サブタイの意味は内容を読めば分かります。
あれから二か月が経った。
イギリスにある陸軍基地、その施設の屋内を士道は歩いていた。
顔にはいつも通りヘルメットとマスクを装着しており、その手には某ファストフードチェーン店の紙袋がある。
士道は今ある場所に行き昼ご飯を食べようとしている。
いや、実際には夜食と言うべきかもしれないが。
士道は既に通い慣れた複雑な道を迷いなく歩いていく。
そしてある扉の前にたどり着く。
ほかとは違う頑丈そうな扉でまわりの目を引く程大きい。
士道はその扉の横の壁に付いている電子パネルに4桁の暗証番号を入力する。
扉が開く。
扉の先は階段になっていた。
そして扉が大きいのと同じ様に道の幅も長い。
士道はその階段を一瞥すると下りていく。
1分程下りると階段が終わった。
そこはまるで別世界のようだった。
白で統一された床と壁。
その壁には所々に線のようなものが入っている。
天井に張り付いている何本もの太いコード。
まるで映画の舞台のような場所だ。
士道はその道を進んでいく。
道中所々に扉があるがそこは士道の目的地ではない。
変わらず道の幅は長い。
その気になれば車も通れそうなぐらい広い廊下だ。
その廊下はとても複雑で、士道が曲がった回数は片手間では数えられないほどだ。
そして士道はある扉の前にたどり着いた。
士道は地下に降りる時にやったのと同じ様に電子パネルに4桁の暗証番号を入力する。
それに加え士道はカードキーを電子パネルにかざす。
すると漸く扉がスライドして開いた。
扉が開くとそこは一面にガラスが張ってあった。
そしてそのガラスの向こうにはもう一つの部屋がある。
現状士道の居る部屋ともう一つの部屋はガラスによって二分される形になっている。
そしてそのガラスの向こうには……
「おお!来たねー少年」
つい二か月前に士道によって捕獲された精霊、シスターの姿があった。
◇◇◇
遡ること二か月前
「つ……疲れた」
士道は今、基地の医務室のベットに寝そべっていた。
シスターとの戦いの後、士道は案の定動けなくなってしまった。
数時間ずっとCR-ユニットを起動し続けていたので無理もないだろう。
すると医務室の扉が開く。
「おいシドウ、具合はどうだ。」
誰かと思ったらサミュエル大佐だ。
士道は何とか体をベットから起き上がらせる。
「隊長ですか、体中至る所がバッキバキですよ」
「ハハ、そうだろうな。まあ気にするな、回数をこなせばそのうち慣れるさ」
大佐曰く何回もCR-ユニットを使えばある程度は負担がましになるらしい。
「それで?なんでしょうか。世間話をしに来た訳ではないですよね?」
「ああそうだ、お前の事についてな」
そこからの話はかなり複雑だったが、簡単に言えばこんな感じだ。
1、専用のCR-ユニット作ってもらえるかもしれないよ
2、士官候補生になるよ
と言ったところだ。
うん……まあいいんじゃない?
大佐の話が長すぎる上に頭があんまり回ってなかったからほとんど聞き逃してたけど平たく言えばこんな感じだ。
「とまあこれぐらいにしとくか、いつの間にか5時になってるしな」
「ん?ああそうですね」
気づけばもう時計の針は5時に差し掛かったいた。
「動ける様になったら今日はもう帰っていいぞ、じゃあまたな」
そう言うと大佐は医務室から出ていった。
士道も帰ろうと何とか立とうとする。
明日は学校があるのでここでゆっくりしている暇はないのだ。
士道はフラフラと歩きながらも何とか転送装置で日本まで帰るのだった。
◇◇◇
次の日もまだ疲れが取れてないのか、いまいち歩きがおぼつかない。
しまいには転んで母と妹に心配されてしまうほどだ。
その日の学校でテストがなかったのは幸いだっただろう。
そして夜の七時あたりになるといつも通りSSSに出勤した。
流石にほとんど休みなしなのはきついな。
明日有給でも使ってみようかな。
そんな事を考えながら訓練区画に移動していたら。
「よおシドウ、相変わらず少し遅刻だな」
「ん?隊長」
そこにはまたサミュエル大佐の姿があった。
「すまんな、一つおまえに話忘れてたことがあった」
「なんですか」
「おまえが捕獲した精霊の処遇についてだ」
そういえば昨日は精霊がどうなるのかは全然聞いていなかった。
せっかくだし聞いてみることにする。
「えーシスターは少しの間この基地に幽閉することになった」
「へえ、そうなんですか?」
「ああ今精霊専用の収容施設に移送する準備をしてるらしい」
