転生オリ主だけど一夏がホモだった   作:ニコウミ

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彡(゚)(゚)「ついに最終章。二話仕立てやで! どっかのグールもあんな終わり方やったからワイも許される筈や!」


THE HAPPYEND 世界一ピュアな純愛 その1

 ◆ ◆ ◆

 

 ―――――――――一ヶ月前に遡ろう。

 

「パパ-。今週のIS雑誌買ってきたよ」

「お、ありがとうミーシャ。そこ置いといて」

 

 ラウラが普段過ごす宿舎にお邪魔している俺はのんびりとソファーに寝転び、何をする訳でも無くぼっと窓から見える景色を見ていた。そんな俺を慣れたようにラウラの部下達が想い想いの行動をしている。

 パパと呼ばれているには、特別な意味は無い。だが、娘達曰く、パパ的な立ち位置らしい。

 最近の女の子が考えることは良く分からんな。

 

「んー……そう言えばさ、パパってママの何処が好きなの?」

「んぁ? いきなりなんだよ?」

「だってさ、ママと結婚するんだから娘としては聞いておきたいじゃん」

「結婚って……あのな、そもそも俺はラウラと結婚なんかしないぞ?」

「うっわぁ……娘の前でヒモ発言とかパパ終わってるね」

「第一、なんで結婚の発想に行き着いたんだよ」

「なんでって……指輪あげてたじゃん。右手に」

 

 指輪あげただけで結婚するなら日本なんか一夫多妻制になっても追いつかんわ。渋谷に行けば右手に何十個も指輪しているマジキチお兄さんいっぱい居るからな。

 いまいち、ミーシャの言いたいことが良く分からん。年頃の女の子だから恋愛に食い付きたいのは分かるが、些か早計すぎるぞ。

 

「……だから? 右手に指輪なんかアクセサリーの…」

「“ドイツの結婚指輪は右手の薬指だよ“?」

「」

 

 はい?

 

「ママ、最近はずっと指輪を見つめて艶っぽい溜め息しているし。軍上層部でママを可愛がってた中将とかも泣くほど喜んでるよ」

「……え。あの……」

「それにほら。この雑誌の見開きも」

 

 “電撃婚。男性IS起動者武川結城。プロポーズを激写。ホモじゃ無かった!!どういうことだ! 特集“

 

 え。

 結婚。誰が、誰と。結婚。

 

「―――――――――ファッ!?」

「いやー。めでたいなー。こいつはめでたいなー。私はパパがパパになるんなら文句は無いよー。Welcome!!」

「天狗だ!! 天狗の仕業じゃ!!(AA略) いやいやいやいやッ!! えっッ!? えっッ!? 俺、結婚すんのッ!?」

「よっ、ホモ界のロリコン!」

「うっせぇよタコッ! なんだよホモ界のロリコンって!! ていうか本当に何が起きたのッ!? 結婚すんの!? 誰が!? 俺が!?」

「……え、えぇ……もしかしてパパ……マジで無意識なの……?」

 

 頭が正常に働かない俺に対してミーシャは割と真面目に汚物を見るように俺を見つめてきた。落ち着け武川結城。冷静に考えろ。ラウラに指輪を渡したシーンを思い浮かべるんだ。あの時、俺はどんな言葉を放った。

 あっ……(察し)

 

「完璧なプロポーズじゃん……」

「……プロポーズから一週間後に気付くとか流石すぎて何も言えないね、パパ……」

「……どうしようミーシャ。パパ……プロポーズしちゃったよ……?」

「……屑過ぎるよパパ……流石のミーシャもフォローのしようが無いよ……」

 

 自分でもこの鈍感系路線はドン引き以外の何者でも無いけどさ。だって、ラウラ、こんな私でも良いのかって聞いてきて。珍しくイケメン台詞を言えたのにそれが屑発言だなんて。訳が分からないよ(Q)

 

「……今からプロポーズ断ったらどうなるかな」

「世間体からの評価が最低屑ホモ野郎になるんじゃないかなー……てか、ママが自殺しかねないよ……」

「ラウラを泣かせる訳にはいかないだろ……」

「結婚、しちゃえば? 愛なんか無くても結婚している人なんかいっぱいいるよ!! パパはお金持ちだから余計に愛なんか無くても結婚出来るよ!」

「やめろよ、女から聞きたくない言葉一位の台詞を娘から聞くパパの気持ち考えろよ」

「愛はお金で買える(確信)。パパ、私ね、ブランドバックが欲しいな?」

「それ違うパパだろ、やめろッ!! てかマジでやべえええええええええええええッ!? やっちゃったのッ!? やっちゃったの俺ッ!?」

「やっちゃった⭐」

 

