季節外れにもかかわらず、こんな妄想が浮かびやがりましたよこんちくしょう。
眠いのに指が動く。
何だこの感覚は・・。
そうか・・私は・・書くことに飢えたのか・・。
そんな風に思いました。
あぁ、後日談と言うか、完全に妄想なので、気に入らない人にはごめんなさい。
ではどうぞ。
12/24・・・・AM7:10 『推奨BGM D.C.Ⅱ【Deam of Cherry tree】
△
気だるいいつもの朝。
一夏が居なくなってから二年の月日が経過した。
最終学年となったアタシはいつも通りに起きようとする。
ルームメイトは国の事で一時帰国した。
それから今は冬休み。
別にやる事もないが、せめて毎日の起きる時間は崩さないように考えている。
しかし、急に【ふわり】と鼻孔をくすぐる香りがした。
それはおかしい。
ルームメイトはいない。食堂の匂いがここまで流れてくるはずもないし、冬休みで自由になっているから基本的に量を作ってはいない。そこまでの匂いがするものなどありえない。
急激に目が覚めてガバッと起き上がる。
「あ、おはよう鈴。」
「え?」
そこにはエプロンをつけてフライパンを持つ『一夏』が居た。
「は・・え?」
「どうした?なんか悪い夢でも見たか?」
そう言ってフライパンを置いてから手を洗い、タオルで拭きながらこちらへと歩いてくる。
部屋の簡易キッチンだからそこまでの物はないが、それでも料理ぐらいはできるようにそろえている。
それを何で『一夏』が使っているのか・・。
そう考えて頭がおかしい事に気が付く。
ふわりと頭の上に手が乗せられる。
「ほら、・・大丈夫だ。怖い事なんかないぞ?」
そう言って軽くアタシの頭を撫でた後で目線を合わせるように屈んで笑いかけてくる。
ベッドの上に寝ていた状態のアタシはその顔と、今の状態に顔が熱くなる。
「は・・は・・はぁあああああ!?」
強烈な疑問と恥ずかしさと嬉しさがごちゃ混ぜになって声を上げた。
「あ、そのサラダのドレッシングどうだ?」
「ん?さっぱりしていいわね。中華風なのに少しフレンチな感じ?」
「そうそう、そんなイメージで作った。」
「それじゃちゃんとできてるわね。いいと思うわ。レシピ教えてくれる?」
「そう言うと思って、もう冷蔵庫の前にメモ張り付けたから。」
「さっすが、一夏ね。」
そう言って朝食をとる。
これが夢でもいい。
それでも、そうだとしても・・今のこの時間だけはどうしても壊したくなかった。
頭がおかしいと言われようと、なんと言われようと・・。
この時間だけは・・『今』だけは失いたくはない・・。
だからおかしいと思っても、それを口にはしない。
口にすればこの幸せな時間は壊れてしまう。
そう思ってしまった。
悪魔の仕業でもいい。
何かが起きてソレの諸悪がアタシでもいい。
ただ、・・ただ、この時間が何よりも愛おしい。
どれだけ望んでも・・。
渇望しても、得る事の出来ないこの時間は・・。
失いたくなかったから・・。
だから神様・・。
今だけは・・見逃してください。
明日、アタシが消えるとしても・・。
それでもいいから・・。
アタシから一夏を奪わないで。
そして、朝食を取った後は並んで食器を片付ける。
