お気に入りが五人ですよ、五人。
こんな作品をお気に入りに入れてくれるなんて何と心の広い人達……
これには私もネコアルク・カオスのように目からビームが出そうです。
では、どうぞ。
やあ、こんにちわ皆の衆。
今一ワラキーっぽくないワラキーだよ。
いや、ぶっちゃけワラキーなのかもう分からなくなってきたぜ。
ワラキーっぽくしたの錬金術位だよ?
全くさぁ、こうして思うと小説の皆さんは行動力高いよな。
高くないと主人公張れないけどね。
その点、俺はただの死徒二十七祖の十三位の皮被っただけの元人間だもんな。
というか、俺は主人公よりも悪役の方が好きになるタイプだから主人公はどうでもいいぜ。
……まあ、悪役やる気はないよ?多分。
そんなネコアルクの愚痴並にどうでもいい事を考えながら広すぎる屋敷の一室で一人紅茶を飲んでいる俺氏。
今更ながら、使用人の一人くらいは欲しい広さなんだよなぁ。
俺の様子を見に来たサーゼクスも『君一人にしては広すぎないか?』って言ってきたのを使用人は自分で用意するって言っちゃったから今更見繕ってとか言えねえしな。
後、貴族じゃないからな。
まあ、そんな事気にしていてもしゃーない。
紅茶飲み終えたら修行だ。
今日はやることを朝のうちに済ませた後だからな。
ハイスクールD×Dの世界は物騒だと聞いていたけど、今日まで侵入者は居なかったしなぁ。
ま、コナン時空とかじゃないんだから毎日のように何か起こるわけないよな。
いくらなんでも起こらなすぎだけどな!
「…空虚だ。実に空虚な時間だ。私もそろそろイベントに招待してもらいたいモノだが、監督というポジション故か、私は壇上にあがれない訳だな。脚本も描いていないから、仕方がないと言えば仕方がないのだが。」
と言ってワラキー節を出してみる。
これがアニメのワンシーンなら大物感出るぞ!
なんせワラキーだからな!
中ボスの二十七祖とはちがうのだよ!
え?投票数zero?……いやあ、誰だろうねその祖は。
死徒ネットワークを以てしても分からんわぁ。
しかし、地上の方がコミュ多いってどういうことだよ。
友人が魔王一人ってこれには悲しみがラストアークフィニッシュだよ。
ったくさぁ、大体、話し掛けてもゴミを見るような目で見てくるのは勘弁───
─その時、脳に信号が流れ、その場から後退する。
後退した瞬間、天井から俺の座っていた場所へとピンポイントに何かが落ちてきた。
「……やれやれ、一体何だというのか。
確かに私は招待して欲しいとは言ったが厄介事に巻き込まれたいとは一言も言っていないのだが?」
それに、飲んでいたアールグレイが台無しだ。
襲ってくるようなら迎撃して、違うのならば叱るだけだが……。
土煙が晴れると、そこに居たのは……
「……ん、場所あってる。」
ゴスロリ風ワンピースの黒髪美少女が立っていた。
…うん、何だ、その、何だお前!?
いやいや、困惑しているんだがね……
だが、見たところ少女は俺に何かしてくる訳でもなくこちらをじっと観察するように見ている。
ちなみにだが……こいつ、俺より断然強い。
気配というか、そこにいるだけで危機感を感じるくらいにはヤバイ。
「…失礼、お嬢さん、君が何者か聞いても?」
「我、オーフィス。」
うん、知らね。
誰だそら。
友人の話をもっとよく聞いておくんだった……!
主人公とその周りをちょっとしか知らん俺には到底分かる筈もないので
「ふむ、ではオーフィス君。紅茶を飲みながら話でもしようじゃないか。」
と、話し合いをするように持ち掛けた。
「ん、分かった。」
オーフィスちゃんは快く了承してくれた。
なんだ、即決だったけど、警戒もしないのか?
