実際に書いたのは半日かかっていません。
勢いって大事ですね。
インフィニットストラトスの恋愛系を書きたいなぁと考えていたところに振って降りたので筆が進むすすむ。
結局一日かからず書き上げました。
勢いで書いたのでおかしなところがあればごめんなさい。
ではどうぞ。
私は初めてだった。
心からここまで自分を見てくれる存在を知らなかった。
自分をまっすぐに見つめて認めて受け止めてくれた。
そんな存在は今まで自分の周りに存在しなかった。
自分のあこがれの人はただ強く厳しく、私もその強さを手に入れようとした。
いや、あの頃の私はあの人に成ろうとさえしていた。
自分という存在を知らない私らしく、他人に成ろうとしたのだ。
そんなことはできないとも知れず。
その強さの根源さえわからず。
私の部下は私を慕ってくれていたが、それを上官だからだと思い込み、私自身を見てくれているということを知らなかった。
今では、あこがれの人に成りたいとも思わないし、部下を大事にしていきたいとも思っている。それに気付かせてくれたのは一人の男だった。
一度は憎み、存在そのものを消してしまいたいとさえ思っていた人間だった。
その人間は私を変えてくれた。
いや、『私』という存在はその時から生まれたといってもいいかもしれない。
今まで、国の軍人という兵器でしかなかった私に個の存在を認識させてくれた。
私という存在、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』という存在を認識して生きて行こうというきっかけをくれた存在。
そして私が『愛』という感情を知ることができたその相手だ。
感情からしてこれが間とはっきりとは言えないのかもしれない。
聞いたら勘違いだという者もいるだろう。
まったくもって違う感情だという者もいるだろう。
それでも私はこの感情は『愛』だと思った。
この相手を『愛してしまった』と思った。
この感情を『愛おしい』という感情だと思った。
だからこそ私はその人物を、この感情の向く相手を、彼という存在を肯定する。
周りの人間は酷い掌返しだというかもしれない。
憎んでいたはずの相手を、消そうとした相手をそのように思うなんておかしいというかもしれない。
しかし、私たちは一度、心の底から本音を言い合った。
表面上では絶対にご任せれない、心の底からの言葉を言い合って、つながって、お互いの事を知り合った。
全部を理解したなどということは言えない。
ただ一つだけわかったことは、彼の過去を見たことで分かったことがある。
彼は『愛』を知らない。好きという感情が良く解っていない。
いくら口に出して伝えても、きっとその感情は彼には理解できていない。
だって、彼は『家族愛』という物さえも曖昧で理解できていないのだ。
彼にとっては絶対の唯一の家族である『姉』から守ってもらう事こそが家族の『愛』だと認識してしまっているように思う。
だから彼は人を守ろうとする。
姉にして貰った『愛』の形を人に表すことで自分も人を愛そうということを表しているんだと思う。
間違いだということを理解していない。
それを誰もが気が付いていないから。
少しだけ彼から離れて分かった。
彼と近しい人であればあるほど、守ろうということをする。幼馴染の二人、自分と同じように両親が居なくなった貴族のお嬢様、両親から道具のように扱われた薄幸少女、そして力こそがすべてと思い何もわからない自分。
学園内の女子たち。
友人や、その家族。
守ることで自分が愛していると、好感を持っていることを表そうとしている。
だからこそ彼は自分の事を省みない。
私のように挫折して、人生を振り返ることがない。
自身の行動をおかしいと思っていない。
だから今日私は一つの行動を起こす。
今までは近くで彼を自分のものにしようと思っていた。
でも、少し離れて彼を見て気が付いた。それから観察してソレを続けてきた。
今日はその行為に終止符を打つために最後の行動を起こした。
『今日、放課後の五時。屋上に来てくれ。真剣な話がある。』
彼をこの校舎の屋上に呼び出した。
今まで彼の気を引いて告白させようと考えていた。
意識させようと思って行動してきた。