一夏が洗って、アタシが拭いて。
途中で泡が飛んで一夏の鼻に乗った。
アタシはそれを見て笑った。一夏もつられて笑った。
その笑顔はやっぱり、愛おしい彼の笑顔だった。
そして、二人で出かけた。
そんな予定はなかったけど、一応で何か買い物に出る可能性があったので前もって外出許可はとっていた。
今日と明日の二日間だけ・・。
いつも、千冬さんがアタシの顔色を見に来る。
どこかに出ようと声をかけてくれるから、一応で外出許可は得たのだ。
それが役に立った。一夏は隠れてモノレールに乗った。
居たらおかしいのだから仕方ないが、本人は・・、
『俺は外出届出してなかったんだよ・・。』
なんて言っていた。当然ながら、彼は既にこの学生ではないので外出届などは無いはずだ。
それなのにその自覚がない。だからその言葉に付き合った。言い訳を合わせた。
それは『今』を壊したくないからの行動だった。
一夏と一緒にレゾナンスに行く。
冬・・寒い・・二人・・。
そう思うとアタシは思い切って一夏の腕にしがみつく。
「おぉっと!?なんだ、どうかしたのか、鈴?」
「寒いからさぁ・・一緒にくっ付こうかなって・・。」
「あぁ・・そうだな。今日も寒いもんな。いいぜ、こうしてるとあったかいしな。」
そう言って笑う一夏。その顔は少し照れて赤い。きっとアタシはもっと赤いのだろう。
頬が熱くてすごく鼓動が速い。
アタシ・・ドキドキしてる。
こんな事、『あの日』からなかったのに・・。
「そうだな・・、寒いしまずは服でも見に行くか。」
「あら、一夏?いつの間に女の子の扱いがわかったのかしら?」
「えぇ!?いつも、まずは服見に行くのは鈴の行動じゃないか。」
「まぁ・・否定はしないわ。」
「だろ?そんな俺がナンパな奴みたいな言われ方は心外だぜ。」
「あはは、ごめんごめん。それじゃ、いい感じの店を探そうか?」
そう言って腕を引っ張る。
当然これは照れ隠しだ。
アタシの行動を完全に把握されていることがうれしかったのもあるし、恥ずかしかったのもある。
だから、とりあえず前に行って顔を隠した。
「あはは・・鈴?顔が赤いんだろ?耳まで真っ赤だからバレバレだぞ?」
「そこはわかってても言わない所よ!何よ!?悪い!?アタシが照れちゃ悪いの!?」
「いやいや、・・照れ隠しが鈴らしくて、その・・可愛いなってな・・。」
そう言って顔を同じように真っ赤にさせて顔をそらした。
そんなことを言われたアタシはさらに顔を赤くして、顔が熱くて熱が出そうだ。
幸せ過ぎて気絶しそうだ。
そして、いろんな買い物をした。新しく服を買ったり、靴を買ったり。
一夏が買ったあのリングの店は無くなっていた。
それをなにも一夏は言わなかった。
そして、一夏は何も買わなかった・・。
あの日の事に対しても、何も言わなかった。
それが逆に不自然だった。もしかしたら、あれは全部アタシの悪夢だったんじゃないかと思うくらいに・・。
でも、覚えている。
あの日の事は・・。絶対に忘れられない。
冷たくなっていく、あの時の温もりが・・失われていく瞬間を・・ありがとうと言ったあの顔を、あの時の笑顔を・・絶対に忘れるわけがない!!
