正直続けるつもりなかったのでこっからどうしようかと模索中です。原作を激変させるつもりはないですが、ちょこちょこ変えていこうと思います
「なぁ、もし俺が居なくなったらどう思うんだ……?」
これはもしかしたら彼なりの小さなコールだったのかもしれない
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越前家にテニスを教わりに行くようになってあっという間に年月が経った気がする。といってもまだ1年経ったかどうかだけど
俺もやっと見られるテニスになってきた。まだリョーガみたいなプレイスタイルは確率してないけど、「まだ焦る時期じゃねーよ」と南次郎さんに頭をわしゃわしゃされながら言われたのでとりあえず基礎はしっかりさせようと思って鏡と睨めっこしながら素振りする毎日だ
今日もランニングがてら走って越前家に向かう。ちょいちょいご近所さんに挨拶されながら身体に合わない大きさのバックを背負い走り続ける。すると家が視認できる距離まできた時車が止まってるのが見えた
相手は無表情なのに対して南次郎さんはやや苦い表情をしていた。その状況に俺は足を止めてその様子を見るが1分もせずに相手は立ち去ってしまった
なんか見ちゃいけないものを見た気分になったので南次郎さんが見えなくなったのを確認して時計を見ながら数分たったのちに越前家に入った
「こんにちは」
「よお、蒼空。リョーガたちならあっちだぞ?」
「……うん」
あれを見たあとだから気づける程度だがあまり元気がなさそうに見える。でも俺は見てない振りをしているからその話題を出すわけにもいかないので大人しくリョーガたちの方に走っていく
「! ソラ!」
「よっ、やっと来たな!」
「うん、またせた」
身体は適当に暖まっていたからストレッチを開始する。180°開脚してペタンと身体が地面につくようになったのは日頃のストレッチのお陰だろう。前はこんな事出来なかったから出来るようになった時は思わず「気持ち悪い」とポロッと零したくらいだしな
リョーマたちの前でやった時はびっくりされたけどリョーマに何故か対抗意識燃やされて180°開脚は出来なくてもペタンと地面につくようになった。え、原作でもこんな事できたのか?こわい
充分に身体が解れたのを実感してラケットをバックから取り出す。クルクルと掌や手の甲に乗せたりしてラケットを手に馴染ませるのって無駄な行為っぽいけど何となくこれがルーティーンになりつつあるんだよなあ……
「お待たせ」
「こんどはおれがかつぞソラ!」
「うん、まけない」
年齢故に自分より小さいリョーマにビシッと音がつきそうな勢いで指されたけど可愛いなあ、としか思わない。勿論負けるつもりは全くないけど 今のところは俺の方が勝ち越し中である。ちなみに負け無しは南次郎さんだ。大人気ないと思わなくはないが、手を抜かれたら腹立つので全力で試合をしてもらえるのは嬉しい。次点でリョーガ、俺とリョーマとなる
「ふぃっち?」
「スムース」
「……よし!おれからだ!」
「リョーガ、審判おねがい」
「へいへい、次勝ったやつが俺と勝負な」
「! わかった!!」
リョーマにサーブ権を取られちゃった。と言っても俺は基本的にスムースを選ぶから完全に回転の結果任せになる。コロコロ変えたって結果がどうなるかなんて分からないし一々変えるのはめんどくさい
リョーガが次試合してくれるというのを聞いてリョーマが目を輝かせた。滅多に試合してくれないからなリョーガは。喜ぶのも無理ない。それでも勝ちは譲らないからな
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「……またまけた」
「そう簡単に勝ちを譲るかよ」
「くやしい。ブレイク出来ない」
「ソラはまだ球がかりーんだよなあ。その分はええけど」
ゼェゼェと肩で息をして呼吸を必死に整える。その反面リョーガは肩で息をしてても俺程疲れた様子はない
リョーマとの試合は俺が勝った。その後リョーガは少し休憩時間をくれたし全く疲れが無かったかと言えば嘘になるけどそれを理由に負けたと言うのは嫌だった
リョーマがとたとたとスポドリを抱えながら走り寄ってくる。差し出されたスポドリを受け取りながらお礼を言って数回に飲み分けた。1回一気飲みしたとき思いっきり噎せたからな。反省を生かしてちみちみ飲んでる
「おいお前ら〜!とっとと風呂入れ〜!」
「! rock!scissors!paper!」
「「1、2、3!」」
後ろでリョーマとリョーガがじゃんけんしてるのを聞きながら着替えを持って風呂場に向かう
テニスやった後汗だくになるし風呂に入ってから帰ったらどうだ?と南次郎さんに言われてお言葉に甘えてる状態だ。いつも俺が一番風呂なんだけど何故?と思うのは何時の話だったか
アメリカに湯船というものはないから基本的にはシャワーだけだけど、日本人としてはやっぱり湯船に浸かってゆっくりしたいと思うのは摂理じゃないか……??
