とある科学のハードミサカ   作:イェス

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四章 襲撃者

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筋ジストロフィー治療実験

義妹達(シュヴェスターズ)計画

最終報告

 

本計画は置き去り(チャイルドエラー)を対象とした

筋ジストロフィー治療実験である。

被験者の人格をデータ化し完全に肉体と切り離すことで人格データを作り出す。

超電磁砲(レールガン)御坂美琴から提供されたDNAマップを元に作り出した受精卵を培養し人格データを肉体に入れることで実験成功とする。

肉体は培養したものでありクローンではない。

この実験が成功すれば筋ジストロフィーの治療及び不死化の可能性が見いだせる。

しかし、第一実験以外の第三十四実験、計三十三実験での失敗を確認。

人格データの作成過程で被験者の精神が崩壊することにより被験者が死亡する為である。

第一実験での成功理由を論理的学術的観点で証明することができない以上損害を最小に抑えるため、実験を凍結し研究チームは義妹(シュヴェスター)外界演算(ダークプロセッサ)育成計画に転移とする。

 

樋口製薬・第七薬学センターの一室で超電磁砲(レールガン)御坂美琴はディスプレイを見ていた。

 

『はは、何よ。クローン計画なんてなくて、ちゃんと私のDNAマップは正当に使われてるじゃない。ドナー提供で髪質や体質が変わったって聞くし、きっと私と同じような体格の女の子が成功したのよね。これ。髪色が私そっくりになって、見間違えたんだわ。』

 

乾いた笑みを浮かべて、力なく地面に座り込む。

安堵した表情で、清々しい表情で。

自身のクローン計画を暴きにきた彼女は、クローン増産計画が凍結されたことと自身の提供したDNAマップが正当な方法で使われた事に安堵したのだった。

実験内容がクローンに別人格を移植するという事実に、彼女は気がついていない。

哀れなものだ。と私は思う。同時に幸せだ。とも。

監視カメラに残された、ハッキングされた映像を解析して取り出した映像を見て私は思う。

 

義妹(シュヴェスター)?どうかしましたか?とミサカは問います。」

「なんでもありません。貴方はあなたの仕事をしてください。私は終わりましたよ。」

「およそ46秒で完了します。とミサカは計算します。」

 

目の前にいる御坂美琴と瓜二つの彼女こそ、御坂美琴が探っていたクローン。

超電磁砲(レールガン)増産計画の軍事用クローン。妹達(シスターズ)

私と違って模造品の体に作られた人格を叩き込んだ量産型。

肉体の製造もたった14日で終わる短命中の短命。

彼女は死ぬためだけに作り出された人形だ。

そう。人形。

 

「一つ、聞きたいことがあります。」

「なんですか?こちらは作業中なのに。とミサカは心の中で悪態をつきます。」

「軍事用クローンの癖に随分感情豊かね。まぁ、貴方はクローンってどう思ってるわけ?」

「…そういえばあなたもクローンでしたね。確か、一方通行(アクセラレータ)の。とミサカは貴方について思い出します。」

「そんなことよりさっさと、作業してよ?こちとらなーんで後処理つきあわされてんの??監視カメラハッキングされて、あなたのこと探られてたってのに。」

「それに関してはミサカは関係ないです。とミサカはあの無能な研究員を呪います。」

 

データの消去次第、また警備員さんに案内されて研究員を出ていく。

どこも薄暗く、まるでホラー映画やゲームに出てきそうで怖い。

 

「ひえ、おばけでも出てきそう。」

「怖いのですか?とミサカはおちょくります。」

「こんな暗い場所、生きてる人間でもいたら怖いよぉ。てか、今日もやるの?例の操作場で。」

「当たり前です。とミサカは断言します。」

 

・・

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「あら、ミサカ。」

 

慈善活動の一貫で見廻りをしているその最中、私と同じ顔であろうクローンミサカを発見した。

 

義妹(シュヴェスター)ですか。とミサカは振り向きます。」

「何してるの?」

「ミャー。と鳴く動物がピンチです。降りることか出来なくなったようです。とミサカは雑に説明します。」

 

そのクローンミサカの見上げていた木の上には黒猫の子猫がじっとクローンミサカを見下ろしていた。

怯えは多分落ちることの恐怖だろうが、猫というものはこの高さからならば子猫だとしても平気なものだ。

 

「助けなくてよろしいのですか?とミサカは問いかけます。」

「助ける必要はないわ。猫という生き物はあの程度から落ちても無問題よ。人間と違ってね。」

 

木を足で揺らすと子猫が落ちてきて地面に着地する。

それを驚いたように見るクローンミサカはすぐにかけより安否を確認する。

 

「ほら。」

「強引過ぎます!とミサカは怒りを顕にします。」

「猫はとても強い生き物なのよ!なんたって猫は――」

 

