転生オリ主だけど一夏がホモだった   作:ニコウミ

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こんな臭い二次を読む読者はホモの鏡。
冷静に考えてIS要素ゼロじゃん。


やべぇよ……

「とりあえず、教室に戻りなさい」

「俺の心に死ねと申すか……」

 

 生徒会室でお茶を飲む。今の所はお姉ちゃん(楯無さん)しかいないのだ。ちょっと平和過ぎんよ。ここには変態がいないから助かる。

 まぁ、そろそろ心の中でのお姉ちゃん呼ばわりは辞めて、素直に楯無さんとお呼びしよう。俺の唯一無二の癒しだし。

 

「まぁ、分からなくはないわよ? 幼馴染みの片方がホモで、片方が病んでたって言うのわね……いや寧ろ、箒ちゃんは仕方がなかったとしても、一夏君の方はなんで気付かなかったの?」

「……確かに、一夏は昔から女にモテていた。どれくらいモテていたかと言うと小中の女子九割にモテていた。登校するだけで黄色の悲鳴があがり、出待ちする女子も沢山居ました」

「漫画みたいね」

「だが一夏はそんな中、必要以上に俺と遊んでいた。単純に幼馴染みだからだろうと思っていたが、良く良く思い出せば、寒いとかなんとなくとかの理由で頻繁に手を握られていた気がする」

「ふ、ふぅん」

「女子が近付いてきても嫌な顔していたし、逆に弾……あぁと、俺や一夏の親友みたいな奴が一緒だったり、男子から肩組まれたりしたら滅茶苦茶笑顔だった。あれ、そう言えば俺、一夏にバレンタインのチョコ貰ったな……かなり旨かったから良く覚えている、あの後、体が火照って仕方なかっ……あれ? 一服盛られてるじゃん!?」

「なんで今気付くのよ……」

 

 『鈍感?』と書かれた扇を広げながら顔を歪める楯無さんを横目に俺は戦慄する。そう言えば、あの中国娘に良く、一夏と二人きりになるなと真剣に忠告されたことがあった。

 鈴が一緒に居たときは、なんとか鈴と一緒に鈴ちゃん一夏とラブラブ大作戦を決行していたが、鈴が居なくなってからは、一夏と遊ぶときは大体誰か居たし……危機一髪だったのか。今更ながら恐怖が涌き出てくる。

 

「とりあえず、教室に戻りなさい。貴方も一応はロシア代表候補生なんだから。ね? お姉ちゃんのお願いは聞いて 」

「……はぁ、仕方ない。分かったよ姉さん」

「……ッ!」

 

 楯無さんが何故か体を震わせて悶えているが、どうかしたのだろうか。最近、風邪とか流行っているから気を付けて欲しい。俺の唯一無二の癒し場なのだから。あの教室に戻るなら、千冬さんも連れていくか。

 あの人、多分まだベンチで黄昏てそうだしな。

 

「ま、まって結城!」

「ん? なんか用でも残ってます?」

「……こ、これ。持っていきなさい」

「なんだこれ、扇?」

 

 唐突に楯無さんから手渡された扇。

 朱雀の綺麗な模様が入った見るからに高価そうな扇だ。良く見れば手元に金具があり、ひけるようになっている。まるで防犯ブザーのような作りだ。俺は疑問を浮かべながら楯無さんを見ると、楯無さんは『愛護』と書かれた扇を広げながら口を開く。

 

「それは更織特別製の防犯ブザーよ。それをならせば瞬時に」

「あぁ、誰か助けに…」

「私が駆け付ける」

「楯無さんかよ!?」

「良い? もし転んだりしたら直ぐにお姉ちゃんを呼ぶのよ?」

「い、いや流石にかすり傷くらいじゃ……と、とりあえず、ありがとうございます。これは貰っておくよ、うん」

「あぁ……で、でもやっぱり心配だわ。お姉ちゃんも教室まで…」

「いや! 本当に大丈夫だから! た、楯無さんは生徒会室でゆっくりしていてください!」

 

 俺の言葉に楯無さんは顔を歪めて、突然泣きそうな顔に変わる。なに、なんか変なこと言いました?

