次回辺りから新人戦始まるのでそれまではグダグダと面白くない流れが続いてしまいますがご了承いただけるとありがたいです。
午後となり『スピード・シューティング』の決勝の時間となり、会場に足を運んでいる人々のほとんどが『スピード・シューティング』の会場へと足を向けていた。理由は言わずもがな、真由美が出るからである。
ここまですべてパーフェクトで勝ち上がっており、決勝も盤石だ。
決勝戦ではあるが、観客の真由美への熱は全く冷めていない。寧ろ勝ち進めていくうちに上がっていると言っても過言ではない。選手紹介で真由美の名前が呼ばれ真由美が姿を現す。観客の歓声は今日一の盛り上がりを見せたであろう大きさだ。
相手選手も出てくるがここまでの大きさではない。言い方は失礼だがこの時点でどちらが勝つかの期待度は大体わかる。
二人が競技台に立ちCADを構える。だんだんと観客の声はしぼんでいく。声を挙げて応援してはいけないという決まりはないが、この競技の場合はあまり騒がしくする競技ではないのだ。
シグナルが点灯し一つずつ消えていく。全てが消えたところで左右から赤と白のクレーが一斉に飛び出す。真由美は赤のクレーを正確に撃ち落としていく。対して対戦相手の選手はいくつも取りこぼしている。
これは対戦相手の魔法の技術が無いためではない。『スピード・シューティング』は同じスペースに立ち魔法を撃つ。つまり違う系統の魔法がぶつかり合うため、干渉力の低い方の魔法はうまく発動できないのだ。真由美は魔法の発動速度も干渉力も一流だ。対戦相手の干渉力は真由美の干渉力を下回っているため魔法をうまく発動できず、いくつも取りこぼしているということだ。
この時点でどちらが勝つのかは明白だ。結果は真由美がパーフェクト、対戦相手はわずか三十二個。『スピード・シューティング』女子本戦は真由美の優勝で幕を閉じた。
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次の日、『クラウド・ボール』の真由美の担当エンジニアに達也が急遽選任された。
『クラウド・ボール』は一日でこなす試合数が九校戦で一番多く、ペース配分には常に気を付けなくてはならない。
本当は『クラウド・ボール』を見たいが、この時間は『ピラーズ・ブレイク』が同時進行で行われる。煌輝は新人戦の『ピラーズ・ブレイク』の出場選手のため、何か学ぶものがあるかもしれないと思い『ピラーズ・ブレイク』の会場へと足を運んでいた。
『ピラーズ・ブレイク』の会場へ到着すると偶然将輝と吉祥寺に出会った。
「将輝、ジョージ、おはよう」
「おはよう、お前も見に来てたんだな」
「何か学べるものがあるんじゃないかと思ってな。と言っても、『爆裂』で速効で終わらせるだけなんだろうけど、それ以外にも学べるところはたくさんあるはずだ」
「『ピラーズ・ブレイク』だけなら確かに将輝達は『爆裂』で終わりだろうけど、他の事に使えることはあるだろうからね」
そんな雑談をしながら客席で空いている席を探し、空いている場所へと座る。
初戦から克人が出番とあって、やはり観客は多い。
「十文字殿はどういった戦法だ?」
「相手の魔法を防ぎつつ、『ファランクス』で相手の氷柱を破壊していくんだろうけど」
「ああ、大体そんな感じだ。俺はあの人が氷柱を破壊されているところを見たことが無い。やはり『鉄壁』の異名は伊達じゃない」
やがて選手紹介の時間となり、克人と対戦相手が出てくる。昨日のように歓声が上がることは無いが、克人が出す威圧感に会場の空気は引き締まる。
対戦相手の方も気圧されているのか、すでに表情が暗い。
双方CADを構え始まりの時を待つ。克人は携帯端末型の汎用型CAD、対戦相手の方は腕輪型の汎用型CADだ。
シグナルが点灯しすべてが消えて競技が始まる。構えていたCADを操作し魔法を発動させる。
克人は自陣に領域干渉を展開する。対戦相手は魔法を発動させるが克人の領域干渉を突破できない。対して克人は再度CADを操作、相手の氷柱を押しつぶすように破壊する。
十文字家の『ファランクス』。いくつもの障壁を展開し、仮に一番外側の障壁を破壊されたとしても次々と障壁が展開されるため生半可な攻撃では突破できない。これを突破できるのは四葉家現当主の四葉真夜の『流星群』だけだろう。
相手は自陣の氷柱に情報強化を展開するが、克人の『ファランクス』を防御することはできない。そのままなすすべもなく相手の氷柱はすべて破壊され、克人の氷柱はすべてが健在だった。
克人が全ての氷柱を破壊した瞬間、緊張に引き締まっていた空気が一気に解き放たれ、大きな歓声へと変わる。
「あれが十文字家の『ファランクス』か。今回は攻撃に使っていたようだが、本来は防御用の魔法だろ?」
