島村さんならどんな捻くれ者も浄化できる。   作:バナハロ

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主人公が変わるのは種死だけではない。
花を咲かすにはまず種を植えよう。


 私は取材が終わって家に帰ってから、早速皐月くんへの告白の練習を始めた。

 まずは文を考えないとね。だけど、私は男の子に告白するのなんて初めてだ。なんて言えば良いのかなんて分からない。

 なので、ここはググってみることにした。パソコンは持っていないので、スマホで「告白 練習」と検索してみた。

 トップに「告白予○演習」が出て来た。アニメーション、かな?もしかして、告白の練習をアニメにしてあるとか?だとしたら最初の一つ目で出て来てくれたってことになる。

 まさに私の望む動画だったため、早速ようつべで見てみた。

 

 〜視聴中〜

 

 ……お、おお〜……。上手く行ったんだ……。これが甘酸っぱいって感覚なんだね。凛ちゃんののろけ話聞いてる時と同じ感覚だよ……。

 えっと、これはハニワっていうんだ……。他の動画も無いかなー。

 ……えっと、ヤキモチ○答え?これも見てみよう。というか、ハニワの曲って多いんだなぁ。私もこんな曲を歌えるようになりたい……。

 今度、プロデューサーさんにお願いしてみようかな……。でも、ちょっと恥ずかしいかも……。

 とりあえず、ハニワの曲でようつべで見れるものは全部見て回ってると、スマホがピロンと鳴り出した。スマホの画面には「鷺沢文香」の文字があった。

 

 鷺沢文香『告白の準備は整いましたか?』

 

 ……あっ、そうだった。私、告白するために調べ物してたんだった。とりあえず、ハニワについては後で調べよう。

 

 島村卯月『いえ、まだです……』

 島村卯月『告白の文を考えているうちに、ハニワにハマってしまって……』

 鷺沢文香『ハニワ!』

 

 え?なんかすごい反応してきた……。

 

 鷺沢文香『私も大好きなんですよ!特に告白予○演習。あの頭にお団子ついてる方がとても可愛らしくて……恥ずかしくてつい「告白予行演習」なんたらウソついちゃうあたりがもうほんと胸がキュンキュンしちゃいますよね。相手の男の子も告白されて少なからず驚いたでしょうに、微笑みながら「こちらこそ」ってスッと答えてる辺り、とても男らしくて素敵な方だと思います。私の千秋くんにもそれくらい男気があれば良いのですが……まぁ、あれはあれで可愛いんですけどね』

 島村卯月『分かります。皐月くんもすぐに顔を赤くする所あるんですけど、基本的にそこが可愛いんですよね。男らしくない男の子もそういう愛らしさがあるというか……たまに思うんです。皐月くんを膝の上に乗せてみたいなって』

 

 長文で来たので、長文で返してみた。まぁ、そんなことはできっこないんだけどね。せめて、恋人にならないと無理だと思う。

 

 鷺沢文香『まぁ、やりたいことは恋人になってからやりますけどね』

 島村卯月『そうですね。私もそうします』

 鷺沢文香『それなら、ちゃんと告白の準備はしておきましょうね』

 島村卯月『……は、はい』

 

 そうだった……。そういえば、文香さんはどうするつもりなんだろう。

 

 島村卯月『文香さんはどうやって告白するんですか?』

 

 すると、返事が途絶えた。あれ、なんかまずいこと聞いちゃったかな……。

 しばらく待ってると返事が来た。

 

 鷺沢文香『えっと』

 鷺沢文香『明日朝起きたら俺たちが恋人同士の関係になっていたとしたら面白いと思わないか?』

 鷺沢文香『とか、ですね』

 島村卯月『えっ、それを文香さんが言ったんですか?』

 鷺沢文香『はい』

 島村卯月『俺って?思わないかって?』

 鷺沢文香『はい』

 島村卯月『カッコ良いですね!堂々としていて!』

 鷺沢文香『……はい』

 

 あれ、何故か三点リーダ入れてきたな。まぁ、文香さんみたいな人は嘘ついたりしないだろうし、気にしないようにしよう。

 

 鷺沢文香『告白に関しては、他の方を参考にすることなんて出来ません。卯月さんが伝えたい事をその方に伝えた方が良いと思いますよ』

 

