転生オリ主だけど一夏がホモだった   作:ニコウミ

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千冬のえっちな回想! 

 目の前に広がる大海原を見ながら、俺は海岸沿いに佇む。あぁ、海は広い。綺麗だよな、素晴らしくさ。こんな酒に溺れる真っ黒な俺とは格が違うよ。あぁ、素晴らしきこの世界。こんな題名のエロゲあったなぁ。

 そんなのはどうでも良いか。勢いで逃げてきたけどさ。翌々考えたら、これって一番最低な行為じゃん。でもさ、考えたら分かるよ。俺には少し考える時間が必要だった。裸だったんだぜ、俺。もう全裸。訳が分からないよ(Q)

 隣にいるのが千冬さんだけなら良いさ。でも、一夏って。一夏ってお前。どんなウルトラ選択ミスしたらそうなるんだよ、アイレムもビックリな選択ミスだよ。

 結局、俺の穴は痛くも痒くもない。安心だって? 突っ込んだかも知れないじゃん。辞めろよ。考えれば考えるほど、この海に身を投げたくなる。何か、何かさ。俺は無実だって言う証拠があれば良いと思うんだけど、俺をピンポイントに撮影した監視カメラがある訳でも。

 

「……あれ? あるじゃん」

 

 無実だって言う証拠が、あるかも知れない。俺は携帯で何故か勝手に登録されている番号に電話をかける。

 

『ゆうちゃん。ゆうちゃんから電話をくれるなんて……私も今、ゆうちゃんに電話をかけようとしてたんだぁ』

「箒さ、ちょっと俺を監視してる物、その録音記録を見せてくれないか? 見せてくれたらデートしよう」

『仕方がないなぁ!! ゆうちゃんを見守っているカメラは粒子化してるんだ、今から実体化させるから手を広げて』

 

 俺は箒に言われるがまま手のひらを広げると、何故か空中から、まるでISが粒子から実体化するようにカメラが現れ、手のひらに落っこちる。いや、流石に粒子のカメラなんか気付く要素も無いわ。束さん、何やってんすか。無駄な技術を危ない方向に向けないでくださいよ。

 

「よし、ありがとう」

『デートは?』

「……明日ね」

『明日……うん、明日。はははははははははははははははははは…』

 

 笑い声が響く電話を切る。明日、死ぬんじゃないかな。

 だが、俺は今を生き抜くのだ。海岸沿いに座り込み、一般的な形をしているカメラの横を開く。そして録音記録を操作すると、ちょうど海岸沿いに佇む俺が映した。怖いわ。

 

「違うよ。昨日の分だ、昨日の」

 

 そして俺は巻き戻しボタンを押しながら、昨日の夜八時辺りまで時間を巻き戻した。

 そこには俺と千冬さんの二人がまだ、酒を飲んでいる姿が映し出される。なんとしかも、音声までハッキリと聞こえるではないか。

 

『そこで私がな、女の子に言ってやったのさ。孤高な男には母が必要だと……そう、シャアのような奴にはな。と』

『ハハハハハッ!! それ信じたんですか!?』

『信じたぞ。自分はララァのような女になると意気込んでいた』

 

 違うな。こんな無駄話じゃない。少し二十分くらい時間を速めるか。

 

『女の子はなぁ……ラウラって言うんだが、もう純粋な奴でな。カップラーメンは三分間カップラーメンの舞いを舞ってから喰うと教えたら本気で三分間舞っていたくらい純粋な奴でな。爆笑したよ』

『うはっ! 見てみてぇ!!』

『確か動画に撮ったはずだ、ちょっと待ってろ』

 

 棚を探す千冬さんの服が乱れ、俺は何故か上半身裸だ。巻き戻して見てみれば、物凄く暑いからとナチュラルに脱いでいた。何故に千冬さんはスルーしているんだ。

 この辺からヤバくなっているな。あと二十分くらい速めてみよう

 

『…と、言う過去があってな。ラウラはこう見えても壮絶な過去を送っているんだ。だから、あの娘も母親を求めて私になついたのかも知れない。ラウラも良い子なんだ……私はな……幸せになって欲しくてなぁ……』

『う、うあぁ……ラウラちゃんにそんな過去があるなんて………なんて、なんて不憫な!! 俺が近くにいたら抱き締めてやりますよ!!』

『……あぁ、お前みたいな奴になら任せられるな。兎を百獣の王と勘違いしたこの子を』

『ぶほ!! ちょ、ちょっと千冬さん! ははははははははは辞めて! 思い出しちゃうからあの映像!』

『くっ……』

 

