【完結】 ─計算の果てに何があるか─   作:ロザミア

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どうも、ロザミアです。

コカビエルというだけで書く気が湧かなくなるのはなんなんだろう……
安心してください、クオリティは下がってない……筈。


伝説の堕天使がなんだよこっちは虚言の王だよ!

やあ、皆の衆。

俺だ、ワラキーだ。

 

いやぁ非常に悪いが今回は少し待っててくれると嬉しい。

 

何故かって、そりゃ、前回を見てくれたなら分かるだろうが……

 

 

「おぉっと危ない危ない、もっとしっかりと狙いたまえ。」

 

「黙れ!馬鹿にしおって……貴様だけは殺す!」

 

「貴様だけは?おや、おかしいな。

君の目的は戦争を起こす事では?

私だけを殺すということは戦争は起こさないということか!

いやぁ目的をすぐに忘れるとは、鴉ではなく鶏の類だったとはこれは失敬!」

 

「貴様ぁぁぁぁ!!」

 

煽りすぎたわぁ、楽しいわぁ。

さっさと終わらせるのも味気無いし少し遊んでるんだが、駄目だ、これは愉快過ぎて飽きない!

 

煽っては避け、煽っては避けを繰り返しているとコカビエルは血管が千切れそうな位激怒してがむしゃらに攻撃してくる。

 

周りの奴等は相手にできる奴とやり合ってるな。

よしよし、ターゲットは1つも逃しちゃいけないぜ。

今回は主役達の役目をかっさらうが、まあここら辺でしか丁度良く入れそうになかったからな。

利用させてもらうよ。

 

コカビーが巨大な光の槍を生成し、俺にぶん投げてくる。

 

「俺のこれを受けても、その減らず口が叩けるか見せてもらおう!」

 

「ふむ、君にとって自信のある一撃のようだが……」

 

段々と俺に迫ってくる光。

しかし、俺には恐怖は疎か劣等感すらも感じなかった。

伝説の堕天使だか、大戦を生き抜いただとか、大層な言われようだがな──

 

俺は爪を横に振るうと、光の槍は真っ二つに裂かれ、俺の横を通り、後ろで爆発する。

コカビエルは信じられないのか呆然と立ち尽くしたままだ。

 

「………な、に…?」

 

「このように、私にとっては然したる脅威ではない。

巨大ならば良いとでも?

これならば高圧縮した方がよかったとすら思うね。」

 

─こちとら死徒二十七祖十三位という人気者のズェピアさんやぞ、お前のネームなんぞ怖くもないわ。

 

「だから言っただろう。これは駆除だと。

だが、恐れることではない。

受け入れるべき事だ。

常に時代は進む、実力者も増えていく。

君はそれに置いていかれ、圧倒されただけだ。

戦争主義も構わんが、別の国でやってくれないか?」

 

平和主義国で戦争戦争って何言ってんだってなるしな。

人外同士だから関係はない?

冥界でやれよと。

 

「…何故だ、何故ソレほどまでの力を持っていて何もしない!闘争心の赴くままに蹂躙しようとしない!?

答えろ、臆病者の蝙蝠が!」

 

「……臆病者か。」

 

臆病者、確かに。

俺は臆病者に違いない。

家族を看取るしか出来なかった、中身をさらけ出すのを戸惑った愚か者だ。

 

臆病者、構わない。

蝙蝠、ああそうだとも。

 

それでも、家族以外の他人にそう罵られるのは勘弁願いたい。

俺は臆病者で、蝙蝠で、道化だとしても。

 

「不愉快だ、吐き気を催すほどに不愉快だ。

確かに私は力を持ちながら何もしようとはしなかった臆病者だ。

だが、それを言っていいのは君という存在ではない。

君のような力を振りかざす事でしか己を保持できぬ愚か者が、私を罵倒する権利などない。」

 

それでも俺はあの子の、あの子達の正義の味方なんだ。

 

俺はもう語ることはないと黒い竜巻を三つほどコカビエルの周囲を囲うように創り出す。

死なない程度に創ったから問題はないと思うが……。

あ、よかった。何も出来ないのかコカビエルは悔しげに叫びながら竜巻に吸い込まれ、切り刻まれていく。

 

「グ、ガァァァァ……!!」

 

やがて竜巻は止み、ボロボロになり、意識の途絶えたコカビエルが落ちてくる。

 

「……ふぅ、少し感情的になりすぎた。

それと、お遊びが過ぎたか……」

 

俺は倒れているコカビエルに近寄り、鎖を創り、縛る。

一件落着かな、これは。

 

ありゃ、神父…間違えた、悪魔払いが一人居なくなってらぁ。

相当逃げ足が速いんだな。

 

「ズェピアおじ様!お久し振りですわ。」

 

「久し振りだねリアス君。

ソーナ君とは違って昔のように呼んでくれるとは私は嬉しくて涙を流しそうだよ。」

 

リアスちゃんが話し掛けてきたのでそちらを振り向く。

うっわ、すげぇ見られてらぁ。

そんな凄いことはしてないと思うんだが……。

 

