デート・ア・ライブ 士道ウィザード   作:みたらし団子が好き

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投稿遅れてすんませんした。
FGOのイベントが忙しかったんじゃ。

あと来週、学校の行事で自宅を離れるので、1週間以内の更新は無理だと思います。


遭遇

「あと少しで着きますよ」

「…………………………そうか」

 

先の修羅場をウンソウダネ、としか言わない機械に成り代わった事で危機を回避した士道は疲労した声で返事をした。

現在の時刻は午後5時、えらく時間がかかったものだと士道は遠い目をした。

士道の反応から、イリシャが参戦した後に何があったかはもはや語るまでもないだろう。

 

そして今士道はエレンに希望した通り、車でDEM本社に向かっていた。

だがあんな事になるとわかっていたならDEMに行く日付を今日にはしなかっただろう。

 

因みに士道とエレンは車の後部座席に座っており、運転している人は黒いスーツを着てサングラス掛けているガタイの良い男と、明らかにその筋の人間の雰囲気を漂わせている。

 

「なあ、エレン。運転手がどう見ても普通の企業に所属してる人間じゃないんだけど」

「秘匿されているとは言え、DEMは顕現装置(リアライザ)の製造を行う軍事企業としての側面もあります。なので普通の企業という言い方には少し語弊があります」

「それは……そうか」

 

えらく事務的な口調で、エレンが質問に答える。

士道は少し考えたがすぐに納得した。

顕現装置(リアライザ)は機密性が高く、一般には全く公表されていない。

そんなものを製造する会社などどう考えても普通ではないだろう。

しかも話によればエレン以外にも会社専属の魔術師(ウィザード)がいるらしい。

大企業でありながら独自の軍事戦力を持つ会社、確かにサミュエル大佐が警戒しているのも頷ける。

 

因みに顕現装置(リアライザ)製造する企業は希少で士道の知る限り、DEMを除けば僅か一社しか存在しない。

その会社はアメリカに本拠を構えているのだがこれはまた別の話である。

 

そんな事をかんがえていると車が止まり、同時にエレンが口を開いた。

 

「着きましたよ」

「……ここか」

 

車窓から外を覗くと、その目前には立派なオフィスビルがそびえ立っていた。

典型的な鉄筋コンクリート構造で作られたビルは、まさしく一流企業といった雰囲気を出している。

 

「基地から意外と近いんだな。ロンドン市内って聞いてたけどもっと遠いと思ってたぜ」

 

基地を出発してまだ30分も経っていない。

信号の待ち時間等を考えても基地から10kmも離れていないだろう。

 

「シドウは本社の位置を知らなかったんですか?」

「ああ、俺には一生縁のない場所だと思って調べてなかった」

「所属してる部隊の取引先まで調べてないとは……私自身に会うまで全く私の事を知らなかっただけの事はありますね」

 

エレンは呆れた様に皮肉を言った。

 

「世界最強なんて肩書に興味が無かったからしょうがないだろ?まあ噂ぐらいは度々耳にしてたけどな」

魔術師(ウィザード)ならば本来、私の事は雲の上の存在として知っていて当たり前なんです」

 

車のドアを開けて外に出ると、エレンは自慢している様に話し始めた。

そのエレンについていく士道は、また自慢話が始まったと思いながらうんうんと適当に頷く。

 

「全く、貴方は世界トップクラスの魔術師(ウィザード)であると言う自覚が足りません!」

「あんたは俺の母親かよ……てかエレン、前を見ろ」

 

士道は半眼で文句を溢すが、あることに気付いてエレンに注意を呼びかけた。

しかし聞く耳持たずといった様子のエレンは、歩いてビルのエントランスに入る間ずっと話し続けた。

 

「シドウは自分の身の回りの事をもっと理解してくださくぎゅ!」

 

歩く先にあるのが窓ガラスである事にも気づかずに。

 

「あー……言わんこっちゃない」

「ひぃん……グスッ」

 

顔面を窓ガラスにぶつけたエレンは、痛そうに顔を押さえている。

エレンの進行方向は、ビルのエントランスへの入り口であるスライドドアから微妙にずれており、話す事に夢中になっていたエレンはそれに気が付かなかったのだ。

 

「……エレンが所属してる会社の社長か。先が思いやられるな、こりゃ」

 

士道はそびえ立つビルを見上げ、苦い顔をした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

士道は社内に入った後も引き続きエレンに着いていった。

途中、何度もエレベーターを乗り換え、道を飽きる程曲がって漸く最上回に到着した。

 

「うぅ……」

 

因みに、エレンは余程強く顔をぶつけたのか、未だに痛みは引いていない様子だった。

後で湿布でも買ってやるか、と士道が考えたところでエレンがある扉の前で止まった。

 

