デート・ア・ライブ 士道ウィザード   作:みたらし団子が好き

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へいおまち!


危機

「わたくしのような化け物に出会ってしまいますわよォ!」

「ッ……!」

 

少女の咆哮とともに銃口から弾丸が飛び出した。

と同時に士道はエレンから手を放して背中から落とす。

エレンからくぐもった声が聞こえてくるが、意に介することもなく士道はしゃがんで弾丸を避ける。

そして地面を蹴り、一気に加速した。

 

「速っ……!?」

 

思わず精霊は驚愕の声を漏らす。

対象がほんの一瞬の内に、既に自分の懐に潜り込んでいたからだ。

てっきりただの一般人だと思っていた精霊は驚かずにはいられなかった。

士道は動揺した隙を見逃さず、相手の鳩尾に貫手を叩き込む。

 

「ッ……!」

 

鳩尾には多数の神経が通っており、衝撃を与えると強い痛みを発する人体の急所の一つだ。

精霊とて体の構造は人と何ら変わらない。

その鳩尾を突かれた精霊は声にならない悲鳴を上げて仰け反る。

そして士道は、完全な隙を晒した精霊のその細い首に後ろから腕を回して締め上げた。

 

「がッ、あ……」

 

頸動脈を完璧に絞められた精霊は腕や足を使って必死にもがく。

しかし呼吸が遮られているおかげでそれもままならない。

 

「あ、なた…何者…ですの」

 

精霊は最後、苦し気に言葉を残した。

 

「俺は魔術師(ウィザード)だ」

 

その士道のセリフとともに精霊の意識は暗転した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ふう、何とか勝てた……」

 

気絶させた精霊をうつ伏せにして地面に寝かして、士道は軽く息を吐く。

士道は武器を何一つ持たない丸腰の状態で何とか精霊に勝利を収めた。

 

非常に危ない橋を渡った、士道は戦闘を振り返ってそう思う。

精霊がこちらを一般人だと思い込んで油断していなければ、ここまで簡単には勝てなかっただろう。

 

「いや、それにしても上手くいきすぎた気が……」

 

危ない戦いだった、だがそれと同時に驚くほどの手応えの無さが、士道に不信感を与えていた。

天使を使っていなかったからだろうか、だが考えても疑問が解消されることはない。

 

「まあいいか、エレン大丈夫か?」

 

考えても埒が明かないので、背中からほっぽり出したエレンの身を案じることにした。

 

「うぅ~、シドウ酷いです。突然私を背中から落として……」

「すまん。突然撃たれたもんだから、考える暇がなかった。許してくれ」

 

涙目で地面にぶつけたお尻を摩るエレンに士道は頭を下げた。

しかし咄嗟にエレンを地面に落とした士道の判断は割と正しかった。

そうしないとエレンに銃弾が命中していた可能性もあったからだ。

 

「もうっ、私は寛大なので許して上げます。でも私じゃなかったら許してないんですからねっ!」

「うん……ってあれ?お前まだ酔ってんの!?」

 

頬を膨らませてプンプンと怒るという、普段のエレンなら絶対やらないような可愛いらしい怒り方を見て、まだ酔ってんなコイツと思う士道。

 

「だから酔ってまーせーんー。私、今まで酔ったことないですから!」

「はあ!?」

 

胸を張って自信満々のエレンに、コイツマジで言ってんのかよ…的な視線を士道は向ける。

 

「どうです?びっくりしたでしょう?」

「あー、そんなこと言えてるお前にびっくりしてるよ」

 

現在進行形で酔っていながら、よくそんなことが言えたものである。

 

「まあいいや、応援を呼んで…」

 

気絶させた精霊を回収するために、士道は携帯でサミュエル大佐に連絡しようとする。

 

「させませんわよォ……?」

 

その時、再び濃密な殺意が士道達を包み込んだ。

その声の方向に導かれて後ろを見てみると、そこには先ほど気絶させた筈の精霊が立っていた。

 

「は……?」

「残念ですけど、わたくし精霊でしてよ?この程度で終わると思ったら大間違いですの」

 

 

それだけではなかった。

周囲から同じ姿をした精霊が無数に地面から湧いてくる。

 

「こいつは……」

 

精霊の足元を見る。

そこでは気絶していた精霊が影に落ちていく姿があった。

 

「なるほど、そういう天使ってことか」

「あら、察しのいい方ですわね。ですけど、それだけじゃ状況は変わりませんわ」

 

冷酷な笑みを浮かべて言い放つ精霊に、士道は額に一筋の汗を流した。

精霊の言ったことに間違いはなかった。

周囲は精霊に包囲されており、全方向からの攻撃を防ぐには着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)が必要だ。

だが目の前で戦闘準備をするのを、変身ヒーローの敵よろしく精霊が黙って見物する筈もない。

簡単にいえば詰みである。

 

「貴方のことは少し気になりますけど、ここで死んでいただきますわ。今後の活動に差し障ったらいけませんので」

 

精霊が銃を構える。

 

「そりゃ残念だな。俺もあんたのことずっと気になってたんだ」

 

現れたタイミングからして昨今の殺人の首謀者だろう。

大規模なのも分身を使っていたのなら納得だ。

 

「それは奇遇ですわね。場所が違えば少しお話させていただきかったですわ」

 

そして引き金に手を掛けた。

 

「さようなら。魔術師さん」

(……せめてエレンはッ!)

 

エレンの壁になるため、士道はエレンに覆い被さろうとする。

間もなく撃鉄が引かれ、弾丸が放たれる。

 

その刹那、隕石でも落下したかのような一撃が地面を粉砕した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「い、一体何が起こったんですの!?」

 

突然のことに精霊は困惑せざるを得ない。

周囲には土煙が舞い上がり、状況は把握できない。

 

「いや焦った。今回ばかりはマジで終わったと思ったわ」

「それはこっちのセリフよ。随意領域(テリトリー)の索敵範囲に見知った気配があると思ったら、明らかピンチなんだもの」

 

その中から男女の話し声が聞こえてくる。

 

「まあ、安心しなさい」

 

槍が一振りされ、土煙が払われる。

その女の黄金の髪は星屑のように煌めき、碧眼の中は覇気に満ち満ちていた。

 

「私がいる以上、負けはないわ」

 

SSS最強の女魔術師、イリシャ・クロウリー。

彼女は精霊相手にも恐れるに足らずと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべていた




久しぶりの投稿。
投稿しなきゃなと思いつつもそのままズルズルと。
感想見て奮起。
自分で始めたことだし、何とか完結には持っていきたい。
あと地味にイリシャの名字判明
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