とある科学のハードミサカ   作:イェス

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機械仕掛けの尻尾

外では戦闘の騒音が聞こえてくる。

窓を締め切り施錠して、インデックスをミカに背負わせて上条さんを引っ張って地下室への階段へと急ぐ。

パパに戦闘を任せているためか、チラチラと後ろを見ている上条さんは、不安の為か声を張って叫ぶ。

 

「おい!ミサカのお父さんいいのか!相手は魔術師だろ?」

「科学者やってる魔術師だから大丈夫!パパは基本盾役なのよ。シールドだって一応持ってるしホームよ?科学や魔術から奇跡まで術はたくさんある。」

 

ドン!と破裂音がして、窓が、家全体が振動する。

窓から見える研究所の一室、倉庫が爆破されたようだ。

確かあそこには、シーツやらなんやらが置かれてたはず。

 

「ミサカ様。シェルターに行きましょう。」

「そうね。このミカともに地下シェルターに入って下さい。地下室はミカが開けるまで絶対に何があろうとも開けないこと。」

「いや、おい!」

「インデックスは任せました。私は家を守るために動きます。ミカあなたは上条さんの護衛をするように。」

「………仰せのままに。」

 

家と研究所の地下室はつながっており、それぞれ入口は一つずつ階段があるのみ。

シェルターは研究所側の地下室にしかないため急がなければならない。

シェルターは1週間ほどの食料がある為、放置しても大丈夫だろう。

取り敢えず、武器は一階にある。倉庫の真逆に位置しているけれど、出口は倉庫の近く。

あの魔術師がこっちに降りてこなければいいけど。

 

「よし、まだ来てないみたい。」

 

重々しい雰囲気のドアを力いっぱい開いて上条さんとミカをシェルターに入れる。

上条さんは納得行っていない顔をしているけれども、これは仕方ない。

今回ばかりは上条さんがいないほうが立ち回りしやすい。

あまり、重火器を使うところを見られたくないから。

 

シェルターから少し離れた場所にその道具はおいてある。

基本的に秘匿したいものばかりで、多分魔導書の類も保管しているはず。

義体技術の研究を行っている研究者に作らせた『筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)』。

重量2.3キロ。全長1.27M。計24個の回転関節と交換可能なアタッチメントからなる尻尾。

ヘビ型ロボットを参考にした形状と動作を参考にし、操作を筋電義手を参考にした、腰につけるタイプの機械だ。

尻尾のアタッチメントは、錫杖の先端のような飾りがあるものから、仕込み針、仕込みナイフやレーザーまで揃っており、今回はレーザーのアタッチメントを使う。

動力源はこの体から微弱に放出されている欠陥電気(レディオノイズ)だったもの。

能力が外界演算(ダークプロセッサ)に変更されて、電撃は出せないものの、静電気程度の衝撃なら出せるため、それを動力エネルギーとして使用する。

通常の人間ではすでに尻尾というものが失われているため、この研究所で扱えるのは私のみ。

かつて、尻尾を器用に動かしていた頃を懐かしんで作らせたもののため、なによりしなやかな動きができる物を仕立てさせたのだ。

その他には、正式名称は忘れたものの、拳銃。

打ち方は知っているし、扱ったことも十分ある。

持てる知識を以て、相手取らなければならない。

 

「さて、炎対策はどうしようかな?魔術師ってことは、仕掛けがあるだろうし。」

 

・・

 

防火シャッターが降りているのか、2階よりその先は進めないようになっていた。

助けを乞う声も聞こえないため、巻き込まれたものはいないと考えてしまっていいだろう。

一階や二階は二階の突き当たりのドア以外が開け放たれていた。つまり、ネズミはそこにいる。

ホームで戦うのは初めてなので、出力がどれほど出るかはわからない。

 

「うん?あの時飛び降りた。禁書目録(インデックス)は一緒じゃないのかな?あの子を保護したいんだけれど。」

 

