とある科学のハードミサカ   作:イェス

21 / 30
三章 アポカリプティックサウンド

結局昼を終えても当麻は見つからなかった。

戻ってきた五条の報告で、土御門が付いていったとの事だけわかったが、その土御門も場所を教えてはくれなかったそうだ。

そのため、保護者役を命じられた五条とお兄ちゃんが何やら会議するらしく、私と一方通行(アクセラレータ)は仕方なく海を散歩する事になった。

上条刀夜の付き添い付きで。

 

「そうそう、契約者に守ってほしい物が。分霊たる私のお願いがあるんだ。」

「ほォ。」

 

「私が加護できるのは貴方の子供の子供まで。そして貴方の血が薄れれば薄れるほど加護が減っていく。

私は別に貴方を連れていきたいわけでも、自分の為だけのものにしたいだなんて思ってないけど、他の神を信仰するのは嫌だ。」

 

私の歩幅に合わせて歩む一方通行(アクセラレータ)は夕日に照らされて、その光の反射で宝石のように輝いて見える。

 

「私の寿命は短い。だから愛し子(ダーリン)叶うなら最後を見守って欲しい。」

 

大きく一方通行(アクセラレータ)の瞳が見開かれる。

夕日のオレンジ色の光が海に反射してより一層一方通行(アクセラレータ)を輝かせた。

 

「守らると思うかァ?」

「契約したんだから当たり前。これでもマシな方。守らなきゃいけないのよ。」 

 

後ろの当麻パパも私達を見て微笑んでる。

それに気がついたのか一方通行(アクセラレータ)は頬を赤くして海の方を見てしまう。

 

「……父さん。」

 

そんな空気に水を挿すやつがいた。

現行行方不明となってた上条当麻。

どこか不安げで、絶望したような、それでも救いを求めるような顔で。

 

「当麻‼どこに行っていたんだ!出かけるなら誰かにきちんと言うなりしなさい!怪我はしてないのか?」

 

それは親としての顔で、心配していたから怒るという単純な感情だ。

パパだって時々そんな顔をして私を叱る。それでも当麻は表情を変えなかった。

迷子というわけではなく、単純に自分から足を運んだ先で何かあったんだろう。

 

「なんでだよ?なんで、なんでオカルトに手を出した?あんたは非日常(こっち)じゃなくて日常(そっち)の人間だろ?」

「何を言ってるんだ?」

「シラ切ってんじゃねぇ!どうして魔法使いの真似事なんざしたんだよ!」

 

泣きそうな当麻に当麻パパは困惑するのみ。

私達でさえ当麻の言葉は理解できない。

それなら、当然当麻パパは理解できないだろう。

 

「落ち着きなさいな。何をそこまで焦ってるの?」

聖朝歌(ミサカ)、父さんが魔術を、それで世界の人たちの体が入れ替わった。だから俺がなんとかして父さんをどうにかしなくちゃ行けないんだ。父さんの命が狙われてる。」

 

私から見て、上条刀夜はただの一般人だ。何かしら異変は起こっていて、それの真ん中に彼がいることはなんとなく知ってたけど、こんなことになるなんて思わなかった。

体が入れ替わったね。ならブレて見えたのもわかった気がする。

 

「記憶喪失になった当麻は、いやそもそも昔の事だ。お前は覚えていないから言いたくなかったが、昔お前は疫病神と言われていた。」

 

そして刀夜は私をちらりと見る。

 

「蒼さん、聖朝歌(ミサカ)ちゃんのお父さんの見解として、右手に異能が宿り、幸運を打ち消しているのではないか?との事でお前を救いたくて学園都市に入れた。現状や能力のことは蒼さんに無理やりお願いして何回かは聞いていた。そして7月、蒼さんから当麻が記憶喪失になったとの事を聞かされた。」

 

当麻は目を見開いて私を見る。当たり前だろ?だって親戚なんだもん。親戚でパパは大人だ。大人の勤めを果たしただけだ。当麻のわがままで抑えられる話じゃない。

 

