島村さんならどんな捻くれ者も浄化できる。   作:バナハロ

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ジェットコースターは連続で乗るものじゃない。

 デ○ズニー内の探索を始めた。まず乗るのは大きい絶叫系が良いと思ったので、ス○ラッシュマウンテンに来た。

 キャーと絶叫しながら水の中に落ちるアトラクションを眺めながら、ス○ラッシュマウンテンの列に並んでると、困惑した様子で皐月くんは聞いて来た。

 

「……今からあれに乗んの?」

「そうだよ?」

 

 えっ、なんだろう。なんか嫌だったかな。あ、もしかして。

 

「……絶叫系とかダメなの?」

「や、乗ったことないから不安なだけ。昔から遊園地より水族館とか動物園のが好きだったから、子供の頃も親と行ったのはそっちばかりだったんだよ」

「へぇ〜……」

 

 そっか、遊園地より動物園か。良い事を聞いた。次からはそっちに行こう。

 

「動物好きなんだね」

「人よりよっぽど素直で優しいからな……。良くも悪くも平等だし」

「……あ、あはは……」

 

 ……空気重くしちゃったなー。コンビニでアルバイトしてるからか、人の悪意には敏感なのかもしれない。

 

「ま、まぁでもほら!親しい人とか出来たら、人へのイメージも変わるかもしれないし!」

「……親しくない友達も出来ないのにそんな事が可能なのか?」

「そ、それは分からないよ!これから友達以外にも出来るかもしれないよ!」

「友達以外の親しい人って何」

「それはー……ほら、彼女とか。そ、それに皐月くん、自分で言うほど一人じゃないよ!」

「それは学校での俺の様子を知らないからでしょ」

「そんな事ないよ。今だってデ○ズニーに女の子とお揃いのカチューシャをつけて二人きりでいるって時点で、周りから見たら明らかにカップルだから!だから自信持って!」

「……お、おう……」

「……?」

 

 あれ、なんだろ。急に顔を赤くしたな……。私、今変なこと言ったかな?

 冷静に自分の言った言葉を解析してみた。

 

『そんな事ないよ。今だってデ○ズニーに女の子とお揃いのカチューシャをつけて二人きりでいるって時点で、周りから見たら明らかにカップルだから!だから自信持って!』

 

 ……どう考えても恥ずかしい事を言っていた。

 

「……〜〜〜ッ!」

 

 自分でも恥ずかしくなり、カァッと頬を赤く染めた。その場で俯いていると、皐月くんが頬を赤く染めながらポツリポツリと歯切れ悪く言った。

 

「……まぁ、その、何?気持ちは伝わったから……」

「えっ……?そ、それって……!」

「恋人じゃなくて友達だけど、親しい人は一人はいるから……」

「………」

 

 ……怒れば良いのか喜べば良いのか分からないんだけど。でも、モヤモヤするので多分、怒ってるんだろう。

 不機嫌を隠さずに頬を膨らませてる私に気付いたのか、皐月くんが慌てるように聞いて来た。

 

「……え、なんで怒ってんの?」

「知らないっ」

「え、今なんか悪い事言った?」

「知らないっ」

 

 ……皐月くんも凛ちゃんの恋人さんと同じタイプなんだね。かなりイライラして自分からガツガツいこうって決めた凛ちゃんの気持ちがよくわかった。

 でも、私にガツガツいく勇気はない。だって恥ずかしいもん。だから、イラっとしても我慢して徐々に好意を伝える事にした。

 そう決めて、皐月くんの腕にしがみついてる力を強くした。

 

「……罰として、今日は1日このままだからね」

「えっ……や、これからあれ乗るのに?」

「……屁理屈言わないっ」

「はいっ」

 

 胸が腕に当たってて、なんだか唯ちゃんとか美嘉ちゃんみたいで恥ずかしいけど、これも皐月くんを堕とすためだ。あ、美嘉ちゃんは口だけで実行しないって莉嘉ちゃんが言ってたっけ……。

