今回はシリアス多めです。
ある一室にてソファに座り対面する男が二名居た。
一人は無に近い表情で、もう一人は疑うような表情で対面していた。
「君は、何を言っているんだ……?」
「分からないのか。
アイツは困ったことに俺たちにとっても非常に扱いにくい存在だ。
立場が違うといえど情愛ならお前と同じぐらいじゃないか?」
「……だが、君がやろうとしてることはっ」
「なら、お前がアイツを必要とするのは何故だ?
天才的な錬金術の才能か?
弱いとはいえ二天龍を圧倒する力か?
違うな、甘いお前はそんな理由で守ろうとはしない。」
「彼は今後の冥界にも必要だ。
彼という存在は一部への抑止力にもなり得る。」
「同時に脅威にもなり得る。
よく考えろ、今でも制御出来ていないのにこれからの冥界で裏切らない確証はないだろ?」
淡々と告げる。
あれは自分達の今後にとっての障害物となると。
それもまた事実であるが故に向かい合う紅髪の男は押し黙る。
「……俺はお前の判断に委ねるよ。
だが、これだけは言っておく。
もしお前の身内に何か起こったとしてもそれはお前の責任だ。
お前は王だ。
よく考え、決めてくれよ。」
そう言って、緑髪の男は部屋を出た。
残ったのは、未だ王として未熟な男一人のみだった。
「私はっ……」
─────────────────────
やあ、皆の衆。
俺だ、ワラキーだ。
さて、俺氏待望の魔獣創造をゲッチュしたが、困った事がある。
教授を造り出すにしても何時にしようかな。
という、初歩的すぎて就職面接なら面接官三人に笑顔で親指首にかけられて仕舞いになるレベルの悩みで馬鹿してる。
まあ、これはさておき。
そろそろ子供の意識が回復する頃合いだろう。
「ん……」
「おや、起きたようだね。気分はどうかな?」
「……あれ、おじさんは……」
お、おじさん……待ってくれ。
そこまで歳を取って…ますね、はい。
確かにおじさんだがワラキーの見た目は美青年と言われてもおかしくはない筈だ。
声か、声なのか!
子供は先程の出来事を思い出したのか、バッと起き上がり俺を見ている。
フリージアとオーフィスはじっと子供を見ている。
俺に対応は任せる、ということだろう。
まあ、そうだよな。
「おじさん、そのっ、あの力は!?」
「安心したまえ、もう君は無力な人間だよ。」
子供は俺の言葉を聞き、魔獣創造が無くなったのを理解したのか、力が抜けたように座り込む。
そして、涙を流しながら俺に頭を下げる。
俺は慌てて顔を上げさせる。
「ありがとうございますっ……!ありがとうございます!!」
──。
「…よかったね、ズェピア。」
「ん、良い事した。」
─違う、感謝なんてされるべきじゃない。
「……よしてくれ、私は善意だけで助けたわけではない。」
心からの感謝の言葉だなんて、言われる価値が俺にあるのか。
俺はこの子を利用したようなものだ。
それに、俺はあの時に思ってしまったのだ。
─『別に死んでも問題はないか』だなんて。
そんな事、思ってはいけないはずなのに。
助けると言った手前、そんな掌を返すような事を少しでも思ってしまったのに。
この子達からこんな暖かい言葉を貰って良いのか?
笑顔を貰って良いのか?
