うまるちゃんR終わっちゃって悲しい。
どうしてこうなった
ロンドン。
世界屈指のグローバル都市であり、世界をリードする金融センターでもあり、タワーブリッジやビッグ・ベンなどの観光名所を有するイギリスの首都だ。
その郊外にはイギリス陸軍の基地がある。
表向きはただの軍事基地だとされている。
それはある意味間違ってはいない。
“ただの“という文章が抜ければの話だが。
ここの軍事基地では
その訓練内容は様々だ。
レイザーブレイドを素振りして戦闘の訓練をしている者。
周囲に随意領域を展開して
はたまた疲れて膝をついている者など本当に様々だ。
その
その少年は訓練内容における前者に分類される。
レイザーブレイドを振り下ろしては上げる。
振り下ろしては上げる。
その繰り返しだ。
少年にはひとつ、訓練しているほかの魔術師達とは違う点があった。
ほかの魔術師達は
戦闘用なのか異様にゴツゴツしている。
その少年、五河士道はレイザーブレイドを素振りしながらSSSに入ってまだ一度も見たことのない未知の存在、精霊について考えていた。
それとともに今の自分の現状についても。
彼は周囲に人がいなかったら声を大にして叫びたかった。
「どうしてこうなった!」と。
◇◇◇
今から遡ること1カ月
精霊の存在を知ってしまった士道は抑えられない好奇心から精霊についての事を調べてしまった。
そして士道はすべてを理解した。
空間震の真相、精霊の人知を超えた力についての事を。
こんな国家機密レベルの重大な情報を知った士道の第一声は。
「精霊……すげぇ」
常人なら「こんなことを知ってしまったどうしよう」なんてことを考えるのだろうが士道
の頭にそんな思考は微塵も浮かばなかった。
彼が抱いたのは、未知への興味だった。
わかりやすくいえば、普通の生活をしていたら突然目の前に火を吹くドラゴンが現れた。そんな感じだ。
たとえ話だがそんなことが起これば人は興味がわくだろう。
話を戻すと士道は精霊に興味を持ち、そして実際に見てみたいと思ってしまった。
そしてあわよくば戦ってみたいと。
「でもどうやって見つけるか……」
精霊は見ようと思って見れるようなそんな存在ではない。
それは士道もわかっていることだ。
「んー……ダメだ思いつかねえ」
そうやって士道がうんぬん唸っていると。
「?なんだこれ」
パソコンの画面に映っていたある資料が目に留まった。
「対精霊部隊?」
その資料には対精霊部隊に関することが書かれていた。
資料を読んだ士道はあることを思いついた。
「そうだ!魔術師になればいいんだ」
魔術師になって対精霊部隊に入れば精霊をわざわざ探す必要がなくなるのだ。
おそらく一番、単純明快な解決方法だろう。
そうとなれば話は早い。
士道は早速、準備を始めた。
まずどの国の対精霊部隊に入るかだが士道はSSSを選んだ。
調べたところ現状、一番精霊が出没するのは欧州らしいのでSSSを選ぶのは当然だろう。
利便性を重視するのならAST一択なのだが士道の目的は精霊を見ることなのでASTを選ぶ選択肢は士道にはなかった。
次に士道は、偽の戸籍の確保を始めた。
イギリス海軍の特殊部隊であるSSSに日本人の士道が入れる訳がないため、イギリス人の戸籍がどうしても必要なのだ。
これに関してはどうにかなった。
情報屋としてのコネクションを利用することで偽の戸籍は手に入れることができた。
まあもちろん、まともな手段で手に入れたものではないが。
そして士道は一番重要なもの、移動手段を探し始めた。
言うまでもないがSSSがあるのはイギリスだ。
たとえSSSに入れたとしても、イギリスに行けなければ意味がないのだ。
だがイギリスと日本は簡単に行き来できる距離ではない。
イギリスと日本は海とユーラシア大陸を挟んで10000kmに届くほど距離が離れている。
「ちょっとコンビニ行ってくる」みたいなノリの軽さで行けるほど近くない。
当然だが士道には家族がいる。
そのためずっとイギリスにいるなんてことはできる訳がない。
イギリスと日本を簡単に行き来するなんてそれこそ魔法でもない限り不可能だろう。
だから魔法を使うことにした。
―――――転送装置
これがあればまさに瞬間移動のようなことが出来るようになるのだ。
だが某ネコ型ロボットが出すピンク色のドアのようにどこでも行ける訳ではない。
わかりやすくいえばA地点からB地点にはいけるがC地点にはいけないということだ。
まあ観光名所巡りをするために買った訳ではないので別に構わないが。
つまり日本からイギリス、イギリスから日本にしかいけない。
だがその代わり日本からイギリスという超長距離を簡単に行き来できる。
流石に長距離すぎるので数分ほどのラグがあるらしいが誤差の範囲だろう。
大きさは士道の部屋のクローゼットに何とか収まるぐらいの大きさだ。
これも、もちろん真っ当な手段で手に入れたものではない。
あと買った理由は見た目が非常にメカメカしておりそれを士道が気に入ったという理由もある。
因みに転送装置というのはかなりのお値段がするものでこれを手に入れるのに士道がいままで情報屋として稼いだ金額の8割強が消えていった。
そして最後にSSSに入れるかどうかだが、これは大した問題にはならなかった。
面接とCR-ユニットの使用適性検査をしたが、面接官いわくCR-ユニットの適性値がとても高いらしいので特にくわしい面接もされず即採用となった。
どうやらSSSはかなりの人員不足らしい。
何はともあれここまで来るのに半月程かかった。
だがしかし日本から遠く離れたイギリスの地で、士道は自分の見通しの甘さを痛感することになった。
◇◇◇
「どうしてこうなった」
誰にもわからないぐらいの小声で士道はそういった。
精霊に会えると思ったのも束の間、待っていたのは訓練ばかりだった。
確かに士道はSSSに入隊したての新人だ。
精霊と戦う為には訓練が必要だろう。
士道もCR-ユニットの使い方ぐらいは知っておこうと思い真面目に訓練していた。
だが訓練を初めて2週間が経過しても精霊が現れたなんて話は聞いたことがなかった。
もしかしたらずっと訓練しっぱなしになるんじゃないかと嫌な想像が頭によぎるが士道はレイザーブレイドを素振りすることでその想像をかき消した。
そして士道はふとレイザーブレイドを構えるのをやめ、開いていた足を揃えそして。
「ハァ~」
士道は今の状況を悲観するように大きくため息をつくのであった。
そして心の底から願った。
精霊が現界しますように、と。
転送装置に関しては完全に独自設定です。
因みに今は原作の7年ちょっと前です。
あと士道くんがいつ五河家に引き取られたかということは原作にも明確に記されていないので、ここでは原作の12年前ということにしています。
次回は1人称視点でも書いてみようかな。