【完結】 ─計算の果てに何があるか─   作:ロザミア

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どうも、ロザミアです。

今回は前半オーフィスちゃんで後半は皆の変態一誠君の視点です。

一誠の方が長いかもしれません。


無限の龍神は何を想い、赤龍帝は何を見つける

「……。」

 

蛇を創りながら、少しだけ思考する。

フリージアが死んでしまってから、もう何十年も経った。

それでも彼女の事を忘れた事など一度もないし、墓参りだって一年の内に何度も行っている。

 

あの時、あの瞬間を忘れることなど不可能だ。

 

『…フリージアは疲れてしまったようで、寝ている。

今はそっと、寝かせておいてあげなさい。』

 

帰って来たズェピアに言われたあの言葉を、最期を今でも昨日の事のように思い出せる。

 

その後、彼女の死体…骨はちゃんと墓に埋めた。

三人で墓を通じて彼女へと語りかけた。

……そして、立ち直れた、と思う。

 

その後、我は単独で行動することにして、まず向かったのは旧魔王領だった。

フリージアを襲ったのはとても許しがたい行為ではあり、今でも殺したいほどではあるが、ならば活用しようと思った。

 

幸い、あの時の悪魔達はあの時全員殺したので我の事はバレていない。

 

どころか、チャンスが来たと喜ぶ始末。

 

その喜びも利用しようと彼等にとって体のいい言葉を投げ掛ける。

 

『我、グレートレッド、倒したい。

倒すのに協力してくれるなら、お前らの願い叶える。』

 

そう言ったと思う。

グレートレッド、我を追い出して我が住んでいた次元の狭間を飛んでいる我と同等以上の龍。

 

我も最初は迷惑を掛けたりしていたが、アイツは我にとって最大の迷惑者だ。

 

次元の狭間も心地がよかったので、グレートレッドを倒した暁にはズェピア達を連れてそこで暮らしていたい。

 

まあ、今それはいいとして。

 

旧魔王達は大いに喜び、協力してくれると言ってくれた。

まあ、力だけを貰って好き勝手する気なのはバレバレなので蛇に細工でもして死に様でも見るとしよう。

 

そして出来上がったのが『禍の団』。

我は担ぎ上げられているだけ、という事にしておいてはいるが、悪魔達や、他の者達の動向はしっかりと見ているし、聞いている。

 

予想より多くの者達が集まって、我を利用しようと企んでいるが、逆に利用されていることに気付いていないのは滑稽だ。

 

だが、厄介な連中も存在する。

英雄派という連中、これは実に利用しにくい。

曹操を筆頭に英雄の生まれ変わり…いや、末裔だろうか?それが集まって出来た集団で、目的が人外を倒して高みを目指すという、馬鹿馬鹿しい内容だが面倒なことに能力が高いせいか一層出来ると思ってしまっている。

 

他には我にとっても普通に好ましいのも居たりする。

 

それが白龍皇が率いるチームだ。

まあ、戦闘狂だったり、妖怪だったり聖剣使いだったりがいるのだが、真面目に我の話を聞いてくれたりもするメンバーでもある。

 

「……出来た。」

 

今出来たばかりの蛇を見て嗤う。

この蛇を飲み込めば、面白い物が見れるのだから。

 

「オーフィス、オーフィスは居ますか!」

 

「……何?」

 

女悪魔が我を呼ぶので応じると、こちらに歩いて寄ってくる。

名前はなんだったか。

カテレア・レヴィアタンだったかな……。

 

「ここに居ましたか。あの憎き偽りの魔王達が会談を開くようなので、そこを襲撃します。

貴女の蛇を授けていただきたい。」

 

「分かった。」

 

実験台が来てくれた。

昔の我のように振る舞っているからか疑う素振りも見せずに蛇を受け取ったカテレアは礼も言わずに去ってしまった。

人から物を貰っておいて何もないのはどういうことか。

あれでも元は貴族の令嬢の筈なのだが……

 