 最低か。

 しかし、もう完璧に出来上がってるなこれ。ラウラちゃんって誰だよ。なんも覚えてないよ。なに兎と百獣の王って、訳が分からないよ。なんでこんな面白くもない事で爆笑してんだよ。情けなくなってくるよ。

 あと二十分速めてみよう。多分、そろそろだろ。

 

『よし! 取り付けたぞ!』

『しゃあ!! こんな良い娘なら箒とも一夏とも違う方向性を導けますぜぇ!! ホモ疑惑もこれまでだァ!!』

『ただ、彼女は確か……十四か其処らだった気がするが、世間体的にホモからロリになるだけだ。なんの問題もないな!!』

『はい、全然問題もないですぜ!! 千冬さん、景気祝いにカップラーメンの舞いだ!』

『よし!!』

 

 あぁ。もう見る影もないよ。何この盆踊りとリンボーダンスを合わせたような気持ち悪い舞い、こんな千冬さん見たくなかったよ。この時点で俺はズボンを脱ぎ捨てていた。なんでだよ。ここでまた二十分くらい進めてみよう。

 

『………』

 

 千冬さんと俺はベットで寝ていた。

 

「いやなんでだよ!?」

 

 思わず突っ込みを入れてしまう。十分くらい戻してみよう。

 

『一夏をバイにするには、まずは女性に興味を抱かせることかられすよ!!』

『しかしだなぁ、しかしだなぁ……いちかはエロ本もよまんぞぅ!』

 

 完璧に意識ねぇよ。千冬さんなんかもう寝てるんじゃないの。

 

『ものへんみせれば良いんすよ!』

『ものほん?』

『女性のおっぱいを!』

 

 屑か。

 何その発想、どうしてそうなっちゃったの。ちょっと意味分からないよ。

 

『しかしだれのを?』

『良いですか!! おれが裸でいちかをひきよせまふから! その時に…千冬ひゃんがすばっと!!』

 

 日本語喋れよ。

 

『ッ!! なるほ! すばらしい作戦だ! 結城! 脱げい!』

『いやぁぁぁ!? お代官様あああ! お許しをぉぉぉッ!!』

『ふはははははパンツ取ったぞぉぉぉッ!!』

 

 もう見てらんねぇよ。何これ。お酒怖。

 その場で千冬さんに全てを脱がされる俺は見事にフルチンで、覚束ない足取りのままフラフラしている。そんな俺を見て千冬さんは爆笑していた。

 駄目だこれ。千冬さんには見せらんねぇよ。素に戻ったあの人にこんなの見せたら自殺しかねないよ。

 

『よしゃ!! 千冬ひゃん! 一夏の部屋にぃ……乗り込むぞぉ!!』

『まて結城ぃ! 全裸はまずい……この金魚をつけろぉ!』

『金魚ぉ!!』

 

 そう言って千冬さんに金魚の玩具を装着させられる。死にたい。なにこれ。凄い死にたい。

 見事に金魚装備のみとなった俺と千冬さんはそのまま部屋を飛び出した。カメラの時間を見れば深夜三時だ、この寝静まった時間に出たのは不幸中の幸いか。何も救われてないけど。

 そのまま俺と千冬さんは覚束ない足取りで寮を走り抜ける。怖いよ。一人全裸の一人スーツ姿って怖いよ。自分の理性が怖いよ。俺、こんなに疲れてたのかな。

 そのまま一夏の部屋に辿り着くと、千冬さんがそのまま合鍵で部屋の鍵を開けると二人で侵入する。

 

『いちかぁ!!』

『いちかぁ!!』

『ん……あぁ………うおおおおッ!? な、なんだ!? ち、千冬姉と結城!?』

『ベットから引きずりだせぇ!!』

『やーぁ!!』

『うおおおおおおおおおおッ!?』

 

 そのまま二人で一夏の足を掴み、ベットから引きずり落とすと一夏を囲むようにカップラーメンの舞いを踊り始める。

 何がしたいんだよ。

 

『やっやっやっやっ!!』

『ふっふっふっふっ!!』

『な、なに!? なにこれ!? え!? え!? なにこれ!?』

『ふっふっふっふっ!!』

『やっやっやっやっ!!』

『な、なんなんだよぉ!?』

 

