第三位が私の前に出て、超電磁砲を撃つ。
赤毛の女の真横をすり抜けていったレールガンは後ろの建築中のビルの鉄骨を弾き飛ばして行った。
その反動でキャリーケースが吹き飛ばされ、かすっていたのか、鍵の部分が外れ、中身が散乱していく。
発泡スチロールの衝撃吸収材がばらまかれていく中、一冊の本が意思を持ったかのように、いや自らの意思で私の方に飛んできた。
800ページにも及ぶ分厚い本は私の目の間で止まると、やっと本来の持ち主の元に来たことを
「そんな、本?そんなわけ……ぐがぁ!!!」
頁の内容を見てしまったのか、赤毛の女は血を吐いて倒れる。冒涜的な内容に脳が耐えきれなかったからだ。
「本当に本なのね。」
表紙だけを眺めている第三位は、ぐるっと回って本の内容を見ようとしたが、それを私で止めた。
「見ちゃだめ、ああなりたくないでしょ。」
私が本に触れると勝手に本が閉じる。
第三位はちらりと女を見やり、表情を強張らせた
本物だと確認できたことだし、私はおとなしく帰ることにしよう。
「あとのことは我々に任せてください。」
「あんた達って何なの?
「あ?民営治安維持部隊だ。お前らはとっとと帰れ。」
「ふーん。」
後処理は木原くんたちがすると思うし。
御坂美琴は後日出向くとかなんとかで言葉を残して立ち去ってしまった。
子猫ちゃんの説得も何もかも引き受けてくれたのでいいとするけどね。
・・
9月18日
あれから少し気になって、私の家系と御坂美琴の家系を調べさせたところ、パパと御坂美琴の母親がはとこであることがわかった。
御坂美琴の母方には竜宮の血が混ざっていたから、受肉が上手く行ったのかもしれない。
そして今日、先日のお礼と称して御坂美琴に呼び出されていた。
「第三位ー!」
「その呼び方なのね。」
「
「アンタ達の中でミルクティーって流行ってるの?」
「この
案内されたカフェにはホットケーキやエクレアからパイ、ケーキが沢山あった。
「ショートケーキとミルクティーを。アンタは?」
「チョコバナナのハワイアンホットケーキとショートケーキ、ロイヤルミルクティーを。」
かしこまりました。といってオーダーを通しに行く店員さんを見送って第三位が口を開く。
「この前は黒子を運んでくれたって聞いたわ。ありがとね。」
「べっつにぃ。
「しばらくは激しい運動を控えるようにって。大覇星祭は出られないらしいわ。」
「ふーん。」
「所で、
「来たわよ!えへへー
「
しばらく話していると、やっぱり当麻のことが好きなようで、頬を赤らめたりしていて面白かった。
「アンタ、明日からどうするの?
「うん?あーそれね。私も
「インデックスってあのシスターよね?それにアイツの応援?」
「まぁ、親類の好で冴えない高校生ちゃんたちを天才美少女中学生が応援するってわけ。」
食事もおわり、会計待ちをしていると花瓶が歩いてきた。
柵川の制服を着た少女がどこか落ち込んでいる雰囲気で歩いている。その後ろには
「もし、そこな少女。」
「へ?あーと竜宮さん?」
「ありゃ?なんで私のこと知ってるの?」
「えーと、この前の窃盗事件で白井黒子さんのナビゲーターをしてました。初春飾利です。」
「子猫ちゃんのナビゲーターか。花瓶ちゃんヨロシクね。」
「花瓶ちゃん!」
花瓶ちゃんは少し頬を赤くした。
「でぇ、どうしたわけ?そんな梅雨みたいな顔して。」
「あの、この前の事件で犯人を捕まえることができなくて、その。それに、白井さんにケガを……。」
「無事本は戻ってきたんだしさ。」
犯人についてぼやかされてるってんなら暗部行きかな?
確かあの赤毛は案内人とかなんとか、上手くやるねぇ。
「あれ?戻ってきてるんですか?」
「うんうん。ちゃーんと保管してるよ。だけど指紋も証拠とかなーんにも出てこなかったのって残念よね。」
「そうなんですか。よかったぁ。でもなんで連絡がこっちに来てないんでしょう?」
「さぁ?
「そんなことないですよ!私にはそれしか出来ないですから。」
「うーん、自分ができる事をやらないでいる人も居るからすごく立派だよ!