 しばらく並んでると、列は進んでようやく室内へ。このス○ラッシュマウンテンの独特な雰囲気が好きだ。並んでるだけでワクワクして来る。

 

「……ほえー。結構作り込んでんのな」

 

 私と違って全く緊張していない皐月くんが辺りを物珍しそうにキョロキョロ見回しながら呟いた。

 

「そうなの?」

「いや、こういうの作るんならホワイトベースの内部構造を再現したものも作れるんじゃねーのって思って」

「あ、あー……そういうこと」

「一度でいいからジャブローを作って欲しいぜ……」

「じ、地味じゃないかな……。基本的に建物ばかりだし」

「いやいや、ジムが並んでるとことか盛り上がるでしょ」

「……あ、確かにっ。あと、考えてみたらガンペリーとかファンファンとかもいるからねっ」

「そうそう。岩の間に体育座りしてるアッガイとか置いてな」

「あ、いいねそれ!じゃあ、アトラクションの内容は大量の爆弾を乗せた車を走らせるって奴だね」

「アレンジして、ガンダムとシャアズゴの足元走ったりとかすれば盛り上がりそうだな」

「じゃあガンキャノンがズゴックを吹っ飛ばす所も!」

「いいね。やっぱホワイトベースのパイロット達の活躍は欲しいよな」

 

 やっぱりこう言う想像は楽しい。まあ、多分一生出ないのは分かってるけど。

 そんな話をしてるうちに、私達が乗る番になった。座席に座り、しっかりと固定された。皐月くんの腕から離れる羽目になってしまったけど、手だけは繋いでおいた。

 

「……始まったね」

「今更だけどさ、これどんな乗り物なの?」

「乗ればわかるよ」

「……そ、そうなん?」

 

 ガタン、と動き始めた。

 かなりのスローテンポで動く乗り物。序盤はこれ遅いからねー。やがて登り坂に入った。

 

「うおっ、急だなオイ……」

「あははっ、新鮮な反応してこれ乗る人初めて見ました」

 

 大体、高校生になってデ○ズニーに来たことがない人とデ○ズニーに来たことはない。というか、私自身、デ○ズニーなんて一年振りくらいだ。

 すると、皐月くんは若干不貞腐れたように呟いた。

 

「……悪かったな」

「あっ、ご、ごめんね……。そういうつもりで言ったんじゃないよ!」

「だろうな」

「えっ?……あっ、も、もうっ……!そんなこと言って、怖くて泣いちゃっても慰めてあげないからねっ」

 

 ……たまに意地悪な事言うんだから……!

 そうこうしてるうちにコースはピークまで来た。ふと下を見ると、水の中に真っしぐらのレールが見えた。

 ……あれ?これ、こんなに怖かったっけ……?そう思った直後、ふわっと体が浮き上がったかと思ったら、一気に急降下した。

 

「「「きゃああああああああああ‼︎」」」

「うおー」

 

 乗ってるお客さんと私の悲鳴が重なる中、横から呑気な悲鳴が聞こえ、何だか色々と頭の中がグチャグチャになる中、ザブンッと水の中に突入した。

 思いっきり水が溢れ返って来て、頭からザブンッと水をかぶった。今日の私の服装は簡単に言えば白とピンクのワンピースだ。

 つまり、水を被ると洋服は透けてしまう。私の服は透けて下着姿が見えてることは目視するまでもなく分かった。

 

「うおー、割とあれな。飛び降り自殺感出てて面白いなこれ」

 

 呑気な声で皐月くんは感想を言ったが、頭に入って来なかった。安全バーが外れたら下着が見えてしまう。それだけが頭に残っていた。

 ボンヤリしてるうちにアトラクションが終わり、私と皐月くんは降りた。ていうか、皐月くんなんで全然濡れてないの?隣だったよね?