「君の眷属か。ふむ、中々に個性派揃いだね。」

 

「あと一人居ませんが、私の自慢の眷属達です。」

 

本当、個性派揃いだなぁ。

堕天使の力を感じる女一名、妖怪の力を感じる女一名、ちょいと聞こえたけど聖魔剣だっけ?を使えるようになった男一名、先程から神器で治療してる女一名……

 

……そして、赤龍帝の男、原作主人公君、か。

 

俺は自己紹介をしようと思い、少し前に出る。

 

「ふむ…初めまして、リアス君の眷属達よ。

私は、ズェピア。ズェピア・エルトナムだ。

好きに呼んでくれて構わないよ。

…後は、そうだな。昔はリアス君の世話もしたことがある。」

 

「ぶ、部長の小さい頃……!?よ、良ければ教えてください!」

 

「おじ様!その話はしないでください!イッセー、貴方も詳しく聞こうとしないの!」

 

恥ずかしそうに慌てて止められてしまった。

……ふむ、ドライグからは、反応がないな。

あの時の俺に何か思うことでもあるのか、それとも…

 

あの子の事を思い出してるのか。

その籠手の中で、お前の心はどう育ったのか。

 

「ハハハ、好かれているようだねリアス君。

…さて、真っ先に好奇心を示した君は…イッセーでいいのかな?」

 

「あ、はい。兵藤一誠です!…えぇっと、やっぱり冥界の偉い人とか?」

 

「ああ、気にする質…いや、眷属としては当然の反応とも言えるかなこれは。一応答えておくと偉いかどうかはリアス君に任せるよ。」

 

えぇ…って感じで俺をジト目で見てくるリアスちゃん。

後、もう一名…妖怪悪魔ちゃんもジト目である。

 

「…分かりました、後でおじ様については説明するとして……」

 

「ああ、そうしてくれると助かる。まだ、少しだけ劇は終わらないらしいからねぇ。」

 

「?それはどういう─」

 

 

リアスちゃんが言い終える前に、空から誰かが急降下で降りてくる。

しかもコカビエルの側だから俺の近くだ。

 

白い鎧を見るに…白蜥蜴ぇ!!

 

「新手…しかもその白い鎧、まさか!?」

 

「そのまさかだ、グレモリー。俺が今代の白龍皇だよ。

アザゼルからの指示でね、コカビエルは俺が回収する事になっている。

悪魔側と天使側には迷惑を掛けたと言っていたよ。」

 

「今代の白龍皇は堕天使の方に居たのね……。」

 

「白龍皇…俺の…宿敵って奴か。」

 

「ふっ、今代の赤龍帝は君か。

…だが、まだ弱いな。俺の期待通りとはいかないか。

そして……。」

 

「おや?私は弱いからやめておけ。

アルビオンもそう言っているだろう?」

 

「そのアルビオンは、俺に警告してる訳だがな。

まあ、近い内にまた会う事になるだろう。

では、俺はこれで。」

 

白龍皇は俺と戦いたいらしい。

何か、雰囲気が言ってたね。ま、今回じゃないけど。

戦闘狂かぁ、いつぞやの馬鹿を思い出すなぁ。

 

白龍皇はコカビエルを担ぎ、その神器の翼で飛ぼうと──。

 

『無視か、白いの。』

 

『ほう、起きていたのか、赤いの。

今代はこちらが有利らしいな。』

 

『それはどうかな。今代の相棒は少し特殊だ。

すぐに追い付くだろうさ。』

 

『それは楽しみだな。』

 

何か急に喋りだしたぞあの翼と籠手。

白龍皇が話は終わったと判断したのか、飛び去っていった。

 

「さて、回収されてしまったが、やることはやった。

……正直に言えば、そこの籠手の中にいるドラゴンには言いたいことがいくつかあるのだが、まあ、それはいい。

私はそろそろ帰るとしよう。

君達も大変だったろう、早く体を休めることをオススメするよ。」

 

「お気遣い感謝しますわ……。」

 

リアスちゃん、結構疲れてるようだな。

眷属達もかなりフラフラだし。

教会の戦士二人に関してはもう意気消沈というか、事実を事実として受け入れがたいといった様子。

だよなぁ、崇拝していた神が死んでましたとか急に言われたらそうもなるよな。まあ、頑張れ。

 

「白龍皇君が言っていたように、また会う機会があるだろう。それも近い内にね。

その時に質問なり何なりしてくれたまえ。

では。」

 

俺は歩いて帰ることにした。

転移で帰ってもいいんだが、気分じゃない。

兵藤一誠の横を通り過ぎる一瞬、声がした。

 

『あの時はすまなかった。』

 

「…あの子は運命に打ち勝った。

それが全てだよドライグ。」

 

「……?」

 

大人しくなったじゃないか、こいつ。

謝れるくらいになったのは意外だが……ま、これが一番の収穫かな。

 

何を言ってるか良く分かってない一誠はスルーしてそのまま帰る。

 