まあ、それはいい。

いい結果を残せるといいが、まあ無駄だろう。

魔王四名の一人にも勝てない実力では魔王に返り咲く事など出来はしない。

 

「……ちょっとしたら、帰ろう。」

 

窓から外を見る。

 

我は帰ってみせる。

グレートレッドを倒し、次元の狭間へ戻り、そこで家族とずっと暮らす。

それだけでいい。

彼処で平穏に、何者にも害されずに生きていくのだ。

 

でも、ズェピアは自らの限界に挑戦しようとしてる。

なら、もう少し予定を延ばしてそれに協力しよう。

その為の蛇の細工なのだから。

 

愛というのはとても難しいものだ。

昔の我ならここまで行動はしてないだろう。

人形のように、何もせずに利用され、捨てられていただろう。

 

そんなのはゴメンだ。

 

「……。」

 

問題は、魔王クラスの強者だが……

 

まあ、そこはズェピアとカオスに任せよう。

 

そんな事よりも、早く帰りたい。

最近は教師らしいので生徒という身分でありながらすり寄ったりする害虫がいるかもしれないので早く帰って確認しなければ。

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

オッス、俺は高校生悪魔の兵藤一誠。

 

突然女の子に告白されてそれにOKしてデートしていたら、その子は堕天使だった!

堕天使に殺され、死んだと思っていたが、目が覚めたら……

 

俺はリアス・グレモリー先輩の眷属悪魔になってしまっていた!

兵藤一誠が悪魔になったと両親に知られれば色々とヤバイ気がしたので今は黙って部長の為に頑張ってる。

 

……何で俺はコ○ンの冒頭シーンをやっているんだ!

 

まあ、それは置いといて。

 

コカビエルを倒して数日経った訳だが…いや、倒したのは部長の知り合いのズェピア・エルトナムという人なんだが、凄まじい強さだった。

 

それと、教会の戦士のゼノヴィアがいつのまにか部長の眷属になってたのは驚いた。

何でも、教会に神の不在を問い質したら追い出されたとか。

教会が隠していた事実なのにそれを問い質されたら追い出すなんて…許さねぇ!

 

…まあ、それはそれとして、俺はオカルト研究部、略してオカ研に部長達と居る。

折角なので、ズェピアという人について聞いてみよう。

 

「部長、この前コカビエルを倒したズェピアって人居たじゃないですか。」

 

「ああ、おじ様の事?どうかしたの?」

 

おじ様って呼ばれてるズェピアさん何となく羨ましいぞ!

俺がおっさんだったら呼ばれたい!部長に呼ばれたい!

ついでにその聖なる果実が今日も素晴らしい!

 

「いやぁ、どんな人なのか気になりまして…部長は昔から知ってるんですよね?」

 

「知ってるけど、そんな詳しくはないわよ?」

 

「それでもいいんで、お願いします!」

 

「部長、僕も気になります。」

 

「あら、私も気になりますわ。」

 

「……(無言の挙手&無言の羊羮食い)」

 

「わ、私も……」

 

「ふむ、私も気になるな。あの強さもだが。」

 

部長は少し恥ずかしそうにしながら、紅茶を飲んでから話し始める。

 

「……皆気になるなら、仕方無いわね。

でもさっきも言ったけどそれほど詳しくはないわ。」

 

ゴクリ、一体、どんな話が聞けるのか……!

