【完結】 ─計算の果てに何があるか─   作:ロザミア

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どうも、ロザミアです。

ついにお気に入りが2000を突破しました!
これまで続けられたのは読者様達のお陰です。

では、どうぞ。


旧き魔王は消え去り、虚言の王は嘲笑う

部屋で二人、本を読みながら話していたときを思い出す。

 

何故かは分からない。

何故今なのかも不明だ。

 

「ねえ、ズェピア。」

 

「どうしたのかね、また分からない部分でも見付けたかな?」

 

すると、少しムッとしてしまう。

失言だっただろうか。

 

「すまない、からかうつもりはなかったのだが。」

 

「いいよ、別に。

でも、もう私は子供じゃないんだから。

……それでね、ズェピアって、何かしたいことってないのかなって。」

 

「また唐突だね、どうしてその疑問を持ったのか聞いても?」

 

何かしたいこと…か。

確かに、ある。

だが、彼女が幸せに死ねたらやると決めたのだ。

 

彼女にはこの事を知られたくはなかった。

軽蔑はしないとわかってる。

彼女はそんな事は出来ないと知ってる。

 

「何となく。人間ゆえの知的好奇心ってやつ?」

 

「何故疑問形なのかは聞かないでおこう。

……しかし、そうか。

したいこと、か……無いな。」

 

だから、俺は平然と嘘をついた。

彼女は、とてもそれが意外だったようで驚く。

 

「えぇ!?割と何でもできるのに何もやらないの?」

 

「うむ、そんな事、考えたこともなかった。」

 

「そっかぁ……勿体無いなぁ。

ズェピアなら、凄いことが出来ると思うのになぁ。」

 

「凄いことかね?」

 

「うん。例えば───」

 

彼女は笑顔で、俺に言う。

俺の目的と真反対なもしもを。

 

 

「─────。」

 

「─それは、私も憧れるかもしれないな。」

 

教えてくれ、愛しい家族。

 

あのとき、君は何を言ったのか。

 

何を願っていたのか。

 

 

「ズェピアは、何となくそれはしなさそうだけどね。」

 

もう、そのもしもを思い出せなくなってしまった俺に。

 

もう一度だけ、聞かせてほしい。

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

怒号が鳴る、悲鳴が響く、狂笑を奏でる。

 

「き、貴様はズェピ─」

 

「カット。」

 

爪で切り裂く、死ぬ。魂を回収する。

 

「殺せ!憎き吸血kァガッ」

 

「化物がァ─」

 

「カット、カット。」

 

マントで切り裂く、死ぬ。魂を回収する。

 

切る、伐る、斬る、きる、キル、kill、killkill、killkillkill、killkillkillkillkillkillkillkillkillkillkillkillkill──

 

「カット、カットカット、カットカットカットカットカットカットカットカットカットカットカットォォ!」

 

何人も殺し、魂を回収し、絨毯を血の色に染めていく。

血を飲んでみたいが、やめておこう。

飲んで腹を壊したら事だ。

 

ああ、でも───

 

 

 

─脆いなぁ。

 

脆くて、弱くて、愚かで。

数だけは一人前だ、だが、弱い。

弱いのはいけない。

 

「キ、キキ、キキキキキ─!」

 

笑ってしまう、こんな奴等が真なる魔王とほざいていたのか。

冥界も未来が明るいな。

ハ、ハハハハ!

これが傲慢これが慢心これが駄心!

 

……駄目だ、少し落ち着け。

引っ張られるな、彼は彼で、俺は俺。

同じであって同じではない。

 

…よし。

駄目だな、声優はキャラ性に引っ張られる事があるというが、もしや同じようなモノだろうか。

いや、これはそんな優しいものではない。

 

困った、これがずっと彼になってた代償とでも?

吸血鬼のデメリットではなく、俺の魂の問題ということか。

 

それに、改めて思うと、本当に何も感じなくなったんだなぁって。

昔は一般人で、殺人事件のニュースを聞くだけで怖いなぁって思ってた自分が、もうこんなに殺しても吐き気すら来なくなってるのに、少し恐ろしさを感じる。

 

まあ、それだけ。

 

「…大分殺したなズェピアよ。」

 

「……ああ、想定よりも回収できている。」

 

「その分、貴様も変貌しかけているがな。

どうする?このままでは貴様は本当に貴様でいられなくなる可能性が高いぞ。」

 

「構わない、続けるとしよう。

私が私でいられなくなるなど、千差万別のタタリにとって有り得ぬ事だ。

私は私であり、私ではない。

そうであるように生きたのだ。

今のは、テンションに乗ってしまったという奴だよ。」

 

