、人形は空中高く飛び上がった。

 

「す、スゴい……」

 

「かなり強力だね……」

 

「スゴいわ……」

 

 確かに。とんでもなく強力だ。3人とも唖然としている。人形を地面に戻すと、のび太が戻ってきた。

 

「スゴいとんだね!でも、これじゃあ使いにくくない?」

 

「「確かに~」」

 

「う~ん。杖でもあれば良いんだけど……そんな高いものは買えないし……」

 

 杖は安いもので15000円~30000円。高いものでは、普通に家を買えるかもしれない値段のものだ。流石に小学生ののび太達には買える訳がない。が、杖と言う単語で、1つ思い出したことがある。

 

「ねぇ、これ使えるかな?」

 

 ポケットから白を基調とした短剣の様な物を取り出し、3人に見せてみた。

 

「何これ?」

 

「分からないけど、ポケットに入ってたんだ」

 

「出来杉さん、使えそう?」

 

「魔力を通すものなら大丈夫みたいだから、一度やってみたらどうかな?」

 

「うん。チンカラホイ!」

 

 人形の前に立ち、呪文を唱える。するとさっきの様に人形は飛び上がり、しかもそれが空中でコントロール出来るようになったのだ。

 

「スゴいね!のび太くん!!これなら自分も飛ばせるんじゃないかな?」

 

「それって、箒無しで飛べるってこと?」

 

「うん!やってみて!」

 

「よーし!チンカラホイ!」

 

 出来杉に言われた通り、今度は自分に物体浮遊術をかけてみた。すると、出来杉の予想通りにのび太は空中に上り、飛ぶことが出来た。

 

「スゴいわ!のび太さん!!」

 

「やったね!のび太くん!!」

 

 静香とドラえもんの2人はのび太を賞賛するなか、のび太と出来杉は空を見上げていた。

 

「何……あれ?」

 

「黒い……流れ星?」

 

 その言葉を聞いて、ドラえもんも静香も空を見てみる。そこには、黒い光を発しながら流れる星があった……

 

 




ちょっと前回と丸っきり同じじゃあ、あれなので変化球を加えてみました。序盤だけだけど。

今回のび太が杖として使ったアイテム。もう皆さんお分かりですよね?この小説内では、杖としても使えることにしてあります。

出来杉
「謎の流れ星を追って、僕たちは森へと向かった。そこで目にしたものとは!?」

のび太
「次回 銀色の巨人」

次回もお楽しみに!感想と評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!
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