遊戯王- after GX-   作:blanche

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第三話 遊佐蓮矢の波乱な一日(前半)

起床。いつも通りの時間に起き、まず始めるのはデッキの調整。まだまだ俺はこのデッキを使いこなせているとは言えない。毎日微調整……時には大きくコンセプトを変える……を重ねて常にその日の最高のデッキに仕上げていく。

それから外に出て、掃き掃除をしていた樺山先生に挨拶をしてからアカデミア内を軽く走る。どこかの誰か曰く、デュエルマッスルなるものを鍛えることで、いいカードが引けるようになるらしい。無論、鵜呑みになどはしない。だが早乙女先輩をはじめとするこの学園のバケモノじみた強さを持つ人たちに勝つためには、やれる事は全てやっておきたい。

 

レッド寮に近づくと、一人の生徒が寮の前に立っていた。見知った顔なので挨拶でもしようか。

 

「よう、絽馬。相変わらず早いな」

「ん?……ああ、遊佐くんじゃないか。おはよう。僕は今日の食事当番だから」

「……お前、昨日会った時も同じこと言ってなかったか?」

「あはは……ウチの寮、料理できる人がほとんどいないから。遊佐くんはいつもの?」

「ああ、でもせっかくこうして時間あるときに会えたんだし、ちょっとデッキの調整手伝ってくれよ。先に朝食作るの手伝って、それが終わってからでいいからさ」

「ええっ!?……まあ、いいけどさ……」

 

オシリスレッドの赤い制服に身を包み、翡翠色の髪と瞳をした、少し押しに弱い少年。俺から見る、絽馬という人物の第一印象だ。五年兄弟の四番目らしく、一番上の兄はあの童実野町で一時期有名になったこともあるらしい。名前を頑なに教えてくれず、「いつか……いつか必ず教えるよ」といつもはぐらかされてしまう。

性格は見た目通り少し押しが弱いところもあるが、度胸が無いわけではない。俺の数少ないオシリスレッドの友人と言える。

 

そんな絽馬と一緒に、レッド寮の食事の用意を始める。レッド寮はそこまで人数が多くないとはいえ、普段の量よりかはかなり多い。それらをテキパキと仕上げていく絽馬に置いていかれまいと俺も準備を急いだ。

 

「ふう、終わった。遊佐くん、手伝ってくれてありがとう」

「こんくらい……大したこと……あるなあ……」

「あはは……慣れるとそうでもないんだけどねえ」

「まじかよ……さて。準備も終わったし、デュエルしようぜ」

「うん、いいよ」

 

「「デュエル!!」」

 

蓮矢 LP4000 手札5

絽馬 LP4000 手札5

 

「先行は僕だね。僕は手札から≪カードガンナー≫を召喚、効果を発動するよ。デッキの上から三枚のカードを墓地に送り、エンドフェイズまで攻撃力をアップさせる」

 

現れたのは墓地肥やしやドローソースとして優秀なモンスター、カードガンナー 。

 

≪カードガンナー≫

星3 地 機界

400/400

 

「更に手札から≪補給部隊≫を発動。カードを二枚伏せてターンエンド」

 

絽馬 手札5→2

カードガンナー ATK400

補給部隊

セット2

 

絽馬は豊富な墓地肥やしとドローカードで準備を整え、爆発的な展開を見せてくる。本人曰く、憧れのデュエリストを真似しているらしい。

…………最近知り合ったある女の子が脳裏に浮かんだが気のせいだろう。

 

「相変わらずドロー狂だなっ!俺のターン、ドロー!俺は手札から≪儀式の下準備≫を発動!デッキから≪祝祷の聖歌≫と≪竜姫神サフィラ≫を手札に加える!」

「……儀式モンスター?珍しいね」

 

蓮矢 手札5→7

 

「ああ、ちょっと色々試しにな。次に≪召喚師アレイスター≫を召喚。≪召喚魔術≫を手札に加えて……俺は永続魔法≪星邪の神喰≫と儀式魔法≪祝祷の聖歌≫を発動!手札の≪カーボネドン≫と場のアレイスターをリリースし、≪竜姫神サフィラ≫を儀式召喚!」

 

俺の場に竜と女性を足したような神秘的なドラゴンが現れた。こいつともう一枚のカードが今の俺のデッキを動かすエンジンになる。

 

蓮矢 手札7→3

 

≪竜姫神サフィラ≫

星6 光 ドラゴン

2500/2400

 

「更に召喚魔術を発動!俺の墓地のアレイスターと絽馬の墓地の……≪サイコ・ジャンパー≫をゲームから除外!来い、≪召喚獣メガラニカ≫!」

 

地の召喚獣、メガラニカ。効果はないとはいえ、ポンと攻撃力3000が出てくるのは相手にとって恐ろしいに違いない。

 