俺はこの子に包み隠さずに言った。
「私はあの時、君が死んでしまっても良いかもしれないと一瞬思ってしまったのにかね?」
子供は少し戸惑ったようだが、それでも俺に笑顔を向ける。
「…それでも、僕は…おじさんに助けられました。
おじさんは僕にとっての『ヒーロー』です!」
─ああ。
「ズェピア、この子も言ってるように助けたのは事実なんだから。
それに助けられてばかりの私がいうのも何だけど…過程がどうあれ人を助けるのは凄いことだと思うな。」
「凄いこと…?」
「ん、人を助けるのは簡単じゃない。
それをやれるのは凄いこと。」
凄いこと。
そう言われて、俺はまた馬鹿になっていた事に気付く。
駄目だな、冥界での過激な生活で死徒の考えに近づいてたようだ。
…うん、もう大丈夫。
「……そうか。うむ、それならば、もう少し君の助けになりたい。いいかね?」
「え?」
「私が昔世話になった村があってね。
私が頼んで君をそこに預けようと思う。
…どうかな?」
「い、いいんですか……?」
「私は、君がどうしたいかを聞いている。
私では君の答えにはなれない。
私は道を作るだけだ。後は、君が選ぶべきだろう。」
子供は考える。
自らに宿してしまった力で故郷を無くした子供はきっとこう思うだろう。
『またあの時のような事が起こるんじゃないか』と。
だからこそ、俺は言わねばならない。
それは過去に恐れて逃げているのだと。
俺が言えることではないかもしれないけど。
「君の恐怖は分かる。
同じ悲劇が起こるのではと恐れるのも当然だ。
だが、出来ればでいい。
私は君に本心での言葉を言ってほしい。」
「僕、は……僕は──
──僕は、居場所が、欲しいです。
普通の人間としての居場所が、欲しいです!」
「…ハハハ、言えるじゃないか。
うむ、了解した。
では、行くとしよう。」
俺は転移を発動した。
行き場所はもちろん世話になった村だ。
・
・
・
……あの後、路銀もなくて一日働かせてくれと頼み込んだ時のように村長に頼んだところ、快くあの子を迎え入れてくれた。
どうやら、俺に恩があるとか何とか。
おかしいな。逆だと思うんだけど……
娘さんの病気を治した位だしなぁ……うーん?
まあ、何はともあれ、あの子もこれで普通の生活をすることが出来るだろう。
また何度も感謝されたが、実際のところ感謝したいのはこちらだ。
『ヒーロー』、そんな事を言われたのは初めてだ。
俺はズェピア・エルトナムのように滅びを回避しようなどとは思わないし、衛宮士郎のように正義の味方になりたい訳でもない。
だが、ああ呼ばれたことで確かに俺の中でよかったと思ったのは確かだし悪い気はしなかった。
なる気は起きないけどな。
「よかったね、無事に預けれて。」
「ああ、もし駄目なら少し困っていた。」
「何をする気だったのかは聞かないでおくわ……。」
そんな思ってるような事はしないが、まあいいや。
現在俺達はやることが済んだので我が家に戻っている。
うむ、長いこと住んでるから落ち着くな。
空は青くないけど、まあそこは妥協である。
さて、そろそろ魔獣創造で新たなる死徒二十七祖を……
「む、連絡が……」
創ろうと思ったらこれだよ。
誰かは見当がついてるっていうか絶対サーゼクス。
「やあ、どうかしたのかね。」
『……僕が言いたいこと分かるかい?』
「ああ、ただいま。」
『あ、おかえり。じゃなくて!僕の頼んでいた仕事を放ってどこか行ったよね!』
「楽しかったよ。」
『それはよかったね!でもこっちはよくないんだよ!
今日は何とかなったからいいけどもっと早めに連絡を入れてくれ!』
「うむ、了解した。用件はそれだけかね?」
『いや、少し別件で話があるんだ。
すくにでも来れるかい?』
「すぐにかね。分かった、行こう。」
『…ああ。』
通信が切れる。
……最後の返事だけ何やらおかしかったような?
気のせいか。
「ズェピア、ごめんね……私の無茶なお願いのせいで。」
「いやいや、謝ることはない。
家族との時間が一番大切だからね。
オーフィス、留守は頼んだよ。」
「ん、任せて。」
「任せた。では、行ってくる。」
急いだ方が良さそうかな。
怒ってるだろうしなぁ……。
俺は少し気怠さを感じながら家を出た。
「……さて、片付けをしよっと……熱っ!」
─パリン
「あーっ!?ず、ズェピアのティーカップがぁ!!」
「フリージア、ドジ……。」
「うぅ……いつもはこんなことにならないのに…ピクニックで浮かれてるのかなぁ……?」
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さて、サーゼクスの説教の時間&依頼か。
どんな無茶振りをするのやら。
グレイフィアではないメイドに案内され、彼の待つ部屋の前に着く。
「ありがとう、しかし妙だ……。
いつもならばグレイフィア君が案内をしてくれるのだが。」
「グレイフィア様ならば、ご多忙により手が離せないとのことで私が案内を務めましたが…何か至らぬ事をしてしまいましたか?」
「いや、疑問が晴れた。
仕事に戻ってくれて構わない。
無駄な時間を取らせてすまないね。」
「いえ、では私はこれで……。」
メイドは急ぐ様子もなく去っていく。
時間に余裕があるのだろうか?
