一条家次男は第一高校   作:クッペ

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なんか今日だけでかなり評価してくれる人がいてとても嬉しいですよ

それが評価星1だとしてもそれは自分の実力不足だと身にしみてわかるのでありがたいと思います

そして粘度aさん、今日1日でたくさんの誤字報告ありがとうございます!


九校戦編
九校戦編Ⅰ


 

 一条煌輝は一高から孤立している。原因は先日のテロリスト襲撃の際の『爆裂』だ。仕方がないこととはいえ人を殺した。『爆裂』は死体がグロテスクで吐き気を催している生徒も多数いた。

 戦時中とはいえすべての人が殺す覚悟を持っているわけではない。暴言を吐かれたり暴力を振るわれたりということではない。ただ煌輝を見る視線に『恐怖』の感情が入ってきてしまうのだ。

 朝、登校して教室に入るとクラスメイトの視線が一斉にこちらを向く。話が一旦止まり誰かが声をかけようと逡巡している間に、煌輝は自分の席に着いて授業の準備を始めてしまう。昼休みになり食堂でも同じようなことが起こる。たまに達也やエリカ、レオなんかは話しかけてくるのだが、基本的には一人だ。

 そしてこの状況に頭を悩ませているのは首脳陣の三人だ。試験が終わり夏休みに入れば九校戦が始まる。煌輝は一年男子のトップの成績であり、一年のエースなのだがこのままこの状況が続けばチーム戦であるモノリスコードには問題が出てしまう。そして煌輝は孤立している状況を十全に理解しており『モノリスコード』の出場を辞退しようとしている。

 そしてとある日の放課後、煌輝は生徒会室に呼び出されていた。

 

「一条君、やっぱりモノリスコードには出れないのかしら?」

 

「出てもいいのですが、やはり今の俺がチーム戦に加わるのはあまりいい結果を生まないと思うのですが・・・申し訳ないのですが氷倒しだけでお願いしたいのですが」

 

「ふぅ・・・分かったわ。モノリスコードは男子で次に成績がいい森崎君たちにお願いするしかないわね」

 

「申し訳ありません、氷倒しも優勝できるとは限らないのですが・・・準優勝以上はお約束できると思いますが、優勝は恐らく将輝に取られるかもしれません・・・」

 

 魔法の発動速度は煌輝よりも将輝の方が早い。液体を気化させる『爆裂』は氷柱を一瞬で破壊することができ、『爆裂』の殴り合いとなれば勝算はかなり薄い。

 

「やる前から弱気なこと言わないの!どうせやるなら勝ちましょう!ね?」

 

「そうですね、少し弱気になってました」

 

「ごめんなさい・・・私があんな指示を出さなければ君は――」

 

「七草さん」

 

 煌輝は基本的に真由美のことは『会長』、克人のことを『会頭』と呼ぶが、十師族としての話をするときはさん、殿を敬称で着ける。

 

「俺は七草さんの指示が無くても『爆裂』を使ってました。そのことで七草さんが気にすることはありません。俺は一条としての責務を果たしただけですよ」

 

 一礼しその場を去る。煌輝の九校戦の出場競技は氷倒しの単一エントリーとなった。

 

* * * * * * * * * *

 

 とある日の放課後、会議室にて九校戦のメンバーの最終選定が行われ、九校戦のレギュラーに選ばれているメンバーは全員集合とのことだった。前に座っているのは真由美、克人、摩利の首脳陣。出場メンバーで知っている顔は三年の辰巳鋼太郎、二年の服部刑部、桐原武明、中条あずさ、百家の五十里啓、千代田花音、一年は光井ほのか、北山雫、森崎駿、そして居心地悪そうに座っている司波達也だ。

 会議が始まりまず最初に話題に上がったのは何故二科生である達也がここにいるのか?ということだ。どうやらエンジニアとして真由美が推薦したらしいが、他のメンバーは彼のエンジニアとしての技術がどの程度か知らないため反対しているものがいた。ただその中にも何人か好意的な意見も言っている者もいるため、会議は平行線のまま進まない。