蓮矢 手札3→2

 

≪召喚獣メガラニカ≫

星8 地 岩石

3000/3300

 

「ここで俺は俺の墓地からモンスターが一体のみ除外されたことにより、星邪の神喰の効果を発動!デッキから属性の違う≪プリベントマト》を墓地に送るぜ!バトルだ!サフィラでカードガンナーに攻撃!」

 

竜姫神サフィラ ATK2500

カードガンナー ATK400

 

「僕は≪ガード・ブロック≫を発動!戦闘ダメージを0にし、カードを一枚ドロー!≪カードガンナー ≫と≪補給部隊≫の効果で更に二枚ドロー!」

 

絽馬 手札2→5

 

……まずいな、一気にライフを減らして焦らせようかと思ったんだが、相手の手札を増やして終わってしまった……次に打つべき手はこれしかない、か。

 

「……ならメガラニカでダイレクトアタック!」

「まだだ!僕は≪工作列車シグナル・レッド≫の効果発動!このカードを特殊召喚し、攻撃対象を移し替える。さらにこのカードはこの戦闘で破壊されない!」

 

絽馬 手札5→4

 

召喚獣メガラニカ ATK3000

工作列車シグナル・レッド DEF1300

 

「ライフを減らせなかったか……俺はカードを一枚セットし、墓地の召喚魔術の効果発動!アレイスターを手札に戻し、自身をデッキに戻す!エンドフェイズにサフィラの効果を発動。デッキから二枚ドローし、その後手札を一枚捨てる」

 

蓮矢 手札2→3

召喚獣メガラニカ ATK3000

竜姫神サフィラ ATK2500

星邪の神喰

セット1

 

「流石だね、でも負けないよ!僕のターン、手札から≪緊急テレポート≫を発動!デッキから≪寡黙なるサイコプリースト≫を特殊召喚し、効果発動!手札を一枚捨て、墓地の≪サイコ・エンペラー≫をゲームから除外する。更に二体のモンスターをリリースし、≪マスター・ジーグ≫を召喚!さらにサイコプリーストの効果で除外されていた≪サイコ・エンペラー≫を特殊召喚!」

 

デッキから超能力を扱う神官が現れたと思ったら、要塞のような見た目をしたモンスターと脳に管を繋がれた老人がそれを塗りつぶす様に現れる。

サイコプリーストが出たということは、始まったな……絽馬の大量展開が!

 

絽馬 手札5→2

 

≪マスター・ジーグ≫

星8 地 サイキック

2600/1400

 

≪サイコ・エンペラー≫

星6 光 サイキック

2400/1000

 

「おうおう、大型モンスターが出てくる出てくる……」

「サイコ・エンペラーの効果で墓地のサイキック族一体につきライフを500回復する。僕の墓地にはサイコプリースト、アーマードサイキッカー、サイコウォールドの三体がいるから1500ライフを回復。さらにマスタージーグの効果で1000ライフを払い、セットカードとメガラニカを破壊するよ!」

「そこまで好きにさせてたまるか!≪ブレイクスルー・スキル≫発動!マスタージーグの効果は無効だ!」

「あー……そのカードだったかあ……でも、使うタイミングを間違えたね!僕の墓地には地属性モンスターが五体!」

「おいおい、嘘だろ……」

「来い!≪地霊神グランソイル≫!」

 

絽馬 LP4000→5500→4500 手札2→1

 

≪地霊神グランソイル≫

星8 地 獣戦士

2800/2200

 

メガラニカを彷彿とさせる巨大な岩石の巨人。その効果は元禁止カードの《使者蘇生》を模している。

 

「グランソイルの効果で墓地の≪アーマード・サイキッカー≫を特殊召喚!」

 

≪アーマード・サイキッカー≫

星6 地 サイキック

2200/1800

 

これで絽馬の場には大型モンスターが4体……中々厳しい布陣だ……だが、

 

「行くよ!バトル……

「おっと、メインフェイズ終了時に墓地のプリベントマトを除外して効果発動!このターンの効果ダメージは0だ!」

「このタイミングで?戦闘ダメージは0にならないよ?」

「んなもん知ってるさ、本命はこっちだ!墓地のモンスターが一体だけ除外されたことにより≪星邪の神喰≫の効果発動!デッキから≪超電磁タートル≫を墓地に送る!さあ、バトルフェイズだぞ」

「くそう……そういうことか……僕は手札から≪補給部隊≫をもう一枚発動してターンエンド」

「エンドフェイズ時、デッキから光属性モンスターが墓地に送られたことによりサフィラの効果発動!二枚ドローし、手札を一枚捨てる」

 

蓮矢 手札3→4

 

