死んでないですよ(死んでた)
取り敢えず書きかけだったのを完成させただけなんで文字数少ない
今後書き続けるかはわかんないけど
二本足の鳥が森の中を駆け巡る。それを追いかけ、二つの影が道なき道を走る。
「あれで最後か?」
「そうだナ。依頼されたのハ『ランドダック』10羽。あのすばしこいヤツで最後ダ」
追いかけているのは、キンカとアルゴ。第一層の数あるクエストのうちの一、とある料理人NPCが出す依頼を遂行しようと、森の中で鳥と追いかけっこに興じていたのだ。
ランドダックは二足歩行の鳥で、肉には程よい脂肪と筋肉が付いており、どう調理しても美味しい……とNPCの店主が言っていた。
しかし、このランドダックはとにかく足が速く、NPCでは捕まえられないから
報酬はランドダックの肉一かたまり。ちなみに店主に頼めば格安で調理してもらえる。
クエストを無事終わらせた二人は、丁度食事時ということも
「これ、
「そうだナ。なかなかイケるナ」
予想以上の美味しさ--仮想空間だからと舐めていた--に驚きながらも、キンカとアルゴはひとときの休息を満喫した。
「ン?」
食後のコーヒーを飲んでいると、ふとアルゴが虚空を見つめた。宙に手を彷徨わせながらも目が忙しく動き回っているところを見ると、
いつも
そんなアルゴを眺めていると、ふいにキンカの耳元で鈴の音が鳴った。どうやらキンカにもメッセージが届いた模様だ。
それを読み終わり、情報のすり合わせを行おうとアルゴの方に目を向けると--
「ん?」
「ッ!」
--目が合った。
キンカの顔を見ていたアルゴは、どうやらキンカが振り向いてくるとは思っていなかったようで、驚いた顔をしていた。
驚いた瞬間の表情が跳ねるネコみたい(ネズミなのに)で可愛らしいと感じたのはキンカの胸の中に仕舞っておくとしよう。
「アルゴ……」
「な、なんでもなイ。それよりキンカ、メッセージにはなんて書かれてたんダ?」
キンカの顔を注視していたのがバレたのが余程恥ずかしかったのか、アルゴは物言いだげなキンカの目を無視して話を逸らした。
元々そちらが本題だった筈が、少々おかしな方向に転がってしまった。
「それデ? メッセージにはなんテ?」
仕切り直しとして、アルゴは再び問いかけた。
「多分、今しがたアルゴに届いたものとほぼ同じ内容だと思う」
「だろうナ」
そのメッセージの差出人は、ディアベルの近くに潜ませた
『ディアベル一行が一層の最上階へ続く階段を発見した。ボスとのエンカウントに先立ち、攻略組を集めて攻略会議を行おうとしている。日時及び詳しい場所は未定』
というものだった。
デスゲームと化して約1ヶ月、死者2000人……どうやらやっと、終わりがないと思われた第一層の攻略に一筋の光明が差したようだ。ただ、階層ボスは他のモンスターと一線を画す存在である。舐めてかかったら痛い目を見る程度では済まないだろうことも容易に想像できる。だからこそのディアベル一行からのこの依頼なのだろう。現在招致できる最高の戦力でボスに挑もうという魂胆だ。
その考えは実に理にかなっているし、単純にそれだけならば2人は依頼を受けることを即決していただろう。しかし、この依頼とその背景と、完璧に矛盾している事案が一つあった。
「にしてもディアベルか……。アルゴ、
「キリ坊の剣だロ? なかなか首を縦に振らないネ。ま、キリ坊にとっては共に戦ってきた相棒なんダ。多分売らないだろうヨ」
「そうだろうな。逆に、金の為に命を預けてきた相棒をポンと手放すようなら、その程度だということで、
現在ディアベルは、ツンツン頭でお馴染みの、モヤットボール改めキバオウを経由し、『ネコとネズミ』を
流石の2人も、人の心の中までは読めない。せいぜい情報から推測するのが関の山だ。ディアベルがなにを考えているのかはわからないが、少なくとも、今回の『現在の攻略組を集めて最高戦力で挑む』という策と『攻略組の中でも高位の戦闘能力を保持するキリトの戦力を削ぐ』という依頼は、全くもって整合性がとれない。
「アルゴ、今回の一件、どう見る?」
「なかなか難しいナ。ディアベルが何を考えてるのかさっぱりダ」
「そうだよな……。明らかに矛盾している……。何も考えていないのか、それとも何か策があるのか……」
キンカはぶつぶつと独り言を呟きながら思考の海に沈んでいった。
それをつまらなそうに見つめるアルゴに気づかずに……。