短編集   作:金宮 来人

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今回はとある一夏の視点からです。
私の作品の一夏が多数存在しますが、執筆途中な物が多く難産気味です。
スピードは遅まきながらも、これからも書いて行くつもりなので、よろしくお願いいたします。


異世界の邂逅編

俺は結局事故にあった事で死んだ。まぁ、しょうがない。鈴を守れたんだし、結局は事故で死んだ事にされるはずだった。

だが、気が付いたら目の前に幾つものさまざまな形の椅子が円状になる様に置かれた空間に居た。

「・・一体ここは・・?」

そう呟くと隣の大きな背もたれのある椅子に、光りが集まる様にして人の形となった。そしてソレは椅子に座る様にして形がはっきりとなる。

「・・たく、俺も暇ではないというのに・・。アイツにも困ったものだ。」

腕を組むようにして大きな帽子とコートを着た男の声がした。顔は見えないが、声には聞き覚えが有る。

「・・貴様も【・・・】同じ・・か。」

こちらを見たその顔を見た確信した。

「お、お前は・・『俺』?」

「その通り。『お前』と同じ【織斑一夏】だ。しかしその根本は違うようだ。俺の世界はISを全て宇宙へ上げる為に破壊して回ったが、失敗して死ぬ事で一度終わりを迎えた。だが、その後に神と自称する奴に拾われ、異世界の知識を与えられた後に転生をした事で新たな命を得た。しかしそこは俺の元居た世界とは違い過酷な世界だった。織斑千冬は性格がねじ曲がり、篠ノ之箒は人に依存し、知らない弟が存在している世界だった。俺は性格の捻じ曲がった姉を見限り新たな名前を得て、結局は自分自身を信じてくれる者たちと共に生を終える事が出来た。それなのに、死後もこき使われている。面倒な事だと思ったが、今回はこの世界に呼ばれた。まったく何がしたいのだか。」

帽子をぬ音に抱くように脱いではっきりと顔を見せながらも、眼を瞑り呆れたように溜息をついた。

「この椅子は全て異世界の【織斑一夏】の器が存在する数ある。その中でも、あの神に起因する物語の【織斑一夏】だけここに集められるらしい。」

足を組みながらもそこに並ぶ椅子を片手で挿す様に腕を払って動かす。

「コレだけ織斑一夏が居るのか・・。」

「一握りだ。数多なんてもんじゃない、八百万と言っても良いほどの可能性を一人の人間が抱えている。世界とは関わる人が一人違う事で違う世界と言える。その中のほんの一つまみの人間だ。握りにも満たないほどでコレだけ存在するのだから面倒な事だ。」

そう言って腕置きに肘をついて頬杖をつく。

「それじゃ・・」

「言ってる間に・・来たぞ。」

 

「あれ?ここ・・何処だ?」

そこに居たのは花束を持ってスーツ姿の大人な俺だった。

「此処は時空と世界の狭間。神の作った戯れの空間だ。お前は何をした一夏だ?」

「俺と同じ顔・・いや昔の俺か?まぁ、良いか。・・えっと、火星で暮らしている織斑一夏だ。友人の意志を継いでプロジェクトを成功させて、今は篠ノ之箒と結婚を控えている。その報告に友人の墓参りをしようとしたんだが・・気が付いたらここに居た。」

そう言った大人一夏は自分の後ろにあった座席の様な椅子に座る。飾りには木で掘った歯車の様な物が付いていた。

「面白い世界だな。宇宙進出の成功例、ISを正しく導いた世界と言う事だな。・・更にまた来た様だぞ。」

 

そこにはまた一人の織斑一夏が居た。

「・・なんだ此処は?パラドの言っていた異世界と言う奴か?」

そう言った織斑一夏は見た目は普通だ。しかしその腰には大きなバックルのベルトをつけて居た。

「貴様の世界には何が有った?俺の世界は錬金術とシンフォギアと言う異世界技術だ。・・そう言えばお前にも聞いていなかったな?」

そう言われて俺は周りを見て考えたが・・、

「俺の世界には何も特別な事は無い。ただ、俺は病気で早くに命を落とした。ただそれだけだった。」

「早くに命を?・・そのような世界もあるのか。驚きだよ。・・そちらの一夏は・・また特殊な物をつけて居るな?」

「あぁ、俺は確かに特殊なのかもな。俺の世界は友人のパラドと言う人物によって、異世界にしか居なかった仮面ライダーと言う存在が生まれた世界だ。そして、俺も仮面ライダー。『仮面ライダーエターナル』だ。世界中には多くの仮面ライダーが正義を守っているし、ISは宇宙へと上がって新たな金属や物質を見つけて新しい時代を歩んでいる。」