 

「……お姉ちゃんって、呼んでよ」

 

 なんでですかねぇ。

 ちょっとしたノリで読んだアダ名がそこまで気に入ったのだろうか。まぁ、楯無さんには色々とお世話になっているし、それくらいならなんの問題もないのだけども。

 

「あぁ……お姉ちゃん?」

「……不服そう」

「お姉ちゃん!」

「無理矢理言ってるみたい……」

「……お姉ちゃん」

「うんざりしてるもん!」

「お姉ちゃん」

 

 はっきりと目の前から伝えると楯無さんはさらに顔を歪めて泣きそうな顔になる。

 

「今ちょっとウザイと思ったもん!」

 

 め、めんどくせえええええええええええええええええええええええええええ。

 

「お、お姉ちゃん? じゃあこれで、教室に戻りますんで!」

「あ……」

 

 嫌な予感が脳裏を過るので、俺は素早く生徒会室から飛び出る。楯無さんが何か潤んでいるのに恐怖を感じさせる目をしていたように見えたが、多分、何かの気のせいだろう。

 ふと走りながらも、時計に目を向けると、既に一時間目は始まっている。早く行かないと本気で怒られてしまうな。ただでさえ、俺は男性二人目のIS起動者なのだから、悪目立ちしてしまう。

 俺は階段をかけ降り、中庭に出るとベンチに小走りで駆け寄る。

 

「ほら、千冬さん。教室行きますよ」

「……やだ」

 

 ベンチで膝を抱えて俯く千冬さんに俺は出来る限り優しく話し掛けると、妙に子供染みた声で首を降る。落ち着いて話せ結城。今、千冬さんは少し繊細な時間なんだ。

 

「やだじゃないですよ。俺も一緒に行きますから」

「……一夏がいるもん」

「一夏はホモですけど、貴方の弟でしょう?」

「弟だもん……」

「なら一夏のこと、好きですか?」

「……うん」

「なら教室に行って、ちゃんと先生やりましょう。一夏の前で」

「うん……」

 

 そのまま千冬さんの手を引いて教室に向かった。

 

 ◆ ◆ ◆

 

 教室の前まで来ると千冬さんが俺の手を離して、顔を引き締める。

 

「……ふぅ、すまない。結城。私は少し弱くなった」

「そんなトキみたいな台詞言われても……」

「頑張るさ、だからお前も頑張れよ……さぁ、教室に入ろう」

 

 そのまま千冬さんは異様に格好いい佇まいで悟ったように語ると、教室のドアに手をかける。

 その哀愁漂う背中が全てを物語っている。その背中を見ながら俺は顔を覆った、なんて不憫な。千冬さんはなんの躊躇いもなく、ドアを開け放つ。

 

「―――そこで結城が言ったんだ。一夏、お前は俺の背中に居ろってさ」

「きゃあああああああああッ!! 純愛、純愛だわ!」

「俺の背中に居ろ(意味深)」

「結城君の後ろに一夏が?」

「一夏が結城君の後ろに?」

「結城君は受け、間違いない」

「一夏攻めが濃厚だったかぁ……たまげたなぁ……」

 

 帰りたくなった。

 

「騒ぐなアホ共」

 

 そのカオスな空気を切り裂くように千冬さんは逃げようとする俺の袖を掴み、教室に踏み込んでいく。

 

「ち、千冬様だ!?」

「ヴァルキリーの!? 千冬様あああああああッ!?」

「……騒ぐなアホ共と言ったんだがな」

 

 疲れたような溜め息を吐く千冬さん。さっきまでの姿が微塵も感じられない。これがプロか。暑くなる目頭を俺は抑えた。

 

「ゆうちゃん……」

「ほ、箒……?」

 

 そんな中、何故か一人だけ冷めてる箒が再び覚束無い足取りで此方に歩いてくる。その手は何故か刀が握られていた。何持ってん?

 

「言われてない」

「は、はい?」

「言われてない言われてない……私は言われてない。ゆうちゃんの後ろにいろって言われてない……言われてない」

「……お、落ち着け箒」

「……言われてない言われてない言われてない言われてない言われてない言われてない言われてないッ!!」

 

 なんの迷いもなく降り下ろされる刀。

 

「うおおォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

 そして奇跡に成功する真剣白刃取り。

 

「言われてないよ……?」

「うおおォォォォォォォォォォォォッ!? ち、力をこめ、こ、込めないで!? 鼻、鼻に当たる!? 言います、言います!! 隣に居てください!?」

「え……?」

 

 そして刀が何故か、瞬間に消える。い、今のISの武装か? なに迷いもなく降り下ろしてるんだこの娘……

 

「隣に……うん、隣に居るからな……ずっと」

「お、おう……好きにしてくれよ……頬斬れたぞ……」

「ゆうちゃん、頬から血が出てるじゃないか。一体誰が……」

 

 なんで覚えてないんだよ。怖いよ。やっぱり普通に怖いよ。そして俺の血をナチュラルに舐めるな。辞めろ、怖い。俺はこんな教室で一年も過ごすことになるのかよ。無理だろ、一週間で挫折するわ。

 

「ゆ、結城くん。遅刻は駄目ですよ!」

「あ……すいません」

「いや、山田先生。結城が遅刻したのは私のせいなんだ。すまないが怒らないでやってくれ」

  

 確か山田先生と言ったか。彼女が小柄な体で俺を見上げながら叱ろうとすると、すかさず千冬さんが俺を庇ってくれる。はっと千冬さんの顔を見ると、その目で気にするなと語っていた。なんて人だ、やはり俺の境遇はこの人にしか伝わらないのか。天使だ。