そう思いながらも・・心を顔に出さないようにして、一緒にモノレールに乗った。
帰りはゆっくりと二人で隣に座って手を握り合って・・肩を寄せ合って・・沈む夕日を見た。
学園の寮に戻って残った食材で料理をする。
皆が来たら何か作ろうと思って買っておいた材料は、皆が今日は用事があって使わなかったからしっかりと冷蔵庫内に残ったままだ。
明日、皆が帰ってくるらしいから、その時にでもご馳走しようかと昨日まで思っていた。
それを一夏と一緒に料理する。
ローストビーフとか、豪華なサラダとかをいろいろと作っていく一夏。
それをアタシは後ろから見ていた。
簡易キッチンだから狭い。二人も一緒には料理はできない。
だから、一夏が作った料理と使う食器を並べるだけだ。
ジュースのシャンパンも用意しておいた。だけど一夏が
「それは、明日に取っておこう。」
と言ったので明日にまでおいておく。
あのポンッて音で抜ける栓を頭に当ててやろうかな。
そんなことを思いながら料理が並んだテーブルを見る。
ちゃんとクリスマスらしく、キャンドルまで用意しておいたのを目ざとく見つけてソレを二人の間に置いて火を灯してある。
そして、最後の料理をもって一夏がテーブルに来た。
「お待たせ。それじゃ、食べようか。」
「うん!待ってた!」
そう言ってお互いに向き合って座る。
飲み物は普通にグラスにジュース。
それでも目の前の料理はすごく豪華だった。
「それじゃ・・」
「せーの・・」
「「カンパーイ!」」
二人でグラスを鳴らして一口。それから料理を食べる。
「うわ!めちゃくちゃおいしい!!さすが一夏ね!」
「はは、さすがにこんな日ぐらいには千冬姉に豪華な食事をしてもらおうと思って覚えたからな。・・忙しくてほとんど一緒には食べられなかったけどさ・・。」
そう言ってグラスにジュースに視線を落とす。
その一夏の表情は非常に寂しそうだった。
「でも・・今日は鈴がいるしな!」
「そ、そうよ!アタシがいるんだからね!一緒にいることを感謝しなさいよ!!」
「ありがたく思ってるよ。」
そう言って笑った一夏の表情にはさっきの寂しさは消えていた。
そして、ゆっくりと食べた後、一夏が片づけをしてくれたから先にシャワーを浴びて、あとから一夏がシャワーを浴びた。そして、ジャージ姿でアタシの隣のベッドに入る。
「それじゃ、鈴・・。お休み。」
「おやすみ・・一夏・・。」
願わくば・・目が覚めた時に彼が居なくなっていませんように・・。
そう強く思いつつアタシは眠りについた。
12/25・・・AM7:15
あさ・・いつも通りに目が覚めた。
隣のベッドは空。
やはり・・あれは夢だったのだろうか・・。
そう思って起き上がる。
寝間着を脱いで着替え始めると、シャワールームのドアが開いた。
「ん?・・おはよう鈴、起きたのか・・って、うわぁ!?」
そう言って、慌てて後ろに振り返る一夏。
一夏!?夢じゃなかった!?そうか・・もともと朝早く起きて朝練するタイプだった。
だからベッドは空だったんだ!!うれしさがこみ上げてくる。
そう思った後、よく考えた。
今の彼の反応・・そして、寝ぼけながらのアタシの行動・・。
服を脱いだ。着替えはまだ来ていない。
「あ・・・。」
アタシは今、『下着姿』なのだと気が付いた。
「き・・きゃぁあああ!?」
それから一夏がよそよそしく声をかけてきた。
「その・・悪い。」
「いや・・その・・寝ぼけたアタシが悪いのよ・・。」
昨日から泊まって居る事を忘れていたのだから。
夢だと思っていたのだから。
だから今のアタシは嬉しさがこみ上げてきて、下着姿を見られたことすらも、許す。
むしろ、アタシに『女の子と言う事』を、感じている事こそが嬉しいのだ。
そして、一夏と共に廊下へと出た。
その行動は間違いだった。
「は・・・?い・・ちか?」
アタシの部屋の近くに千冬さんが立っていたのだから。
「どういう・・事だ?」
「こ・・これは・・」
そう言ってアタシは返答に困る。
初めは夢だと思った。
だけど『今』『此処に』『一夏が居る』事実は消せれない。