だが、その行為に何の意味がないことが分かった今、私が撮るべき行動はただ一つ。
屋上のドアが開く音がする。錆びたような蝶番が音を鳴らし、バタンと音を立てて扉が閉まる。
「よう、時間通りに来たぞ。話ってなんだラウラ?」
「あぁ・・。まずは、ここまでこんな時間に呼び出して済まない。来てくれてありがとう。」
「別に大したことじゃないさ。んで、俺に真剣な話ってなんだ?」
「まずは聞きたいことがいくつかあるんだ。最近、私がお前の近くに居なかったことは知っていたか?」
まずは私に対しての感情を調べる。
「あぁ、気が付いたが鈴とかシャルが軍事関係じゃないかと言っていたからな。俺の出る幕ではないし聞かれても困ると思っていた。困ったら相談してくれると思ったからな。そういう話なのか?」
「いや、私は今まで自分の行動と、周りの環境を見ようと思いいろいろと調べたり、引いて客観的に見ていたりしたのだ。」
話からおそらく面倒なことにならないようにとひいてくれたということはわかったし、気にかけてくれていたことはわかった。そんな存在であることも。
「ふーん、それで何かわかったことはあったのか?」
「あぁ、重要なことが分かった。」
本当に重要な事だ。これからの行動に対して。
「そうか、・・その分かったことで俺に話があるという事なんだな?」
「そういう事だ。」
こういう時は理解が早くて助かる。何故、好意に気が付かないのかは分かった以上怒りを覚えることはない。
「私は人によって作られた。そんな存在がこんな感情を持っていいのかとも最近悩むこともあった。」
「ラウラはラウラだ。お前という存在がここに居る。それは俺が保証する。感情が芽生えて悩むことは正しい事だと俺は思うぞ。まだ、ラウラは『普通の』とか、『常識だ』という物を知らない事が多いからな。」
「そうか。」
そんな私が今からこんな行動をしようとしているとは思うまい。
「はっきりと告げよう。織斑一夏。」
息を吸う。私の顔は夕日とは別に赤く染まっているだろう。
「私は、・・ラウラ・ボーデヴィッヒは織斑一夏の事を『愛』している。結婚を前提に付き合いをしてほしい。買い物とかそんな事じゃない。男女として真剣な交際を申し込む。」
「・・・まった。ちょっと待った。」
頭を押さえて悩むように一夏は手を前に出す。
「それは本気で言っているのかラウラ?」
「真剣だ。前みたいに嫁にするとかじゃなく、真剣に愛して居ると言っている。私という個人を肯定してくれて、初めて意識した相手に告白をした。男女としての交際を申し込んだ。」
「俺に告白・・どうして?」
「理由など一つだ。理屈じゃない。『愛してしまった』。ただそれだけだ。」
「俺って愛とか良く解らないんだ・・。」
「知っている。調べていたこともそのことも含まれた。お前は幼くして両親も居なくて、姉は忙しく一緒に居る事が少なかった。その中で家を守り、姉には人として守って貰っていた。それがお前に『愛とは、好意とは守る事』という認識が付いた。お前の人に対してのやさしさや正義感はそこから来ていた。そして分かった。知らないなら私が教えてあげようと。守る事じゃなく、『愛する事』を教えてやろうと。」
「わからない・・。俺にはやっぱり、わからないんだよラウラ。そんな俺が答えを出すなんて・・。」
「人を傷つけたくないから答えを拒むな。それは守る事ではなく、傷つける行為だ。」
博愛主義という事ではないが、はっきりと断ると傷つけてしまうと、守れないという怯えがあることも判っている。
「織斑一夏の、おまえ自身の答えを求めている。私の事を愛してくれるのか、出来ないのか。その答えを、答えてくれ。」
「そんなこと言ったって・・、わかんねえよ。」
「はぁ。そういうことを言うと思った。だからこそ、今から一つの行動に出る。嫌なら拒め。それを答えと受け取る。」
そういって私は一夏の唇を奪う。
「ん・・。」
舌を絡めるような深いキスではなく、唇が降れるような幼いキス。
「んむ!?」
その行動に一夏は、目を見開き硬直した。そして、一夏は・・・
『私の肩をつかんで引きはがした。』
「・・そうか。」
「いきなり何をするんだラウラ!?」
そういうが私はわかった。
