一条家次男は第一高校   作:クッペ

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一日二話投稿がどうのこうのよりも、包丁で左手の親指思いっきり抉って二時間以上血が止まらなくてタイピングに支障をきたしていることが辛い


入学編Ⅲ

 

 グラウンドに到着したところで言い争いが続いていた。少し時間がたつと真由美と摩利の二人が合流した。風紀委員の職務上、ただの言い争いならば何もせずに傍観を決め込んでも問題は無いのだが、魔法が使われた際に備えて一応の警戒はしておく。

 ある程度の距離があるので言い争いの内容までは聞き取れない。しかし森崎がCAD、しかも特化型のものを抜いた時点で胸ポケットに入れたレコーダーを起動させて事態の収束に動く。いや、動こうとしたが正しい。二科生の女子が警棒で森崎のCADを叩き落としたのである。森崎のCADに手を伸ばしていた男子の手を巻き込みそうになっていたが、ギリギリの所で躱していた。

 恐らくそのことを抗議していたのだろうが、内容は漫才そのものだった。遠巻きに見ていた野次馬を含めた一同がそのことに呆気に取られていると、一科生の女子の一人、ほのかが再起動をして、

 

「みんな、止めて!」

 

 そう言って腕輪型の汎用型CADを操作する。それに気づいたのは煌輝と摩利と真由美、恐らく達也たちも気づいただろうが、咄嗟の事で対応できていない。

 起動式が完成してしまう前に煌輝が想子を掌に圧縮してほのかのCADに向けて発射する。『術式解体』は見事にほのかが起動しようとしている起動式を吹き飛ばしており、急に起動プロセスを妨害されたほのかは目を白黒させていた。

 

「辞めなさい!それ以上は校則違反以前の問題ではなく、犯罪ですよ!」

 

 遅れて真由美と摩利が合流する。

 

「君たち、1-Aと1-Eの生徒だな。事情を聞くから、着いて来なさい!」

 

 摩利がそういうと約一名、警棒を持った少女以外の顔が青くなる。摩利の剣幕に気圧されているのだろう。

 みんなが固まっている中、達也がおもむろに前へと出てきて弁明を始める。

 

「すいません、悪ふざけが過ぎました」

 

「悪ふざけ?」

 

「はい、森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見学させてもらうつもりだったのですが、あまりにも真に迫ってしまっていたのでつい手が出てしまいました」

 

「その後に君の友人たちが攻撃されそうになっていたが?」

 

「急なことで驚いたのでしょう。条件反射で起動プロセスを実行できるとは、流石一科生ですね。それに彼女が発動しようとしていたのは目くらまし程度の閃光魔法です。失明の危険もないので何もしなかったのですが、彼が事前に止めたようですね」

 

 そうして煌輝の方を見る達也。若干警戒が混じってるのは気のせいではないだろう。そんなことよりもこの場にいる生徒全員が、達也の言葉に驚愕を隠せずにいた。

 

「ほう、君は起動式を読み取れると?」

 

 一早くに再起動を果たした摩利が達也にそう尋ねる。

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

 

 いけしゃあしゃあと嘯く達也。その達也の絵に深雪が立つ。

 

「お兄様の言う通り、ちょっとした行き違いだったんです。生徒会の皆さんや風紀委員の方々のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません」

 

 そう言って深く頭を下げる深雪。その様子に真由美は毒気を抜かれたのか

 

「もういいでしょ摩利、達也君、本当にただの行き違いだったのね?」

 

 達也は首肯をする。

 

「一条君もそれでいいかしら」

 

「俺はこの場に偶然居合わせただけなので、構いませんよ」

 

「分かったわ。生徒同士の教え合いが禁止されてるわけじゃないけど、魔法の行使には起動するだけで細やかな制限があります。このことは一学期で習う内容です。それまでは生徒同士での教え合いは控えたほうがいいでしょうね」

 

「会長がこう仰せられているから、今回の事は不問とする。それと君、名前は?」

 

「1-Eの司波達也です」

 

「覚えておこう」

 

 そう言い残し摩利と真由美はこの場を後にする。

 

「一応この場の事はこのレコーダーに録画されている。今回は不問にされるらしいから消しておくが、今後はこういったことが無いように、各自気を付けてくれ」

 

 最後に一言釘を刺し煌輝もその場を後にする。

 

「一条、風紀委員の本部へ帰ったら念のため報告書を作るぞ」

 

「不問にするんじゃなかったんですか?」

 

「だから念のためだ。私一人では報告書作成は手に負えん。手伝え」

 

「分かりました・・・報告書位は書けるようにしてくださいよ、委員長」

 

* * * * * * * * * *

 

 次の日、教室へと到着すると、待ち構えていたように森崎他昨日の言い争いに参加してた生徒が来て、頭を下げてきた。

 

「昨日はすまなかった。今後はああいったことが無いように気を付ける」

 

「あ、ああ。まあ反省してるならいいんだ。別に俺はそこまで気にしないがな。犯罪は犯してくれるなよ」

 

 そう言って煌輝は自分の席へと向かう。席にある端末を起動させて今日の日程に目を通し、特別なことは何もないことを確認する。

 通常授業があり午後の授業が始まる。何故か深雪の機嫌がかなり良い。そのことにクラスメイト達は疑問を覚えるが、ほのかと雫がなぜ機嫌がいいかを尋ねたことで、その疑問は解消される。

 

「ねぇ深雪、なんか機嫌いいね。なにかあったの?」

 

「ええ、お兄様が風紀委員に選ばれるかもしれないの」

 

 その一言でクラスメイトが固まる。風紀委員が魔法が使われた諍いの仲裁、報告だ。とても二科生には務まるものではないと思っているからである。

 煌輝はそのことに関しては特に疑問に思うこともなく、実技の授業の内容をこなしていく。

 授業内容は移動魔法で台車を三往復させることだ。台車が動くまでの時間、台車がいかにスムーズに動くかの干渉力が主なチェック項目だ。

 流石は一科生ということもあって、全員がスムーズに動かしている。しかし深雪と煌輝はその中でも特にスムーズに動かせていた。

 台車が動き始めるまでは深雪の方が少し早い。煌輝の場合は台車を三往復させる工程が非常にスムーズだった。これを見て他の生徒たちも俄然やる気を出していた。




アスタリスクの方は今から書きます
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