とある科学のハードミサカ   作:イェス

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一章 火野神作

「ふぉ!この体でははじめての外!お兄ちゃん的には初めてなのよねー?」

「そうだな。」

「そンなにはしゃぐもンかァ?」

「まーまー、そう言うなってやつですたい。」

「俺もついてきて良かったのか?」

聖朝歌(ミサカ)様に朝歌様、くれぐれも窓を開けないように。」

 

六人乗りの車には、運転手兼保護者として五条が。助手席には何故かついてきている土御門元春。そして真ん中に私と一方通行(アクセラレータ)。そして最後列にはお兄ちゃんと当麻が座っている。

私達は外に来た。

私と一方通行(アクセラレータ)は直々に統括理事長に呼び出しを食らって、『この度の混乱を収めるために外に行くこと。五条という研究者と朝歌くんを、そして上条当麻とその友人を同行させるから外で大人しくしていろこの邪神め』と、ガチで怒られたためさすがの聖朝歌(ミサカ)も反省することにした。インデックスは聖七歌(ミナカ)とお留守番をする事となった。

五条が保証人をすべて引き受けてくれたので、ここで当麻の両親と一緒にバケーションするというわけではないし、行き先の海は、クラゲが大量発生してるそうで、砂場遊びぐらいだろう。

 

「というか、聖朝歌(ミサカ)一人だけ女の子で辛くないのか?」

聖朝歌(ミサカ)がいつ女だと言ったかな?」

「たしかに。」

「ミサカは現実改変能力者なのだよ。当然みんなの青春真っ盛りな下半身に配慮して性別を男に変えてるともさ!」

「うーむ、確かに今日の聖朝歌(ミサカ)はなんか胸が慎ましいような?」

「ちんちん生えてます。」

「確かになァ。」

一方通行(アクセラレータ)!俺の弟のちんちんどんな感じ?」

「はァ?ちゃンとくっついてる。」

「ちょっと、中学生男子!一方通行(アクセラレータ)巻き込まない!一方通行(アクセラレータ)も付き合わないで、ちんちん言わないで!学園都市に帰りたい。もしくは大人もうひとりほしい。こんな仕事やだ。」

「俺も今回は任務ですにゃー。」

「闇の人間が三人かぁ。一人は完全エンジョイモードだし。」

 

『次、左折です。』

 

カーナビの音声が騒がしい車内に響く中、一方通行(アクセラレータ)は静かにしていた。

私とお兄ちゃんと当麻で騒いでる中、一方通行(アクセラレータ)はパンフレットを見ていたからだ。 

 

「何見てん?」

「止まる場所のパンフレットですゥ。海の宿イナバだとよォ。」

「名前は因幡の白ウサギからじゃない?」

「なンだ、それ?」

「古事記に載ってるうさぎと神の話。ウサギが海を渡るんだよ。」

 

パンフレットにはうさぎとサメのイラストが書かれている。

 

「そういえば、部屋ですけど寝室2つなんですよ。」

「当然、私とお兄ちゃんと、一方通行(アクセラレータ)は一緒でしょ?当麻は確率的にやらかすだろうから保護者役の土御門さんと五条が見ててほしいんだけど。

「あ、ガチで男なんですね?今。」

「土御門は保護者役ってなんでだ?」

「何って、このメンツ見て……あぁそっか。今回一方通行(アクセラレータ)が外に出るにあたって対魔術結社(マジックキャパル)用の防衛隊がお兄ちゃん、土御門、五条、そして私なのよね。当麻は知ってるとおり、能力者が魔術を使うと死ぬってのが私の能力範疇内だったら無効化されるから使い放題なわけ。」

 

一方通行(アクセラレータ)と当麻以外魔術師家系の人間ってことを忘れちゃいけない。

 

「……つまり土御門も魔術師なのか?てか、一方通行(アクセラレータ)さんにこんなこと話してもよろしのでしょうか聖朝歌(ミサカ)様。」

「問題ないぜい上条ちゃん。聖朝歌(ミサカ)はこれでも約千年生きてる生き神ってやつだぞい。」

一方通行(アクセラレータ)の方は、魔術サイドでもかなり有名だぜ、カミやん。なんせ、一方通行(アクセラレータ)が900年前のこの地球に飛来した仮称『宇宙からの御子』の召喚者って奴ぜよ。もっと簡単に言えば契約者。これは必要悪の教会(ネセサリウス)公認情報ってやつですたい。」