「お前は私のキスを拒んだ。拒否をした。つまりは私を愛して居ないという事だ。」
「いや・・それは・・」
「好きならキスを受け入れた。好感度が足りないか、他に好きな人物が居るか・・。どちらにしろ私の初恋は敗れたようだな。」
振り返り、沈み始めた夕日を見る。かなり夕日は傾きすでに水平線にかかっている。背中の空からは月で青くて町の光で灰色の空が迫って来ていた。
「ラウラ・・」
「来るな!!」
私は叫ぶ。
一夏はその声で止まる。
「私はここでもう少し過ごす。話は終わりだ。もう帰ってくれ。」
「でも・・」
「私は今、傷心なんだ。一人にしてくれ。」
「でも・・」
「お前は自分の心に正直にしただけだ。後ろめたいことなどないし、後悔するべきことではない。お前の愛する相手が私ではなかっただけだ。」
そう告げると足音が後ろでして、それは遠ざかり、ドアを開く音がしてそれが閉じることですべての終わりを悟る。
「あぁ、終わってしまったな・・・。」
日は落ちて夕焼けは暗い空へと変わり、視界は歪みながら星々がきらめくそれを見上げる。
気を落ち着かせたら教官・・じゃなかったな。織斑先生に相談に行こう。
私の国の求める役目は果たせなくなった以上、私がここに残っている必要はないと。確かに自国の機体の脅威を示すことはできるが、それは別の者でもできる。
結果としては私の代わりに誰か来ることになったとしても、国の求める結果は誰も無理だろう。
自国で私には私の仕事がある。それをすることは国の者たちを守ることになる。
それに気が付いた。それだけでも十分にここに来てよかった。
私は私を知った。私という人間に成れた。私の知らなかった世界を知った。そして、愛することの素晴らしさを知った。
それでも、上を向いていた顔からあたたかな感触が保保を流れた。
ほのかに暖かく、それでいて、冷たい感触のそれはとめどなくあふれて流れる。
「恋とは、愛とは強くも弱くもするものだとも知れたな・・。」
その涙を拭きながら下を向く。一気にぽたぽたと水滴が地面に落ちた。拭いきれなかったその涙を見て私は自身の人生を振り返る。その場に座り込む。
強さを求め、一度は膝をついてもまた這い上がった。さらなる強さを求め、教官として知った織斑千冬の強さになりたくて、無茶苦茶をした。しかしそれを経て友ができ、愛を知り、恋を知って失恋を知った。
これが青春という物か。なかなかに甘酸っぱいものと聞くが、これは劇薬ともいえるな。
衝動に突き動かされて行動したり、何も手につかなくなったり・・まったく人生とはままならない。
「下校時刻は過ぎているぞ。」
いつもよりも優しい声が頭上からきて、頭をなでるように触れられる。
「それは気が付きませんでした。申し訳ありません。」
「・・そうか。お前にしては珍しい事だな。」
「色々とあり過ぎましたからね。」
今の私は笑えているだろうか?この人に迷惑はかけたくない。
「・・そんな顔をするな。私の愚弟が済まなかったな。」
そういいながら抱きかかえられ、私の頭はその人の胸に押し付けられた。
「いえ・・。」
「そんな声で何ともないように言うな。泣くことは恥ずかしい事じゃない。気持ちを吐き出すことはみっともない事じゃないんだ。今のお前は感情を押し殺した状態だ。私しかいない今のうちに吐き出せ。・・教官としての最後の役目だ。他人に助けて貰う事は恥じゃない。苦しいと助けを求めたり、辛いと支えて貰う事は正しい事だ。それを教えてなかった私の責任だ。」
「そ・・う・・で・すかぁ・・。うぁ・・わぁああああん、うわぁぁあああ・・」
声をあげて泣いた。苦しかった、胸が締め付けられるようで。辛かった、愛しても愛してもらえない事が。寂しかった、また一人になってしまうことが。憧れた人がもう一緒に居られなくなることが。
「うぁああぁぁぁぁぁ・・ふぐっ、えぐっ・・あり・・がとうご・・ざいましたぁ・・。」
色々な思いを込めてそう告げる。
「・・・なるほどな。」
すべてを悟ってくれたようで、それ以上聞かないでいてくれた。
そして、私は学園長と織斑先生を交えて話し合い、国の担当官に通信して緊急の会議をして退学届けが受理され軍に戻ることとなり、学園を去ることになった。