 エへ顔ダブルピースで肯定するミーシャに俺は何も言えず両手を地面につき、頭を打ち付けた。無意識とは言え、もはや弁明も出来ないほど屑じゃないか。しかし、ミーシャは本当に何気なく俺を責める。さいてょからホームランかます大松かよお前は。

 

「ど、どうすれば良いですか……ミーシャ……女としての目線から俺はどうすれば正解ですか……」

「ミーシャ、ブランドバック欲しいなぁ……」

「買うよ……」

「えぇー!! そんな悪いよ-! 買って貰うなんて私汚い女みたいだしー! いらないよー!! 悪いよ-!」

「キャバ嬢かテメェはッ!!」

「でもなー。パパがどうしても買ってくれるって言うならミーシャ、頑張るけどなー………チラッ」

 

 殴りたいこの笑顔。逞し過ぎだろ我が娘よ。将来、絶対に悪い男に捕まったら搾り取ったあげくに捨てる女になるよ、この娘。

 

「……」

「……頑張るけどなー……チラッ」

「グッ……います……ッ!」

「え? なんだって?」

「買います……ッ!」

「何をー?」

「ブランドバック買います……ッ!!」

「誰にー?」

「我が娘のミーシャにブランドバック買いますから助けてくださいッ!!」

「やっだー」

「テメェこの屑女ッ!! 今の場面で断るとかどういう神経してんだッ!?」

「プロポーズを勘違いでした神経の可笑しいパパに言われてもなー」

「くそッ! 正論過ぎて何も言えねぇッ!! でも助けてください何でもしますから!!」

 

 頭を地面に擦り付け十六歳に助けを求める十九歳男児(一昨日誕生日)。

 

「仕方が無いなぁ-。ミーシャが助けてあげるよー」

「マジですか!! ど、どうすれば良いの!?」

「ズバリ! ママに嫌われれば良いのさ-!!」

「やだ……」

「子供か……」

「だってラウラに嫌われるとかそれもう最底辺の屑じゃん……」

「正岡子○にも劣らない間違えをしたパパは既に最底辺の屑だよ-!」

 

 この娘、内心ではマジギレしてんじゃないの。さっきから言葉のアタリが心を抉るんですけど。

 とりあえず、ミーシャの作戦とやらを深く聞こう。

 

「嫌われるって……ラウラに嫌われたら余計に泣かせるんじゃないか?」

「あまいなぁー。女はそんなに脆くないんだよパパ! もうパパがヒモで働かなくて経済力が無くて屑で暴力振るって女をオナ○としか想っていない男ならママも流石にブチ切れてパパを捨てるよ!」

「なんか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするけどこの際、無視して……ようは、ラウラに愛想を尽かされろってこと? もう弁解も出来ないレベルで屑確定じゃん」

「屑のパパが屑になるなんて哲学かな?」

「キレてるでしょ? 腹の内ではちょっとマジギレしてるでしょ? パパが全面的に悪いのは認めるけど、流石に泣くよ?」

 

 にまにまと笑顔で言い放つミーシャの目が冷たい。

 落ちるところまで落ちたか。

 

「……やるよ、駄目男になってやるさ!」

「その意気だよパパ! 既に魔性の駄目男だけどもっと駄目になれるよパパ!!」

「こんな世界から注目集めててホモの象徴みたいな扱いを受けている魔性の屑野郎なんかがラウラを幸せに出来るわけが無いんだ!!」

「そうだよパパ!! ホモ受け顔の屑野郎が幸せに出来るわけが無いよパパ!!」

「ラウラには俺よりも良い男が居る筈なんだよ!! イケメンで優しくてお金持ちで気が利いて心の豊かさに溢れてるイケメンが居る筈なんだよ!!」

「お金持ちだけのパパなんかより良い男が居るんだよパパ!!」

「うぇぇ……」

「泣いちゃった……」

 

 十六歳に泣かされる十九歳男児(戒め)

 悪いのは俺だよ。最底辺の屑だよ。認めるよ。こんな屑野郎がラウラのような天使を嫁に貰っては駄目なんだって分かってるよ。でも涙が止まらないの。男の子だもん(野球男子)

 

「……計画通り」

「……ん? なんか言ったか?」

「べっつにー?」

 

 ミーシャが物凄い笑みを浮かべていたような気がしたが、気のせいか。

 

「――――――ただいま」

 