まあいいか……。
俺は扉をノックする。
「サーゼクス、私だ。」
『入ってくれ。』
「うむ、失礼するよ。」
俺は扉を開けて中へと入る。
何やら重苦しい雰囲気だ──
「─なぜ君がここにいる?アジュカ・ベルゼブブ。」
「久しぶりだな、吸血鬼。」
この技術者悪魔が何故ここにいる?
おかしい、大分おかしいぞ……
「……久しぶりだね。
私の事を嫌っている君が居るなどとは思いもしなかったよ。
…どういう風の吹き回しかね?」
「まあまあ、落ち着いてくれ二人とも。
今日は…アジュカも必要な案件なんだ。
何で仲が悪いのか分からないけど抑えてくれ。」
サーゼクスが苦笑しながら俺たちを止める。
何で分からないのさ、こいつと俺では色々と合わないのが……。
それに、先程から何か様子が変だ。
焦っている?
いや、違うな……ふぅむ?
「…それは構わないが、それほどの案件を何故私に?」
「……それは、アジュカから聞いてくれ。」
こいつから聞かなきゃいけないのは凄く嫌なんだけど……友人の頼みだし、仕方無いか。
「では、聞かせてくれ、アジュカ君。」
「君付けはやめろ。
手っ取り早く言うと、今回はセラフォルーとファルビウムじゃなくお前が必要な案件ってことだよ。」
アジュカは俺に指を指してくる。
あの、人に指を指すのは駄目だって習わなかったのかこいつ。
いや待て、それにしたっておかしくないか。
セラフォルーとファルビウムは決して無才ではない。
むしろ才能ある方だ。性格が問題だけど。
そんな二人じゃ……いや、まして四大魔王揃って無理な案件を俺に持ってきたって事になる。
「サーゼクス、君はまさか──」
「─必要だよ、これからの為にもな。」
俺がサーゼクスに問おうとした瞬間だった。
アジュカがそう言って魔法で鎖を出して両腕を拘束しに来る。
どういう事だ、これは。
おかしいと思ったが、まさかこれか?
不意を突かれたが即座に反応して俺は向かってくる鎖をマントで──
「─ぐぅっ!?」
「…すまない、ズェピア。」
─壊そうとしてマントが一部消し飛んだ。
サーゼクスの謝罪の声に振り向いて見ると彼が小さく滅びの魔力を放ったのが理解できた。
怯んでしまった俺はあっさりと腕を縛られる。
……何故、何故だ?
おかしい。
どうしてこうなったんだ?
俺の今回の行動のせいか?
「……何故だ、サーゼクス、アジュカ!」
「……。」
「提案したのは俺だ。」
「何……?」
サーゼクスに本当なのかという視線を送ると、サーゼクスは顔を俯かせる。
……どうやら、本当のようだ。
「ならば、何故このような事をしたアジュカ・ベルゼブブ。」
「邪魔だからだ。今後の冥界の為にもな。
俺も最初は頼りになる存在だと思っていた。
だが、最近のお前はどこか不穏だった。
聞けば、神滅具に届く兵器を作ったらしいな。」
「……ああ、だが、君達に害を与える物ではない。」
「仮にそうだとしても、他にも不安材料が多すぎるのさ、お前はな。
それに、最終的に決めたのはサーゼクスだ。」
「…なるほど、そうか、そうか……」
馬鹿な俺でももう分かったよ。
確かに、余所から来て、二天龍を倒す実力を持ち、錬金術と相手からすれば謎の力を持っていて、さらに力を付けるために兵器を作った奴は不安でしかない。
それに、最近は勝手な行動が過ぎた。
ああくそ、馬鹿だ馬鹿だと思ってたがここまでとは。
笑ってしまうほどの愚かさだな、俺。
「……私を殺すと?」
「そうだな、追放しても良いがその場合仕返しが怖い。殺す方が得策と考えるがどう思う?」
「私がそちらの現在の立場ならそうするだろうね。」
「……随分と落ち着いてるな?」
「いやなに、私は少々勝手が過ぎたようだと内心自嘲してただけだよ。
だが、そうだな……フリージアはどうなる?」
アジュカは俺の問いにハッと笑い飛ばす。
「なんだ、身内の心配か?
