デート・ア・ライブ 士道ウィザード   作:みたらし団子が好き

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いやーすみません、一日遅れてしまいました。
過去最大の文字数だから許して。

今回はガチガチの戦闘回です。

やっぱり戦闘描写は執筆するのが難しいです。
まあ自分の力不足なんですけど。


世界最強の魔術師……ん?

その空間はとても不自然だ。

 

壁は頑丈そうに出来ており、何より広さが桁違いだった。

床から天井までの高さは、軽く見積もっても10mを優に超えるだろう。

その天井には等間隔で蛍光灯が設置されている。

部屋の奥行きも、桁違いだ。

まるで巨大な箱の中に居る様な、そんな不思議な感覚を覚えさせる。

 

そのだだっ広い空間にポツンと人影が二つある。

そのうちの一人、エレン・メイザースは白い着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)と白銀のCR-ユニット、〈ペンドラゴン〉を装備している。

手には巨大なレイザーブレイド〈カレドヴルフ〉を持ち、前に居る人物に敵意を向けている。

 

そして相対するは、最近あまり眠れなくて目の下に少しだけ隈が出来てしまった士道。

だがその隈はヘルメットで隠され、エレンからは確認できない。

因みに最近眠れないのは何故かと言うと、二亜の影響により深夜アニメを見出したからである。

つまり自業自得だ。

 

士道もエレンと同じく着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)とCR-ユニットを装備しており、手には右手に〈デストロイヤー〉、左手に〈ノーペイン〉を持っている。

 

だが士道の着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)とCR-ユニットはどちらとも黒を基調に青く光るラインが入っている。

これは士道が技術部に頼んでカラーリングを変えたものだ。

ラインが青く光るのは……まあ男の浪漫と言う奴だ。

 

因みにこれは標準装備の色を変えただけで別に性能が上がっているとかそんな事はない。

言ってしまえば士道の道楽だ。

 

その二人、世界最強の魔術師(後でポンコツと分かる)と精霊の捕獲に成功した魔術師(ウィザード)の新星(厨二病予備軍)はその巨大な空間、地下の模擬戦専用の区画で睨みあっていた。

 

「ではシドウさん。精霊を捕獲したその実力、試させていただきます」

 

そう言うとエレンが動き出した。

スラスターで加速し一瞬で士道の目の前まで距離を縮めて、レイザーブレイドを振り下ろす。

 

「うおッ」

 

士道は二本のレイザーブレイドを重ね、エレンの攻撃を受け止める。

レイザーブレイドで鍔迫り合っている間、エレンは何の防御もない状態になる。

その状態を士道は見逃さずに蹴りをエレンの腹に入れる。

だがエレンは瞬時にレイザーブレイドを戻し、蹴りを防御する。

 

エレンが防御に回ると士道はすかさずレイザーブレイドを振るい、エレンに攻撃を浴びせる。

二刀流という事もあって士道は一瞬で複数もの斬撃を繰り出す。

地上で行う普段の模擬戦なら、相手はこの連撃に耐えられず、直ぐに音を上げてしまう。

 

だが今回の相手は『悠久のメイザース』と呼ばれている、名実ともに世界最強の魔術師だ。

エレンはその攻撃を的確に捌いていく。

それどころか負けじと士道に攻撃を放ってくる。

 

少しの間、ガガガガガッ、とレイザーブレイドを激しく打ち合う音が広い空間に響き渡る。

だがそれは長く続かなかった。

 

残像が見える程の速度で剣撃を繰り出していた士道だがエレンから離れ、一旦距離をとり、ついさっきまでの睨み合う状況に戻った。

 

すると士道の腕からは傷が幾つもついており、血が流れていた。

戦闘に支障をきたす程の傷ではないがそれでも負傷した事に変わりはない。

それに対し、エレンは無傷だった。

それどころか息一つ切れていない。

これはエレンが士道の力量を上回っている事を意味している。

 

「……まさかここまでとは思いませんでした」

「んあ?」

 

エレンは構えを解くと、突然話し始めた。

 

「想像以上の実力ですよ。如何やら私は貴方を過小評価していたようです。それでこそ、わざわざ来てまでスカウトしに来た甲斐があります」

「……そりゃありがたい言葉だなッ!」

 

士道は言葉を無理やり切ると、静止状態から一瞬で加速する。

速度に全神経を注いだ士道の今の速さは常人には消えた様にしか見えないだろう。

例え、世界最強の魔術師たるエレンでも姿を見失った。

すると、

 

「……ぐ!?」

 

エレンの真横から士道の攻撃が繰り出された。

エレンは直前に随意領域(テリトリー)を展開したため大した傷は負わなかったが衝撃まで防ぐ事は出来なかった。

途轍もない速度から繰り出された攻撃の衝撃は凄まじく、それによりエレンの体が斜め上の空中に吹き飛ばされる。

 

