なるべく確認はしていますが、誤字脱字があればこっそり教えていただけると幸いです
ではどうぞ
越前父___南次郎さんにテニスを教えてもらう事になった
世界1位の選手に教えてもらえるとかどんだけ優良物件なんだ!!知り合いだったお父さんGood Job!
しばらく打ち合ってた越前兄弟がこちらに気づいたのかラケットを持ってこちらに走り寄ってきた。二人にテニスが一緒に出来ることになった旨を伝えると分かりにくく喜んでくれた
人の表情から気持ちを読み取るのは得意だからな!!(仕事で人の顔色伺う事もあったし)
「お前本当にテニス初めてかよ」
「やったのははじめて」
「おれのほうがせんぱい?」
「うん」
俺がそう言うとリョーマ(越前だとややこしいから)はパァと耀かんばかりの笑顔を見せてきた
ううっ、可愛い……。肉体年齢では同い年だけど俺の中の何かが浄化されそう
俺が無反応だったからかリョーマがこちらを見上げてくるので、俺はリョーマに手を出した
リョーマはすぐに握手だと分かったのかギュッと握ってきた
ここで頭を撫でてしまうとリョーマの機嫌を損ねるので頭を撫でるのはもうちょっと仲良くなってからだな。俺も二人と仲良くなりたいし
「ソラ!」
「?」
リョーマが俺の腕を掴んでコートの方へ引っ張っている。私の方が身長が高いので動く程でもないが、遠慮なく引っ張ってくるので若干痛い。勿論顔には出さないけどね
「こんどはおれとやるの?」
「打ちながらのほうがおぼえられるってとおさんがいってたから!」
南次郎さーん。俺はそんなんじゃありませんよ〜って教えてあげてくださいよ。俺まだまともな握り方も出来ないんですけど!?
それをオブラートに包んでリョーマに伝えると、今度はリョーガが「俺が握り方教えるから」と言ってリョーマの援護をした
……そこまで言われると断れないじゃないか!
俺はリョーマに引っ張られるままにコートへと走っていった
後ろの両親達がどんな顔をしていたのかを見ないままで
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南次郎side
「……なぁ、あいつホントにテニス初心者なのか?そうとは思えねぇんだが」
「いや、蒼空はほとんど家で本を読むか走ったり高いところに登ったりしてた位でテニスをやってる様子は無かったな」
「高いところって危ねぇなおい」
幸乃さん二人は赤ん坊がいるのもあって先に家に戻ったが、俺達は息子二人と蒼真の娘(男子にしか見えねぇ)がテニスラケットを持ってボールを打つのを少し離れた所から見る
蒼真は親バカ全開で娘を見てデレデレしてるように見てるが、その目は真剣そのものだ
蒼真の娘……確か蒼空っつったな。握り方は今リョーガ達が教えて握っているが、最初リョーガと打ち合った時に既に握り方が出来ていた
初心者らしく拙い部分もあるが、現地点リョーマと実力は近いんじゃないか?
リョーガのボールに追いつける脚力とラケットを振り抜く腕力、それにボールを視認する動体視力、しかも今はそうでもねぇが油断したら見失いそうな程の存在感の薄さ
どれも遊びで得た力と言えどテニスをやる上では強力だろうな。立派な武器になる
「あ、そう言えば蒼空が今度複合武術の道場に行くって言ってたな」
「はぁ!?何でだ!」
あいつ女だろ?しかもテニスやるっつってるのにその上習い事増やすって大丈夫なのかよ
ほぼ毎日こっちに来ることになるんだぞ
「僕が勧めたに決まってるだろ!蒼空は可愛いしもし不審者なんかに捕まったときに自衛できないとじゃないか!!」
「お前バカだろ!!」
心配性にしたって過保護だろ!この辺は治安比較的いい方だろうが。そのうち嫌われんぞ
俺がそう言うと蒼真は「僕の娘はそんな事言わないもーん」と若干拗ねた声でツンと顔を背けた。これで三十前半とか可愛くねぇだろ
でもすぐに蒼真は
あんだけ才能あれば周りが放っておかねぇ。それこそ公式戦に出ればマスコミが黙ってねぇだろうな
その心の声が聞こえたのか蒼真がジトっとした目を向けてきた。お前のその読心術止めろっつってるのに聞きゃしねぇ。娘にも受け継がれてんじゃねぇだろうな……
「蒼空には信用ならない人にだけ使う事を条件に教えてるよ。だって今は僕達の事を気にしてるだけでこちらの会話を聴いてる感じじゃないもの」
「……将来は蒼真二号か?」
「まさか。南次郎だって彼らをそうしたいの?」
「それこそ冗談だ。あいつらには俺を超えてもらうからな」
お前なぁ……と呆れた顔を向けられたが、すぐに苦笑いへと変わった
俺だって父親だ。あいつらは俺の事なんて関係無く育ってほしいんだって事が分かるんだろうなこいつ
向こうではリョーマがバテたのか肩で呼吸をしてラケットを構えてる
リョーガはそれをネット越しで見ているが、蒼空は何を思ったのか靴を脱いで窓から俺ん家に入っていった
家の中には赤ん坊もいるし騒ぐことはねぇと思って見ていると、小さな水筒を持って出てきた。リョーマの方に走り寄りそれを渡すと飲むように言った。リョーマは最初拒否してたが蒼空のやつに説教じみた事を言われると渋々水筒を飲んでいた
リョーガが俺には?と寄ると蒼空は準備してたのか抱えた水筒の一つをリョーガに渡した。全員分ちゃんと持ってきたようだ
……しっかしあれ見てっと、
「誰が最年長か分かったもんじゃないね」
「心を読むな。ったく……」