否定できない。そんなことは世界を敵に回してもさせない。
「一夏と・・一緒にデートをしてます。」
「おい・鳳・・いや、ここは『鈴音』と言おう。どういう事だ?そいつは・・」
「偽物か?」
そんな言葉を聞いたがアタシは一夏の手を引いて走り出す。
「『この一夏』は絶対に、偽物なんかじゃない!!」
そう言って一夏は嵐の後ろに付いて走ってくる。
「な!?おい、鈴音!?待て!止まれ!!」
「止まるわけ、ないです!!」
そう叫んで一夏と共に寮内を走る。
「おい・・そいつは・・一夏・・だと!?おい、鈴!?」
途中でラウラとすれ違うが止まるわけにはいかない。
建物から出て、初めはモノレールに向けて走ろうとするが、そうすると逃げ道がない。
逆に向いて校舎内に走る。
「鈴、ただいまー・・って、えぇ!?一夏!?どういう事!?」
シャルロットの横を行き過ぎる。
校庭を横切り、校内に入り廊下でどこに向かおうかと振り返ると箒が居た。
「鈴か・・朝から走り込みか?・・って・・え?・・一夏・・?」
箒がいた方と逆に走り出す。
階段を上ると上から人が三人おりてきた。
「あら、走っちゃだめよ・・って、え?」
「はぇ?・・おりむー?」
「織斑・・一夏・・?」
それは更識元生徒会長と布仏本音、そして、元会長によく似た女の子だった。
更識先輩は卒業後に大学進学。現在は教師志望としてこの学校に赴任している。
その先輩に似た子は、最近日本代表候補生としての評価が高い子。
名前は確か、更識簪・・。
あの子の機体のデータには、一夏の機体のデータが使われていると聞いたから覚えている。
その三人とすれ違っても止まることなく階段を駆け上がる。
そして三階に上がり、廊下を走る。目指す先に続いているのは逆の階段だから。
「・・え?おと・・こ・・・織斑、一夏さん!?」
話で聞いた初めに一夏を馬鹿にした女、セシリア・オルコットがこちらに気が付いた。その横を走り抜けてまた階段を駆け上がる。
『推奨BGM D.C.Ⅱ 『消えないで…』
そして、目的の場所へと着いた・・。
「はぁ・・はぁ・・」
アタシは息を整えるために膝に手を当てて、肩で息をする。
その間に一夏が前に一人で歩いてく。
「・・いち・・か・・ま・・って・・。」
彼が先に一人で行くのだけは見たくない。
また置いて行かれるのなんかたくさんだ。
あんな後悔はもうたくさんだ!!
そう思って手を伸ばす・・だが、
「鈴音!!」
そう言って手を掴まれ引っ張られる。
後ろに引かれる。
伸ばした手は、届かない。
そして、肩を掴まれる。
後ろから、たくさんの手が掴んでくる。
邪魔をしないで!アタシは、あの彼の手を・・彼の背中を・・掴んで、離したくない!!
そう思って振りほどこうとするが、さらに手はしっかりと捕まえてくる。
そして、アタシは抑えられた。
「思い出せ!一夏は!一夏は!!」
「あの日に、お前の代わりに・・!!」
「それ以上言わないで!!」
そう言って首を振る。否定する。目から涙がこぼれる。
だが、現実は非常だ。真実を突きつける。
「もう、死んでしまったんだ!」
そう言われて力が抜ける。
すべて・・否定したい。
でも、アタシ自身がそれを知っている。
すべてわかっている。
でも、あきらめたくなかった。
甘いこの夢の中で・・酔いしれて居たかった。
「現実は・・非常だ・・。だから・・お前はあの日・・受け入れたのだろう?」
千冬さんがアタシの目を見てそう言ってくる。
「分かってた・・。おかしい事は・・分かってた。」
涙がとめどなくあふれる。
「それでも・・うたかたの夢でも・・嬉しかった・・。だから・・、アタシは・・」
「否定して、今の状況を受け入れようとした・・。」
「はい・・。」
「でもな、鈴音・・あいつはお前の好きなアイツはもういない・・。それは受け入れたはずだ。あの日に受け入れて受け止めたはずだ。」
「・・はい・・。」
そう言ってアタシは声を上げて泣いた。
「あぁあああああああぁぁぁぁぁ・・!!」
全力で・・泣いた。鳴いて、啼いて、哭いて・・。涙を流しながらも前を見た。