「へぇ・・俺もそんな風に幸せに暮らしてみたかったな。」

眼を閉じてIF、あったかもしれない【もしも】の未来を思い浮かべる。鈴と子供が出来て幸せに笑い合っている、そんな未来を。

 

「何が正義の味方だ。下らねぇ。」

 

そう声がしたと思ったらそこには紺色の学園の制服に目の瞳が青く、白目の部分が黒い一夏が居た。

「どうせ、世界中の人間は悪意を持っている。俺は性悪説を唱える方でな、そんな奴等はいずれ我が神、地縛神の生贄にしてやる存在なんだよ。正義の味方とか守るとか下らない。どうせ裏切られるだけだ。」

椅子に足をあげて座っているのは全く見た事の無い存在だった。明らかに人間離れした雰囲気を纏っている。

「・・まだ世に出て居ない世界の織斑一夏・・か。」

「あぁ、どうせ俺の仲間が世界をぶっ潰す。俺には関係ない事だからな。俺は復讐さえできればどうでも良い。」

そう言っている一夏の腕には紫色に光る痣が有った。

「ナスカの地上絵と一緒だな。確かその絵は巨人・・だったか?」

「アレは唯の絵じゃねえよ。遥か昔、神々の争いによって負けて封じられた邪神の封印だ。ソレをこの身に下ろして、闇の神の力を得た。コレは強さの証よ。」

にやりとあくどい笑いを浮かべる。俺とは似つかない表情にしか見えない。

 

「強さの証か・・。ならば証明して見せろ。」

 

次にはひと際大きな椅子に黒い鎧をまとった一夏が居た。

「お前は?」

「我が名は『覇王』。『覇王一夏』だ。いずれ世界を手にする者。」

そう言って見せた顔は瞳がくすんだ黄色に染まっていた。そしてさっきの痣のある一夏と同じく闇の力と言うか・・黒い雰囲気がすさまじい。ガチャガチャと音を立てて歩く。そして、錬金術のイチカの元に行く。

「・・お前も面白い力を手に入れているな。」

「俺は神に知識ごと植え付けられたんだがな。そう言うお前は心に黒い、大きな闇を抱えているようだな?」

「それこそ力。力とは強さ、強者こそ真実。弱者のたわごとに真実は無い。」

「・・俺の世界の馬鹿共の考えと一緒のはずだが・・お前のソレは本当の強さなのが分かるから手に負えないな。ま、俺には関係ない世界の事だ。そこの正義の味方も、大人しくしとけ。変身しようと構える必要はないぞ。どうせ違う世界だ、此処で争うのは賢い事ではない。」

「・・っち。わかったよ。」

ベルトに手をかけていた一夏を制したイチカは腕を組む。

「一番危険なのは・・奴等だろう。」

 

指を指した先に五人の一夏が居た。

一人はパイロットスーツに首輪をつけた一夏。

一人は半分人間をやめた様な眼をした、尻尾などが生えた一夏。

一人は仮面ライダーと同じようだが、明らかに人を値踏みする目で見ている一夏。

一人は時代錯誤な服装で刀を構えた一夏。

最後の一人は体のいくらかを改造しているらしき、剣を持った一夏。

「俺はリンクス。首輪付きの獣だ。傭兵で依頼が有れば命を奪う。」

「俺はハンター。竜化の力で人を殺す事が出来る。異世界のモンスターの素材を使った装備で作られた装備によってそのモンスターの力を得る事が出来る。俺の邪魔をするならISであろうとぶっ潰せる。絶対防御など関係なくな。」

「ダークライダー・・名はクロノスだ。女尊男卑の奴等を殺し、依頼が有ればその度合いによって罰を与える。」

「名は一刀と名乗っているが・・。妙高の鬼、越後の鬼、長尾が鬼の鬼小島。小島一刀。殺せと頭首の命令が有れば切り捨てる。」

一番最後の一夏が立ちあがる。

「・・魔王一夏・・と名乗っている。魔術と剣術、魔科学の世界で一命を取り留め世界を掌握しようとしている。この体も改造している。正義を名乗る連中が一番の悪の根源だったから、ソレをつぶしている途中だ。殺す事など簡単だ。非殺傷設定もできるが必要などない。」

