そろそろ冷え込んでくる十月。
俺はバッキンガム宮殿に居た。
今日俺は政治パーティーの護衛をすることになった。
因みに俺の立場はパーティーに出席する人として護衛することになった。
要するに覆面調査員みたいな感じだ。
だから今日はヘルメットではなくサングラス着けている。
……何か落ち着かない。
イギリスに居る時はいつも何かしらで顔を隠していたからすごい違和感がある。
因みに今回のパーティーはイギリスの大臣も数人出席するらしい。
今回は大臣を含めた何十人もの人を護衛しないといけない。
正直言ってめんどくさい。
いままでは一人だったから楽だったんだけどな。
─────出来れば襲撃なんて無ければいいのにな
でも俺が護衛を頼まれたという事はそういう事なんだろう。
俺はそろそろ宮殿の中に入ろうとする。
しかし何故だろう。
会場から歓声のようなものが聞こえてくる。
「あっヤベ、もうイス取りゲーム始まったのか?」
俺はすぐさま走り、会場の入り口にたどり着く。
だがの入り口の前には黒スーツの屈強な男が数人立っていた。
おそらく警備員だろう。
「くそっ中から戸締りされてやがる」
「おい誰か応援呼んで来い」
様子を見る限り何かあったらしい。
早く中に入らないと。
俺はバッキンガム宮殿の壁の装飾を手でつかんで二階から入ることにする。
壁がゴテゴテだったから案外簡単に登れた。
窓を蹴り破って二階に入る。
するとそこには凄惨な光景が広がっていた。
何人もの人が血だらけで倒れている。
「っ!てめぇ警備員か」
そしたらスタッフらしき服を着た男が数人近づいて来る。
「ん?あんたらスタッフじゃないのか、イス取りゲームはどうなったんだ」
「何がイス取りゲームだ!死ね」
そう言うとそいつらは襲いかかってきた。
俺は即座に懐からレイザーブレイドを出して刃を出す。
「な…なんだソレは、ガッ!」
俺は敵が言葉を言い終わる前に足を切ってついでに頭を殴って気絶させる。
俺は一瞬で敵を全て無力化した。
さっきのは歓声じゃなくて悲鳴だったのか。
因みに何故俺がこんな場所で秘匿対象の武器を使っているかと言うと上からは
あとこのレイザーブレイドは俺の特注品でノーペインに比べて刃の色が赤く刀身も長い。
出力も上がっており人体もスパスパ切れてしまう。
多分霊装も切れるんじゃないの。
この前試し切りをしたら技術部の一室をボロボロにしてしまったためデストロイヤーなんて武器名をつけられてしまった。
解せぬ。
ってそんな事考えてる場合じゃないな。
この調子じゃイス取りゲームは中止か。
2等賞のプ〇ステ3狙ってたのに。
こうなったら意地でも手に入れてやる。
俺は窓から入った部屋を出て大広間に辿り着く。
そしたらそこはさらに酷い光景が広がっていた。
カーペットは血で真っ赤に染まって、死体も幾つか転がってる。
そしてさっきと同じスタッフの制服を着た男が何人も居る。
「くそ、もう外から増援が来たか、お前らやっちまえ」
リーダー格らしき男がそう言うと大広間に居る敵が全て俺に向かってくる。
その数は軽く十人を超えており、その上拳銃を持っている人までいる。
数人が拳銃を構えると俺に向かって発砲してくる。
俺は放たれた銃弾をデストロイヤー(仮名)で軽く弾いていく。
まあ弾くどころか当たった瞬間に焼き切られてるけど。
「な…なんだこいつ!」
剣で銃弾を防ぐのはスター〇ォーズを見た時からやってみたいと思っていた。
実際やってみると楽しい。
俺は一瞬で銃を持つ敵に接近して胴体を切り裂いていく。
「ぐあ」
「あがッ」
スタッフは少し呻き声をあげると気絶した。
