ズェピアが日記というのをつけていたので、我もつけることにした。
字の練習にもなるし、何よりこれを見て思い出せる。
我ながら素晴らしい名案だ。
ズェピアも褒めてくれるに違いない。
■月☆日
ズェピアが人間を拾ってきた。
お人好しなズェピアのことだ、放っておけなかったに違いない。
フリージアという名前らしい。
意味は確か、純潔とかだったはず。
いい名前だ。
…それにしても、フリージアの体は何処がとは言わないが大きい。
……我も変化すればあれぐらいなれるし。
我よりも色々なことを知っていたので教えてもらっていたら仲良くなれた。
これから家族になるんだから仲が深まるのは良いことだ。
でもズェピア、我が妹は酷いと思う。
絶対に見た目で判断した。
……むう。
○月△日
これは我の日記だから記すが、我はズェピアが好きだ。
何でかと問われたら、彼の優しさに惚れたのか、それともあの人間性に惚れたのか。
どちらにしろ、彼が我をそういった目で見ていないのは確かだ。
頑張って振り向かせて見せる。
フリージアにこっそりと聞いてみたのだが、完全に父としてしか見ていないそうで、でも父さんと呼ぶのは恥ずかしいそうな。
何だかホッコリした。
゜月ゞ日
彼がどんどんと強くなっていくのは嬉しいのだが、時折不安になる。
どこか遠くへいってしまうのではないかと。
けれど、今はこうして近くにいるのだから、杞憂だと振り払った。
どうか、家族の仲が裂かれませんように。
・
・
・
・月ω日
カオスが家族になって、何年何十年も年月が過ぎて、フリージアはもうすっかりと車椅子生活になってしまった。
我がもっぱら世話しているのだが、そうする度に「ごめんね」と言うのはやめてほしい。
我がやりたいからやっていることだから、感謝何てしなくていい。
我が、我が少しでも居たいだけだから。
もう、長くないから。
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・
×月×日
ショックから立ち直ってばかりだが、今日のを書かないと。
フリージアが死んでしまってからもう何年目だったか覚えていない。
もう会えないのは分かっているのにたまに呼ぶような声が聞こえてしまう。
少し、寂しい。
家族を失うのは、もう嫌だ。
特にズェピア、彼だけは……。
カオスにこの気持ちを相談したら落ち着いてもう一度考えろと言われた。
その通りにしたら、先程の自分が怖くなった。
細かく記載するのもおぞましい程に嫉妬深い自分を知ってしまった。
どうして、こんな……。
■月■日
怖い夢を見た。
ズェピアを殺してしまう夢だ。
起き上がってしばらく月を見ていた。
どうして、どうして……。
■月■日
ズェピアを見たら、何だか安心した。
不安が悪夢となっただけかもしれない。
そうだ、その筈だ。
そうでないと……
四肢をもいで、胸に腕を突っ込んで殺して永遠と愛を囁き続けるなんて……するわけないのに。
どうしてだろう。
……日に日に狂っていってる気がする。
何が、原因なの?
助けて、ズェピア。
■月■日
感情が爆発してズェピアに怒鳴ってしまった。
我が悪い。
ズェピアは変なところで鈍感だから、ストレス抱えてたのかも。
─ああ、でも(急いで消したような跡)
──!───!!
(読めないほどグチャグチャな字)
■月■日
怖いよ、怖いよ。
どうして、こんなおかしな事を考えてしまうのか。
我は、正常ではないのか?
ズェピアに恋をしているだけだ。
それが悪いことな訳がない。
やはり、この世界は我に害悪なのかもしれない……静寂な世界で家族皆で……。
そうじゃないと、壊れてしまう。
■月■日
今日のズェピアは隙だらけだった。
いつ頭を吹き飛ばすか考えた。
……ああ、おかしくなっていってる。
駄目だ、どうして?
─もしかして。
■月■日
ズェピアがフリージアの名前を呼んでいた。
無性に舌を引き千切りたくなった。
ダメ、その女はもう死んだのに。
約束なんて律儀に守らなくてもいいのに。
我が、我が代わりに。
我が同じように隣に寄り添い続けるから!
だから、その女の名前を、呼ばないで。
■月■日
何で。
■月■にち
どうして。
■が ■ ち
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな。
■ ■
今日は、計画始動日。どうでもいい。
あの世界、ズェピアの世界。
もしかして、それはズェピアの中なのでは?
ああ、そう考えたら……駄目だ、これは記載できない。
……でも、害虫が多い。
早く、死なないかな、消えないかな。
潰れて死ねばいいのに、燃えて死ねばいいのに、泣き叫びながら死ねばいいのに。
何で我とズェピアの世界にゴミがいるの?
