そのビルには窓がなく、どこかゲームじみた内装、例えるならSF系のラスボスと対峙するステージかのような、太いケーブルと生命維持装置の如き水槽が置かれている。
その装置に入っている男は、何故か逆さまに浮いている。
装置にはいくつものモニターが展開されており、そのいくつかは学園都市の監視カメラの映像が映し出されていた。
「厄災の愛し子はやはり第一位か。プランに支障はないだろうが、君は探し人を見つけることができたということか。」
その男は静かに監視カメラに映る少女ミサカを見つめて笑う。
その男からしたら、その姿は可憐で繊細な少女ではなく、創作神話に出てくるトリックスターごとく人類を玩具のようにして遊ぶ邪神が人間に化けているようにしか見えなかった。
宇宙からの御子と呼ばれていたその少女のもとの姿を見たことあるその男にとって、クローンミサカの姿でいるその少女はまるで己を嘲笑っているようにしか見えない。
しかし、その男は理解している。己の目的など少女は知らない、単なる魔術の使える官能小説家という目線で見られているということを。
「しかし、君はやはり邪神。第一位の性質を変えてしまった。彼はもうヒーローになれないだろう。」
画面越しにミサカと目があったその男は、静かに笑うだけだ。
見ているわけではないが、本能的に見られている。と感じる。その理由は弱まっているにもかかわらずその人が神であると主張する神気のためなのか、単純にそう思わせる才能があるのかは、その男にはわからない。
その目を見た途端に、第一位にたいする、庇護欲が生まれるのをひしひしと感じつつ、それに抗うように他の監視カメラに目を移す。
「第一位。私は君の起こした
監視カメラに映るのはまるで親子のように、反抗期の息子とそれに手を焼きながら愛おしくてたまらない母親のように歩く黄泉川愛穂という女性と
「例え、邪神でも声が神に届いた者か。」
別の監視カメラに映る邪神と人間の兄は今か今かと、邪神を騙る男を狙って待っている。
「現実改変能力か。プランのために少し利用させてもらうぞ。」