そこに居る人物を見るために。
そして・・アタシの後ろの全員はISを装備した。
「貴様・・寄りにもよって、一夏の姿とは・・本気で地獄を見せてやろう。」
本気の千冬さんの殺気があふれた。
それを言われた本人は背中を向けたまま空を見ていた。
「おい!一夏の偽物!!貴様は・・!!」
「そろそろ・・時間だ。」
夕日を見ながらその人物は呟いた。
その夕日は、あとの時の夕日と一緒の色・・。
あの時は夏だからもう少し遅い時間だろうけど・・。
夕日の色は一緒だった。
「鈴・・。」
振り向いた彼は手にある物を持っていた。
それは・・あの時の指輪。リング・・ペアでつけて笑いあったあのリング・・。
「貴様!?何故それを・・」
力が抜かれた瞬間にアタシは飛び出した。
そして、彼のもとに走る。
「おい!鈴音!?戻れ!!」
『推奨BGM D.C.Ⅱ【cloudy】
「分かった・・、あなたは『あの言葉』を現実にするために来たのね?」
アタシは自分のリングを外す。
そして、彼に渡した。
「ありがとう・・信じてくれて・・、覚えていてくれて・・。」
渡したリングを握る。逆に持っていたリングをアタシは手に取る。
「は・・?どう・・言う事だ?そいつは・・」
「彼は一夏よ。貴方の弟、織斑一夏。本人よ。一番恋したアタシがわかるわ。」
「あぁ・・俺が一番思っていたお前がそう言ってくれてうれしいよ。・・ありがとう。」
お互いに抱きしめあう。
そして、一夏が少し背をかがめてアタシと目線が合うようにした。
「鈴・・ごめん。俺・・もう待てなくなったんだ。」
そう言って涙を流す。
「俺、ずっと待っていようと思った。だけど・・神様って存在にさ・・転生するようにされちまった。もう・・お前を待てなかったんだ・・。」
そう言ってボロボロと涙を流す。
「約束・・守れないと思って・・ここまで来たんだ・・。ごめんな・・本当に、ごめんな・・。」
そう言ってアタシの顔に・・頬に手を添える。
「だから、・・これが最後なんだ・・。最後のチャンスだったんだ・・。」
「そう・・だったの・・。」
「あぁ、だから・・しようか・・。結婚式を・・。あの宣言したこの場所で・・。」
「えぇ・・。しましょう・・、アタシたちだけの結婚式を・・。」
そして、お互いに指を出し合う。
一夏がアタシの手をやさしくとって、左の薬指に指輪を通す。
逆にアタシも一夏の手を取って同じように薬指に指輪を通す。
「・・鈴・・愛してる。」
「えぇ・・一夏・・。アタシも、あなたを一番愛しているわ。」
そう言ってキスをした。
お互いに抱きしめあってキスをした。
「「あぁ・・君が好きだ・・。」」
その思いでいっぱいになるキスをした。
そして、どちらとも言わずに離れる。
夕日は沈み、うっすらと月が上りだす。
「それじゃ・・時間だ・・。」
そう言って彼は【指輪を外した】。
「え・・なんで・・。」
「言っただろ?俺は生まれ変わっちまう・・。お前の事を覚えていられなくて・・苦しい。だが・・それでも・・お前が幸せで居る事を願うために・・。」
指輪をアタシに握らせた。
「これはお前が、全て吹っ切れたときに、処分してくれ。」
そんなこと・・、あんまりじゃない・・。
「お前が幸せをつかむために・・俺の事を忘れてくれ。」
「そんな事!!できるわけないじゃない!!」
そう叫ぶ。
「大丈夫だ・・。どこででも・・、転生したとしても・・お前の事を忘れたとしても・・きっと俺のどこかでは、お前の幸せを願ってるから・・。」
そう言って頭を撫でられる。
「だから、・・幸せになるために・・俺の事を忘れてください。あなたの幸せをつかむために・・俺の事を乗り越えて・・、幸せになってください。」
涙を流しながら、そう微笑む。
「それだけが・・最後の・・俺の願いだ・・。」
そう言った彼の輪郭が薄くなり始める。キラキラと光の粒が彼の周りに現れる。
「あぁ・・時間だ・・。」
そう言って数歩下がる。
「待って!置いていかないで!!一夏、一夏ぁ!!いちかぁあああ!!」
