一条家次男は第一高校   作:クッペ

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この時間に投稿するのって珍しいな


入学編Ⅱ

 ほのかと雫と別れた後、煌輝は生徒会室を訪ねた。しかし生徒会室にいたのは風紀委員長の渡辺摩利のみだった。

 

「おう、来たか」

 

「遅くなって申し訳ありません。他の役員の皆さんは?」

 

「真由美と服部はもう一人の首席の勧誘だ。市原と中条は恐らく後片付けと来賓の対応に当てられているんだろう。風紀委員の本部へ案内するよ。付いてきてくれ」

 

 そう言って生徒会室の風紀委員本部へと続く階段へと案内された。

 

「・・・これって火事があったときとかどうするんですか」

 

「安心しろ、うちには優秀な魔法師が腐るほどいる。迅速に消火ができるだろう」

 

「いえ、自分が言いたいのは消防法の事なのですが、まぁ確かに迅速な消火に関しては問題ないのでしょう」

 

 そんな世間話をしていると風紀委員本部であろう教室へと到着する。なぜ『であろう』が付くかというと、散らかりようが半端ではなくそこが教室物置部屋か判断できなかったためだ。

 

「・・・渡辺委員長、少しここを片付けてもいいでしょうか。座って話ができる程度には」

 

「あ、ああ構わない。私も手伝おう」

 

 そう言って二人は机の上に散らばってる資料などを分類ごとに分けていくのだが、煌輝の方はそれなりに片付いているのだが、摩利の方は全く片付いておらず最初の状態とそう変化が無かった。

 

「すまない、こういったことは苦手でね」

 

 ここがこんなに散らかっている原因は多分委員長なんだろうな、と少し失礼なことを考えていた。勿論口に出して地雷を踏むようなことはしないが。

 そうして机の上だけでも片付いたので、そこでいったん作業を終了する。部屋の全てを片付けるとなると恐らく説明を受ける前に帰らなくてはならない。

 

「では風紀委員についての説明をさせてもらう。風紀委員の主な活動内容は、魔法使用に関する校則違反者の摘発と、魔法を使用した諍いの取り締まりだ。今の君にはあまり関係ないが、風紀委員長、つまり私は違反者に対する罰則の決定に当たり、生徒側の代表として生徒会長と共に、懲罰委員会に出席し意見を述べる。まぁ警察と検察を兼ねた組織だ。そしてここからが風紀委員に許されている特権、というと言い方が悪いが、風紀委員と生徒会役員、部活連の執行委員には校内でCADを携帯する権利が与えられる。だからと言って校内で無断で魔法を使ってもいいというわけではない。校内でCADを携帯できる特権を持つ生徒が魔法を不適切に使った場合、一般生徒よりも重い罰が下される。おととしはそれで退学になったやつもいる。と言っても、君が破るとは全く思っていないから、これは念のためだよ」

 

 ここまでの説明をされて一息入れる。

 

「それと、巡回の際にはこのレコーダーを胸ポケットに入れておいてくれ。ちょうどカメラの部分が胸ポケットから出るようになっている。風紀委員の発言は原則そのまま証拠として適用されるが、まぁ念のためだ。最後に委員会用の通信コードを送信するぞ・・・よし、確認してくれ」

 

 そうして自分の端末に通信コードが送られてきたことを確認する。

 

「何かあったらそこに報告をしてくれ。これで終わりだが、何か質問はあるか?」

 

「では一つだけ、自分はいつから巡回に加わればいいでしょうか?」

 

「そうだな・・・特に決めていなかったが、早速明日から巡回に加わってもらおう。何、そんなにかしこまる必要は無い。単に学校の地形を覚えるためにぐるっと回ってくれればいいさ」

 

「分かりました。では今日はこれで失礼します」

 

「お疲れ、それと、もっと砕けた喋り方をしてくれて構わないぞ」

 

「ええ、分かりました。委員長」

 

* * * * * * * * * *

 

 次の日、登校してきて特化型の赤い拳銃型CADだけは事務局に預けて自分の所属クラスの1-Aに向かう。汎用型の腕輪型CADは一応携帯しておく。特化型のCADに入ってる魔法は一条家の『爆裂』を主とした発散系の魔法のため、持っておいても学園で使うことは一切ないだろう。この時点で汎用型のCADを預けなくても何も言われないのは、煌輝がすでに風紀委員に入ってることが学校側に伝わっているためである。