 

全員が顔を合わせた。一触即発と言う訳じゃないが、あまり良い雰囲気じゃない。

「どうせ可能性だ。羨む事も、蔑む事も、何の意味もない。記憶もなく元の世界に戻る。神の仕向けた一種の戯れだ。考えを持つも良いが、記憶はなく戻るから意味はないぞ?」

錬金一夏がそう言うと全員が白けた様な顔をした。

「つまんねえ。誰が一番強いとか、そう言うの決める為の集まりじゃないのかよ?」

「全く持ってソレは無い。勝とうが負けようが、ただ元の世界や居るべき場所に帰るだけだ。故に戦う事に意味などは無い。顔を合わせたのはそれぞれの心に何か引っかかるものが残ればと言う神のきまぐれ。しかし記憶は持って帰らさないという訳のわからない戯れ。」

「はぁ・・。」

ため息をついたのは竜装の一夏だ。

「基本俺って、戦うとかどうでも良いんだよね。邪魔しないならのんびり寝ておきたいし束さんと一緒に遊ぶのも良いし、何かゆっくりしておくのでも良い。邪魔をしないならどうでもよくなった。」

ソレを言われて全員がそれぞれに目を合わせる。

「俺もとりあえず戦うとかはどうでも良い。どうせ記憶に残らないんじゃつまらないしやるだけ無駄だ。」

「俺も正義とか此処じゃどうでも良い事だしな。俺の正義は俺の世界で示せば良い。」

地縛神とライダーの一夏も不参加を示唆する。

「そもそも俺は女尊男卑が相手だし、確かに意味はないな。」

「記憶に残らないんじゃ話をする意味もないとか、ホントに無駄な時間だ。」

ダークライダーと一刀も不参加。

「そもそも俺が力を示すべきは此処じゃないから俺はどうでも良い。シャルと共に世界を支配するまでは面倒事は力で抑えるが・・ここでは何の意味も持たないからな。」

覇王がそう言うと皆が少し反応した。数人は嫌な感じで。数人は意外そうな顔で。数人は肯定的な顔で。

「俺とシャルか・・不思議な感じだ。俺は鈴としか共に居る気はないしな。」

「こちらは簪にしか興味が無い。」

「俺はシャルと共に世界を恐怖に落とすと決めたが・・今んとこ只の協力関係だな。」

「シャルロット・・デュノアはあまり関わりが無いな。」

「・・俺の家族には存在しない。」

「殆どの存在がどうでも良い塵芥【ちりあくた】だ。」

「鈴と共に暮らしたかったけど・・最後に守れたから満足。シャルロットは確かスパイで結局近づかなくなったからね。知らないや。」

「興味が無いから忘れた。」

「俺のとこは結局ハーレム状態で遺伝子を狙われたからな。・・ショタボディに襲いかかる女性陣は本当にヤバい目をしてて怖かった。」

 

「オイ最後。さらりと飛んでも発言してやがるぞ。」

 

突っ込みが入るがまぁそう言う次元もあるという事で納得した。

 

そして、それぞれ興味のある一夏同士が話をしてお互いに考えの違いに首を傾げたり、納得して居たりした。

 

そして、全員が椅子に座りなおした時、前任の中心に光の扉が現れた。

いや、扉と言うよりは光の集まったトンネルみたいな存在だ。

おそらくはコレに入れば帰れるという事なのだろう。

「んじゃ、俺が一番で帰るか。さっさとする事しねぇとな。んじゃテメェら、また会ったらそんときゃ俺の功績教えってやるよ。世界を恐怖のどん底に突き落としたってな。ひゃはははは!」

笑いながら地縛神の一夏が一番に消えた。すぐにリンクスの一夏が帰る。

「世界に秩序を。人類に黄金の時代を。ソレを果たしてここに来よう。」

そう言って消える。次に席を立ったのは魔王と覇王。

「俺は魔法と剣術で正義を名乗る悪の根源をつぶす。間違った正義を振りかざされるのなら俺は魔王を名乗る。魔王にも正義が有る事を見せてまた会おう。」

「覇王としての責を果たす。力で全てをねじ伏せてでも、俺の思う理想の平和を作り上げる。悪と言われようが闇こそ力であり、それこそが正義と信じて。」

二人が消えると一刀が立つ。

「そろそろ皆が恋しくなってきた。話はしなかったが拙もまた多くの妻を持つ身でな‥国の重要な位置に居るからな。これ以上は面倒事を抱えたくなかったのもある。特殊な力の持ち主で魂に刻む事が出来る拙はここでの事を忘れないからな。お前等とあった事はこの後に生かす事が出来るであろうな。では、達者でな。」

