革新者が幻想入り   作:小熊

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#1

 西暦2314年。それは地球に訪れた。

地球外金属生命体、Extraterrestrial Living-metal Shapeshifter、通称ELS。

ELSは次々と地球上にあるもの、人間、MSなどを取り込んでいく。

地球を侵略しに来たのか、と思われるがそうではない。

彼らは自分達の住んでいる星が滅亡寸前であったために地球に助けを求めに来た。

地球外からの生命体である彼らの意思伝達の手段は融合することでようやく伝わる。

しかし人類は地球を侵略しに来たのかと考えた。

 

 地球外生物との対話、為せるのは一人の男。

刹那・F・セイエイ、人類初のイノベイター、彼はすべての希望となった。

 

 秘密武装組織ソレスタルビーイングのガンダムマイスターである彼は対話の為のMS「ダブルオークアンタ」に搭乗した。

彼は純粋種の"イノベイター"、作られた人間"イノベイド"とは違う、人類の進化した先の存在。

ELSは人のもつ会話だけでは伝えることが出来ない相手だった。

イノベイターの力の一部である脳量子波を用いり、他者と表層意識を共有することによりELSとの対話が可能だということが分かった。

ダブルオークアンタの対話のための武装クアンタムバースト。

クアンタにだけ備えられたELSとの対話するための唯一の手段。

 

「お前たちの目的はなんだ! 答えろ!」

 

 ELS達は移住先の生命体に助けを求めていた。

 自分たちの星は滅びの道を進んでいた。

 どうか助けてくれないかと。

 

 犠牲、協力、悲しみの末、人類はELSと対話を成功させた。

自分達はすれ違っていた、ただ勘違いしていた。

 

 それから50年もの月日が流れ、人類は大きく変革していった。

ELSという地球外生物との共存。

人類の過半数は宇宙進出を考える者が増えていった。

 

 クアンタムバーストによるGN粒子散布。

これにより全体の約4割の人類が、純粋種のイノベイターと変革することができた。

意見のくい違いによる衝突、喧嘩、争い。

全てが無くなるように思われたが現実はそう甘くはない。

イノベイターの力を悪用し戦争の道具として扱う、犯罪道具として扱う、

争いの火種となるものが、歪みとなるものがそれでも存在した。

 

 このことを黙って放置しておくわけにはいかない。

対話のためのMS、ダブルオークアンタ。

そのパイロットである刹那・F・セイエイ。

MSに乗り、世界中の有りとあらゆる争いごとを根絶する。

人類が平和であり続けるために行動をしてきた。

 

 青と緑でトリコロールされた機体、ダブルオークアンタ。

その巨躯から翠色の粒子を放出しつつ駆けぬけていく。

 

 

 

 

 星々が連なる宇宙、そこに俺達はいる。

視界には蒼く輝く星が入る。

 

 GN粒子濃度調整。

 装備不備問題なし。

 システムオールグリーン。

 

 今日も介入する準備はできた。

 

「刹那、ヴェーダから通信が入った。

 今日はモラリアあたりで紛争が起きているようだ。

 止めにいくぞ。」

 

 クアンタのコンピューターの一部の電子端末と化したイノベイド、ティエリア・アーデ。

いつも通りの変わらないはっきりとした声で語りかけてくる。

長年付き従っていくうちに仲良くなった。

それはお互いを理解したからとも言える。

 

 モラリア、か……まだ紛争は続いている。

何年経ってでもいい。

自分達の目的は地球から争いごとを確実に無くす。

そのために俺達はいる。

出来るのならば"対話"で解決。

出来ないのならば……"武力"。

 

「……ああ、紛争を根絶する」

 

 イノベイターとして進化した者達。

力の使い方を誤ってはならない。

正しい使い方をしてほしい。

外宇宙の生物との対話のための役割の他に、平和へと導くための役割。

それが、イノベイターとなった者達のもう一つの力の使い方だ。

 

 機体の肩部分に付いているシールド。

それに付属する翠色のビット兵器を展開。数は六つ。形は刃のように鋭利。

機体の前に六つのビットが間隔を開け円形に並べられる。

コックピット内のパネルを操作し、量子ワープの準備は出来た。

これですぐに介入は可能だ。

 

「……ん? な、なんだこれは……!?」

 

 突然ティエリアが困惑したような声を発する。

普段冷静な奴からは予想も出来ないような動揺っぷりだ。ただごとではない。

 

「どうした、ティエリア!」

「くっ!なんだこれは!