「……貴様がそれでいいなら、私は構わんがな。」

 

察してるのか、勘違いかは分からないが、前者だろう。

 

「後どれぐらいいるかね?」

 

「2、3人程だ。」

 

「魔獣を使っているお陰か、空間把握能力も高いな。」

 

「今更だろう。」

 

2、3人か。

 

ハハハ、こんなものか。

旧魔王達はこんなものか。

昔、俺を嵌めた奴も旧魔王の一人ではあるが、あれ以下だな。

 

迅速な対応くらいはしてほしいもんだ。

 

じゃ、さっさと殺ろうか。

 

こんな劇をいつまでも続けてたら観客が去ってしまうからね。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

「嫌だ、まだ死にたくない!まだ死ぬわけにはいけない、まだ私は誰にも示して──ガァッ」

 

「知ったことではないな。これが君の運命だったということだ。」

 

そう、俺に存在を知られなければこうはならなかった。

俺に敵対しなければこうはならなかった。

最初から、魔王に憎悪なんていう無駄な感情を燃やさなければこうはならなかった。

 

始めから間違えていたのだ、お前らは。

 

俺も間違えてるが、お前らはその極みだ。

 

だが、何れ俺も報いを受ける。

俺も死ぬことだろう。

 

だが、それは全て済ませた後だ。

俺は生きて、お前らは死ぬ。

理想を掲げても、達成できなければ意味はない。

ほら、現実はこれだ。

 

結局無意味だったな。

 

自虐も出来るなんて、変な人生を歩んでるなぁ俺。

 

「それで最後だ。どうする?今ここでやるか?」

 

「……それもいいな。

ここで事を済ませてしまおう。

何、自分達の拠点で自分達の魂が喰われるという体験をしたのは彼等が初だろう。」

 

そう言って俺は作業を始める。

前にやったように魂を綺麗にしていく。

エーテライトを使ったのも、久し振りかもしれない。

 

しかし、情報を捌く能力は今の方が上のようで次々と終わらせていく。

 

やはり、相当恨みがあるらしい。

何とも言いがたいが、こうなる覚悟もあった奴は居た筈だ。

それがたまたま、俺だっただけで。

 

「……では、始めよう。」

 

俺は、情報を綺麗さっぱりに無くした魂を喰らう。

 

喰らった瞬間、体がマグマのように熱くなる。

拒否反応ではない、単純に魂が強化されていってるのだ。

 

「ぐ、ぬぅ……!」

 

それでも、俺は残りの魂を吸収した。

苦しさが増し、立てなくなる。

教授が支えてくれたお陰で地面に倒れるという無様は晒さなかった。

 

「…無事か?」

 

「何とか、ね……これは、中々に、危険な方法だ……」

 

少しだが、体が自分の物で無くなるような感覚に陥った。

だが、自分を強く保つことにより、耐えた。

その感覚も薄れていき、次に来たのは力の向上だった。

 

狂ってしまいそうなほどの高揚感、優越感を感じる。

だが、それではない。

俺が真に求めた結果はそんなどうでもいいことではない。

 

「どうだ?」

 

「……うむ、やはり私が強くなるということはタタリもまた成長するということ。

それでいい、そうすることで私は私の望む舞台へと辿り着ける。」

 

「……私は貴様に従うのみだ。

他にやることはあるのか?」

 

「……ふむ、どうしたものか。

リアス君達の様子を見に行ってもいいが……」

 

…行くか。

敵になる存在の現状を知るのも必要だ。

 

「行くとしよう、私達が何れ相対する彼等の様子を見にね。」

 

「……ならまずは倒れかけの体を起こすことからだな。」

 

「…決め台詞を台無しにするとは、役者根性がなってないな。」

 

「生憎と台本通りに踊ってやるほど器用ではない。

元より私は獣だ、暴虐を尽くす方が似合っているだろう。」

 

「君は、自分の事をよく分かってるのだな。」

 

「創造主に言われるとは驚きだな。

私を造り上げたのは貴様だろう。」

 

「……そうだね。」

 

そうだ、俺はここでは終われない。

俺は、強くならなきゃいけないんだ。

 

それでようやく、悪になれる。

 

嗚呼、でも──

 

 

 

『─────────。』

 

 

 

 

─やっぱり、あの子の言葉が、思い出せない。

 

 

何か、なにか大切な言葉だった筈なのに。





2000を記念して、活動報告の方に新たに投稿しました。見てくれると嬉しいです。

これからズェピアはどうなるのか。
フリージアが生前ズェピアに言った言葉とは?
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