小説の質はお察しください。
ロンドンの中心部にある一泊何十万もする高級ホテル。
その一室は酷い有様になっていた。
高級そうな家具はほとんどが壊れ、窓ガラスはすべて割れている。
そしてその部屋には5人の人間が居る。
一人は少し太っている中年男性だ。
ホテルのバスローブを着て壊れた家具の残骸に隠れ、怯えている。
そして5人の中の3人。
その3人の服装はこんな惨状になっている場所に居るのが場違いなぐらい普通の服だった。
二人は壁際で気絶し、もう一人は大型のナイフを構えている。
その男の呼吸は乱れており、額に汗を浮かべある一点を射殺さんばかりに睨みつけている。
その男が睨みつけている方向に5人目が居た。
黒いスーツを着込み顔には頭部すべてをすっぽり覆うフルフェイスヘルメットを被るというミスマッチにも程がある服装をしている。
状況を整理すると一人が隠れ、二人が気絶し、部屋の中心で二人の男が対峙している。
そして立場を説明すると、隠れている男はイギリスの政治家だ。
それもかなりの権力を持つ有名な政治家だ。
そして超普通な恰好をしている三人組はその政治家を殺す為に雇われた暗殺者だ。
それも全員プロと言える腕前をしている。
彼らにとって政治家一人を殺すぐらい簡単だと言える事だった。
奇妙なヘルメットを被る少年がいなければの話だが。
「ハァハァ、クソ、何なんだテメェは!」
暗殺はその少年によって阻止されてしまった。
現に三人の中、二人は瞬く間に無力化されてしまった。
そして最後の一人は敵わないことを理解しているため逃げることを考えていた。
だがこの場から逃れる算段を考えていた最中、一瞬でその少年が目の前に現れた。
「なぁ!?」
暗殺者はそのことを認識するとすぐにナイフを振り下ろした。
だがその攻撃は少年の素早い手捌きで流されてしまった。
「んな!?ゴッ」
それに気付いた時にはもう手遅れだった。
少年の拳は暗殺者の胸に食い込んでいた。
その攻撃で暗殺者は何mも吹き飛び後ろにあったドアに激突し吐血する。
その後まもなく気絶した。
少年は暗殺者が気絶したことを確認するとポケットから携帯を取り出し誰かに連絡する。
連絡し終わるとその少年、五河士道またの名をシドウ・ウォーリバーはフゥと息を吐いた。
(あー疲れた、早く帰りたいな)
◇◇◇
あ…ありのまま起こった事を話すぜ!
俺は
な…何を言ってるのか(中略
始まりは二亜を捕獲してひと月ほど経った頃だ。
俺の上司であるサミュエル大佐のさらに上の人からボディーガードをやってみないか、と誘われた事が発端だ。
SSSの予算増額とボーナスに釣られた俺はその仕事を受けちまった。
ボディーガードの仕事を一言で言うと、ヤバい。
俺は現状10件ほどボディーガードの仕事を受けたがそのうち8件で誰かしらの襲撃があった。
ていうか汚職してる人多くない?
おかしいのが俺の護衛対象は悪い噂がある政治家だと言う事だ。
いやこれは間違いなく上が仕組んだ事なんだろうな。
自分で言うのもなんだが俺は優秀だと思うし。
上は十中八九襲撃がある議員のボディーガードに優秀な俺を就かせてるんだろうな。
しかも襲撃してくる奴らも質の悪い連中ばっかりなんだ。
先日の襲撃者の暗殺者はまだましな方だ。
暗殺者は事件がバレるのを嫌うからな。
本当にヤバい奴らはマフィアとかの犯罪組織だ。
トラックで突っ込んで事故に見せかけようしたり、この前なんか街中で平然と銃を乱射するイカれた奴が出てきた。
そのおかげで殺気のようなものを感じ取れるようになってしまった。
その時は拘束することを忘れて殺してしまった。
いやロンドン市民を巻き込む訳には行かないからさ。
つまり多くを生かす為だ。
まあそれはただの言い訳なんだが。
俺はこの仕事で5人の人間を殺した。
まあ……かなり堪えた。
何回かやったら慣れたけど、やっぱりやりきれないってのが本音だ。
因みに上から、ボディーガードする時は
まあ秘匿されてる
そして最近SSSの技術部が俺専用のヘルメットを作ってくれた。
フルフェイスなのは嬉しいな。
因みに色は黒だ。
このヘルメット、特殊な合金で作られているようで普通の銃弾ぐらいなら防いでくれるらしい。
目のガラスの部分はその限りではないらしいけど。
何でも視界を確保するために目の部分はガラスにせざるを得ないらしい。
だがガラスと言ってもただのガラスじゃない。