途中でソーナ君にも会ったので報告は俺がしようと言っておいた。

あの子も疲れてるようだし、一番疲労の少ない俺がやるべきだろう。

 

…さて、いつ始めるかな。

 

 

 

 

 

 

『そうか、途中でアザゼルから連絡が入ったから把握していたが、報告ありがとう。それとお疲れ様。』

 

「ほう、堕天使総督が君に連絡を。

何をする予定なのかな?」

 

『相変わらず鋭いね、君は。

近頃、三勢力会談を行う予定だよ。

そろそろした方がいいと思ってね。

今更な感じも否めないんだが……こちらとしても都合が良い。今は争いの世ではない、いつまでも睨み合ってても良いことなんてないからね。』

 

へぇ、あのアザゼルがね。

よくもまぁ信用の薄い身でやれたな。

行動力があるなら今回の件も直接動いてくれって感じだよホント。

 

「思い切ったな、彼も。

…その思い切りを部下の管理にも使ってほしいモノだがね。」

 

『それに関しては同意するよ。

それで、ズェピア。良ければ君も出席しないか?』

 

「私が?重要人物という程では……ああなるほど。

コカビエルか。

そういう事か、今回のコカビエルの騒動を使ってやるということか。

分かった、是非そのイベントに参加させてほしい。」

 

『そう言ってくれると思ってたよ。

じゃあ、日程は後程また連絡を入れるからその時に。』

 

「ああ、待ってるよ。」

 

通信を切って、俺は紅茶を飲む。

茶葉を変えたが、前の方がやっぱりいいな。

でもあれ地味に高いんだよなぁ……紅茶中毒になりかけている俺にはとても辛い。

 

さて、話も終わったし。

 

「……終わった?」

 

「ああ、終わったとも。」

 

隣の部屋の扉からひょっこりと顔を出すオーフィスに俺は微笑む。

癒しだわぁ……。

オーフィスに連絡を終えたことを伝えると、本を持ってトコトコとこちらに歩いてきて、膝に乗る。

 

拝啓、グレートレッド様。

貴方の追い出した無限の龍神は元気です。

娘として貰っていいですか。

 

「…ズェピア、カオスは?」

 

「彼ならまだラーメン屋だろう。

今日は私が作るから安心したまえ。」

 

「ん、なら、問題ない。…ズェピアから、ドライグとアルビオンの匂いする。」

 

「ああ、会ったからね。

中々に個性的ではあったよ。…もっとも赤龍帝の学校での評判は酷いものだがね。」

 

「……そう、赤龍帝に会った。…ズェピア、その……」

 

オーフィスは言いにくそうにしているので、俺は頭を撫でながら安心させるように言う。

 

「分かっている。ちゃんと会いに行くとも。

君はもう行ったのかね?」

 

「…うん、何をやっているかの報告した。」

 

「そうか、ならば私もしなくてはね。

しかしそうか……そろそろあの日か。」

 

あの日というのは、お察しの通り『彼女』の命日だ。

行って、今までの事を報告とかをしている。

 

特に、オーフィスは命日でなくともよく行くらしい。

大好きだったもんな、彼女と過ごすの。

けれど、死んだのがまだ堪えてるとかそういうのではなくて、世話してもらったから、今度は自分がやると、掃除とかで行くらしい。

 

……寧ろ、俺が一番堪えてるのかもな。

 

「ズェピア、大丈夫、我とカオスは、すぐに死なない。」

 

「…お見通しということか。」

 

「ん、家族だから。それに……」

 

「それに?」

 

「……何でもない。」

 

「そうかね?」

 

それで、オーフィスは単独で行動してるんだが、たまにこうして帰ってくる。

何でも、旧悪魔やら何やらと交渉してグレートレッドを倒す代わりに願いを叶えてやんよと言ったらしい。

ドラゴンボールじゃねぇか!

 

「そういえば、悪魔の一人に蛇をあげた。」

 

「蛇を?」

 

「ん、でも、無駄死にすると思うから細工した。」

 

「少し腹黒くなったね、オーフィス。」

 

「ズェピアは、嫌い?」

 

「いやいや、黒くない者など、そういない。

私はそちらの方が好ましい。

さて、夕食は何が良いかな?」

 

「……ん、じゃあ、ハンバーグ。」

 

「君も好きだなぁ……」

 

「ズェピアのだから、特別。」

 

おいおい、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。

娘にそう言われて涙出てきそうだわ。

 

マジで良い子に育ったなぁ…テロ組織作ってる時点で良い子じゃない?

分かってないな。そこも魅力なのだよ!

 

 

その後、夕食を作ってる途中で帰って来た教授に今回の件を教えると、どう動くかは任せるとの事。

 

会談の時、事件は絶対に起きる!

旧悪魔の奴等が会談の時を見逃す筈もない。

まあ、オーフィスの細工も見てみたいしな

 




次回は主人公以外の視点を書こうかと思いますが、作者の気分で変わるかもです。

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