まあ、記憶を消して地上のどこかにでも放るさ。」
「…ハ、随分と甘いことだ。
記憶を消すといえどそれは魔法の力だ。
効果が消えるとは考えないのかね?」
「…では殺すか?
仲良く墓にでも埋めてやる位はしてやる。」
……中々、面白くないな。
殺すか、記憶を消すかの二択しかないとはな。
それと一つ、分かったことがある。
「フフ、ハハハ!君は中々に下らない発言をする阿呆で笑ってしまうよ。アジュカ君……いや?偽者と呼ばせてもらおう。」
「……何を言っている?追い詰められたからと一芝居打とうという魂胆か?」
「いやいや、これは確証だよ。
何なら、説明しても良い。
それに、この拘束具に縛られるのも飽きてきたからね。」
「だからどうした、悪いが芝居に付き合うつもりは」
「いや、付き合ってもらうよ。
まんまと騙されている未熟者の為にもね。」
俺は自分の近くに魔獣を数体造り出し、襲わせる。
「チッ、魔獣だと!?」
「ズェピア、まさか手に入れてたのか!」
「その通りだ、特別しぶとい魔獣を造っておいた。
存分に楽しみたまえ。」
魔獣には俺が狙われないように撹乱しながら襲えと事前に命令を送ってある。
魔獣はその通りに動き、殺されていく。
さて、と……俺を縛ったツケは高いぞ。
「ふむ、脆い。お陰で確信が持てた。」
「拘束を解いたのか……!」
「サーゼクス、妙だとは思わないか?
君の友人であり超越者たるアジュカ・ベルゼブブ。
彼は根っからの研究者だ。
そして、遊び心も持っている。
私はね、この点から気付いた。
どうして鎖に何も仕込まなかったのかと。」
「サーゼクス、聞く意味などない!
さっさとこいつを「君は黙りたまえ。」チィッ…!」
魔獣は良い子だ。
機械より可愛いげがあるし命令通りに動く。
偽アジュカを対処してる間にサーゼクスと答え合わせをしよう。
サーゼクスも自分の気質故か俺の言葉に耳を傾ける。
甘いが、今はその甘さが俺を助けてくれる。
「うむ、聞いてくれることを感謝する。
先程の点ともう一つ。
彼、弱すぎやしないかな?」
「……!そうだ、アジュカはどうして『覇軍の方程式』を使わないんだ?」
「そう、『覇軍の方程式』を使えばあの程度の魔獣は一瞬で殺せる。いや、使わずとも一瞬だろうがね。
それとだが……君、一つ彼に話題を振ってみたまえ。
彼がアジュカ・ベルゼブブであるのなら、必ず理解できる話題をね。」
そう、俺は知ってるぞ。
お前の開発したあの駒の存在を。
何で知ってるか?
……ふふ(黒い笑み)
サーゼクスは偽アジュカの真偽を確かめるために魔獣を滅ぼし、偽アジュカに訊く。
「助かった、サーゼクス。さぁ、アイツを…」
「アジュカ、一つ聞きたい。
『王』の駒について、知ってるか?」
「『王』の駒?知ってるもなにも、俺が作った物だろう。」
「どんな効果かも?」
「…そんな事聞いてる間に逃げられたらどうする?
さっさと─「答えろ、アジュカ!」……チッ。」
おいこいつ今舌打ちしたぞ。
マヌケは見つかったようだな。
「良いとこまでいったんだけどな…勘が鋭い奴だ。」
偽アジュカは観念したのか真の姿を現す。
今まで見たことがない悪魔だ。
長身細身の体に黒い短髪の男……誰だ?