 煌輝が教室に着いた時にはまだ生徒はあまり来ていなかったが、早めに来ていたのであろう男子生徒から声をかけられた。

 

「おはよう。僕の名前は森崎駿。君は一条君だよね?」

 

「ああ、一条煌輝だ。よろしく」

 

 それをきっかけに教室に来ていたクラスメイトから次々と自己紹介される。そうこうしているうちに、昨日の入学式で会った女子二人、光井ほのかと北山雫が登校してきた。

 

「おはようございます、一条さん」

 

「ああ、おはよう」

 

 しかしこの喧噪も長くは続かない。とある女子生徒、新入生総代の司波深雪が教室に入ってくると、クラスは急に静まり返った。

 

「皆さん、おはようございます」

 

 そう言って深雪は自分の席に着く。一瞬時間が止まっていたが、クラスメイト達の復帰は思ったよりも早く、我先にと深雪へと自己紹介をしていた。

 そのやかましい喧噪を我関せずとして、煌輝は自分の席へと向かいガイダンスの内容、履修登録などの確認事項を読み進めていた。まだ時間はあったのでそのまま履修登録まで済ませてしまう。

 ちょうど履修登録を済ませたところで、HRの時間となり教室の扉から一人の若い女性が入ってきた。その女性はどうやらこのクラスの専任カウンセラーらしい。二科生を含めた各クラスに二名のカウンセラーが着く。カウンセラーが充実していることも一高の特徴だ。

 そうしてガイダンスが終わり、昼までは時間が空いてしまうのだが、一科生にはどうやら引率の教師が学校を案内してくれることになっているらしい。

 

「一条君、この後どうするつもりだい?」

 

「森崎か。どうせだから引率の先生について学校を回ってみることにするよ。ちょうど七草会長の実技演習も見られるらしいしな」

 

 七草真由美は遠隔操作魔法で十年に一人の逸材と呼ばれており、一高にも数多くのトロフィーを収めている。今日は新入生向けとして特別に実技演習が見れるようになっているらしい。

 そうして1-Aのクラスのほとんど全員が引率の教師に案内されて学校を見て回ることにした。

 真由美が実技演習を行っている教室へとたどり着いたが、来るのが遅かったのか前の方にはすでに見学者が大勢おり、あまりよく見えなかった。どうやら先頭で見ているのは達也とその友人と思われる二科生数人らしい。その光景をあまりよく思わないらしく、一科生の連中は達也たちを恨みがましく睨みつけていた。

 真由美の実技演習が終わったあたりでちょうどお昼時となり、食堂へ行くことになったのだが、そこでも問題が発生した。どうやら深雪と一緒にお昼ご飯を食べようと思っていたクラスメイト達だが、深雪は兄である達也たちと一緒に食べるつもりだったらしい。深雪が達也たちの座っている席へ移動するが、1-Aのクラスの連中が座るスペースが確保されているわけもなく、そこで一科生の連中が達也たちに退けるように言っていた。

 達也と一緒にいた男子とショートカットにしていた女子が切れそうになっていたところだったが、達也が残っている分を急いで食べ終え、男子生徒と一緒にその場を後にした。

 なお煌輝はその諍いに巻き込まれることを嫌ったのか、別の場所で一人で食べていた。

 

* * * * * * * * * * 

 

 そして放課後となり早速風紀委員の巡回のために生徒会室へと向かい、風紀委員の本部へ赴く。

 

「おはようございます」

 

 風紀委員では朝昼問わずこの挨拶をしているらしい。本部にいた摩利に挨拶をする。

 

「おう、来たか。早速で悪いが巡回へ向かってくれ」

 

「分かりました」

 

 そう言ってレコーダーを胸ポケットへと入れて、風紀委員である証の腕章を腕に巻いて巡回へと赴いた。

 巡回のルートは決められていないので、どこを回るかは各委員の自由らしい。取りあえず校舎を一回りしようとして、あとは外を少し回ればいいだろうと思い校舎を巡回していたところが、端末に摩利からの連絡が入った。

 

「どうかしましたか?」

 

「グラウンドで何やら一年の一科生と二科生が言い争いをしているらしい。念のため向かってくれ。私と真由美も後で合流する」

 

「了解しました」

 

 連絡を貰ったところでグラウンドへと向かった。そこで言い争いをしていたのは、昼に食堂で言い争いをしていた時のメンバーだった。




煌輝君は無口キャラでも便利屋でもありませんよ!
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