まず士道は精霊を収容する施設なんてのがあること自体に少し驚いた。
そして疑問が浮かんでくる。
「あのー何でそのことを俺に?」
士道は何故自分にそんな機密情報を教えてくるのかが不思議だった。
そしてそれと共に嫌な予感も感じていた。
「いやそれがなシスターを監禁してからというもの様子を見に行く奴が誰もいなくてな、監視も今はカメラに任せてる状態なんだ」
まあ当然だ。
精霊の居る場所行きたがる人なんている訳がない。
「それでシスターを捕獲したお前自身に行ってもらいたい」
「え、なんで俺が」
「いやな、上層部曰く捕獲した張本人が行けば精霊も脱出なんて考えないだろうってことらしい」
「俺はそんな事はないと思います」
「……まあ俺も同感だ」
自分が監視をして大人しくなるような奴じゃないと士道は思った。
むしろ否が応でも脱出を慣行しそうである。
「でも何もしないよりはまだましだろう?」
「まあ……そうかもしれませんが」
「そうだな……ウチの技術部に新しい装備が作れないか頼んでやr」
「喜んで行かせていただきます」
士道は新装備の話が出た途端態度を180度変えるのであった。
その様子にサミュエルは額から少し汗を出す。
「そ、そうかじゃあこれが暗証番号とカードキーだ。精霊が監禁されている部屋に行くのに必要になる。昼飯がてらちょっと様子を見るだけでいいぞ」
「任せてください」
士道はカードキーと暗証番号が書かれた紙を受け取る。
そして、
◇◇◇
「ねえ少年ちょっとぐらいポテト分けてよ」
「……ガラスの向こうにポテトを届けろって?」
こうなった。
最初の頃は二言ほど言葉を交わす程度だったが今ではそれなりに打ち解けている。
因みに名前は本条二亜と言うらしい。
「で、でもあたしの目の前で食べる事はないんじゃないかな~」
「仕方ないだろ、昼しか時間が空いてないんだ」
「う……うう、目の前で食べられるとお腹が空くんだよー」
そう言うと二亜は上目遣いで士道を見てくる。
「……いや、上目遣いされてもあげないからな」
―――――ウルウル
「……涙目になってもあげないからな」
「む、むうぅー」
二亜は上目遣いと涙目をやめたかと思ったら今度は頬を少し膨らませる。
「そもそも基本的に二亜には干渉しないように言われてるんだ、ポテトなんて渡せる訳ないだろ」
「……むむむ」
「無理なものは無理なんだ、納得しろ」
そう言うと士道はふたたびポテトを食べ始める。
因みにこのポテトは士道が基地から2kmも先にある店舗からわざわざ買ってきた物だ。
食堂の食べ物が嫌いな士道は毎日そこに通い詰めている。
「あっ、コーラがない」
そこで士道はポテトのお供であるコーラがない事に気が付く。
「……買い忘れたか」
「……あのー少年」
二亜が突然話しかけてくる。
「ん?なんだ」
「……ポテトは諦めるから……食べ物の話はやめてくれない?」
「……悪い」
士道はその声がマジトーンである事を察して素直に謝る。
「……まあその……最低限の食事は与えてくれるように上司に相談してみるよ」
「えっ!ほんと?」
「まあ許可されるとは思えないけどな」
精霊は食事が無くても生きていけると言う。
でも二亜によればお腹が空いたら空腹感も感じるらしい。
「まあ期待しない程度に楽しみにしとけよ」
「うん!そうする」
二亜は機嫌が悪そうだったさっきとは一転して笑顔になる。
するとふと士道は自分の腕時計を見た。
士道は時間を確認すると直ぐにゴミを紙袋に入れ始める。
「少年どうしたの?」
いつもの時間より帰る時間が早い為、二亜は士道に質問をする。
「仕事だ」
「あ……ふーん、そっか」
士道が仕事の有無を話すと二亜が少しシュンとする。
士道はそのことに気付いたが、話し相手が居なくなって残念なんだろうと思った。
マスクで顔は見えないが一応士道は笑顔を浮かべる。
「もし許可が出たら明日ハンバーガー買ってくるよ」
「うん、じゃあまたね」
「ああ、またな」
そう言うと士道は部屋のドアを開けてついさっき来た道を戻っていった。
そして階段を上り地下を出た。
「フー……ハァ」
士道は深く深呼吸をした。
それはこれからの仕事に向けて意識を切り替える為だ。
これから士道は人を
「……さて」
士道は深呼吸を終えるとふたたび歩き出した。
現時点の士道に対する二亜の好感度は十香が士道にバーカバーカと言い始めたあたりです。
これ書いてる時ちょうどテレビで世界仰天ニュースやってました。
しかもかなりシリアスな内容。
何か胃が痛くなりました。