 刹那! すぐここから逃げるんだ!

 今、ここに向かってく 何 が!MS じ な なに か 」

 

 ティエリアが説明を終える前に、何かはすでに、俺達を取り込んでいた。

 

「なんだっ!」

 

 機体を無理にでも動かそうとしたが、その黒い何かの拘束力は異常だ。

ダブルオークアンタのパワーでも抜け出せずコントロールが一切効かない。

 

 コクピットから見えるカメラには真っ暗になった視界。

ティエリアは応答しない。

 

「っ……何が!? ぐっ……!」

 

 後頭部に硬いもので殴られた。

余りの威力に脳が揺らされ意識が保てなくなる。

 

 

(どうなって……い…る…)

 

 

 認識できていたのはここまでだった。

 

 

 

 

 真っ暗だった筈の視界に突然光が射し込んで来た。

今いる場所はいつものコックピット内ではない。

宇宙空間でもない。

 

「こ、こ、は?」

 

 自然を感じる。安らぎを感じる。

草木が揺られ音をたてる。

背中腰から草の匂い。

どこかの森林……か?

クアンタはティエリアは。

 

 そもそもだ、あの黒いのはなんだったのか?

MSのパワーでも剥がすことのできなかった何か。

意識が無くなっていたときにどういう経路でここにきたのか。

 

(……いや、それよりもだ)

 

 脳量子波を探るためにイノベイターの力を使い、頭のなかが鮮明になっていくのを感じる。しかし、ティエリアの反応はない。

気配を感じられない。あるのは微かに聞こえる動物の鳴き声、意思。

 

 このまま何時までも寝ているという訳にはいかない。

取り敢えず体を起こし立ち上がる。

体の節々が痛いが障害にはならない、問題ない。

まずはクアンタだ。あれがなければ話にならない。

恐らく近くにあるのはずだ、むしろそうであってほしい。そう願いながら探す。

 

 草木を掻き分け歩く道を作り出す。

時折体に付いてくる虫を落としながら暫く歩いた。

 

「うおー! なんだろうこれ!?」

 

 声が聞こえてくる。

無邪気にはしゃいでそうな声。

声の高さから、子供か?

 

「大きな……えーと、にん、ぎょう? まあ、何がなんだかわからないけど持ち帰ろう! 遊び道具になる! 絶対!」

「持ち帰るのは流石に無理のような……。

 まあでも、こんな大きな人形見たことないね……」

 

 大きな人形と言う言葉が聞こえてきた、まさか。

声のした方へと走って向かう。

 

「んー、どうにかして持ち帰る方法、"さいきょー"のあたいなら何か天才的な方法がピンッ!と」

「……チルノちゃんは確かに"さいきょー"かもしれないけど、これぐらいのサイズ持ち帰るのは諦めたほうがいいような……」

「そういわれるのは嫌だ! 諦めるものかぁ!」

 

 そこには緑色の髪、青色の髪をした少女達。

そして、彼女達が言っている大きな人形。

ダブルオークアンタがそこに佇んでいた。

 

「……ダブルオークアンタ、無事だったか」

 

 安堵する。

 

 一安心したところで視線をMSから少女たちに移す。

どこにでもいるような子供達と思った、が違った。

背中に羽と思わしき部分。

緑の髪の少女は昆虫の羽根、とは厳密には違うが、羽を生やしている。

青い髪の少女は氷のような結晶が六つ、背中から少し離れた位置に浮いている。

あれも羽だろうか。

以前の場所ではどこに行っても見かけられなかった幻想的な存在がそこにはいた。

 

 少しの驚いている、が考えている暇はない。

人の言葉を話しているから大丈夫だ、恐らく。

 

「……そこの子供達、すまないが」

 

 

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