学園都市の治安を守ってくれてるもん、ありがとね。」
「そんな、照れちゃいます。」
「あれ?初春さん?」
と、そこに会計を終わらせた第三位が店から出てくる。
少し顔を赤くした花瓶ちゃんを心配そうに見つめて、熱でもあるの?とそう聞いた。
「まさかコイツになにか言われた?」
「そういうわけじゃなくてですね。」
「そーよ、第三位。別に花瓶ちゃんに物申してたわけじゃないの。」
「花瓶ちゃんってアンタねぇ。」
「やーだ、第三位ってば
「ちょ、何言って!腕に抱きつくな!嘘を教えるな!」
「あはは、私は失礼しますね。」
「ちょ!初春さん!違うの、違うから!」
苦笑いで花瓶ちゃんは遠くに行く。
「別に彼女は誤解してるわけじゃないのに。それにこの
「なんで知ってんのよ?」
「いや、よく動くからねぇ。見えちまうもんは見えちまうぜ第三位。」
「そんな、まさか。っ!」
「どうしたわけ?」
第三位がいきなり隠れるように私の後ろに行ったため、見ていた方を向くと、嬉しそうな男が近寄ってきた。
「あっ、御坂さんじゃないですか。と貴方は御坂さんの親戚の方ですか?海原光貴です。こんにちわ。」
「こんにちわ、美琴の親戚の竜宮
「竜宮さんですか。よろしくお願いします。これからこの店に?ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「あぁ、ごめんなさいね。今ここを出たばかりなの。」
「そうでしたか。」
「良かったら別のお店にも行く予定だから一緒に行きませんか?」
「いいんですか?お供させていただきます。」
勝手に同行を決めた時点で驚いた顔をしたが、流石にそれを口にする気はないようで、別のお店にも。というワードに第三位は触れる。
「え?ちょ、まだ行くの?」
行きます行きます。この人多分海原光貴じゃないからね。多分魔術師だね。なんとなくこの人から感じる物がある。
ここで私とこの人だけになるのは不自然すぎるもの。
悪いけど第三位には話し相手になってもらうぞい。
第三位を真ん中にして歩いていくと、ちょうど座れるテーブルと、道路を挟んだ所に30分待ちと書かれた看板を持っている店員がいるクレープ屋を見つけた。
喋っている二人が無言になる一瞬をついて、第三位の腕を取る。
「だっ美琴ぉ、
「はいぃ?並べと?」
「自分が行ってきましょうか?」
「あー、!いいのいいの。私が行ってくるわ。」
「わ!ありがとう!美琴。」
「じゃあ、僕たちはこの席で待っていましょうか。」
「うん。あ、バナナチョコね!」
「わかったわよ。あ、光貴さんは?」
「自分は結構です。」
「わかったわ。」
スタスタと歩いていく第三位を見送る。
光貴は先に座っていて日陰を私に譲ってくれた。
「まぁ、ありがとう。」
「いえいえ。」
相手もなにか探るようにこちらを見てくる。
先に口を開いたのは海原光貴だった。
「ありがとうございます。」
「なんのこと?」
「ニヤニヤしていて聞いてくるとは意地悪な方ですね。」
「あらら、どっちの意味かしら?」
「どっちもの意味でですよ。竜宮嬢。」
「
第三位がいないので魔術系の話をしても大丈夫
彼はその意を取ったのか何らかの感情を誤魔化すように笑う。
そのごまかし方もどことなく大人な雰囲気だ。
「そういうわけじゃないですよ。上条勢力って言葉。わかりますか?」
「勢力?」
「貴方はその勢力に入っていると思われています。」
「またなの?勢力関係のものは、私達の魔術系列が元々高等科学も取り入れたものだからってことで決着ついてるじゃない。あなたの組織に写本のコピーを送りつけさせるから、連絡先を――」
「そういうことじゃないんです。」
食い気味に海原は強めの口調で、悲しそうに喋りだす。
「スポットが当てられたのは上条当麻なんです。彼を調べていった線状にあなたが居た。禁書目録、錬金術師、御神堕し、そして絶対能力者進化計画。あなたが関わりを持っていない事件はたったの3つなんです。ですが、あなたが入院していたため、協力しなかったで片付けられてしまう。」
たしかに、そうかもしれないな。錬金はよくわからないとして、一つおかしくね?
「なんとなくわかるけど、実験に関しては私ボコボコにしてんのよ?それに魔術サイドには関係のないことよ。」
「その過程で
「一緒に海に行ったからか。だから捜査上に上がってるってわけね。」
「はい。だから、
何をどう脅威に思っているのかは知らないけど、私が取るべき行動はコイツの組織を潰滅させるか、コイツを殺すか、当麻を殺すかの三択ということになる。
組織を壊滅させんのは、外の奴らに神託を出しちゃえばいいんだけど、進行状況がわからないから、最終手段だとして、コイツか当麻を殺ることになる。
どんな魔術師なのかわからないコイツと、能力を使わなければ攻撃が通る当麻なら当麻をターゲットにするべきだろう。
が、コイツとは違って学園都市の生徒かつ、あの部屋は割と壁が薄そうだ。死んだあとも右手の能力が消えるかなんてわからない上に、男子寮だから運ぶのは目立つ上、インデックスがいる。完全記憶能力者の記憶改ざんは正直面倒くさい。すぐに“何かを意図的に忘れさせられた。”という事に気がつくだろう。
あいにく今日の
「情報提供ありがとう。
「っ!そうですか。」
私達は立ち上がって戦闘態勢に入る。お互いを倒すため。
相手は黒い鉱石のナイフのようなものを取り出して、キラリ。と光らせた。
するとテーブルが分解されて崩れ落ちていく。
日光を反射させて攻撃してる?アレはなんの鉱石だ?
黒曜石ならテスカトリポカ。ブラックオニキス、瑪瑙ならクピド。鋒か鏃か。いや、金の鏃出ない分テスカトリポカかな。
黒曜石の鏡ってわけね。
「障害物除去ありがとね!」
相手の頭狙いで飛びかかって髪をひっ捕まえて後ろに倒そうとする。が、強引に髪の毛を引きちぎって私から距離を取る。
「強引なんですね?」
「力尽くは嫌い?」
「えぇ。自分は魔術師ですから。」
距離を取るためなのか、海原光貴は路地裏に体を滑り込ませていく。
それを追って私も路地裏に入り込むと、姿が見えなくなっていた。
足音が聞こえないから隠れているのだろう。
が、
従事路を右に曲がって二番目の角に熱源を感知できる。壁を蹴って進んだほうが速いだろう。
室外機から別の屋根にとんで、二番目の角にたどり着くと、身をかがめて口に手を当てた海原を発見する。
其のまま自由落下のなるがままに頭部狙いで蹴りを放った。