 なんなんだよ。この気持ち悪い踊りはなんなんだよ。

 

『ゆ、結城!? 風邪引くぞお前!?』

『どうだいちか!! 女に興味が出てきたかぁ!?』

『は、はぁ!?』

『足りないようだ!! 千冬ひゃん!』

『よしゃあ!!』

 

 そして下着姿になる千冬さん。何これ。どうしたの俺。訳わかんねぇよ。

 

『ハァ……ハァ……気持ち悪くなってきた』

『ち、千冬姉!? だ、大丈夫か!?』

『うぶっ!』

『うおおおおおおおッ!? しゃ、シャツに吐くなよ!?』

 

 一夏のシャツに嘔吐するヴァルキリー千冬さん。全女性の憧れです。全女性の憧れが弟に下着姿で嘔吐してます。駄目だこれ。絶対見せられないよ。千冬さんがこんなの見たら自殺物だよ。

 

『あぁ、眠いわ………』

 

 そのまま俺は何故か一夏が寝ていたベットに倒れ込み、寝息をたて始める。寝ちゃったよ。金魚外れてんぞお前。そのままカメラは俺の顔しか映さず、周りの様子は声しか聞こえない。

 

『うわあ!? 千冬姉!? ベットに吐くなって!!』

『あぁ………』

『寝てるし!? おい、どうすんだよ。流石にこんな姿の姉を外に出せないぞ。あぁもう、シャツ臭いし。脱ごう……とりあえず、千冬姉を結城の隣に寝かせておこう……あぁ、たく』

 

 そう言って一夏が画面に写り込み、下着姿の千冬さんを俺の隣に寝かせると、俺の寝顔を見て優しく微笑み、俺の目にかかった髪を解かすとその場をたって部屋を掃除し始める。

 俺は時刻をさらに二時間ほど進めてみると、一夏が疲れたように俺の隣に倒れ込み、寝始めた。

 

「一夏何にも悪くねぇじゃん」

 

 真っ先に疑った俺が罪悪感抱くじゃん。何もしてねぇよ。ただ隣に寝るなよ。俺を地面に落とすかしてくれたらもっと良かったよ。隣に千冬さんだけで朝チュンならなんの文句もなかったけどさ。

 とりあえず、一夏に謝らないと、これは。この映像は永久封印だ。

 俺は監視カメラを地面に置いて腕を構える。

 

「えぇと、ラファール……いや重昆だっけ? なんで俺のISだけこんな名前がややこしいんだよ……せめて統一しろよ。重昆でいいや」

 

 ISの名前を呼ぶと俺の身体がISに包まれる。その巨悪な右腕を振り上げ、カメラに叩き付けると、カメラは跡形もなく消し飛ぶ。これで良い。あんな映像は俺の内に秘めておこう。

 

 あぁ、帰りたくないな。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「すいません、寝坊しました」

 

 タクシーでIS学園まで帰ると、俺はとりあえずクラスに帰る。

 

「結城くん! 寝坊は駄目ですよ! 」

「すいません山田先生。ちょっと昨日、夜更かしし過ぎたみたいでして……」

 

 ぷんぷん起こる山田先生を横目に俺は周りを見渡すと、教室の後ろで千冬さんが頭を抑えながら此方を見ていた。とりあえず軽く苦笑して様子を伺うと千冬さんも苦笑を返してきた。

 よし、とりあえず千冬さんも記憶は無いみたいだ。俺はそのまま一夏の隣に座ると、山田先生はそのまま授業を開始する。

 

「よう、結城。朝起きたら姿が無かったから一応誤魔化しておいたぜ」

「……悪い。助かった……その、一夏。昨日のことはすまなかった」

「あぁ、気にすんなよ。驚いたは驚いたけど、千冬姉には結城と酔っぱらって五月蝿くしてたから、俺が介抱したとだけ伝えておいたぜ。後で結城から詳しく話してくれないか?」

 

 よし、詳しく話していないのか。良かった。

 

「あとは俺が話しておくから、任せてくれ」

「そうか? なら頼むよ」

 

 そのまま一夏は何事も無かったように教科書に集中し始める。そうだ、それで良いんだよ。後は全て俺に任せてくれ。この記憶は未来永劫封印しておくから。

 さて、俺も切り変えて、授業に集中しよう。言っちゃなんだが身の潔白が証明された俺にはなんの迷いもない。あ、でも千冬さんに全て見られてるんだよな。

 