 なるほど……伝えたい事、か。

 ……待てよ?文香さんはあの告白で何を伝えたかったんだろう。もしかして、彼氏さんに男らしくしてもらうために男前な告白をしたのかな。

 

 島村卯月『分かりました。考えてみますね!』

 鷺沢文香『はい。頑張って下さい』

 

 よし、とりあえず告白の言葉を考えよう。

 

 鷺沢文香『ところで』

 

 なんだろう。まだ何かあるのかな。

 

 鷺沢文香『告白の言葉をどんなに考えても断られたら意味ないのですが、その辺りは大丈夫なんですか?』

 

 私の目の前が真っ暗になるのが分かった。

 

 ×××

 

 気が付けば、私はスタバで奈緒ちゃんと合流して、事情を説明していた。

 本当は文香さんに相談しようと思っていたけど、今日は本屋のバイトというので、次にからかわれなさそうな奈緒ちゃんに相談した。どちらかと言うと、からかわれる側の子だし。

 

「……で、あたしの所に来たと」

「は、はい……」

 

 困ったようにため息をつく奈緒ちゃんだった。すみません、面倒な質問をしてしまって。

 

「……なぁ、一言いいか?」

「なんですか?」

「卯月って、そんなポンコツだったか?」

「ポンコツ(裏声)⁉︎」

 

 い、言うにことかいてポンコツ⁉︎いくらなんでも酷い!そ、そりゃ自分でもアレだと思ったけど……。

 

「……とりあえず、古川のことが好きなんだな?」

「……はい」

「ったく、この事務所はどいつもこいつも彼氏作って……!」

 

 ……すみません。凛ちゃんも文香さんも……。特に、凛ちゃんの相談にも奈緒ちゃんは乗ってたよね……。

 

「それで、奈緒ちゃん。私はどうしたら……」

「卯月は何もしなくて良い」

「……えっ?」

 

 質問するとよく分からない答えを即答して来た。

 

「どういうこと?」

「卯月の武器はな、笑顔だ」

「……へっ?」

「卯月は誰にでも笑顔を振りまいて、常に明るく元気で他人を勇気付けたり元気づけたりすることが出来る。それが卯月の良い所であり、男に……いや、女にもモテる理由だ」

「そ、そうなのかな……?」

 

 イマイチ、釈然としないんだけど……。

 

「つまり、卯月は何もしない方が良い。むしろ、もう古川は卯月に惚れてる可能性もある」

「えっ⁉︎そ、そうかな……?」

「まぁ、何にしても下手に男の気を引こうとすると逆効果になることもある。卯月は今のままでいた方が良い。そのうち、向こうから告白してくる可能性だってあるからな」

「さ、さちゅきくんから⁉︎」

 

 さっ、皐月くんの方から……告白をされるなんて……⁉︎

 

『明日朝起きたら俺たちが恋人同士の関係になっていたとしたら面白いと思わないか?(皐月ボイス)』

 

 っ、す、すごい破壊力……!絶対言わなさそうだけど。

 

「……〜〜〜ッ‼︎」

「卯月、想像力豊かなのは結構だが、なるべく顔に出さない方が良いぞ」

 

 奈緒ちゃんにツッコまれて、さらに顔が熱くなった。最近、頬が紅潮する事が多くなってる気がする……。

 

「うう〜……最近、恥ずかしい思いしてばかりだよぅ……」

「ま、まぁまぁ。凛だって同じように恥ずかしい思いしながら自分の気持ちに気付いたんだし……」

 

 それを言われたらそうかもしれないけど……。それにしても、ありのままの私で良い、か。

 でも、なんていうか、微妙にそれで良いのか不安な気もするなぁ。奈緒ちゃんの言葉を疑うわけじゃないけど、私にそんな魅力があるとは思えないし……。

 そんな私の考えを読み取ったように奈緒ちゃんは腕を組みながら言った。

 

「まぁ、疑う気持ちも分かる。自分の素が男ウケ良いなんて言われてもピンと来ないよな」

「……は、はい……」

「けど、卯月は今まで素で古川に接して来てたよな」

「うん」

「それを今更態度を変えても、古川みたいなタイプには逆効果だと思うんだ。急に疑われると思う」

 

