今期のアニメで一番面白いのはヴァイオレット・エヴァーガーデンだと思います。
これで良し
「そう言えば将輝、さっき俺に気が付かないほど熱心に何かを見ていたようだが、一体何を見ていたんだ?」
三校の学生からの質問攻めも終わり、一応の収束を迎えた煌輝は再び将輝と吉祥寺との会話に勤しんでいた。
「い、いや・・・別に・・・」
そう言いながらも視線は泳ぎちらちらととある場所を見ている。その視線の先にいるのは達也達と話している少女だ。
煌輝も将輝が向けている視線の先を見て合点が行く。
「あれって・・・深雪さんか?」
「煌輝、知ってるのか!?」
思わず、といった形で肩を掴みかかりながら聞いてくる。
「知ってるも何も、一高の首席だぞ?それにクラスも一緒だし・・・来るときのバスも途中から隣だったな。なんだ?惚れたのか?」
何気ない一言だったがその一言で将輝の顔は真っ赤に染まる。面白いネタが手に入ったとでもいうようににやにやと笑みを浮かべながら、
「へぇー、将輝もとうとう恋かー」
「う、うるさい!それに惚れてなんかいない!少し気になるだけだ!」
「将輝、そんな顔で言っても全く説得力ないんだけど・・・」
吉祥寺が思わずといった風に突っ込みを入れる。しかし狼狽している将輝の耳には入らないようで、どう反論するかを考えている。
「安心しろ、バスの席が隣だったって言っても俺は後半気絶してたし、俺は狙ってねえから。それに深雪さんを攻略しようものならラスボスとの対決は――」
「ちょっと待て、お前気絶してたって言ったか?」
必死に反論の言葉を考えていた将輝だったが、思わずという形で聞いてくる。吉祥寺もただ事ではなかったと思ったのか、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。
「ああ、ここに来る途中で事故にあってな。まあ言っても未遂なんだが、その時に『術式解体』を二発使ってな。それから会場について暫くは気を失っていたし、ホテルに着いてからもずっと寝てた。起きたのはついさっきだ」
「大丈夫なのか?」
「心配するなって。俺の出場競技は新人戦の『氷倒し』だけだし、この想子枯渇も初めてじゃないんだから」
「ならいいんだが・・・」
「煌輝、君は『モノリスコード』には出場しないのかい?」
煌輝の話を聞いて問題ないと判断した吉祥寺は煌輝の話を聞いて気になることがあったようだ。出場競技の単一エントリー、煌輝の実力なら間違いなく『モノリスコード』に出てくるものだと思っていた吉祥寺だが、エントリーされていないことに疑問を覚えたようだ。
「ああ。今の俺はチーム戦をこなせるような状況じゃないんだ。この間一高にブランシュが乗り込んできたのは知ってるだろ?」
「うん」
「その時大勢の前で『爆裂』を使ってテロリストを殲滅してな。それ以来怖がられてるんだよ。こればっかりは時間が解決してくれることだと思ってるからお前が気に病むようなことではないさ」
その会話を盗み聞きしていたのだろう、三校の学生からは一高の学生に対する批判の声が上がった。数名は一高の学生に対し文句を言おうとしていたが、煌輝はそれを必死で宥める。
そして一高では叶わなかったことを三校の学生たちに求めることにした。
「ここにいる奴らだけでもいい。もしもこの先将輝が『爆裂』を使って人を殺めたとしても、突き放さないでやってほしい。頼む」
頭を下げて、誠意を見せて頼み込む。自分と同じ境遇に将輝は置かれてほしくないのだ。
三校の学生たちはそれを快く了承してくれる。校風が戦闘向きの魔法と言うのもあるのかもしれないが、肉親が孤立するような状況はやはり見過ごせない。
そうしているうちに懇親会は恙なく進行し、九島烈閣下の話が始まろうとしていた。
* * * * * * * * * *
突然ホールの明かりが消え、ステージにスポットライトが当てられる。ここで九島烈が話をするのだろう。
しかしそこに立っていたのは九島烈ではなく金髪の若い女性だった。何かのトラブルかと疑い周りを見渡す。しかしほとんどの生徒が同じような反応だ。
金髪の女性が一礼したかと思うとステージ袖へと退場していく。女性が退場し終えステージを再び見てみるといつの間にか九島烈が立っていた。
「最初に、悪ふざけに付き合わせてしまったことを詫びよう。今のは大したことのない精神干渉魔法だ。それに気が付いていたのはこの場で五人。つまり私がテロリストだとして咄嗟に動けるのは五人だけということになる。九校戦は大規模な魔法を使う場ではなく、魔法の使い方を見せる場だ。若人よ、私は君たちの『工夫』を楽しみにしている」
九島烈が退場していくと自然拍手が沸き起こる。それだけ今の話に感銘を受けたということだ。
「将輝、ジョージ。今の精神干渉魔法、気が付いたか・・・?」
「・・・いいや、気が付かなかった」
「僕も・・・」
悔し気に唇をかむ将輝と吉祥寺。表情にこそ出さないが、煌輝も同じ心境だ。
「ふぅ・・・これで懇親会は終わりだろ?俺は自室に戻るよ」
暗くなった空気を払拭するように努めて明るい声を出す。
「ああ、対戦楽しみにしてるぞ」
「こんなことを他校の生徒に言うのは間違っているが、お互い頑張ろうぜ」
「うん、そうだね。誰が勝っても恨みっこなしだ」
そう言って三人は拳を突き合わせる。
「将輝!」
「なんだ?」
「負けねえぞ!」
「ふっ・・・ああ、俺もお前だけには負けたくない。全力で勝たせてもらう」
こうして懇親会は終わり、明日からはいよいよ九校戦の一日目だ。
なんかこの話が一番煌輝が饒舌だなって書いてて思いました