突き当りから2つ目の角の部屋。普段は休憩室として使われている部屋から魔術師が出てくる。

 

「住居不法侵入。来るまでに周囲をドローンで確認しましたがなるほど、ルーン文字を印刷してラミネート加工ですか。」

「彼から聞いたのかな?」

「ラミネートはおよそ200℃程度で加工するそうですね。」

「……まさか!」

「歪められたルーン文字ってのは、どうなるんですかね?」

 

先制は私のレーザービーム。と言ってもただのポインターだけど、相手の目に直接当てる。

 

「なっ!」

 

彼との距離はそれほど離れてはいない。

レーザーで目くらましをした直後、私は彼に接近して、足を振り上げる。

狙うは相手の股の間。つまり金的。

私が千年以上生きてきた中でやはり後々になっても余韻が残る攻撃方法で最も簡単なものはこれだ。

四肢を奪うにしてもナイフを取り出して突き立てるのでは時間がかかりすぎる。

なにより相手は衣服で覆われているものの繁殖器具を攻撃されたのであれば、本能的に守りに行くはずだ。

災害時に性犯罪が増えるように、人間は理性という枷を持っていても、結局は生物。繁殖行為は大切なものだ。

それに、私のスニーカーには先端に鉄板が仕込まれている代物。普通に蹴るだけでもかなりのダメージが入る。

 

「な、魔――ぎゃあ!!!!!!!!!‼‼??!!!?!」

 

詠唱も動作もさせない痛みを与えれば、魔術を使えなければ相手はただの人間。

普段は行えないような手を使ってでも倒さなければならない。

 

悶え苦しむ際に前屈みにならざるを得ない。その顔面目掛けて筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)の尾先をぶち当てる。

目潰しだ。

彼が言いかけたことは、なんで魔術が使えないんだ?

だろう。

さてはて、なんでかわかるかな?わからないだろうよ。

言葉を紡ぐ時間を与えない以外にも、私の能力が関わっている。

私の能力の根源は現実改変能力。

一度でも友好的になった相手からの攻撃を一切受け付けないのも、現実を改変しているから。

事実は改変できないから、相手が殴ったが私は傷付かないと言う現実が残る。

ただし、この敷地内でのみに限るが、その能力は拡張される。

この敷地は龍脈の噴出点に存在しており、一時的なエネルギー源となっている。

演算とか魔術とか、そんなもの関係ない。私がわざわざ魔術師として存分に蒼が振る舞える場所を捨てさせ、学園都市に来たのか。

別に蒼のためじゃない。

単純に力の出力の仕方が魔術より科学のほうが、私の元いた世界に似ていたから。

彼が魔術をとっさに使うことができなかったのは、演算で相手に小さな小さなパニックを起こさせているから。

日本語で表すとロと口を誤認させるような、トと卜を誤認させるような些細で普段なら間違えないものを勘違いさせている。

 

「再現。これは科学とも魔術とも違う私の法則。」

 

異世界産の技術をこの世界でなんとか作り上げた私の傑作を喰らうがいい!

 

「一体何を!」

 

局部の痛みに耐えながらその魔術師は立ち上がる。

相手は私よりはるかに高身長。

そして私は私が意図して能力を使うことにより、自らの行動で肉体的損傷を受けないことがわかっているからできるこの攻撃。

私は筋電多関節人工尾(カスタム・ドラゴンテイル)を地面に叩きつけて、短距離で魔術師の鳩尾に飛び込む。

 

「皆は言う、もっと他のがあるのでは?と!」

「ぐはぁっ!」

 

簡単にいえば、機械の力でメチャクチャな速度を出した頭突き。

メチャクチャ科学の力。嘘吐いてゴメンね?だけど不法侵入してくるあなたが悪いから。

魔術師は窓から飛び出て落ちていった。

都合よく窓が開いてるなんて、日々の行いの良さがにじみ出てる!下には植え込みがあるし、死にはしないでしょ。魔術師だし。

 

さて、パパの方はどうなってるやら。

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