誰にも言わず、国に変える事となったと軽くシャルに言って必要な荷物をすべて詰める。必要ないものは次の部屋を使うものが使えばいいと思い、残して行くことにして、私は学園を出る。
学園の島を離れていくのをモノレールの中で眺めて少しだけ涙が出た。
モノレールから街並みを眺めながら空港へと向かう。担当官が迎えに来ていた。隣には代わりのドイツ代表候補生が来ていた。私と違いドイツ軍出身ではなく、学園に通ったりしたことのある普通の学生らしい生徒だった。
「私の代わりになることはいらない。お前の好きに学生生活を過ごしてくれ。」
「・・聞いていたよりもずっと素敵な人ですね。あなたの代わりにはなれません。私は私ですから。」
「・・ふ。ありがとう。」
握手をして拳を前に突き出した。相手もそれに同じように拳を突き出してくれる。
「軍に戻っても御武運を。」
お互いに拳を『こつん』と突き合わせて腕を下げる。そして敬礼をする。
「ありがとう。」
私もそれに返して手荷物を持ってゲートを超えて機内に乗り込み私は外を見た。特別席のチケットだったため窓際の席で、備え付けのそれぞれも豪華だ。
そして、機体が動き出し、私はこれから日本を発つ。
加速しだした機体が浮かび空へと浮かぶ。そして、私は涙を流しながらも学園での記憶を忘れない。忘れたくないから私は声を殺して泣きながらも、記憶をしっかりと胸に焼き付けて機内で眠る。次に目が覚めた私は軍人のラウラ・ボーデヴィッヒだ。国のために、民のために武器をとる。強さとは守るためにある。もう、間違えたりはしない。
守るためにこの強さを使う。
そして、軍に戻りテロに近隣の国のクーデター、そして上官や他の部署のひがみなどと戦い私は位をあげる。何年も時がたち少佐だった私は大佐まで成れた。
それもあの時の経験があったからこそだ。人未満だった私を『ラウラ・ボーデヴィッヒ』にしてくれたあの男の事を忘れたりはしない。
今更失恋を嘆くようなことはない。
だが、もしも。もしもの話だが・・、あの出会いが違っていれば私は幸せな家庭を築けたのだろうか?
私が初めからラウラボーデヴィッヒとして彼と接することができたとしたら、彼は私を愛してくれたのだろうか?
休暇で街に出て、たまに一人で飲んでいるとそんな『IF』「もしも」が頭をかすめる。
「愛とはこの酒のように熱くもなれば、苦みも残すものだな。」
「そんな苦い酒なら少しは甘みのある酒を飲めよ。」
「・・私にはこれくらいがちょうどいいのだよ。」
「苦みがあろうとそれが良くなることもある。大人になるとそれがよく判るぜ。」
「・・・・まったく。幻聴ではないのだな?」
「探したぜ。外国なんか一回しか行った事がない俺には、世界中が知らない土地なんだからな。苦労したぜ。ドイツ語を勉強するのも、国のお偉いさんを説得するのも。」
「どうしてここに居る?」
「・・俺は結局答えてなかった。言葉で伝えてなかった。そして、失って分かった。愛とはあんなに重いものだったと。俺は馬鹿だからな・・失ってからやっと気が付いたんだ。」
「・・そうか。考えなしのお前が努力したようだな。そして、これからどうするつもりだ?」
「そりゃ決まってるぜ?」
隣から小さな箱を取り出す男の手がこちらに差し出された。
「結婚を前提に付き合ってくれ。」
「こんなところまで追いかけてきて、そんな事しか言えんのか?時間をかけ過ぎだ、この馬鹿め。」
「あぁ、俺は馬鹿だからな。もう、連れて帰ると宣言してきたから、引き下がれないぜ。」
「本当に・・ば、か・・だな。」
頬に暖かな物が伝い落ちる。
「あぁ、本当に馬鹿だ。で、返事は?ムシが良すぎるか?そう思うなら殴ってくれてかまわない。」
「ふん、まだ忘れられない位だ。私もお前の事を愛して居るよ。」
「・・私も付き合ってほしい。結婚を前提に、墓まで一緒に行こう。」
窓からみた灰色の空は青い色へと変わっていた。
このような終わりでした。短いですが、急に浮かんだ内容なのでこんなぐらいが私の限界でした。曲を聞いて考えた方がもしかしたら書きやすいのかもしれませんね。
楽しんで読んでいただけたのなら幸いです。
また、誰かの短編を思いついたら書いていこうと思いますね。
シンフォギアの続きを考える作業に戻ります。
それではまた。