絽馬 LP4500 手札1→0

マスター・ジーグ ATK2600

サイコ・エンペラー ATK2400

地霊神グランソイル ATK2800

アーマード・サイキッカー ATK2200

補給部隊

補給部隊

セット1

 

「さて……あの布陣をどうやって突破したものか……俺のターン、ドロー!」

 

蓮矢 手札4→5

 

さて、あのモンスターを召喚出来さえすれば向こうのモンスターは全て破壊できる。が、あのセットカード……それに補給部隊で何をドローするか分からないからな……なるべく慎重に、かつ全力で行こう。

 

「まずは≪サイクロン≫でセットカードを破壊!」

「ああ、≪激流葬≫が……」

「危ねえ危ねえ……墓地の≪カーボネドン≫の効果発動!自身を除外し、デッキから≪エメラルドドラゴン≫を特殊召喚!墓地からモンスターが一体のみ除外されたことにより≪星邪の神喰≫の効果発動!デッキから≪アレクサンドライドラゴン≫を墓地に!行くぜ、≪龍の鏡≫発動!エメラルドドラゴンとアレクサンドライドラゴンをゲームから除外し、≪始祖龍ワイアーム≫を融合召喚!」

 

蓮矢 手札5→3

 

≪始祖龍ワイアーム≫

星9 闇 ドラゴン

2700/2000

 

「まだだ!≪召喚師アレイスター≫を召喚!効果で≪召喚魔術≫を手札に加えそのまま発動!アレイスターとサフィラの効果で墓地に捨てた≪レッド・ドラゴン≫をゲームから除外し、出でよ!≪召喚獣プルガトリオ≫!プルガトリオの攻撃力は相手モンスター一体につき200アップする!」

 

≪召喚獣プルガトリオ≫

星7 炎 悪魔

2300/2000

 

ワイアームは優秀な耐性をもつドラゴン族融合モンスター。このモンスターを破壊するには基本的に魔法・罠カードに頼らなければならないのだが……それをしないということはあいつの墓地には厄介なカードはないと踏んでのプルガトリオだったが……正解だったな。

 

「さあ、バトルフェイズだ!プルガトリオは全てのモンスターに攻撃できる!まずはグランソイルに攻撃!」

 

≪召喚獣プルガトリオ≫ ATK2300→3100

≪地霊神グランソイル≫ ATK2800

 

絽馬 LP4500→4200

 

「くっ……何か引かないと……≪補給部隊≫二枚の効果でドロー!」

「何か引けたか?プルガトリオで残りのモンスターに攻撃!」

 

≪召喚獣プルガトリオ≫ ATK3100→2900

≪マスター・ジーグ≫ ATK2600

 

≪召喚獣プルガトリオ≫ ATK2900→2700

≪サイコ・エンペラー≫ ATK2400

 

≪召喚獣プルガトリオ≫ ATK2700→2500

≪アーマード・サイキッカー≫ ATK2200

 

絽馬 LP4200→3900→3600→3300 手札0→2

 

「ぐぅぅ……僕のモンスター達が……」

「まだまだ行くぜ!ワイアームでダイレクトアタック!」

「まだだよ!手札から≪速攻のかかし≫の効果発動!手札から墓地に送り、バトルフェイズを終了させる!」

「……しゃあないな、エンドフェイズ。サフィラの効果で相手の手札を一枚捨てさせてターンエンドだ」

「僕のターン……ドロー!………………参りました……」

「おう、デュエルありがとな!」

 

 

デュエルの後、絽馬とデッキについてあーでもないこーでもないと軽く話し、俺はランニングに戻る。ある程度走ったところで寮に戻り、樺山先生に挨拶しつつ朝食を食べ、学校へ。今日はどうやら特別講義ということで、かなりの有名人が来ているらしい。普段アカデミア公式のデュエルなどで使用するデュエル場の観客席に座り、少し待つとクロノス先生と、銀白色のコートを靡かせる一人の男性が現れた。おいおい、有名にも程がないか……?

 

「皆サン、集まったノーネ!本日はスペシャルなゲストとして、我がデュエルアカデミアの創設者である海馬コーポレーションの社長、シニョール海馬にお越しいただいたノーネ!講義と模範デュエルをして下さるので心して聞くーノ!!」

「ふぅん……俺が海馬コーポレーションの社長、海馬瀬人だ!今日は貴様らに高次元のデュエルというものを見せてやる!」

 

 

そこにいたのは、「伝説」と言われているデュエリストの一人、海馬瀬人であった。




今更ですがチューナーやペンデュラムの扱いについて一応。
この時代、まだそれらの存在は出てきません。カードにはチューナーやペンデュラムの表示はなく、ただの効果モンスターとして扱います。

≪調和の宝札≫のようなチューナーを指定するカードに関しては、チューナー部分の記述を排除しますが、本来の効果で該当するカードのみで進行していきます。ご容赦ください。
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