すると士道は投げナイフを三本取り出し、空中に漂っているエレンに投げる。

実用性は無いのに『かっこいいから』と言う理由で無駄に極められた、士道の投擲技術によって投げられたナイフは三本とも弧のような軌道を描き、尚且つ弾丸の様な速度でエレンに向かっていく。

 

ナイフはただ真っ直ぐ向かってくる訳ではない。

平時の状態でも回避は困難を極めるだろう。

そのうえエレンは空中に漂っている為、避ける手段すらない……と思ったら大間違いだ。

 

ナイフが当たる直前、エレンの体が上に上がったのだ。

そう、相手は魔術師(ウィザード)だ。

こんな小細工が通用する相手ではない。

随意領域(テリトリー)があれば空を自由に飛び回る事も可能だ。

 

まあ普通の魔術師(ウィザード)は反応が間に合わず、当たってもおかしくないが今回の相手は別格だ。

間違いなく、いままで戦ってきたどんな相手よりも強いだろう。

 

エレンが空に浮かんだ事で、士道が見下ろされる様な立ち位置になる。

少しばかり足を止め、ふたたび両者は睨みあった。

 

士道は目を伏せて呼吸を整える。

少しすると目を見開いた。

CR-ユニットを使ってエレンと同じく宙に浮き、ふたたび加速し始める。

 

それに倣ってエレンもスラスターを駆動させ動き始めた。

広い空間を余すことなく使い、縦横無尽に駆け巡る。

 

そこから先は音速の戦いだった。

巨大な訓練場を文字通り音速の速さで飛び交い、相手を攻撃する。

至る所から金属音が聞こえ、火花が散る。

 

そこらの魔術師(ウィザード)がこの戦いを見ても速すぎて追いきれず、状況もわからず、どっちが勝っているのかもわからないだろう。

 

そんな人間でありながら人知を超えた戦いを繰り広げる二人だが、それでも人間である事に変わりはない。

いつか戦いは終わるだろう。

すると、

 

「!」

 

エレンの動きが少しずつ遅くなっていく。

これはスタミナ切れだ。

(素の運動能力がゴミすぎる)エレンの体力は士道よりも少ない為、途轍もない速さで飛び続けた結果、徐々に押され始めているのだ。

その変化に気付いた士道は更に攻撃を激化させていく。

そして、

 

「なッ!?」

 

エレンがついに士道の攻撃を捌き切れなくなり、エレンの肩を士道のレイザーブレイドが

掠った。

擦り傷レベルの負傷だが、隙を作るには十分だった。

エレンは傷つけられた事によって動揺し、それによって空中で完全に止まってしまう。

士道はその隙を見逃さずエレンを蹴った。

 

「うあッ!」

 

先程とは違い、その蹴りはエレンの胸にクリーンヒットし、エレンは床に叩き落されてしまう。

士道は地面に倒れているエレンを更に追撃すべく〈ノーペイン〉を放り捨てて〈デストロイヤー〉を両手で持ち、仰向けになっているエレンに振り下ろす。

 

ガキィン

 

この戦いの中で一番大きい金属音が聞こえる。

エレンは士道の攻撃を〈カレドヴルフ〉の柄と切先を持ち、刀身で防御する。

だが士道の膂力に押し潰されそうになる。

 

「ぐ、うう」

 

士道のレイザーブレイドの切先がエレンの顔の目の前にまで迫るが力を振り絞り、こらえる。

 

「さあどうする。降参するか?」

「……降……参?」

 

今の状況、どう考えても士道の方が有利だ。

魔術師(ウィザード)としての技量はエレンが上だが、こういう単純な力比べでは士道に軍配が上がる。

士道があと少し力を入れれば勝負は決するだろう。

 

だがエレンはまだ勝つことを諦めてはいなかった。

それは世界最強の魔術師のプライドと言ってもいいだろう。

 

「この私が降参など……する訳がないでしょうッ!」

「うおッ!」

 

エレンは〈カレドヴルフ〉の切先を掴んでいる方の腕の力を緩め、横に抜け出す。

目標を失った〈デストロイヤー〉は、今までエレンが横たわっていた床に士道の膂力とともに突き刺さる。

すると今度はエレンが士道を蹴り飛ばした。

 

「ぐおッ」

 

エレンの足の甲で腹を蹴り飛ばされた士道は訓練室をゴロゴロと転がる。

だが士道は瞬時に受け身を取り、エレンに隙など与えない程の速さで体勢を整え、すぐさまスラスターを駆動し、空に浮かぶ。

だがそれは意味をなさなかった。

 

「ッ!」

 

士道は今まで感じたことがないほどの膨大な魔力を察知した。

エレンのCR-ユニットが可変し、脇の下から魔力砲が姿を覗かせる。

その魔力砲は、士道の居る上空に向けられている。

 

「まさかこれを使う事になるとは思いませんでした」

 

魔力砲に膨大な魔力が収束し、砲口が光り輝いていく。

 