「ここです……」

 

エレンが示したその扉の横には、英語で社長室と刻印されている標識が壁に固定されている。

つまりこの扉の向こうにDEM社の社長、アイザック・ウェストコットが居る訳だ。

 

「入ります」

 

エレンはノックをして一声かけるとドアノブを握って扉を開けた。

その先の空間は、ここに来るまで通っていた白一色の廊下と全く別物だった。

 

「……わお」

 

社長室の全容を見た士道は感嘆の声を出した。

大理石で出来た床から天井までは軽く見積もっても10メートルはあり、例え士道でもジャンプしたぐらいでは到底届きそうに無い。

その天井には現代風の照明が等間隔で吊るされている。

 

次に士道の目に入って来たのは、社長室の扉の正面にある応接間だ。

この応接間にも、これまた高そうなソファと机が使われている。

 

その他、来客者に出す飲み物を用意する場所と推測できるダイニングや、家電量販店程度には間違いなく売っていない巨大なテレビなど、まるでホテルや空港にある高級なラウンジのような内装だ。

 

士道は柄にもなく、その内装に目を奪われそうになる。

が、ある物体の存在によりそれは阻止された。

 

「これは……」

 

それを見て、この場所に通いなれているであろうエレンすらも驚いたような声を出す。

鈍色の胴体、その胴体と比べたらアンバランスな大きさの腕、異様な形をした頭部と足、それを士道が知っている言葉で表すのなら、それは間違いなくロボットだった。

 

「試作機DD-007、一体何故こんなところに……」

 

型式番号らしき数字を口にしたエレンも訝しむようにそのロボットを睨む。

すると突如、ロボットの各所のクリアパーツが緑色に発光し始めた。

その発光を皮切りに、置物の様に動かなかったロボットは一瞬で跳躍し、エレンの前に着地した。

そしてその剛腕を躊躇無く、エレンに振り下ろす。

 

「な……!」

 

ロボットの突然の行動に、エレンは言葉を失う。

 

「危ねぇ!」

 

それを見た士道は、咄嗟にエレンの肩を掴んで自分の後ろに引き寄せた。

それによりロボットの振り下ろしは、何もない空を切る。

間髪入れずに士道は、攻撃を外して隙だらけのロボットを殴った。

しかしロボットは数メートルほど後退しただけでどこにも異常は無く、士道が殴った装甲の部分にも傷一つ無い。

 

「……?」

 

だがそんな事は気にならないほどの違和感を士道は感じた。

それはロボットを殴った時の感触だ。

士道の手の甲には未だに金属を殴った衝撃が残っている。

だがその感触は余りにも金属過ぎた。

 

―――無人機?

 

そんな考えが士道の脳内を駆け巡る。

士道はてっきり人が装甲を装着しているものだと思っていたが、どうやら相手は本当にロボットのようだ。

 

「だったら……」

 

ならば手加減の必要はないだろう。

士道は素早くロボットに接近し、ロボットの頭部に回し蹴りを当てる。

ロボットの首は呆気無く胴体から取れて、勢い良く飛んで行った。

そして首が無くなった胴体は膝をついてそれっきり動かなくなる。

 

「ふう……エレン、大丈夫か?」

「え、ええ、特に外傷は……べ、別にシドウがいなくとも私一人で対処出来ましたからね!」

「いや危なかっただろ!」

 

素直に受け答えたかと思ったら、突然態度を変えるエレンに、士道は少し困惑する。

 

「まあエレンは自負心が強いからね。不意打ちに対応できなかった事を認めたくないんだろう」

「ああ、それは何となく分かる…………ん?」

 

ふと、士道は違和感を感じた。

自分が話している相手は誰なのか。

その声音は、間違いなく男のソレだ。

エレンとは全く似つかない。

士道はゆっくりと部屋の左側を見渡した。

 

「……誰だ、あんた」

 

そこには男が一人立っていた。

錆びたような灰色の髪に切れ目が特徴の壮年な男だ。

 

「ア、アイク!?」

「え?」

 

驚いたようなエレンの言葉に、士道は更に困惑した。

何故ならエレンが言った名前は───

 

「おっとすまない、自己紹介が遅れたね。私はアイザック・レイ・ペラム・ウェストコット、DEM社の業務執行取締役をしている」

 

男はそう名乗り、ゆっくりとソファーに座って手を組んだ。

 

「我々の呼びかけに応じてくれて感謝するよ。シドウ・ウォーリバー」

 

ウェストコットは目を細め、不敵な笑みを浮かべる。

その瞳は不気味と感じる程の闇に染まっていた。




改めて小説書くのって難しいな、って感じた。

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