「あんた達何者?」

 

「「はい?」」

 

後ろから、すぐ後ろからそう言う声が聞こえる。

御坂美琴だ。

学園都市のレベル5、序列第三位にしてクロールミサカのオリジナル。そして私の第二の素体

 

「あんた達、私のクローンなの?」

「はい。」

「例の計画は凍結したはずでしょ?何であんた達みたいなのが存在するのよ?」

「yejeuyaksn278qnsl」

「へ?」

「これは――」

 

とクローンミサカが、続けようとするのを手で静止させる。御坂美琴が絡んではきっと面倒くさくなるからだ。

 

「提供者であるあなたには開示されていない情報です。我々は貴方に開示できる情報はありません。」

「全ては愛し子(ダーリン)の為ですか?とミサカは確認を取ります。」

「えぇ。全ては愛し子(ダーリン)の為。」

「ダーリン?ダーリンってなんのこと?教えなさい!」

 

ぐいっと、私の肩と腕を掴む。それだけで痛いが、ここで屈してはならない。この女をあまり愛し子(ダーリン)に近づけちゃいけない。そんな気がする。

 

「痛い目にあいたいの?力づくで聞いたっていいのよ。」

「レベル5ともあろう方が、か弱い私を力任せに情報収集をするのですか?まるでスキルアウトのように。」

 

スキルアウトのように。とその言葉が気に触ったのさ、私の拘束を解くと言葉を吐き捨てる。

 

「くっ!好きにしなさい。勝手にあとを付けさせてもらうから。」

 

あっけなく手を話した御坂美琴は正義感溢れているのだと思う。力任せに情報収集をすれば良いものをそうしないのだから。

でも、その選択に甘えさせてもらおう。今回だけは。

 

「そういえば、貴方ナンバリングは?この前の子と違うけど。」

 

彼女から聞こえない程度の声に、クローンミサカも小声で返答してくる。

 

「ミサカは9982号です。貴方とあっていた個体は7777号です。とミサカは返答します。」

「7777号は勝ち確ね。なんたって審査員は私だもの。」

「なに?とミサカは驚愕の事実に慄きます。つまりいくらミサカが争ってもそれは無駄なこと?」

「あったり前じゃない!聖朝歌(ミサカ)様よ?私ってばね!Nが騒いだところでLRたりうるこの聖朝歌(ミサカ)様には及ばぬことなのよー!」

 

実験が凍結と完全になった事でクローンミサカは各地に送られることになった。流石に一万以上の同じ顔をした子をずっと匿う事ができるはずもなく、学園都市に残ることができるのは五名ほどだ。その残るものについて話し合いをしているが、一人は7777号を私が推すので確定。あとは勝手に統括理事長が振り分けるだろう。

 

聖朝歌(ミサカ)!」

 

とそこで仄かに色めき立つ女子高生の視線を浴びてもなおしれっとした顔をしたイケメンが話しかけてきた。

ストロベリーブロンドの少し長めな髪の毛に、アースアイと呼ばれる珍しいタイコーズブルーと黄金の瞳。

その両目を縁取る長いまつげのイケメンは、間違いなく我が兄、朝歌お兄ちゃんだ。

昨日ビルの7階あたりから飛び降りた私は、軽く足を挫いて救急車で運ばれた。挫いただけなので湿布をもらっただけなので入院してはいないが、お兄ちゃんはすごく心配してくれている。

 

「家にいないと思ったらこんな所で何してるんだ?帰るぞ!」

「心配しすぎよ?捻っただけじゃない。」

「駄目だ。」

「ってわけだから、あとはミサカに任せてミサカは帰るる。」

「グットラック!と、ミサカは連行される貴方の幸福を祈ります。」

 

腕をつかまれて連行される私にそう言って、オリジナルの事を任されたと承認したクローンミサカだったが、なぜかその背後からバチバチと雷が飛んできた。

 

地球(ホシ)より……ええい!間に合わん!そらぁ!」

 

バリアを形成してその雷から私とお兄ちゃんを守る。

魔術をあまり使いたくなかったが、致し方ない。

私はまだ全能を取り戻してないのだから。

 

「なんだ?」

 

お兄ちゃんが私をぐいっと後ろにやり、オリジナルとの間に入る。

 

「アンタ、実験の関係者?」

「なんのことだかさっぱりだな。人にいきなり能力を向けてくるなんて、とんでもないやつだ。」

 

御坂美琴が私達に気を取られてるすきにミサカが路地裏に走っていく。

 

「ちょっと!もう!あんた達待ちなさい!」

 

そう言うと、オリジナルはコインを片手に持ってこちらに向けてきた。

 

「常盤台の超電磁砲(レールガン)。その手はなんだ?」

「またなきゃ、痛い目に合わせるわよ!」

「なぜ待つ必要がある?その手を下げてもらおうか。」

「できないわね!」

 