 

「おじ様は冥界の復興を条件に冥界に移住してきた吸血鬼らしくて、故郷はお兄様も知らないらしいわ。

それで、錬金術や能力を使って復興に貢献したの。

実力もあったようで、はぐれ悪魔の討伐も一部請け負っていたって聞いたわ。

お兄様も自分と並ぶ位かも知れないって言ってたし……少なくとも魔王級の強さね。」

 

「大物じゃないっすか!?」

 

「部長、あの人は眷属を持ってないのですか?」

 

「えぇ、持たないどころか寧ろ悪魔の駒については反対していたと聞いたことがあるわね。」

 

「反対?何でですか?」

 

「さぁ……そこまでは知らないわ。

お兄様もグレイフィアもあまりおじ様について話さないのよ。

あ、でも同じように私たちの面倒を見てくれた人ならもう一人居るわ。」

 

うわ、もう一人居るのか。

その人も只者じゃないんだろうなぁ……。

魔王様が自分の妹である部長の面倒を任せるなんて相当な信頼だし。

 

「確か、名前はネロ・カオス。

おじ様と違ってたまにしか来なかったけど、来たときは楽しく過ごせたわ。色々な動物を出して遊んでくれたのを思い出すわ。」

 

「動物を出すって……まるでその人自体が動物園みたいですね。」

 

「間違いじゃないわね。本当に体から出していたもの。」

 

「「「「「「えっ。」」」」」」

 

「驚く気持ちは分かるけど、本当よ。」

 

俺自身が動物園となることだってか?

悪魔でも居ないだろそんなの…色んな意味で化け物じゃないか!

 

皆で驚いていると、部長は思い出したようにあっ、と声を出す。

 

「そういえば……二人とも共通で私達を見ながら何かを思い浮かべてるような様子をよく見たわ。」

 

「えっと……それはあまり関係ないんじゃ?」

 

「そ、そうよね。

ごめんなさい、私ったら変なことを言っちゃったわね。

さ、この話はおしまいよ。

私自身、そんなに話せないからね。」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

何だかいい人なんだな、ズェピアって人とカオスって人は。

また会えるってズェピアさんは言ってたけど、会えるといいなぁ。

……でも、何で俺は別に知り合いでもない男にこんなに興味が惹かれたんだ?

 

お、俺はホモじゃねぇ!

おっぱいが大好きなんだ!

美人が大好きなんだーーっ!

 

 

 

 

 

 

あれから色々とやってから俺は帰宅して自分の部屋に居る。

夕飯も食べて風呂にも入って寝るだけなのだが気になった事が一つある。

 

『あの時はすまなかった。』

 

『…あの子は運命に打ち勝った。

それが全てだよドライグ。』

 

あのやり取りが、頭から離れない。

 

「なあ、ドライグ。」

 

『どうした相棒?』

 

「ドライグは、ズェピアさんの事を知ってるのか?」

 

『……ああ、よく知ってる。

アイツはとても強く、優しく……

そして悲しみが多い男だ。』

 

「悲しみが多い?

歴代赤龍帝と関係があるのか?」

 

『無いと言えば嘘になる。

だが、あの赤龍帝…いや、あの娘は赤龍帝ではない。

あの娘は俺という力を宿しながらただの一つもソレを振るわなかった強い女だ。

その者はズェピアと家族だった。』

 

「赤龍帝とズェピアさんが!?」

 

驚きの事実だ。

この一日で色々とあの人に近付けている。

何だろう、冥界と赤龍帝ととても関係の深い人なのだろうか。

 

『…すまん、相棒。

俺は奴を、奴の家族を語ることはできない。』

 

「え、何でだよ。家族だったってことはお前もじゃないのか?」

 

『俺は違う。

逆だ、俺はあの家族を引き裂こうとした…愚か者なのだ。』

 

そう言って、ドライグはその日喋ることはなかった。

後悔を強く感じる、反省したような声だった。

俺はドライグに何も言うことは出来なかった。

 

ドライグは、何をしたんだろうか……。

 

その日俺は気になってあまり眠れなかった。




ちょくちょく原作編ではオーフィスちゃんと一誠君の視点が出ると思いますので期待……はしないでください。

オーフィスちゃんはフリージアを失った事もあり、家族を大切にしています。
それが傷つけられるとヤバイかもしれない

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