 

「つまり、司波がどの程度の腕前か分からないのがこの会議の停滞を生んでいるということでいいか?ならば実際にやらせてみればいいだろう。何なら俺が実験台になるが?」

 

「いいえ、彼を推薦したのは私ですから私が」

 

 魔法を使うには心理状況がかなり左右される。信頼を置けないエンジニアにCADの調整を任せると魔法がうまく使えないのはそのエンジニアの腕を疑って魔法の発動がうまく行かないのだ。さらに魔法発動がうまく行かないと眩暈などの体調不良などの症状が出てくる。現状達也の技術を知らない身としての立候補はかなり勇気のあるものだった。しかし克人と真由美は達也を好意的、ないし卑下しているようなことは無い。彼をエンジニアにしたいがため虚偽の報告をするかもしれないことは否めない。克人がそうするとは全く思えないが。

 

「いえ、その役目。俺にやらせてください」

 

 その中でもう一人立候補したのは桐原だ。その桐原の男気に達也は微笑を浮かべていた。

 会議室に実際に九校戦で使う機器を用意し達也のエンジニアとしての技術を見ることとなった。学校で使うのはヘッドセットに計測用パネルに想子を流して、あとは機械による自動調整によるものだ。

 その自動調整からいかに使用者に使いやすく調整するかがエンジニアとしての腕の見せ所だ。

 達也が計測器を準備し、桐原が計測用パネルに想子を流し込む。

 

「計測が終了しました。外してくださって結構ですよ」

 

 達也が桐原にそう伝え、ディスプレイを見たまま動かない。見学者は何かのミスか?と思っているが、あずさは何をしているのか気になったのか後ろからディスプレイをのぞき込み・・・

 

「ふぇ?」

 

 と声をあげる。ディスプレイには文字が高速で羅列されており、羅列が終了したかと思うと次のウィンドウを開き調整を続ける。これは完全マニュアル調整で、機械で合わせるところを自分で調整することによって、CADが許す限りのスペックを反映させることができる。

 やがて調整が終了しCADを桐原が操作する。

 

「何か違和感はあるか?」

 

「いえ、自分が普段使っているものと、何ら遜色有りません」

 

 その結果に少なくないどよめきが上がるが、時間がかかっているとかもっと効率よくできないのかやり方が変則的過ぎるなどという言葉が飛び交う中、あずさは一人声をあげた。

 

「私は司波君の技術スタッフ入りを強く推薦します!彼が披露した技術は、ここにいる誰よりも高いものです!スペックの違うCADをフルコピーしてここまでの安全マージンを取れるなんてとてもすごい事なんです!完全マニュアル調整なんて、少なくとも私には出来ません!」

 

「それでも出来上がりが平凡だったら意味が無いんじゃないか?」

 

「そ、それは・・・きっといきなりだったから・・・」

 

 もともと弁が立つ方ではないあずさだ。その言葉に言い返せずに歯噛みしていると、服部からの援護射撃が上がった。

 

「桐原が普段使っているCADは競技用のものよりも数段上のスペックのものだ。それを普段使っているのと何ら遜色ないと言わせた司波の技術には舌を巻かざるを得ない。九校戦はわが校の威信をかけた戦いです。それを前例がないとか、二科生だからという理由に拘っている場合ではありません。会長、俺は司波の技術スタッフ入りを強く推薦します」

 

 言葉の端々に棘が見える辺り、確執は残っているようだがその確執が残っている服部が達也の技術スタッフ入りを推薦したことによって、大局は既に決まったと言っていい。

 

「服部の意見はもっともなものだと俺も思う。司波はわが校の代表メンバーにふさわしい技量を示した。俺も、司波のチーム入りを支持する」

 

 この場の代表である克人が支持したことにより、達也のメンバー入りが確定した。




達也の技術披露に煌輝を使ってもよかったんですが、煌輝は孤立しているという理由で意見をあまり言いません。

ここは原作通り桐原にやってもらいました
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