革新者が幻想入り   作:小熊

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#2

 幻想郷に春が訪れた。

小鳥達の囀ずり、風に揺られる木々。

冬の間冬眠していた生物たちは活発になる。

幻想郷に住む、人間、妖怪、妖精、神。

一部を覗いた住人が春の訪れを喜ぶ。

 

 しかし、そんな中見るからに不満な雰囲気を持つ少女がいる。

 場所は博霊神社と呼ばれる幻想郷のほぼ中心に位置する神社。

神社と呼ばれるからには参拝客は少しぐらいならいるだろうと思うところ。しかし、神社の立地条件上、普通の人間はほとんど来ることができない。たまに来ることはあるがそれはある程度妖怪退治に心得がある者、普通じゃない力を持った者がほとんどだ。

 

「ふぅ」

 

 神社の境内の掃除を終え一段落。

箒を手に持つ博霊神社の巫女、博霊霊夢は一息ついた。多少面倒だとは思いつつも境内がきれいになるのを彼女は割りと気に入っていたりする。

 いつも通り空な賽銭箱の隣移動し箒を置いた。

その場に座り込み曇り一つもない真っ昼間の青空を見上げる。

 

「……はぁ」

 

 ため息。

 気分はあまりよろしくない。とにかくスッキリしたいところだが、どうにもできない。

 

 博霊霊夢は今現在、憂鬱だ。

その主な原因は知り合いの魔女っ娘、霧雨魔理沙が原因だ。(ある店の店主は友達以上なんて言っていた)

ここ最近、霊夢は彼女に弾幕ごっこで負け続けているということ。

 

 そもそも弾幕ごっことは何か。

簡単に言えば、みんな同じ土俵で戦う決闘方法というもの。

幻想郷は妖怪、人間、神……様々の種族がある程度平等に住む理想郷とも言うべき場所。

その中でどうしても埋められない差があった。

それは種族ごとによる基本身体能力の違い。

根本的なものから、何もかも違う。

その差を埋めるためにどうしたらいいか、なら対等に戦えるルールを作ってしまえという発想のもと現在の博霊神社の巫女、博霊霊夢は弾幕ごっこを制定した。

 

 

 

 

 

 

「……ほんと、なんでかしら」

 

 自分が魔理沙に負け続けている。

前までなら6:4ぐらいの割合で勝っていたが、ここ最近は3:7ぐらいの割合までになった。

おかしい、おかしいぞ。

 

 

 博霊霊夢と霧雨魔理沙はなぜ弾幕ごっこをするのかそれは日々の日課。暇だからやろうぜ感覚でやっているもの。

……最も互いが持つストレスを解消するのが本来の目的だが。

 

 

「……」

 

 ……ここ最近負けている理由を考えてみる。

持ち前の勘、反射神経で魔理沙の弾幕を避ける。

それは問題ない。ぶっちゃけ幻想郷の誰にも負ける気がしない。

魔理沙の弾幕はいつもと変わらないすごいカラフル。何も問題ない。

 自分の武器である針の投合技術も問題ない。

何十、何百メートルもの位置にある物体に命中させることもできる。

 体に不備なんて無い。

手、足、首……何不自由なく動かせる。

 

 ただどうしても気になること。

 

「あいつ、あんなに機敏だったっけ……?」

 

 ここ最近の魔理沙の身体能力がおかしい。

色々すごい。近接格闘能力が明らかに高くなってる。

私と同レベル……もしくはそれ以上。

そして"先読み"能力、まるでこっちの動く先が"見えている"かのように動く。

 そして私の"思考を読んでいる"かのように避ける。

 

 数日前のあいつならありえないといっても言い話だ。

そもそも本人は格闘技能は苦手だと言ってたし、身体能力自体はそこまで高くなかった筈。

基本「弾幕はパワーだぜ」主義なあいつ。

とにかく力でごり押し。

先読み能力や近距離での機敏さ、なんてない。しかし

 

 "最近のあいつ"にはそれができている。

 

「何かあったのかしら……」

 

 

 数日前から突然強くなった知り合いのことが悔しさとはまた別に心配になる霊夢だった。

 

 

 

 

「……そういうことです」

 

 未知との邂逅。

ELSでその経験はしているがそれでも驚いた。

まさか、本当に、ファンタジーものの本などに出てくる妖精がいるとは思わなかった。

 青色の服装の少女―――チルノが最初は説明していたが少々わかりずらい。そこで察してくれたのか、緑色の服装をした少女―――大妖精は説明を至極丁寧にしてくれた。

 ここがどんなところなのか、自分達は人間ではなく妖精だ、という内容。

それを聞いた上での質問したいこと、それは

 

「ガンダム、MS(モビルスーツ)、ソレスタルビーイング……知っているか?」

「えーと……ごめんなさい、わかりません」

「それすたるびーいんぐってなんかおいしそう!」

 

 大妖精は困ったような顔をした。

脳量子波越しに伝わってきた言葉は"申し訳ないです"……本当になにも知らないみたいだ。

しかし、ソレスタルビーイングのどこが美味しそうなんだろうか。

 

「そうか……ありがとう」

 

 一言お礼を言い、視線をダブルオークアンタに向ける。

緑、碧を中心としたカラーリング。

太陽から降り注ぐ光を受けその身体は輝く。

傷はあると思ったが見たところ全くない、整備された後のとほぼ同じ状態が、膝立ちしてそこに佇ずむ。

 

 正直信じられないことが起きている。

現代―――西暦2364年だというなら、軍のMSが飛び交っていても可笑しくない、国のほとんどが発展している。

なのにここはどうだ。MSの飛び交う様子は見られない、とにかく自然に囲まれている。動物達の鳴き声なども聞こえてくる。

そして自分達は妖精だという、人間みたいに見える生物。背中に羽を生やし中に浮かんでいる、空想上の生物。

 

 困惑するしかない。

 

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