手すりに座り。月を背中にますます薄くなる彼の輪郭。キラキラと空に舞い上がる光は、その量を増やす。
「皆も・・きっと大丈夫だな・・。」
そう言って振り返った、その顔ははかなく笑った・・あの日の顔とそっくりだった。
「ありがとうな・・皆・・。鈴・・それじゃ、最後に一言だけ言わせてくれ・・。」
「待って!まだ言い足りない!一緒に居たいの!!一夏!」
「・・メリー、クリスマス・・。」
その一言と共に光になって彼は消えた。
空に上がっていく光の粒・・。
それが見えなくなった時、アタシは膝から崩れ落ちた。
「いち・・か・・、無理だよぉ・・忘れる事なんて・・できるわけないよぉ・・。」
そのまま指輪を抱きしめて、壊れそうな心をこぼさないように・・。
きっと彼のその願いだけは叶わない。
だって・・消えた後でも・・こんなにも愛おしいのだから・・。
そして、昨日造った料理をみんなと食べた。
千冬さんと宏樹先生も一緒にアタシの部屋に来た。
「そう・・だったのか・・。」
その料理を食べた千冬さんが涙を流す。
「いつも・・帰った時には眠っていたから・・あいつは知らなかっただろうけど・・。用意されていたごちそうは何よりもうれしかったんだ・・。」
ローストビーフを口に運びながら涙を流し続けた。
そして、ジュースのシャンパンを開けてみんなで分ける。
「それにしても・・なんで、彼は昨日今日で現れたのかしら?」
更識先生がそうつぶやく。
「きっと・・彼なりの何かがあったんじゃ?」
そう簪さんが答えた。
「昔、アタシがクリスマスに言った言葉があるの。【アタシが死んでそっちに行った時に、買ったペアリングで結婚式をあげましょう?】って。」
「それでも・・去年でもよかったんじゃないの?彼の言っていたことからス号切羽詰まってたから・・」
「それは・・?確かに・・。」
そう言っていると、呟くように宏樹先生が言った。
「それは・・きっと彼のこだわりじゃないかな?」
「「「「こだわり?」」」」
皆が首をかしげる。千冬さんも一緒だった。
「だって、もしも・・生きていたら、彼は今年で18歳。結婚できる年まで待ったんじゃないのかな?」
そう言うとみんなが納得した顔をした。
「確かに、どこかズレているが律儀だったしな。」
「そう言うところも一夏らしいのかもね・・。」
「確かに。」
「違いないな。」
知っている皆は苦笑いをしながらも、どこか懐かしんでいた。
それでも彼らしいのは違いないのだ。
「ロマンチストだったしね。・・まるで、夢のクリスマス【Dream Xmas】のようね。」
そう・・どこか、少年のような心があったのだ。
△
12/25PM16:30・・・・
「あぁ・・寒い。」
アタシはいつも通りに学生の面倒を見て担当の部活動を見た。
部活動は昼までだったのに、その後の残ったことをしていたらこんな時間になってしまった。
アタシは今、IS学園で体育の担当教師をしている。部活動は料理部ね。
そして、買い物の予定でモノレールからレゾナンスへの道を歩いている。
今日は一段と寒い。
雪が降りそうな天気だ。
いつも何気なく空を見上げる。
生徒からもいろいろと言われるが、しょうがない。
そしてそのまま歩いていたら・・
「うわっ!?」
「きゃぁっ!?」
人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい・・考え事をしていて・・」
「こちらもごめんなさいね・・。」
相手は少年だった。
何か・・どこか覚えのある・・。
一体どこで・・。
「あの・・お姉さん・・どこかで会ったことありますか?」
その顔を見てアタシは驚いた。
そして、アタシはふと笑顔になった。寒さも気にならなくなるくらいに・・。
心があったまった。どこかでつながっているとわかったから。
だから、アタシは【こう】口にした。
「そうね・・きっと、君の覚えてないくらい・・前じゃないかな・・。」
おかえりなさい、と・・。
因みに、内容を考えるための所要時間、五時間。
執筆時間三時間です。
短くてごめんなさいね。
ではまた、どこかで。