 

「そうなんですか? あ、すいません結城くん! 私ったら早とちりしてしまいました!」

「ゆうちゃんを怒った……」

「辞めるんだ箒! 俺は怒ってないから刀を仕舞え、お前の人生が仕舞われるぞ! ……あぁと、山田先生、すいません。此方こそ何も伝えずに居なくなってしまいまして。どうぞ、気にせずに授業の続きをどうぞ。箒は俺が抑えておきます」

「あ、ゆうちゃん……手を……」

「……は、はぁ……分かりました」

 

 とりあえず箒の腕を後ろから握って降り下ろそうとする刀を止めると、箒は恍惚とした表情で捕まれている手を瞬きもせずに見つめている。やっぱり怖いわ。

 

「お、おい結城! 俺も一緒に!」

「五月蝿ぇんだよ糞ホモが!! 女の子なら未だしもなんでお前まで握らなきゃいけないんだアホが!!」

「昔はあんなに握ったのに!」

「握った?(意味深)」

「昔は握った(意味深)」

「何を握ったんですかねぇ……」

 

 ちょっとばかし腐ってる奴が多すぎんよ。やべぇよやべぇよ……なんなんだこのクラス。

 

「――――少しは静かに出来ませんの?」

 

 そんな静寂を切り裂くように輪とした声がその場に響く。ふと周りに釣られて視線を向けると、クラスの一番窓際、一人の長い金髪を揺らしながら何かの文庫を読んでいる一人の女性が席に座ったまま此方を睨んでいた。その顔はかなり端整であり、その睨み付けるような顔をさらに際立てていた。

 

「え、あ……悪い、少し五月蝿くし過ぎたかな?」

「……いえ、分かれば良いのですわ」

 

 そう言うと彼女は視線を文庫に戻して読み始める。あらやだ、まともな娘が居るじゃない。

 その娘の言葉に周りはすっかりと意気消沈し、クラスは静寂に包まれている。そんな中、まるで注目を集めるように千冬さんが手を叩き、乾いた音を響かせる。

 

「貴様ら、さっさと自己紹介の続きに戻れ。一夏の次だろうが、まぁ折角だ。男である武川が自己紹介してしまえ」

 

 そう言って場を切り直す千冬さんに治り、俺は危ない表情になってきた箒を投げ捨て、咳払いを一回して、口を開く。

 

「あぁ、んじゃ。武川結城です。趣味はこれと言って無いんですが、一応スポーツとして空手をやってました。まぁ昔の話なんですがね」

「溝に……」

 

 俺の言葉にさっきの彼女が何かを呟くが、声が小さくて良く聞こえない。なんか気になることでもあっただろうか。表情が無表情に近くて良く分からないが。

 

「……まぁ、一夏や箒とは昔からの幼馴染みでしてね」

「そろそろ新たな段階に行こうぜ!」

「うるせぇよホモ」

「幼馴染みとの新たな段階に進みたいと言う純粋な思いを踏みにじる結城さんは人間の畜生」

「一夏の純愛を拒む……これもまた愛ね」

「やべぇよやべぇよ……」

「さっきからなんなのお前ら? そんなに俺を苛めて楽しいの?」

 

 このクラスには腐ってる奴しかいないのかよ(諦め)

 まともな奴って千冬さんと山田先生とさっきから文庫を読んでいる彼女くらいじゃないか。

「じゃあ、さっきからの続きでセシリアさんから自己紹介と行きましょう!」

 

 山田先生が周りをものともせずに言う。あの人、凄いな。

 セシリア、そう呼ばれた文庫を読んでいる彼女は視線を文庫から外し、クラスを見渡すと大人しく立ち上がり口を開く。

 

「セシリア・オルコットと言いますわ。どうぞよろしく」

「……セシリアさんか」

 

 ふと名前を呟く。成る程、あのまともな彼女はセシリアさんと言うのか。

 思わず呟いてしまった俺にセシリアさんは顔を此方に鋭く向け、睨み付けてくる。あれ? なんか変なことでも言いました。

 

「"セシリアさん"? 違うわ、貴方は私を豚と呼びなさい」

「………」

 

 ん? なんか聞き間違えましたかな? 恐ろしい言葉が聞こえた気がするんだが、学校のチャイムに被さり、良くきこえなかった。可笑しいな、なんか凄く嫌な予感が脳裏を過るなぁ……この予感は良く当たるからなぁ。

 

「では、自己紹介はこれまでですね!」

 

 笑顔で終了を宣言する山田先生に、俺は一先ずその言葉を置いておくのだった。




僕が書いてる小説で一番不真面目に書いてる小説が一番人気。つまりホモは人気。真理だ(確信)

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