「その瞬間、もうオカルトに頼るしかないとそう思った。」

 

「ばっかやろう!こんなことまでしなくても、俺は十分幸せだ!不幸だと思うことがあった!だけど、俺は幸せだったんだ!」

「は、なんだ。幸せだったのか。なら、みすみす息子の幸せを奪ってしまうところだったのか。まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もう、変なお土産なんか買うのやめてお菓子でも――」

「はぁ?叔父さんどういうこと?オカルトに意味がない?」

「え?はは、お土産やさんで買い漁ったお守りのことを当麻は言ってるんだろ?」

「お、お守り?当麻、これ、叔父さん犯人じゃなくない?そもそもおじさん!御守は買い漁ったら効果が喧嘩して不幸になるから、各地で買ってきちゃだめ!」

「そうなのか?」

 

オカルトに興味なさすぎなの?ただのオカルトでもこれって有名な話よ?それにこの言い方、各地って結構重複してやばいことになってるんじゃ?

 

「どういうことだ?」

「これって、魔術とか魔法とかじゃない、趣味のオカルト程度の層でも有名なんだけど、各地のお守りを集めると力の対立があって……お守りって言ったってたかがお守りってたかをくくっちゃいけないの。確実に加護は存在してる。微々たる物だけど。」

「偶像崇拝みたいなやつか?」

「やけにスムーズね?まぁ、そんな感じ。そーよ、お守りや象徴をかたどった彫り物だったり。既製品のお守りだって、正しい位置に置けば魔術なんてポンポン発動できちゃうんだから!」

 

 

 

「待ってくれ?俺んちにはお土産家中にあった。それがもしも」

「?正しい配置に着いてたら、ついてしまってたらね?発動するんじゃなくて?」

「っ!」

 

聖朝歌(ミサカ)の言うとおりだにゃーカミやん。」

 

そこにもう一人、行方不明になってたやつが現れた。

 

「土御門……。」

聖朝歌(ミサカ)、遠隔的に儀式場を使うことはできるか?」

「へ?まぁ、知ったからには、直ぐに儀式場なんて……見つけた。」

 

車でそう遠くはない場所に巨大な儀式場がある。

飛んでいけばすぐにつくだろうし。

 

「あそこには数々の巨大な魔法陣が敷かれていた。俺でもわからないような。なんとかできるか?」

「まぁ、えぇ。飛んでいきましょう。」

 

・・

 

飛んで数分のところに上条宅は存在していた。至るところにお守りがあり、キモい御守もあって鳥肌が立つ。

それにしてもやばい。

急遽一方通行(アクセラレータ)に同行を求めてここまで来たけど慎重に動かさなきゃならない。

お風呂場のに亀のおもちゃがあったのでそれをアヒルのおもちゃに変える。ここで違う魔法が発動しそうになるため、無理やり抑え込んでから、部屋中の爬虫類と鯉の御守を集めてきて理想の位置においていく。

 

「どんな術だ?」

「世界中で一斉に大音量でアポカリプティックサウンドを鳴らすって魔術。上書きできるけど、なんか楽器持ってない?」

「ねェ。」

「ケータイならあるぜよ。」

「じゃあ音楽かけてイヤホンを鼻に突っ込んで口開けといて。」

「俺が?」

 

土御門に無理やりそうさせると、家の中が光りだした。語彙力ないからあれだけど、光りだした。

そして徐々に御守が砕け始めて土御門に集まっていく。

 

一方通行(アクセラレータ)!鏡を掲げて!」

 

土御門を挟むように東に私、西に一方通行(アクセラレータ)がたって鏡を掲げる。

私はケータイのライトだけど。

これは太陽と月の代替品だ。

土御門はラッパの代わり

 

「何千の御守(ニエ)と共に鳴り響け、終末の音よ!」

 

そして、世界にフーガト単調の一節が鳴り響いた。

 

「………おわったかァ?」

「終わったわ。やったのよ!」

「土御門さん、被害すごいぜよ。」

「まっ、これで事件解決ね?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。