「そうか。聖朝歌(ミサカ)!ついてこい!」

 

お兄ちゃんがオリジナルより早く駆け出す。

 

「能力の事は聞いた。自爆技を使う。お前は俺にも能力をかけてくれ。」

「自爆技?本番でそんなことしたことないから、怪我するかもよ?」

「構わない。」

 

路地裏を走っていくとブルーシートが上に張られたエリアに到着する。

 

「ここは?」

「スキルアウトのたまり場さ。ビニールシートが張られてるから風が吹きにくい。

そしてここには気体爆薬。屋外で少量なら静電気程度の衝撃だが密室空間や風が舞い込みにくい空間なら瞬時に爆破する。体内に入っていても内部爆発はしないが、これを散布する。」

 

殺虫剤のような容器に入った気体爆薬とやらを散布していく。どこか殺虫剤に似た匂いで少し嫌になる。

程なくしてオリジナルが到着した。

匂いを怪しんでいるが、ゆっくりとこちらに歩いてくる。勝者の笑みを浮かべて。

 

「おっと、ここら一体に気体爆薬を散布させてもらった。電撃なんかうったら仲良く爆死するぞ?」

 

お兄ちゃんが見えないようにライターを渡してくる。

これを使って火を起こせばいいのか?

使い方なんてわからないけど、ここを押せばいいのかな?お兄ちゃんにはもう能力保護をつけてるのだし、いいよね?

 

私がライターをつけると同時に、視界は炎で包まれた。

 

・・

 

ふと、今日はいつもよりスキルアウトに絡まれた。

そんな風に思った。黄泉川の過保護な保護下から抜け出してはコーヒーを買い漁る日々に慣れてきてはいたものの、どこかそう、誰かに見られてる感覚が今日だけは薄かった。

 

「あン?」

 

路地裏の街頭の届かない暗闇に、見たことのある顔がスッと姿を表した。

無表情で、それでいてやけに絡んでくるクローンが。

 

「どォしたンですかァ?まさかオマエまた……あァ?」

 

何かと理由をつけて絡んでくる奴とは違い、はっきりと殺気を顕にするその姿はどう考えても異質だ。

 

「なんでこんな計画に加担したの?」

「あァ?何だいきなり?」

「答えなさい!」

「はァ?オマエオリジナルかァ?」

「そうよ!」

 

暗闇から姿を表したのは、肌を爛れさせ、制服が少し焦げた妹達(シスターズ)に瓜二つの御坂美琴だ。

 

「あァ?」

 

たしか黄泉川のやつがスキルアウトのたまり場で爆発があったとか言ってやがったが、コイツが犯人かァ?

 

そう、思考した直後歌が聞こえた。

ビルの上にいるいつもの視線の主であろう、人物が十日夜の月を背にして舞うように動いていた。

 

「この一撃は月の鉄槌。月は罪を拒む場所ならば、かのものに相当の罰を与えよ!」

 

月が光り輝いてその輝きが柱となって目の前にいた御坂美琴に直撃する。

 

「はっはァ?なン?はァ?!」

 

中年男性のコンビニ店員が何事かと駆け寄り、近くにいた俺を店の中にとりあえず引きずり込んだ。自然と反射は使わなかったようで、なすがままに店の中に転がる。

 

「君、あれが何かわかるかい?」

「わからねェ。だが、誰かしらの能力だろうなァ。第三位が襲われた。」

「第三位?……常盤台の超電磁砲(レールガン)

が!」

 

コンビニにいた少ない客がやり取りを聞いてざわつき出す。

 

「どうしたじゃん?……一方通行(アクセラレータ)!」

 

ちょうど飛び込んできた黄泉川は店の前の状況を見て飛び込んできて、ちょうど俺を見つけて駆け寄ってくる。

その様子に、中年男性は思い出したかのように状況説明を始めた。

 

「支部に連絡しとくじゃん、とりあえず一方通行(アクセラレータ)、わかってるじゃんね?」

 

程なくしてパトカーと救急車が到着する。

黄泉川のやつがいろいろ話していると、一人の警備員(アンチスキル)に話しかけられた。

 

「被害に合った彼女となにか喋ったみたいだけど?」

「実験がどォこォいってたなァ。よくわからねェが。そしたらよォ、上から歌が聞こえてきやがった。」

「歌?たしかに、防犯カメラだと二人共上を見上げてる。おかしいな。歌なんて聞こえないし写ってすらいない……いや、うん。協力ありがとう。」

 

ニコリと、わらって他の警備員(アンチスキル)と合流するそいつを見送ると、黄泉川のやつが頭を撫で回してきた。

 

「偉かったじゃん?御坂美琴は命に別状はないじゃんよ。それにしても心配したじゃん。帰ったらお説教じゃん♪」

「チッ。」

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