 丁度と言うのか、玄関口から天使の透き通るような声が聞こえ、思わずミーシャと顔を合わせた。

 

「チャンスだよパパ! まずはママに向かって遅ぇんだよババアから言ってみよう!」

「無理無理無理無理ッ!? 難易度高ぇよッ!?」

「ただいま……って。なんだミーシャ。居たのか?」

 

 リビングに繋がるドアを開け、ラウラが現れると俺とミーシャの組み合わせに目を見開いて驚いていた。あまり見ない組み合わせだからだろう。

 ラウラの手には食材が詰め込まれたエコバッグ。そんなラウラを見ているとミーシャに脇腹を突かれる。

 

「ほら、パパ!」

 

 小声で言えと言われる。ちくしょう。言うしか無いのか。

 

「……あ、あぁー。そのだな……」

「うん? どうかしたか?」

「お……遅ぇんぬむゅ……お……おそ……」

「行くんだよパパ、早く! 屑発言を!(小声)」

「……?」

「か……遅ぇんだよ!! 心配しただろうがッ!!」

 

 ミーシャが顔面から滑り込んだ。

 

「え、え? そうか? 二時間程度しか経っていないが……」

 

 困惑しながらも何処か嬉しそうに腕時計を見るラウラに俺は詰め寄り、両肩を掴んだ。柔らかくて華奢で。しかも良い匂いで、思わず顔を赤らめながらも口を開く。

 

「お前みたいな天使が一人で買い物になんて行くんじゃ無い。次行く時は俺も連れていけ。良いな?」

「あ、あぁ……うん? 一緒に買い物に行きたかったのか?」

「そうだよ、行きたかったんだよ(錯乱)」

「…… 仕方の無い奴だな。では明日は一緒に行こうか。荷物係が必要だからな」

 

 呆れたような照れ笑いをしながら頬を赤くするラウラ。可愛い。

 

「任せとけ。こう見えても握力二百以上あるからよ(錯乱)」

「ゴリラか君は……ふふっ。ならこの荷物を冷蔵庫にしまってくれるかな?」

 

 俺の小粋なジョークに苦笑して持っていたエコバッグを手渡してくる。俺はそれを受け取り。

 

「おう、あ、ラウラ。髪が乱れてるぞ。風でも強かったか?(素面)」

「んっ……そうだな、ちょっと強かったぞ」

 

 断りも無くラウラの頭を撫でるように整えた。

 

「はい、直った……って、素手で直すのはあんまり髪に良くないな。悪い」

「良いさ。撫でて貰う機会なんか今まで無かったから……その、嬉しい……」

「ら、ラウラ……」

「………」

「あぁッ!! ウォッホンッ!! ママッ! さっき副隊長が呼んでたよッ!!」

 

 二人赤面で見つめ合っているとミーシャがわざとらしい咳き込みで気を散らす。

 

「え……クラリッサが? あぁ、あの件か。分かった、今から会いに行ってくるよ。またな、結城」

「あぁ、気を付けて行けよ」

 

 手を振ってリビングから出て行くラウラの背中を見つめながら、俺は腕で汗を拭う。静寂に包まれる部屋で俺は深く息を吐くと、ミーシャを見ながら頷いた。

 

「最高の屑だったな、俺」

「何処がッ!?」

「え? 強めの言葉言ったじゃん」

「ただの心配性の夫だよ今のは!! しかもママは寛容性が高いんだからあれくらいで堪える訳ないじゃん!! ちょっとツンデレを優しく見守る彼女だったよあれ!!」

「……いや、屑発言だとあれくらいが限界なんだけど」

「ヘタレか!?」

 

 十分に屑発言だったと想うけどな。何かが足りなかったのだろうか。

 

「電話してパパ!! 電話して腹減ったから飯作れぐらい言わないと-!!」

「いま出かけたばかりだぞ。流石に今になってそんなこと言えないぜ」

「言わないと今までの件が意味ないでしょー!!」

「はっ!? そうだったッ!?」

「はいテレフォン!!」

 

 ミーシャが俺の携帯をぶんどり、勝手にラウラに電話をかける。

 

『もしもし? 何か言い忘れたことでもあったか?』

 

 そしてスピーカーで通話をオンにすると、ミーシャが俺に携帯を差し向けた。屑発言しろと言うことか。

 

「あ……あぁー……今日帰ってきたらラウラが飯作ってくれないかな? 嫌なら良いんだけどね!」

 

 ミーシャが顔面から滑り込んだ。

 