「君は……旧魔王の…」
「ゲアプ家、聞いたことはあるだろ?」
「ゲアプ家…もう潰れてしまったと聞いていたが…」
「ああ、俺で最後さ。
隠されてた存在って奴さカッコいいだろ?」
ゲアプ…ガープの事か。
「感情を意のままに操るというゲアプかね。」
「そう、それ。だが、俺の感情催眠は俺より強い奴には効き目が薄くてね。
まさか、魔王様に多少の誤魔化し程度の効果があるとは思ってなかったが。」
「友の姿ということで心を許してしまっていた…といったところか。」
「ぐっ……確かにそうだ。
まんまと騙されて不甲斐ない……」
「いや、実に巧妙な擬態だった。
私も引っ掛かっていた可能性は高い。」
サーゼクスがちょろいのではなく、相手が上手だった。
心理戦が強いのは流石は感情を操れる悪魔といったところだな。
情愛を利用するとはな。
「そりゃどうも。……だが、ここまでみたいだが。」
「ああ、君はここでゲームオーバーだ。
……だが、君は中々の役者だった。
来世に期待したまえ。」
「悪魔にそんなもんあるとは思えないがな。」
「…なぜそんなにもすぐに諦めきれるんだ?」
「魔王様、この状況で諦められないなんてそれこそ主人公ですよ。
ま、俺は旧魔王とかそんなんどうでもいいんですよ。
俺は単にやれるところまでやりたいだけだった。
俺個人としてなんで大人しくしてる旧魔王の皆さんにはお仕置きとか無しで頼むわ。」
「…いいだろう。では、君の生に幕を引こう。
……サーゼクス、君が王だろう。
後は分かるね?」
「分かっている。」
「超越者直々に俺を殺してくれるなんて、中々無いんじゃないかこんな体験。
…魔王さん、あんたはもうちょっと賢くなるべきだぜ、良くも悪くもね。」
「ああ、痛感させられたよ。
……去らばだ!」
「おお……こりゃ、痛みもなさそうだ──」
ゲアプ家最後の悪魔は滅びの魔力で消し飛ばされた。
「…してやられた訳だ、我々は。」
「そうだな、もっと、魔王として強くあらねばならないとな……。
すまなかった、王としても、友人としても…
僕は君を勘違いという最低な理由で殺すところだった。
どうか許してほしい……!」
……いや、あながち間違ってないから何とも言えないんだよなぁ……
いつか俺はお前を裏切るし、お前は俺を倒さなきゃならない。
そう、今回は今の立場だから出来たわけだし。
だが、うん。
俺もまだまだということが分かってよかった。
お互い強く在らねばならないからな。
…そういう意味ではあの悪魔は強敵だった。
ズェピア・エルトナムとしてだらしなかった。
「いや、謝罪しなくともいい。
私もまんまと乗せられた身だ。
今回の事は私と君により向上心を持たせる良い機会だったといえる。
ならば、ここはこういこうではないか。
今回の失敗を糧に頑張ろう、とね。」
俺はそう言ってサーゼクスに握手を求める。
彼はそれを聞いて一瞬だけ呆けていたがすぐに苦笑して
それに応じてくれた。
「全く、君という奴は。
…ありがとう、これからも頼むよ。」
「ああ、君は私の
任せてくれたまえ。」
そうして俺達はより絆を深めた。
そう、いつか崩れる絆でも、今は本物だ。
彼は真に王としての道を駆けるだろう。
ならば俺も駆ける。
俺が
「だけど、朝の件は別だ。」
「チッ、忘れてくれてよかったものを。」
「どさくさに紛れて何無かったことにしようとしてるんだ。」
そこに関してだけ説教されてげんなりしながら家に帰った俺でしたとさ。
そして、俺のティーカップが『
フリージアが必死に謝られたが怒ってない。
決して怒ってるわけではなく、ただ疲れた。
少し話が急展開でしたかね?
まあいいや(無責任)
今回の話を見てくれた通り、サーゼクス君はランクアップエクシーズチェンジします。
まだだけど。