「‥アイツ、意外に良い人間だったんだな・・。」

「見かけによらんとはこういう事だな。」

武器を持って県のんな雰囲気を纏っていたがそれは敵味方を見る為の奴なりの処世術なのだろう。

「んじゃ、俺も帰るな。仮面ライダーとして正義を果たす為に。」

「俺はダークライダーとして悪の元に秩序を正す。それに俺の仕事はそもそも子どもへの教育だ。」

「はぁ!?おま、教員免許持ってんのかよ!?」

「特殊部隊のだがな。元特殊部隊でそこから天下りしたようなもんだ。それで会社立てて会長職みたいな位置で経営して、時には部隊使って女尊男卑をつぶす。または罰を与える。それだけだ。俺が育てた子供が世界へ羽ばたけばそれはまた新たな秩序を芽吹く。そうして世界を正すのが俺の目的だ。子供の教育に悪影響と言われようとそれが最終的な平和をもたらすならそれはある種の正義だ。そう思って俺は生き続ける。」

それだけ言ってダークライダーが去った。ソレを見て頭をかく仮面ライダーの一夏。

「まったく・・叶わないな。俺よか先を見てて面白いな。さて、お前等も頑張れよ!」

そう言ってライダー一夏は消える。

「帰って寝る。狩りをしない時は基本的に無害だからな。俺は正義とかどうでも良い。邪魔をする存在を狩りとる。それだけだ。」

そう言って竜装の一夏は消えた。

「さて、俺も帰るとしよう。お前はおそらく転生するか、もう少しして相手が来て天国に行くかを選ばされるだろう。天国に行っても時間がたてば転生する。そうなればまた別の人生が待ってるが・・悲観するな。それが人の魂のあり方だ。俺みたいに死んだあともこき使われる様な存在にはなるなよ。お前はお前の想いを果たせ。ではな、死後の世界を楽しめ。」

最終的に錬金の一夏が消えたと思うと扉は消えて椅子も消えた。

 

広い空間に俺が一人座っていた。目の前にテーブルと紅茶が現れる。

「・・面白い催しでした。やはりこう見てみるのは面白い。」

そこには一人の・・男か女か分からない存在が居た。

「私が神・・に等しい存在ですね。一応は神と名乗っていますが、世界を管理する存在はすべからく神と言えます。その末端ですから一応神ですが位は低い。多くの次元が本、それが数多あって本棚に納められているのが多世界、ソレを管理する司書が神で、更にそれを管理する存在も居ます。世界は観測されて初めて世界となる。今回居た中のまだ見ぬ一夏君達も世界に現れるかどうかは観測者次第と彼等が物語を歩ききった時のみ。」

紅茶を一口飲む。

「君の思い人はもうすぐ来るでしょう。幾つもの冬に共に居れた奇跡。ソレはあの子自身の起こした物ですからね。愛とはすばらしい魔法なのです。」

それだけ言って去っていく神に、俺は何も言えないままその背中を見送る。

「君の新たな物語が合った時は、幸多からん事を。では、失礼。」

そう言われて頭を下げた瞬間に消えた神。

 

静かに俺は人生を振り返った。

病気になった事は苦しかったけど、幸せで無かったというつもりはない。

「俺は、十分に幸せだった。」

そう言って眼を閉じた。すると後ろから靴音がした。

振り向こうと顔をあげると目の前が隠された。

すぐに分かった。

 

「だーれだ?」

 

やっぱり俺は幸せだ。

今までも・・そして、これからも・・。

 

 

もしも観測者と言うのが俺を見て居るとしたら貴方にも言いたい。

 

「貴方の人生に幸あれ。」

 

FIN

 




今回は「DEAR」の一夏君視点でした。
また、異世界の短いシナリオの一夏君なども此処に乗せて行くつもりですので、よろしくお願いします。
年内に書き上がると良いなぁ・・。(遠い眼)
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