『ご飯? 別に構わないが……ふふっ。お腹減ったのか?』

「ちょっとね。あと、ほら。俺が手伝うんじゃなくて、ラウラが一人で作るんだよ。俺はさ、ほら……め、めんど…」

『あぁ、構わないぞ。と言うより、前からご飯は私が作ると言っているだろう。君は男性なんだからリビングでふんぞり返っていれば良いんだぞ?』

 

 まるで当たり前かのようにラウラが言葉を返してきた。予想外の反応に思わず戸惑う。

 

「え? ……いや、悪いよ、それは」

『家の事は女の仕事だ。まぁ……手伝ってくれるのは嬉しいんだ。本当に。でもやっぱり、今日からは私が一人でやるからな』

「……あ、ありがとう」

『ふふっ……良いさ。美味しいと言ってくれればそれでな……』

「ラウラ……」

『……』

「ああぁーッ!! ウォッホンッ!! パパァーッ!」

『あっ……み、ミーシャが呼んでるみたいだ。私は切るぞ。また後でな』

 

 切れる通話を確認しながら、俺は携帯をテーブルに置くと此方を見つめてくるミーシャを見つめ返した。

 

「屑だったな、俺は」

「やる気あるの?」

「え?(困惑)」

「なんで本気で分からない風なんだよ-!! 全然まったくこれぽっちも屑じゃないよパパ!!」

「そうかな……そもそも屑の定義って何?(理系)」

「うざっ!! まだだ、まだだよパパ!! まだこの屑街道は始まったばかりだよ!! 私は諦めないよ!!」

 

 ―――こうして、俺はラウラに嫌われるべく、様々な行動や日々を送ることになった。

 

◆◆◆

 

 ダイジェスト版・武川結城の恋愛ロード(さかき傘新作情報十月発売ダイマ)

 

 【結婚式一ヶ月前】

 武川結城、ラウラ直属の部下になる。正式では無いがドイツ軍の手伝いをすることになり、ラウラに嫌われるべくラウラより高い功績を残す。ラウラに喜ばれる。満足顔でミーシャに報告しシャイニングウィザードを喰らう。

 次の日にラウラの母親代わりの中将に呼び出される。駄目男アピールで親から嫌われようと奮闘するが、ここで結城の年上キラー発動。気に入られ、親公認の付き合いに変わる。

 

 【結婚式三週間前】

 武川結城、テロリスト排除の仕事に就く。ラウラとの絶妙なコンビネーションからドイツのロリホモと言う異名が知れ渡り、テロリストに恐れられる。大規模なテロリストの攻撃が発生。「俺を置いて退け!! ラウラではなく、軍人としての選択をしろ!!」と言う台詞により、涙ながらラウラが結城を置いて撤退。

 武川結城、行方不明になる。

 

 【結婚式二週間半前】

 武川結城。目が覚めたらワイキキビーチに立つ。自らのIS、ギガンテス(略)がオッサンとして現れ、武川結城のギガンテス先輩によるケツ狙い鬼ごっこ発生。ワイキキビーチをオッサンと共に駆け抜け、目が覚めると第二形態に移行する。

 新たなISラファール・リヴァイブルヴァルギガンテス・ギカンテス重昆リヴァイヴルギカンテスと共にドイツ軍を襲うテロリストを撃退。ラウラと涙の再会をしドイツの中心で愛を叫ぶ。これがドイツに知れ渡り、ドイ中(セカチュー)がブームとなる。 

 その翌日、世界一名前が長いISと世界一名前がややこしいISのギネスブックに結城が掲載される。

 

 【結婚式二週間前】

 武川結城。もはや結婚するしかないことを悟る。

 

 【結婚式一週間前】

 武川結城。ミーシャに告白され、ラウラの愛に気付く。

 ラウラに改めて結婚を申し込む。勿論答えは了承。ドイツ軍人によるお祝いパーティーが開催され、武川結城、酒解禁。記憶が無くなり、気が付けば武川結城、ワイキキビーチに立つ。

 再びギカンテス先輩によるケツ掘り鬼ごっこ発生。オッサンと共にワイキキビーチを駆け抜け捕まる。(この後、武川結城は三日間の記憶を失い何が起きたか憶えていない)

 

 【結婚式三日前】

 ラウラとの結婚式が間近に迫り、今更ながら日本の連中を恐れる。身内のみの結婚式と称し、鈴のみに結婚式の招待状を送る。

 

◆◆◆

 

 




彡(゚)(゚)「ホモがないやんけ!! ふざけんなニコウミ!! タイトル詐欺やないか!! ぶっ○すぞッ! ムカつくんじゃッ!!」

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