もしや、お前風情、一撃よという余裕の表れなのか…。
まあいいや、こうして危険もなく話し合いをさせてくれるんだからな。
早速紅茶を淹れるとしよう。
・
・
・
紅茶(先程と同じアールグレイ)を淹れてから座り、オーフィスちゃんと向き合う。
オーフィスちゃんは静かに紅茶を飲んでいる。
んー、絵になるな。
少女という形として完成された容姿故に、座って紅茶を飲むというだけで美しさと可憐さを感じる。
だが、完成され過ぎている。
あまりにも無感情なのだ、彼女は。
普通、味のあるものを食べれば何か小さいながらも反応するはずだ。
それを何とも思わないかのように飲んでいるのを見ると、不気味さすら感じる。
よし、紅茶の味を聞いて、そこから話を始めよう。
「…どうかな、紅茶の味は。」
「ん、苦い。」
「……そうかね。ところで、君は何故ここへ?」
「お前、存在が不思議。魂が人間のようで、体は吸血鬼に似たナニカ。でも、よく分からない。」
的確に言い当ててはいるが、流石にタタリまでは分からないか。
まあ、長生きしてようとタタリは文献にもないからな。
それを一発で理解しろというのは難しい話だ。
「だから、私に直接聞きに来たと?」
「そう。」
「……ハァ、いいかね、私は紅茶を楽しんでいたところを突如天井を突き抜けて落下してきた君に邪魔をされた訳だ。これだけならいい。だが、理由が私が気になったからというのは些か非常識ではないか?」
「……?」
あ、これだめだ分かってない。
常識が抜けているのか。
それとも、無頓着なだけか。
多分、無頓着なだけなんだろうなぁ。
「…要は、私に会いたいなら玄関から入ってくればいいということだよ。」
「ん、分かった。次からはそうする。」
「そうしてくれたまえ。……それで、他に目的はあったりするのかね?」
「ん、グレートレッド倒す。」
「グレートレッド?」
「グレートレッド、知らない?」
「知らないな。君の事も何一つ知らないよ私は。」
「……そう。」
何となく、雰囲気がショボーンとしている。
……そうだな、手っ取り早く知れる方法はある。
「……どうやら、君の話は君自身やグレートレッドとやらを知ってないと始まらないらしい。なら、今すぐ知る方法があるのだが……」
「なら、早くそれをやる。」
「まあ、君がそういうのならいいのだが……今から少しチクリとするかもだが、何もしないよう頼むよ。」
「分かった。」
話が早くて助かる。
俺は早速オーフィスの首筋へエーテライトを刺した。
すると、今までとは比べほどにならない情報量が流れ込んでくる。
まるで津波のように俺を飲み込みに来るソレを、俺は分割思考を総動員させて捌く。
ヤバイ、油断するとこっちがフラッシュバックとかして脳がイカれる。
情報量が多いということはそれだけ生きた年月も多いということだ。
この少女はどれだけ生きてきたってんだ……?
・
・
・
ようやく終わった。
辛いなんてもんじゃない。
もう一生やりたくねぇぞ。
んで、分かった事は、こいつが無限の龍神と呼ばれている規格外の奴って事と、グレートレッドはこいつよりもヤバイ奴って事だ。
後は、こいつの個人情報だったので無視しておいた。
そして、こいつ、性別というものが無いということも分かった。
なんて都合のいい設定もってんだおい!
……タタリだから文句いえねぇ。
「……本当のズェピア・エルトナムはこれよりも多くの情報、未来を演算してきたのだろうか……。」
心の声を思わず出してしまい慌てかけるが、オーフィスには聞こえてなかったようだ。
「?終わった?」
「ああ、終わったともオーフィス。
知った上で聞かせてもらうが、私のような死徒を仲間に加えてもあまり意味はないぞ?」
「…お前、弱い?」
おっとぉ?今の発言は頂けないぞ?
ワラキー好きとして怒りたいところではあるが、この子は知らないのだから仕方ないと冷静になる。
「さあ、私はあまり腕試しはしない方でね。
この世界でどれ程強いのか私にも興味はあるが、まあ、それはその内分かるだろうさ。」
しかし、しかしだ。
「……そう…「だが。」…?」
「私には利益がない。私には見識がまだ足りない。
この世界に対する知識が足りない。
足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない!
足りない事だらけだ。
それではいけない。
それは錬金術師……いや、死徒二十七祖十三位であるタタリではない。
それはアトラス院の元院長ではない。
それは滅びを見てしまった者ではない。」
それは確かに、
「……。」
「私は、より洗練された私でなくてはならない。
そのためには、あらゆるものが必要だ。
故に、君に協力しつつ世界をまた見ていくのも悪くはないと思っている。
私だけでは気付けない物も、純粋な君といれば気付くことが出来るやもしれぬ。」
より多くのものを知らなければならない。
ワラキアの夜が好きだから、お気に入りだから、それもある。
だが、一番の理由は限界を知りたいのだ。
この死徒ズェピアが何処までこの世界に通用するのか。
何処まで彼のようになれるのか。
俺が彼の体を借り受けているからこそ、知りたいんだ。
……ふ、決まったな。
それっぽく言ってみたいという衝動に負けてしまった。
死徒だからね、仕方無いね。
「……つまり、我に協力してくれる?」
「ああ、するとも。だが、私が動くのはもう少し先だ。それまで君はどうするのかね?」
「……なら、我もしばらくここにいる。」
……えぇ?
「いや、待て、何故そのような結論に至ったのか聞かせてほしい。」
「?協力者だから、一緒にいた方がいいと思った。」
「……いやまあ、間違ってはいない。分かった、ここにいるといい。」
いやぁ、性別無しとはいえ、幼女の姿をした龍神と一つ屋根の下。
一体何が始まるんです?そういったことはしないから。
「……ああそうだ、それなら、時期が来るまでの間──」
俺は本棚からいくつか本を取り出して、テーブルの上に置いていい笑顔で
「君に常識を教えるとしようか、オーフィス。」
「」
この時のオーフィスは、無表情ながらも固まって積み重なった本の山を見てからギギギと壊れかけの機械のように俺を見ていた。
あ、なんだろう、あの麻婆神父の気持ちが少し分かったかもしれない。
これは……相手を弄り倒したりして楽しむ事。
ある人はこれを、愉悦と呼んだ。
絶望の雰囲気を漂わせたオーフィスを見ながら飲む紅茶は今まで生きてきた中で最高の味だった。
愉悦ッ!!
オーフィスって、別に最初からメスでも良かったと思うんですよね。
原作見る限りだと特に。
まあ、私がおかしいだけなのかもしれませんが……