あの三人は外見だけだとリョーガ、蒼空、リョーマの年齢順に見えるが、リョーガの気づかなかった所やリョーマの素直じゃねぇ所をフォローしてるのを見てると蒼空が最年長に見えてきやがる
しかも本人の表情筋が硬いのか滅多に笑わない。テニスを楽しいと言ったときもふわっとした笑い方で子供の満面の笑みとは違ったものだった。元々笑う奴じゃないのは蒼真から聞いてたが想像以上だ。寧ろあの二人が蒼空が楽しんでるのが分かってるってのがビックリだ
今はまたリョーガ達でやって蒼空がコートの外で応援してるが、少し口角が上がってる位だ
でも、蒼空は子供を見守る親のような慈しみのこもった目を二人に向けていた。四歳がするようなもんじゃねぇが、こいつらは気にもしねぇんだろうな
「さって俺も乱入してきますかねぇ」
「うっわ、南次郎鬼だな。習いたての蒼空もいる中に行くとか」
「何事も実践だっつーの!」
俺がラケットを持って立つのを見て蒼真が呟くが、俺はお構いなしに歩み寄ってく。蒼真もやれやれと溜め息をつくと俺の後ろをついてきた
俺達が近づいてくるのが分かったのか蒼空がこちらを向く
俺はその目を見てニヤリと笑った
「ほれ蒼空〜やるぞー!」
蒼空は目を丸くしてパチパチと瞬きするとしばらくして頷き、ラケットを持ってリョーガ側のコートに走っていった
育てがいのある奴が増えるのは面白みも増えるからな!頑張れよ
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南次郎さんの所でテニスを習う傍ら複合武術の方にも参加をする毎日
正直言って幼女がやるペースじゃない。しかもテニスの方は時折泊まり込みになる事がある(集中し過ぎて両親が泊まり込みにしてしまうから)
それでも
「ソラ!これ見よッ」
「ん~?いいよ」
今日も泊まり込みになり子供三人で寝る為のダブルベッドの上でストレッチをしてるとリョーマが絵本を手に持って寄ってきた
俺が本(小学校中学年位のもの)を読んでると、リョーマが後ろからのぞき込んできた事があった。その時その本の文字が読めなかったのが悔しかったのかこうして絵本を一緒に読もうと強請るようになった。
毎回の事なのでリョーガも参加するようになり、読み聞かせのようにして読んでいると途中からお話の内容の事に気がいって俺が二人を落ち着かせながら読む事が多い
まぁ大体リョーマは寝落ちをしてしまうが、俺とリョーガは本を片付けてから寝ている
リョーガは兄だけあってリョーマを揶揄う範囲をよく分かっていて、リョーマが寝落ちした時はその場で切り上げて最後まで読まないので、リョーマが機嫌を損ね過ぎる事はない
「……ねたかな?」
「寝たな。俺が返してくる」
「おねがい」
真ん中で寝るリョーマを見てリョーガが本を片付けるためにベッドから降りて部屋を出た
隣で寝るリョーマの寝顔は普段の猫みたいな様子もなくすやすやと幼い顔で眠っている。頬をつつくと子供特有の吸い付くような肌の感触が面白い
「何してんだよ……」
「リョーマのほっぺつついてる。楽しいよ」
「俺はいつもやってっからいいわ」
しばらく頬をつついてるとリョーガが呆れ顔でベッドに入ってきた
俺の行動を咎めること無くリョーマと俺の頭をわしゃわしゃと撫でた
特に抗うこと無く享受してると眠たくなってきた。うつらうつらとしてるとリョーガがフッと笑う声が聞こえた
「寝ちまえ。お前もまだ子供なんだから」
「……」
その時自分が何を言っていたのかよく分からないが、その時のリョーガの顔は寝ぼけ眼でもよく覚えている
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リョーガside
ソラが最近テニスの練習の後家に泊まるようになった。その時にベッドで持ってきてた本を読んでいた。リョーマが後ろからのぞき込むと読めなかったのか、ムスーと頬を膨らませたので頬をつつくと怒られたのを覚えてる
その後リョーマが絵本を持ってソラに一緒に読むように強請るようになった。俺も同じ所で寝るから一緒に見てるが、大体リョーマが寝落ちする
その時は俺が本を片付けていくのが普通になった
ベッドに戻るとソラは大概リョーマの頬を楽しそうにつついてる。自分も似たような頬のくせに人のをつつきたがるのだ
「何してんだよ……」
「リョーマのほっぺつついてる。楽しいよ」
「俺はいつもやってっからいいわ」
俺はソラの誘いを断って寝てるリョーマとソラの頭を撫でる
ソラは気持ちよさそうに目を細めて俺の手を受け入れる。でも段々眠たくなってきたのかうつらうつらしてきた
「寝ちまえ。お前もまだ子供なんだから」
俺の言葉にソラはふっと目を開けて俺の目を見る。眠たげでもその目には柔らかいものが混じっている
「……リョーガもまだこどもだよ……。たまにはあまえてもいいんじゃない……?」
ソラはふわりと笑みを浮かべ舌足らずに言葉を連ねた。
リョーマと同い年の子供のはずであるソラは時々自分よりも年上のように感じる事がある
俺はその時多分間抜けな顔をしてたと思う。ソラはふふっと笑うと音もなく静かに眠った
ソラの顔にかかっていた髪を後ろへ撫でるように退けながら人知れず笑みを浮かべる
……こいつには一生適わねぇだろうな。テニスの強さじゃなくて別のところで
俺は電気を消してベッドに入った。明日また二人の兄貴としてテニスや日常を送ることが出来るように
続きは未定