顔を隠す為にそのガラスは青くなっている。
しかも強化ガラスだ。
そしてロック機能がついてるから簡単に外れないのだ。
いままで外れないかどうか冷や冷やしてたからな。
正直たかがヘルメットに最新技術詰め込みすぎじゃない?と思わない事もないが。
そんな事を考えていると。
「ねえ!少年」
「うお!?……何だ二亜」
「もう……無視しないでよ」
どうやら二亜が話しかけてきている事に気付かなかったらしい。
「あー……すまん、何だ」
「だからポテト食べさせてって」
「あーはいはい」
俺はポテトを二亜の口に持っていく。
二カ月前、大佐から食事は与えていいって許可をもぎ取ってきたから今こうして二亜は昼だけ食べれる様になった。
因みに部屋を隔ててるガラスはスイッチ一つで開閉出来る様になってる。
そこは流石軍事基地って感じだな。
因みに天使を使わせないように二亜の腕には手錠がつけられている。
その為一々俺が食わせてあげないといけない。
最初の頃は、
『二亜!俺の手をポテトと一緒に食べるな!』
『ん~?なんのこと?』
と言った感じで、俺の事をからかってきていた。
今は少しばかり落ち着いたが、最初は何かを食べさせるだけで四苦八苦した。
主に二亜のせいではあるけど。
因みに今は八月、つまり夏休みだ。
今の俺の一日は、昼間に妹の琴里と遊んで夜にSSSで訓練といった感じだ。
まあ忙しいのは変わらないが学校行ってる時よりは遥かにマシだ。
「あのさー少年」
ポテトを食べ終わった二亜が話しかけてくる。
とても嫌な予感がするが俺は意を決して応えた。
「……なんだよ」
「マ〇ク飽きた」
「あー……」
そろそろそんな事を言うと思った。
二亜は非常にわがままで飽き性だ。
この前、暇つぶしとして渡したルービックキューブを次の日には六面揃えて返してきた事を思い出す。
むしろ二か月飽きなかったことを嬉しく思うべきか。
「一応聞くけど、何食べたい」
「うどん!」
「うん無理」
案の定ワケの分からない事を言い出してきた。
こいつ自分が囚われの身だって事を理解してんのか。
「あのなぁ、まずイギリスにうどんが売ってる訳ないだろ」
「あ、そっか……じゃあ日本から取り寄せてよ」
「……………………」
絶句した。
二亜は清々しい程の笑顔でそう言ってくる。
流石美少女の笑顔、俺じゃなかったら見惚れちゃうね。
実を言うと俺も最初はドキッとさせられることもあったが今となってはそれは悪魔の笑みにしか見えない。
「あーもう昼飯買ってくるのやめようかなー」(棒)
「あっ何か急にうどん食べたくなくなってきたなー」
「……おまえそんなんでよくいままで討伐されなかったな」
「ふふーん!すごいでしょ!」
「褒めてない」
こいつもうダメだわ。
「……はぁ、黙ってれば可愛いんだけどな」
黙ってれば可愛い、まさにその通りだ。
これってあれかな。
俗に言う、残念美人って言うのかな。
そんなことを考えてたら、
「!か、かわいい!?な、なななななな何を言ってるのかな~少年は」
これだ。
二亜は偶にすごい動揺することがある。
「何を言ってるってそのままの事を言っただけだ」
「え、あっ、~~~っ!」
二亜は顔を真っ赤にさせる。
精霊ってこんな変人ばっかりなのか。(絶望)
「ってもう時間か二亜、俺帰るからな」
俺は壁のスイッチを押してガラスを閉める。
「う、うん」
「じゃあな」
俺は部屋を出て扉を閉める。
……あと二か月か。
俺は先日大佐に言われた事を思い出す。
『シドウ、そういえばシスターを移送する日時が決まったぞ』
『ああ……そうなんですか』
『今から二か月後だ、何でもDEM社関連の施設に送られるらしい』
いつかこうなるとは思ってたけどな。
というか不思議なんだが何でDEM社の施設に送られるんだ?
しかも管理もDEMの元で行われるらしいし。
普通政府とかがするんじゃないのか?
まあ
因みにDEM社はイギリスに本社を置く世界屈指の大企業だ。
SSSと同じく本拠がイギリスにあるという事で新装備を融通させてもらってるらしい。
まあどうせブラック企業なんだろ、そうなんだろう。
多分社員をこき使ってその癖して残業代を払わないブラック企業に違いない。
世界の闇を見てしまって疑心暗鬼になってしまった士道の図。
二亜との会話は案外、士道の心の支えになってます。
何か二亜のキャラを再現出来てるか不安になってきた。