「――――それでですね、クラスの代表を選びたいと思うんですよ。誰か推薦する人は居ますか? 」

 

 クラスの代表? あぁ、確かパンフレットにそんなの書いてあったな。

 

「一夏を推薦します!」

「結城君って、確か三カ国の共有の候補生なんだよね?」

「将来的にどの代表になるか自分で決めれるんだっけ? 確かISも三カ国で協力して作られたんだよね」

 

 もうそんな情報まで飛び交っているのか。

 確かに俺は男性二人目を独り占めする日本に抗って他国が出した苦肉の策が、三カ国共有の代表候補生だ。フランスとロシアと日本。最終的に何処か一つの代表になるが、俺には三カ国から好きに選べると言うVIP待遇。

 まぁ、世界で二人しかいない存在だから分からなくもないが。

 一夏と違い身内に地位のある人物が居ない俺は立場的には凄く微妙な立ち位置にいるのだ。まさに綱渡り状態。

 

「あぁ、先に言っとくが。ISはフランスの機体を中心にロシアが改造してOSは日本が開発したんだ。三カ国協力と言うよりはバラバラに作った機体だし。俺自身そこまで強くはないぞ?」

「でも男性だし…」

 

 名前も知らぬ女の子が口を開こうとしたその時、突然、窓際に座っていたセシリアさんが立ち上がり始めた。その余りにも唐突な行動に周りの視線が集まる。

 

「―――納得行きませんわ」

 

 その言葉に俺は当然だと感じた。だって、ISも殆ど知らない俺より、長くISに関わってきた彼女らの方が優秀なのは目に見えて分かることだ。その彼女らを差し置いてぱっとでの俺に地位を奪われては納得のしようがないだろう。

 

「そうだな、セシリアさん」

「クラスの代表は、"強くなくてはなりませんの"。私がそれを見極めますわ。さぁ、殴りなさい」

「はい?」

「私が身を持って、貴方の力を試すと言っているんですわ……あぁ、なるほど。足りませんのね?」

「うん、はい?」

「私も少々物足りないと思っていましたの」

 

 何が?

 

「ISで勝負をつけましょう」

「嫌だよ」

「ッ!? な、なんでですか!?」

 

 だって負けるのなんか目に見えているし、俺だって年下の女の子に負けるのはプライド的な物がざわめいて嫌だ。いや、プライドなんか昨日の時点で無くなってるのかも知れないけどさ。

 セシリアさんは此方に詰め寄りながら息を荒くする。

 

「そ、そんな……貴方のISは盾殺しなんでしょう?」

「あぁ、そうだけど。良く知ってるね、情報公開されたの昨日だぞ」

「盾殺し、貴方は一回でも当ててみたいと、その威力を肌で感じてみたいと思いませんの?」

「あぁ……確かに、思いっきり撃ってみたいなぁ……」

「さぁ来なさい!!」

「いかねぇよ」

「ッ!?」

「いや、なんで驚くの? 生身に盾殺しなんか放ったら肉片になるだろ、当て所が良くても、足やら腕が無くなるのは確実だぞ? 撃つ訳無いじゃん」

「IS装備しますわ」

「装備してもまともに受けたら骨折コースだぜ?」

「……――――――素敵ですわ」

「」

 

 え? 文学少女じゃないの?

 なんで息を荒くして顔が火照ってるのこの娘。素敵な声をしておいてなんだこの娘。前々から聞き間違いかと思ったけど聞き間違いじゃなかったよ。

 

「兎に角、私は貴方達に勝負を申し込みますわ」

「お、俺も?」

「えぇ、お二人に。千冬先生!」

 

 セシリアが千冬さんに声をかけると千冬さんはその声が頭に響いたのか、顔をしかめながら小さく頷き、口を開く。

 

「あぁ、好きにしろ……」

「では、先ずは一夏さんとの勝負後に結城さんと勝負しますわ」

「一日くらい開けないと……」

 

 俺が意義をたてるように口を開こうとするが、それをセシリアさんの手で制される。セシリアさんはそんな俺を見て不適に笑うと笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「疲弊を心配しているなら結構……――――――――勝利は続けて取ること、こそに意味があるのです。結城、だから、くれぐれも手加減しないようにお願い致しますわ」

 

 

 息を荒くしなければ格好いい台詞だったなぁ。

 

  

 

 




どうすんだよこの千冬さん。そろそろ完結しても良いよね。

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