「マズいっ、逃げ」

「精々死なないように、貫け〈ロンゴミアント〉」

 

その魔力砲から膨大な光の奔流が放たれる。

放たれた光の槍はその方向にある物体をすべて消し飛ばしていく。

 

「うおおおお!?」

 

その最大威力の一撃が士道に迫る。

士道は光に呑み込まれ、焦りの声とともにその姿を消していった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

地下にある巨大な訓練場、その一画は瓦礫の出す煙に包まれている。

それと同時にその場を、さっきまで戦いがあったとは思えない程の静寂が漂っていた。

 

「………………」

 

エレンが訓練場の天井に向けて放った最強の一撃は天井をそのまま破壊し、その上にある施設にまで大穴を開け、その一撃は地上にまで届いた。

 

天井に開いた大きな大穴、そこから太陽の日差しが降ってくる。

そして光の奔流に巻き込まれた士道の姿はどこにもなかった。

 

「……いったいどこに?」

 

―――あれほどの力量を持つ魔術師(ウィザード)だ、死にはしないだろう

 

それがエレンの見解だった。

そう思ったからこそエレンは自身が持つ最強の一撃、〈ロンゴミアント〉を放ったのだ。

 

煙が徐々に晴れ、辺りの視界は鮮明になっていく。

だが士道の姿は勿論、人体の一部分らしきものもなかった。

 

―――本当に消し飛ばしてしまったか?

 

エレンがそう思い始めたその時、背後からエレンは攻撃を受けた。

 

「みゅ!?」

 

想定外の出来事により、本気(マジ)で驚いたエレンはつい変な声を出してしまう。

慌てて後ろを振り返る。

そこにはいままで共に戦いを繰り広げた、敵の姿があった。

 

「わ、私が気付かなかった!?」

「副業柄、気配を消すのは得意なんだ」

 

士道はボディーガードをやっている最中、隠れる事もあった為、知らず知らずの内に隠密が得意分野になっていたのだ。

しかも、学校において全く認識されない影の薄さが、士道の気配の無さを更に助長させていた。

 

まあそう遠くない未来に、この気配遮断が全く役に立たなくなる人間?が数人程現れるのだがそれはまた別の話だ。

 

「……何だ今の約束された勝利の剣(エクスカリバー)モドキは……もう対精霊部隊は、あんた一人で十分なんじゃねえか?」

「………………」

「でも残念だったな、掠りはしたものの大部分は避け切れた」

 

士道の左腕はほとんどが焦げていた。

そのせいか、左腕はさっきからピクリとも動いていない。

つまり士道の左腕は封印されたという事だ。

 

その事に気付いたエレンは、再び攻撃をしようとするが、

 

「!」

 

ここでエレンは自身の異変に気付いた。

飛ぼうとしてスラスターが駆動せず、何故か随意領域(テリトリー)も展開出来ない。

随意領域(テリトリー)が解除された為、背中に背負っていたCR-ユニットが床に落ちる。

そのCR-ユニットを見てみると切り傷が出来ていた。

その傷からはパチパチと嫌な音が出ている。

 

「これは……まさか!」

「さっきの攻撃でCR-ユニットは壊させてもらった」

 

士道は左腕が使えないがエレンはもっと悪い状況に陥ってしまった。

随意領域(テリトリー)が使えないなど魔術師(ウィザード)じゃなくなってしまったようなものだ。

エレン程の魔術師(ウィザード)になればCR-ユニットが無くても随意領域(テリトリー)は展開出来るが、CR-ユニットがなければその精度は雲泥の差だ。

 

だが士道はエレンをそんな状況に追い込んでも油断する気は毛頭なかった。

 

―――世界最強の魔術師だ。CR-ユニットが無くてもさぞかし強いんだろう?

 

士道はそう思考する。

すると、

 

「むぎゅ!」

「んん?」

 

またもエレンが転んでいた。

よく転ぶ奴、と士道は思ったがそれとは別の考えが士道の頭をよぎる。

 

―――まさか……

 

士道はエレンに向かって歩いていき目の前にたどり着く。

そして自分の利き手の人差し指を折り曲げて親指の腹で抑える。

所謂デコピンと言う奴だ。

士道はデコピンの構えをした指をエレンの額に持っていく。

 

バチン!

 

「ぶっ」

 

エレンの額にデコピンが命中し、エレンの頭が跳ね上がる。

そしてうつ伏せになって気絶した。

 

「……あれ?」

 

士道は余りにもあっけない決着に唖然とする。

 

「……ええと」

 

すると訓練場の外から人の声が聞こえてくる。

かなり騒々しい。

まあこんな事をやらかしてしまったから仕方ないだろう。

 

取り敢えず士道は戦った結果、天井に大穴を開けてしまった事に対して、弁明の言葉を考えるのだった。




左右非対称の二刀流は、やりたかっただけと言えばそう。
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