「え、待ってくれ。となると俺と一方通行(アクセラレータ)さん以外みんな魔術師ってこと?」

 

こいつ、今更なのか?という雰囲気に車内が包まれた。

 

「え?マジですか?」

「そうよ?言ったじゃない。対魔術結社(マジックキャパル)部隊って。」

 

・・

 

用意させたスイートルームは清潔感あるものだった。

荷物もすべて放り出して一方通行(アクセラレータ)はベットに寝転がったので私も寝転がることにする。

何気なくお兄ちゃんがテレビをつけると、ワイドショーなどではなく緊急ニュース特番が放送されていた。

 

『えー、現場の小森です。昨日未明、都内の新府中刑務所から脱獄した死刑囚、火野神作の行方は現在も掴めていないようでして、周囲の中学校などでは休校にするなどと緊迫した空気が伝わってきます。目撃情報もまだ無いようでして、警察はもし発見しても無闇に近寄らず、すぐ通報する。人通りの多い道路を歩くようにしてほしいとの注意喚起が出ています。』

 

「脱獄犯だって。外の世界もなかなか物騒。」

 

『また、火野神作はその特異な殺人法「儀式殺人」によって、多くの愛好家や模倣犯を生み出しており、今回の脱獄にも彼らが関わっているとされ、警察では迅速に対応をするとの会見を行っています。』

 

「儀式殺人ねェ?オマエらからしたらどォなンだ?」

「うーん、魔術的観点から見ても何もおかしくないわ。ただ、捕まるようなヘマをするなら魔術師の可能性は薄いわね。たびたびワイドショーを沸かせてたけどプロなら死体なんて消せるもの。」

「確か二重人格とか言ってただろ?」

「解離性同一性障害ってやつかァ?ありゃあ確か責任能力やらが無いとされるだろォ?」

「うーん、なら完全に人格が移り変わってるんじゃなくて、一部分が混同してるんじゃない?脳内で囁く声(げんちょう)としてもう一人の人格が意思を表してるとか?気になるなら調べるけど?」

「必要ねェ。」

「そう。」

 

興味がないみたいだし違う番組を見ようにも、ほとんどのテレビ局はその話題だし、一部の放送局は通販番組の時間だった。

 

「でも怖いよ?そこのテラス開けたら窓に引っ付いてたとか、さ。」

「流石にねェだろ?」

「そうそう、ここ五階だよ?そんな人登ってくる?」

「登ろうと思えば登れるわよ。クライミングやってる人もいるし。てか、お兄ちゃんのそれフラグっていうんだよ?」

「そうそう起こるわけ無いだろ?だって――」 

 

プツンと、その瞬間部屋の電気が切れた。

すぐにお兄ちゃんが窓を確認し、侵入者がいないかと確認する。

私は反対にリビングへのドアを少しだけ開けると、リビングには当麻が一人、尻もちをついていた。

当麻の視線の先には侵入者にして、脱獄犯、火野神作がそこに居た。

 

夜風が気持ちいいからと入ってきた当麻が開けていたテラスにつながるその大きな窓から火野神作が乗り出してきて当麻に襲いかかる。

目があった。狂ったその瞳と。

すぐに当麻に駆け寄り、筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)で火野神作の持つシミターのような、鎌のような刃物をうけ止める。

 

「ひっ……」

「どけ!」

 

邪魔くさい当麻を蹴ってどかせる。

 

「あ、」

 

今日の筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)は非戦闘型の飾りのアタッチメントだ。

レーザーや毒針など仕込んでない。

 

「エンゼルさまえんぜるさま。」

「なに?」

「俺は一体何をすれば?あんたに従えばすべてがうまく行くんじゃなかったのか!!答えやがれ!!!」

 

私の筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)が弾かれて、火野神作は刃物を自分の胸に突き立てる。

一見、デタラメのように見えるが、KILLと言う文字が刻まれていく。

そして一直線に私に向かって刃物が飛んでくる。

それは私の肌に当たって弾かれる。

 

「ガァ?!」

「刃物ごときでこの私を傷つけられるとでも?」

 

弾かれた刃物を持つ腕に足をかけて無理やり押し倒すと、背中をこちらに向けて転がすように足で払い、すぐにその両手を掴み上げて払った足で背中を押しつぶすように体重をかける。

 

「カッ……ぎぃびぃ‼」

 

「何事ですか!ってギャー!!!」

「縄なわ!縄持ってきて早く縛り付けて!!」

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