 なるほど……。凛ちゃんみたいに意地悪ばかりしてる子が男の子に素直になったら……いや、凛ちゃんの相手の男の子なら鈍感だから「あ、優しくなった!」って喜びそうだな。

 でも、皐月くんは若干、頭良いからそういうのは敏感そうだ。

 

「……わかった。今まで通り接してみるね」

「困った事があったらあたしに言いなよ。それと、文香さんにもな」

「はい!頑張りますね!」

「ああ」

 

 そんな話をしてる時だ。私のスマホがヴーッと震えた。見ると、皐月くんからだった。

 

「あ、ちょうど皐月くんからですよ!」

「お、おう。嬉しそうだな」

 

 そりゃ嬉しいですよ。好きな男の子からのメールですから。内容はともかく、着信しただけで嬉しくなってしまう。

 何というか、皐月くんの事が好きと自覚しただけでなんかすごく気持ち良い。変な開放感がある気がする。

 

「返信するときは、なるべくいつも通りになー」

 

 奈緒ちゃんからのキャラメル○ラペチーノを飲みながらのアドバイスを聞きながら、メッセージを開いた。

 

 古川皐月『どうも』

 古川皐月『次の日曜?』

 

 え、えっと……いつも通りに、いつも通りに……。

 

 島村卯月『はい、暇な時間ですのでこれから30時間くらい暇ですよ』

 

「おい待て卯月」

 

 奈緒ちゃんからツッコミが来た。

 

「いつも通りにだよ。なんだその文、日本語すら危ういぞ」

「えっ、そ、そうなの……?」

「普段の卯月のL○NE知らないけど、そんな文は打たないだろ」

「そ、そっか……。えっと……いつも通りに……」

 

 そうだよね。文変だよね……。送信する前に消して打ち直した。

 こういうL○NEが来た時の返信……。いつも、いつも……。

 

 島村卯月『皐月くんが暇だと言うなら、例えどんな時でも暇だよ』

 

「だからな!いきなり服従宣言してどうすんだよ!」

 

 またまた奈緒ちゃんのツッコミで止められてしまった。

 あ、あれ?ていうか、こう……なんだろう。いつも通り、いつも通り……。

 

「な、奈緒ちゃん……。私のいつも通りってなんだっけ……?」

「そんなのあたしが知るか!」

「き、既読つけちゃったし、早く返信しないと……!」

「ま、待て落ち着け!慌てて文を送ると……!」

 

 奈緒ちゃんの制止を聞き終える前に文を送ってしまった。

 

 島村卯月『明日朝起きたら俺たちが恋人同士の関係になっていたとしたら面白いと思わないか?』

 

 やっちゃった……!お、送っちゃった!

 

「なんでCLANNADだ⁉︎」

「く、CLANNAD⁉︎違うよ!文香さんだよ!」

「文香さん⁉︎あの人何言って……!」

 

 はっ、はわわわ……!ど、どどどどうしよう……!

 なんて慌ててると、返信がきた。

 

 古川皐月『L○NEの相手間違えてない?』

 古川皐月『古川だぞ俺』

 

「………」

「………」

 

 冷静に切り返された。よ、よし、何とか持ち直した……。

 

 島村卯月『う、うん。ごめんね』

 島村卯月『暇だよ』

 古川皐月『次の日曜日暇?』

 古川皐月『いや、全然デートとかナンパとかそんなんじゃなくて、普通に暇かなって思って?別にほんと深い意味は無いけど、強いて言うなら、いやほんとに強いて言うならだけど、なんかプールのオーナーに「お手伝いありがと」とか言ってデ○ズニーのチケットもらったから、他に誘う人いないし一緒にどうかなと思って。いやホント下心なく』

 

 すごい長文が送られてきた。ほんの10秒の間に。最近の学生は文字打つの早いのかな……。

 ていうか、何の言い訳だから分からないけど言い訳まみれなのはどういうわけなんだろう……。

 隣で奈緒ちゃんが「お前らもさっさとくっ付けバーカ」とか言ってるのを無視して返信した。

 

 島村卯月『うん、暇だよ』

 古川皐月『じゃあ……その、何?10時に駅前で』

 島村卯月『分かった』

 

 そこまで返事をした所で、私は奈緒ちゃんを涙目で見た。

 

「……服装選び、手伝って……」

「……助けを求めるの早いな……」

 

 

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