「いや、あれだけの威力が出せるなら攻撃にも使えるだろうね。『モノリスコード』本戦に出る先輩たちはあの障壁を突破できないだろうね」
「俺達でも恐らく突破できないだろう。敵に回したくはない人だな」
その後も『ピラーズ・ブレイク』の観戦は続けたが、克人の試合以上に盛り上がる試合は無かった。
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『ピラーズ・ブレイク』が終わり、午後には『バトル・ボード』が控えている。摩利と優勝候補の七校がぶつかるとあって大いに会場のボルテージは高まっている。
水上に三人の出場選手がボードに乗って始まるのを待っている。やがてシグナルが点灯し消える。
摩利と七校の生徒がスタートダッシュを決める。第一コーナーまではわずかに摩利がリードしているが、油断はできまい状況だ。
第一コーナーに差し迫ったところで摩利は曲がるためにスピードを下げる。しかし七校の生徒は原則をするどころか加速してしまう。
ミスか!?とも思うが表情を見る限り違うようだ。摩利は受け止めるためにボードの上で体制を変え魔法を発動しようとする。しかし摩利はボードの上で体勢を崩してしまいボードから吹き飛ばされてコースの壁へと激突してしまう。
重なり合うように倒れ双方意識を失ったまま動かなくなってしまう。競技中断のフラッグが振られ、係員と一高の生徒、達也が現場へと急行した。
摩利は夕方になって意識を取り戻したが、骨が折れているためしばらく安静にする必要があった。つまり『ミラージ・バット』は出場できないということである。
摩利が『バトル・ボード』途中棄権、『ミラージ・バット』欠場となり、一高の作戦スタッフは得点計算の見直しを余儀なくされた。
『ミラージ・バット』の本戦には新人戦に出る予定だった深雪が出場する。そのことが九校戦スタッフに通達された。
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摩利の欠場が決まった次の日、煌輝は『ピラーズ・ブレイク』の会場に足を運んでいた。今日は前もって将輝達と待ち合わせをしていたためすぐに合流する。
「煌輝、渡辺選手のけがは大丈夫なのか?」
「何本か骨が折れているらしい。この先の競技は欠場だ」
「そうか・・・残念だが気を落とすなよ。まだ負けが決まったわけじゃないんだ。と言っても、最終的に優勝するのは三校だけどな」
「そんなこと言ってて、新人戦で足元すくわれるなよ?」
「新人戦でまずいのは女子の『ピラーズ・ブレイク』、それと『ミラージ・バット』位だよ。」
「お、俺を忘れてるのか?ジョージ」
「勿論忘れてないさ。ただ、勝つのは将輝だ。それは絶対に揺るがない。それに『モノリスコード』は煌輝が出ないだろ?新人戦の優勝は三校がいただくよ」
そろそろ『ピラーズ・ブレイク』の決勝が始まるとあって会場は一気に静寂に包まれる。
決勝に勝ち進んだのは一高から十文字克人、相手は三校の三年生。しかし今までの戦いを見る限り克人が負けるようなことはなさそうだ。
決勝とあって盛り上がりは最高潮となっている。双方がCADを構え始まりの合図を待つ。
試合開始のシグナルが点滅しやがてすべてが消える。試合が始まった。
克人はいつも通り、領域干渉を自陣に展開する。三校の選手も克人の領域干渉が展開される前に氷柱を破壊しようという算段だったのだろうが、克人の魔法発動速度が上回り魔法は届かない。
しかしさすが決勝まで上り詰めた猛者だ。自陣の防御を一切捨てて干渉力の全てを克人の氷柱の破壊につぎ込む。克人もその攻撃は領域干渉では防ぎきれないと次判断したのか、始めて防御に『ファランクス』を使用した。
三校の選手はその攻撃で魔法力の大半を使ってしまったのか、攻撃を続けるが最初の一回ほどの威力は出せないらしい。
その隙をついて克人は『ファランクス』を以って相手の氷柱を破壊していく。三校の選手は自陣の氷柱の一本に情報強化を展開するが克人の『ファランクス』を防ぎきれなかった。
そのまま克人はすべての氷柱を破壊し終え、『ピラーズ・ブレイク』本戦男子の優勝は克人に決まった。
その他の結果は男子『クラウド・ボール』は桐原が二回戦敗退。その桐原の相手は優勝候補の三校の生徒だったが、桐原との対戦で力を使い果たしたのか三回戦敗退。女子『ピラーズ・ブレイク』は花音が優勝、男子『バトル・ボード』は服部が準優勝と結果は残しているが、三校は『ピラーズ・ブレイク』、『バトル・ボード』男女ともに優勝したため一位の一高と二位の三校との差は寧ろ縮まっていた。
この結果を受けて新人戦出場の一高生徒の士気は十分に高まっていた。
なんか最後かなり駆け足になって申し訳ないです
本当にごめんなさい、次の話で新人戦を始めたかったので編集で付け加えさせていただきました…