「あがったよ」
「つぎおれ!」
「リョーマがかったんだ。おめでとう」
「おれはテニスでかちたかった!」
「またがんばろう?」
脱衣場で髪を乾かしてると入ってきたのはリョーマだった。俺の言葉にぷりぷりと怒りながら服をどんどん脱いでく。それでもひっくり返したまま洗濯機につっこまないのはいつも言ってたお陰かな
洗面台に置いてあるドライヤーを借りて髪の毛を乾かすが短いからかそこまで時間がかからずに乾ききった
「おっ、あがったか」
「お借りしました」
「相変わらずサラッサラだなおい」
「そう?」
リビングに戻ると南次郎さんがかけてたソファーから顔だけこちらに向けてきた。南次郎さんに声をかけると近くにいたのかリョーガがタオルを肩にかけたまま俺の髪を触る
髪をいじるリョーガをスルーして冷蔵庫から牛乳を取り出す。我が物顔でこういう風に人様の家電触れるってある意味慣れた結果なんだろうな。みんななんだかんだで警戒心は強い方だろうし
「リョーガ!次!」
「おー、今行く」
「リョーマ、それじゃあ風邪ひく。乾かしてきて」
「え〜、……わかったよ」
パタパタと濡れた髪のまま入ってきたリョーマと入れ替わりに出ていったリョーガを横目に乾かしてこいと言うと不貞腐れながらもリョーマはまた洗面所に戻っていった
……今ここに居るのは南次郎さんと俺だけだ。表情の指摘くらいは出来るか?
「……南次郎さん」
「おう?どうした?」
「……」
話しかけた時の様子は至っていつも通りに見える。自分の気の所為じゃないかと思うくらいには
でもやっぱり着く直前のあの表情は気になる。あんな南次郎さんの表情初めて見たから
「……何かあった?」
「……」
洗面所からのドライヤーの音とシャワーの音だけが響く。俺は黙ってこっちを見る南次郎さんから目を逸らさずただ黙っていた
どのくらい経っただろうか。南次郎さんは徐に息をついた。そしてのそっと俺に近づいてきたのを静かに待つ
俺の手が身体に触れるくらいまで近づいた南次郎さんは俺の目を見てふっと表情を緩めた。俺はその表情の意味が分からず首を傾げた
「……なんでそう思った?」
「……今日あったとき、元気がなさそうだった。ぐあいが悪いとかそういう感じじゃなかったから、気になった」
とりあえず見ていたことを隠したまま感じたことを言った。というか何ともまあ可愛げない言い方だな自分で言っててなんだけど
俺の言い分を静かに聞いていた南次郎さんはぽんぽんと俺の頭を叩くように撫でた
「……蒼空にはまだ早い話だ。気にすんな。賢いお前には何となく分かってんだろうけどな」
「……そう」
それだけで分かるか。原作知ってるから何となく分かっただけで選択肢多すぎるわ。
まあ記憶通りなら十中八九リョーガの事だろう。ということはあの人はリョーガの引き取り手の代理人ってところか?
