彼女が
「ちょっとアンタ、こんなとこで何してるの?」
「ひっ!」
寮を背にしていた私の後ろから殺気のこもった声をかけられた。
大人ではない。風紀委員かここの寮生だろうけど、こんな時間にお嬢さまが出歩くか?
「
何だ知り合いか。
後ろを振り向けば私より1.2歳ほど年上の顔つき(胸はおしとやか)なカラーリングが違う少女、御坂美琴がイライラしたように立っていた。
「あなたに関係ないことですぅ。」
「関係ない?ここに来て?私の知り合いに手ぇ出したらただじゃ済まさないわよ?」
「おお。怖い怖い。か弱い十三歳ちゃんをいじめないでくださいよ
イラッとした顔をしたのもつかの間、ヒュンッという音を聞いて顔を変える。
「っと、お待たせいたしましたわ。竜宮
とそこに
「おや、流石
「白井黒子ですの。
「全ては知らないわ。見たことがないし。」
「はぁあ。」
疑問に思ってる。といった様子だ。
メモ帳片手に真っ直ぐこちらを見てくる。第三位は睨んでくる。
「12世紀頃に書かれた古書よ。親戚に貸してたの。仕事でこっちに来るってことだから多分サンプルとかお土産も入ってるかも。」
「ひったくられた際に所持していたのは誰だかわかります?」
「オリヴィエ=フィリップ・アウターゴッツ。竜宮生物研究所にいると思うわ。」
「確かですわね。そうそう、なんで通報しなかったのですの?」
「中身が貴重な研究資料だからよ。それにたかが本だって雑に扱われても困るし。ならとっ捕まえたあとに突き出せばいいでしょ?なんせ、世界にたった一つしか残ってない物だからね。」
「世界にたった一つ?内容はどんなものですの?」
「え?神話だけど?」
神話と聞いて子猫ちゃんは困ったような呆れたような顔になる。まだ 第三位は睨んでくる。しつこい。
「アンタほんとにそれだけ?」
ムスッとした顔されても同仕様もない。
「私がひったくられたわけじゃないもん。それになんであなたが突っかかってくるの?
「お姉様、今回は申し訳ありませんが
「ごめん黒子。私は私でこいつに用があんの。
れむなんと?なんだそれ。知らないぞ??
ミサカネットワークにもそんな情報ないし。
何をそんなに焦ってるの?説明してよ。
「?」
「とぼけてんじゃないわよ。知ってるんだから。それとも痛い目に会いたいの?」
「いやいやいや、流石に横暴すぎやしない?いくら仲が険悪だと言って知らねぇことを知ってんだろ言われても
「……。」
「今回
「黒子。アンタは仕事に行って。」
「ですが、お姉様。」
「ごめん黒子。」
・・
御坂美琴に引っ張られて夜の公園にたどり着く。
「
再建?何その話知らないけど?まさかあのときの予防線のフェイクを信じてるとか?
「
「フェイクレポート?信じると思ってんの?」
「やっだ!
「ふざけてんじゃないわよ?この距離ならあんたの脳を焼き切ることなんて簡単なんだからね?」
「あらら、人間の焼け具合を嗜む狂人ちゃんなわけ?脳を焼き切るとかホントにできるならやってみなさいな。」
第三位の髪がふわっと浮いたかと思うと電撃がこちらに流れてきた。
電撃は私の頭スレスレを通り抜けていった。
これで何人も脅してきたんだろう。けど、私は効かない。前回の怪我でIlAIM拡散力場で体の修復と再生ができるのなら、気をつけるべきことが大幅に減る。
怖いことなどない。
「これは警告よ。」
「やっだー!やってみなさいもロクに達成できないの?」
「私を苛つかせてそんなに楽しい?子供みたいにはしゃいじゃって。」
「乙女かつ少女な
「」
「木原⁉」
今日は着の身着のままで飛び出したからスマホしかないんだよね。ホントは別の電話のほうがメモ取り安いけど
「メモの準備!!」
「はぁ?私が?」
「はよはよ。」
この前の事で電話番号をお互い登録した。
『よぉ
「木原くんさ、第三位が
電話越しにゴツゴツと硬いものが触れ合う音が聞こえてくる。多分車の中で
『あー、流石クソガキんとこのやつだわ。クソガキだなお前も。』
「知ってるとは思うけど一応
『あぁ?精神年齢がクソガキってんだよバーカ。あー、お前は考えたことねぇかもしれねぇけども、
私です。私がやりましたとも。
「ちょっと!それってホントなの?」
電話越しの木原に今度は第三位が声を上げる。しかもかなり生意気に。相手が年上かもわからん奴によくできるわ。
『あ?クソガキ今誰といる?
「第三位。」
『あークソガキか。』
「クソガキってあんたねぇ!」
『言葉のなってねぇガキだな。ま、とりあえずこの情報は確かだ。何人か何者かによって倒されたあとだが、主犯者もわかってる。………あ?おいどういうことだ?』
木原君が電話ではなく搭乗している班員の方に声を向ける。班員の声は聞き取れない。
『ひったくりがあったそうだが、主犯者は同じだ。お前がなんで病院に居ねぇのかもわかった。今からとっておきの情報教えてやるから、しっぽを存分に振ってききやがれ。』
「はいよー。」
『主犯格は結締淡希。大能力者の瞬間移動、【
「勿論。」
『なんつーか、そろそろお前脳みそ解剖されるんじゃねぇか?』
「ふ、これを教えたのは木原くんでしょ?」
『はっ、そうだったな。なら俺も竜宮んとこに入れてもらっちまおうかな?』
そして電話が切られた。
手術後、暇だったから木原くんに能力開発の資料やらなにやらを叩き込まれるハメになった。
その中には
もともとテレポートだったりサイコキネシスとかそう言う有名どころは昔に使えていたからか、すぐ物を手から手に移動させる事は出来るようになった。
そもそも私の能力はフレンドリーファイヤーを防ぐだけのものじゃなくて、突き詰めていけば超能力の基礎的な基礎、現実を歪める力なのだ。
そもそも私が頭を負傷してもう動けるのだって、AIM拡散力場で皮膚とかいろいろと変換して治療したんだし、
行ける行ける!
「で、どうやって行くの?」
「そんなもん、
「黒子は行っちゃったわよ?アンタは
「あら?知らない?私の能力は
・・
テレポート先は道路、そして約五メートルほどの距離に走行していく黒いワンボックスがある。
ワンボックスの先には旧き印が所狭しに浮き出たマイクロバスが走っている。
「ちょっ!空中じゃない!」
その上、約十メートルほど上空に飛び出た。
第三位が私の腕を掴んで車に向かって電気を放つと私と第三位が磁石みたいに引き寄せられる。
「何してんのよ!」
「ビギナーに対してこの扱い。」
スライディング式サンルーフがこの車にはあるようだが、中を覗いてみふと木原くんと目があった。
木原くんはRPGを持っていて、それを無言で私に手渡してきた。
型式はよく見る7のやつだと思う。たぶん。
「何それ?」
「対戦車兵器。」
使い方はインプット済みのため、そのままマイクロバスにぶっ放す。
思惑通りとはいかずマイクロバスに直撃して近くの建設現場に吹っ飛んでいく。
「ちょ。」
路肩に車は停車して、それぞれライフルなどを持った部隊員が車の中を確認しに行く。
「なんなのよ!」
大破したバスの中から赤毛の少女が出てきた。胸をさらしで巻くだけの格好をしているのでたぶん露出狂だ。
そして彼女が持っているキャリーケースには、アウターゴッツの家紋の蔦ととぐろを巻いた蛇の紋章が刻まれていた。