おかしい、こんなのはおかしい。
ここが静寂な世界としたら、それはあってはならない
消さないと…
■ ■
もう自分を隠すのはやめよう。はっきりとわかった。
我はズェピアが好きで、それ以外はどうでもよくて、ズェピアはその有象無象共に影響されてきて、我はソレを守ろうとしているだけ。皆邪魔しようがしまいが殺す。ズェピアは…そうだ、拘束しよう。そしたら動けない。動けないって事はズェピアは逃げずに我の愛を受け入れてくれる。子が成せるかは分からないが、頑張る。
ズェピア、ズェピアぁ…えへ、えへへ……貴方が望むなら、
どうなるかわからない。でも、拒まなければ何度でも囁くから。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる!!どんなに世界が壊れても、貴方が壊れても、愛すから。
─だから。
だからどうか、逃げないで。
ただ、それだけだから。
拒まないで。
─────────────────────
「……ねぇ。ズェピアはドMじゃないよね?
なら、そろそろ受け入れてほしいんだけど。
このままだと死んじゃうよ?」
もう片方の腕を引き千切る。
「ギッ……ガッ、ぐっ……受け入れれば、どうなる……」
魔力の鎖で縛っているので、ろくに動けないズェピアは痛みに耐えながら聞いてきたので、優しく微笑んで答えることにした。
「全部、あげる。
何が欲しい?やっぱり、まずはこの体?
本当ならいつもの姿でヤりたいけど、ズェピアが望むなら、とっっっても嫌だけど我慢するよ。
あ、でもズェピアは劇が好きだもんね。
なら、あの戦ってる害虫共を殺して殺して殺しまくって全員の首をここに並べて鑑賞会でもどう?
劇も見れて邪魔者も殺せて思い出作れて一石二鳥どころか一石三鳥。」
痛めつけてしまったが、勘違いしないでほしい。
さっさと受け入れてほしいだけだ。
「ズェピア、どうしたの?」
「……私が、君を追い詰めすぎた。
私が、君を見ていなかった。
すまない、本当に…」
「…大丈夫、これからでも
「オーフィス……?」
「うん、だから、要らないからやっぱり殺そう?
さっきから煩いから。
周りが煩いと、ズェピアも興奮しないよね。
これから夫婦になれるのに、本当空気読まない連中……。」
「っ……やめろ!」
強い制止の言葉に苛立つが、それがズェピアの望みならとやめておくことにした。
「これ以上見たって面白くないよ。
大体、こんな有象無象共の戯れを見て何がいいの?
そんな事より貴方に本を読んでもらう方がよっぽど有意義。
貴方の膝元に座って、読んでもらって……それだけでよかったのに。
でも、振り向いてくれない。
娘としてしか見てくれない。
なら、こうするしかなかった。」
「だが、君は……」
「そう、でも、ここでいい。」
「ここで……?」
「悪魔共も、魔王達も、グレートレッドも…何もかもどうでもいい。
もう
ここは悲しみを感じなくて済むの、もう無理しなくていいの。
……だから、あのゴミ共を殺して、最後にしよう。
約束なんて、
「──!」
語りかけるように、囁くようにもうやめようと告げる。
だって、無理をしてるのは分かる、分かるから、止めてあげなきゃ。
「君は、私に約束を捨てろと?」
「捨てたくないの?」
「無論、死んでも。」
「……どうして?
どうして、フリージアなの?
何が違うの?
今の家族よりも、過去の死んだ女一人がそんなに大切?」
「そうではない。
だが……また会うと、約束した。
約束は果たさなければならない。」
─理解した。してしまった。ズェピアを縛っているのは約束で、そのせいで全てを削って生きているのだと。そして、それが
どこまでも、目障りな女だ。
まさか、気付いていないとでも思っているのか。
すぐそこに居るのは分かってる。
やはり、魂を残すことなく殺すべきか。
そうすれば解放される。
あまりにも辛い生から、解放される。
ズェピアを救わなきゃ。
「……ねぇ、気付いてる?」
「…何に?」
「そう、ならいい。
……あのシオンとかいう女、今から殺してあげる。
そうすれば貴方を縛る鎖は無くなる。
そうすれば……今度こそ、
「どうして、私にそこまで執着する。
私では、君の愛に応えられない…私はどうあっても君の親にしかなれない。」
「親として、娘の愛には応えるのね。
なら、それでいいよ。そうじゃないといけないなら、許容する。
だから……面倒が起きる前にアレを殺させてね。」
「君には何が見えているのだ!」
必死にやめろと伝えるズェピアは、普段とは違ってそれこそ一般人の泣き叫ぶそれに似ていた。
……本能的になのか、それとも本当はわかってるのか。
まあ、どうでもいいか。
「じゃあ、ズェピア。
そこで待っててね。
……まあ、来てもいいけど、その時はもう、動けなくしてから全部済ませるから。」
「─オーフィス!」
ああ、楽しみだ。
腕、美味しいなぁ……。
ちなみに、もうオーフィスちゃんの目は常にハイライトが無いです。
次回、混沌─決戦 後編─となりますが……
どうなりますことやら。