俺は南次郎さんの言葉で追求するのをやめた。ずっと会えるわけじゃな いのは理解してるけど寂しい気持ちは変わらない。ましてや別れが必ず来ることを知らないリョーマには酷な思いをさせるだろう
「かわかしてきたぞ!……どうしたの?」
「今日ダメだったところを聞いてた」
「あ!おれもやる」
今度はちゃんと乾いた髪をゆらしながらリョーマが入ってきた。俺たちを見て不思議そうな顔をしたけど咄嗟に出た俺の嘘にとびついてきた。南次郎さんはさっきの様子を引っ込めてリョーマを今まで通りにからかっていた
「おめーらはまだまだだよ!そんなんじゃ俺にはぜってー勝てねえな!」
「う、うるさいやい!」
「(全く……)」
俺はじゃれ合ってる2人を放っておいてテレビを見る。ただのニュース番組だから面白みは欠けるが外のことを知るのも悪くないと思う
しばらくすると騒がしさが増した気がして声の方を見ると、風呂をあがったのかリョーガもその絡みに参加していた。こうして見ると本当に仲の良い家族だと思う
「(……人生ままならない事もあるけど)」
家族と離れ離れになって寂しく悲しいと思うのは幾つになっても変わらないよね
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「今日も泊まってけ!」と俺の両親に交渉して珍しく勝った南次郎さんが笑顔でそう言った。待て、俺の着替えはどうするんだと思ってると、服が一通り全部用意されていた。どうやらいつ勝てても良いように準備をしていたらしい。おいおい……
「……サイズは確かにピッタリだけど」
「それ男物じゃねーの?」
「だよなあ……」
南次郎さんに渡された服はどう見ても男児用のものだった。いや別にそれは構わないけども。元々は男だし
何だかんだで動きやすさはバッチリな服をもらうことになった。いつものリョーマ達との読み聞かせをしようと思ったら、リョーマが既に撃沈していた
「リョーマが寝てる」
「チビ助も疲れたんだろ。まだまだなあ」
「まあ仕方ないんじゃない?」
つんつんリョーマの頬をつつきながらニヤッと笑ったリョーガを横目で見ながらリョーマの頭をさらっと撫でる。本人の気質に合った猫っ毛な髪は指の間をすり抜けパサリと元の場所に戻る
「……ソラ」
「……?」
「なぁ、もし俺が居なくなったらどう思うんだ……?」
「……寂しい」
「!」
「リョーマとリョーガに出会って1年になると思うけど、いつも3人で一緒だったでしょ?だからリョーガが居なくなるとなんか……ぽっかりした感じがしてやだ。居なくならないでほしいよ、俺は」
「……そっか」
俺の言葉にホッとした表情をして答えたリョーガに何となくこの質問をした意図を察したと思う。リョーガの顔を真っ直ぐ見るとリョーガも俺と目を合わせてくれた。
「……リョーマに“寂しくない”とか“どうとも思わない”って言われた?」
「……」
目を逸らしたリョーガの反応に「やっぱり」と思いながら、それを言ったリョーマは素直じゃないと思って笑ってしまった。
「リョーマも寂しいよ。リョーガが居なくなったら」
「……でもチビ助は」
「リョーマは分からないんじゃない?リョーガが居なくなることが」
リョーマはまだ5歳だ。別れを経験してないのだから、“親しい人が居なくなる”ことも想像が出来ないんだろう。リョーガもその考えに行き着いたのか若干渋い顔をしていた。
「……本当に居なくなるの?」
「……分かんねえ。俺が言っても変わるか分かんねえし」
「言ってみれば?ワガママ」
「それが出来たら苦労しないっての」
「……じゃあ今度写真撮ろう?リョーガのこと忘れないように」
というかリョーマもあの事故が無ければ多分リョーガのこと忘れてなかったと思うんだけど。まああの言葉は地味にショックだったろうなあ、と思う。俺も言われたら多分凹む。リョーガもいた事を思い出せるようにという案を出したら「やだ」って言ったけど、耳赤いの丸わかりだからな。
「いいよ、こっちで勝手に撮るから」
「はあ!?」
「リョーマ起きるから静かに」
「おっまえ……!」
拳握ってプルプル震えてるけどリョーマのこと考えてじっとしてるんだからリョーガもお兄ちゃんだよな。揶揄うのは辞めてやらないけど。
「じゃあ俺寝るから。おやすみ」
「……おやすみ」
不貞腐れた声で返されたけどちゃんと返してはくれるんだから嫌いにならないんだよな。
……リョーガの運命が変わってくれるといいな。その時に何が起こるかは分かんないけどさ。ちょっと身体年齢に引き摺られてるのか泣きそうになったの堪えられて良かったわ。
未来は神のみぞ知る、ってね。
終わりが締まらない……。あけましておめでとうございました