俺は止まることなく流れる様に敵を切っていく。
「な…なんなんだ、こいつは」
「おい!誰か応援呼んで来い」
「プ〇ステを返してもらうぞ」
◇◇◇
「ってことがあったんだ」
「ふーん……そっか」
二亜は興味なさげに言葉を返した。
「何か反応薄いな、面白い話をしろっていったのは二亜のほうだろ」
「んー、そうなんだけどさっきまでしてたアニメの話の方がいいかなって」
「ああ……そうか」
「少年、一応聞くけどその後どうなったの?」
「スタッフルームに行ったらプ〇ステは壊れてたし、仕事も失敗って事で減給された、いろんな意味で理不尽だよ」
因みに二亜は日本で漫画家をやってたらしく最近俺はその影響を受けてオタク文化にハマりつつある。
「そっか……ふふ、えーと何のアニメの話してたっけ」
「……お前今笑っただろ……何の話をしてたかは忘れた、ていうかもう時間だから俺もう帰るよ」
「ええ、もうそんな時間なのー!?」
「ああほらもう一時だぞ」
俺は二亜に腕を向けて腕時計を見せる。
「えー、もうこんな時間、この部屋さぁ時計がないから時間の間隔がおかしくなっちゃうよー」チラッ
「………………」
そう言うと二亜は此方をチラチラ見てくる。
これはおそらく、部屋に時計持ってきてくれないかなーチラッチラッ、と言う奴なのだろう。
まあ持ってくる気はないし……もう持ってくる意味もなくなる。
「いや持ってこないからな」
ウルウル
「俺に涙目+上目遣いが通じないのも、もう理解してるだろ……あと明日二亜は別の施設に送られるから」
「むうぅぅ、少年のケチ………………えっ?」
二亜は言葉を止め少し目を伏せるとすぐに驚愕の表情を作った。
「え……ええぇぇぇ……う、嘘でしょ」
「いやほんと」
「ア、アニメの前にその話をしなさいよー!」
「悪い……中々話を切り出せなくてな、と言う訳で俺と会うのはこれが最後、多分もう会えない」
「あ………………」
俺がそう言った途端、二亜は俯いて黙り込んでしまう。
俺はいつもどうりスイッチでガラスを閉めて、ドアから出ようとする。
「じゃあ─────」
「待って!」
俺が出ていこうとすると二亜は俺を呼び止めて来る。
「最後に……少年の名前、教えて」
「……名前?」
一瞬何故?と思ったがそう言えば名前を教えてなかった事に気がついた。
日頃ずっと少年としか呼ばれていなかった士道はそのことを忘れてしまっていた。
「……俺の名前は………………シドウ、だ」
「ん、そう……じゃあまたね、少年!」
「……また?」
「うん、何かこう、うまく言えないんだけど……少年とはまた会える、そんな気がするの」
「そうか……じゃあ、またな二亜」
そう言うと俺は部屋の外に出て扉を閉める。
……何となくまたな、と言ってしまったが現実的に考えるともう会わないだろうな。
これから二亜は太平洋に送られる。
また会うなんて奇跡でも起こらないと無理だろ。
二亜と俺が再会する事は絶対ない。
絶対にな。(フラグ)
とにかく明日から俺は元の
寂しい気もするが、明日からはこんな迷路みたいな道を通らなくてもいいと言うことだ。
明日からはまた訓練に励むとしよう。
もう精霊を捕獲するのは勘弁だけどな。
あんな一癖も二癖もある人の話し相手を務めるのはもう勘弁願いたい。
精霊全員がそうとは言わないけど。
とにかくこれで一件落着と言うわけだ。
めでたしめでたし……
にはならなかった。
その数日後、士道はふたたび複雑な事情に巻き込まれる事になる。
二亜との別れを区切りとして次回から新章にします。
次回は世界最強の魔術師(笑)が出てくる予定です。