 

「いやー面白かったな。もっかい乗……あっ」

 

 私の透けてる私服に気付いたのか、頬を赤らめて目を逸らす皐月くん。こうなることは予測できた、けどやはり男の子に下着を見られるのは恥ずかしい……。

 私も頬を赤らめながら、両手で自分の身体を隠してると、フワッと上半身に何か掛けられるのが分かった。自分の着てる半袖の上着を脱いで私に羽織ってくれた。

 

「っ、あ、ありがと……」

「島村さんの下着を周りの奴に見せるわけにはいかないからな」

「ーっ……う、うん……」

 

 それは、どういう意味なんだろう。私以外に見せたくないってことかな?いや、多分皐月くんのことだしどうせ……。

 

「……一応、アイドルなんだし」

「……言うと思った」

 

 絶対そんな事だろうと思った。自分のことより他人のことを優先する性格が好きになったとはいえ、少しは「他の男に見せたくない」とか言って欲しい。

 少し不満な事を思ってると、隣からも悔しそうな声が聞こえた。

 

「………畜生……」

「……? 何が?」

「何でもない」

 

 何か悔しいことでもあっ……あ、もしかして上着貸さなきゃ俺も下着見れたのに、的な事かな?……って、皐月くんに限ってそんな事思わないよね。反省。

 ……にしても、この上着良い香りするなぁ。こう、なんだろう。皐月くんの匂い?いや、男の子の匂いかな?なんというか……羽織ってるだけで身体がポカポカしてくる。

 ……って、本人の前で匂いなんて嗅いでたらダメだよ。気を取り直して、次の乗り物に行こう。

 

「次、何乗ろっか」

「その前に、タオル買いに行こう。卯月、また風邪引くよ」

「……あ、それなら大丈夫。ハンカチ持ってるから」

「なら、早く拭きなよ。待ってるから」

「うん。ごめんね」

「いいって」

 

 まずは体を拭いた。そっか、前に風邪引いたことあったからそれで皐月くん心配してくれてるんだ。やっぱり優しいなぁ、皐月くんは。

 身体を拭き終えて、次のアトラクションに向かった。次に乗るのはス○ースマウンテン。結構速くて怖い奴なんだけど、ス○ラッシュマウンテンを乗ってケロリとしてる皐月くんなら問題ないだろう。

 これもまた並ばなきゃ乗れないため、しばらく並んでると、皐月くんの方から声をかけてくれた。

 

「最近さ」

「はい?」

「地元のプールでバイトしてたじゃん?」

「はい。あの大型のですよね」

「そう。あのプールのバイトしてて思ったんだよ。女の人は胸じゃないって」

「……んっ?」

 

 急に何を言い出すんだろこの人。

 

「監視員の仕事しながら学生を見てると、大体問題起こす女って露出の多い水着着てる巨乳ばかりなんだよね。だから、やはり性格と身体は関係ないんだなって思ったわ。小さ過ぎても大き過ぎてもダメ。要は平均が……」

「……皐月くんさ、テンパってる?」

「………」

 

 口数多いし、唐突に始まった話だし、私が恥ずかしい思いした直後だったし。

 図星のようで、皐月くんはおとなしくなって小声で謝った。

 

「………ごめん」

「ううん。なんか私もごめん……」

 

 ……冷静に対処してくれたと思ったら、皐月くんもテンパってたんだね……。なんだか私の身体に反応してくれたみたいで少し嬉しいのは内緒にしておこう。

 今の皐月くんは冷静ではないみたいなので、私の方から話題を振ることにした。

 

「そういえば、これから乗るのはス○ースマウンテンって言うんだけど、かなり速いんだよ」

「そうなん?」

「うん。デ○ズニーのアトラクションの中で4番目に早いんだから」

「へー。デ○ズニーって海の方も含めて?」

「うん」

「それはすごいな」

「まぁ、ス○ラッシュマウンテンの方が速いんだけどね」

「あー、なら楽勝だな」

「そうかもねー」

 

 私もこれに乗るのは初めてだけど、凛ちゃんや未央ちゃんが言うにはそんなに怖くないらしいし。

 そんな話をしてるうちに、私達の番になった。

 

「じゃ、乗ろっか」

「おー。終わったら昼飯だな」

「そうだね」

 

 この後、二人揃って泣かされて食欲が無くなり、お昼は食べれなかった。

 

 

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