GW中にどうにか執筆時間が取れたので久々に投稿します。
では第56話をどうぞ。
過疎化が進んでいる村の一つである御奈神村。いつもなら人もまばらな村の中も、今日この日だけは違った。近隣から大勢の人達がやってくるのである。
今日は年に一度のこの村の祭りの日である。大勢の人が、祭りが行われる春日神社へ集まり、祭りを楽しんでいた。その春日神社の普段とは違う、祭りの出店が出ている表側の反対にある神社の裏側。そこで誠也は休息を取っていた。誠也は朝から神社の祭りを運営している村人の手伝いを朝からしており、ついさきほど休憩時間が取れたため休むことにしたのであった。元々誠也は御奈神村の怪物騒ぎを調査するため、鳴海家の隣に住んでいる、皆神孝介のバイトの手伝いをすると言う表向きの理由でこの村に来たのであった。だが、怪物騒ぎの方は村に着いて早々すぐに解決してしまい、表向きの理由であるバイトの「祭りの手伝いをする」と言う理由だけが残ってしまい、誠也はその祭りの手伝いをするため、調査が終わっても村に残らなくてはならなかった。そんな理由で村に滞在しなくてはならなかった誠也だったが、この祭りが終われば帰れることになっていた。休憩をしながら、誠也はこの村の滞在中に村の人達に良くしてもらった事を思い出しながら休んでいると、誠也の携帯が突如鳴り、誠也はその携帯に出て相手と話をした。電話の相手は
誠也「・・・・・そっか。じゃあ
鳴海誠司『ああ、ようやく退院できるってよ。これも、お前が発見した「グルメ細胞」を使っての新薬が開発されたからだ。・・・誠也、ありがとな』
誠也「やだな~、お礼を言う相手が違うよ。俺はグルメ細胞を発見しただけで、その「グルメ細胞」を使って、おばさんの病気を直す薬を開発した人がお礼を言う相手だよ。」
父親にお礼を言われて照れながら返事をする誠也。ちなみに鳴海誠司が言っていた「グルメ細胞」とは、誠也が異世界を旅した時に行った世界の一つ、美味しくて、希少な食材が貴金属よりも高額で取引されている世界・「トリコ」の世界で手に入れて持ち帰った「グルメ食材」の中に含まれている万能細胞である。誠也は持ち帰ったグルメ食材を、この世界でもいつでも食べられるよにするために、乃木坂グループの相談役である祖父の
誠司「・・・それでも、お前が細胞を発見しなけりゃ、薬も開発されなかったんだ。だから、ある意味・・・俺のお礼を言う相手はお前で合っているんだよ。」
誠也「そっか・・・じゃあ素直に受け取っておくよ。」
誠司「そうしておけ。しかし、これで千種も千早ちゃんとちゃんと向き合うことができるな。一番の問題であった病気も治ったんだし。」
誠也「・・・・確かに一番の障害であった病気は治ったけど・・・千早姉と仲直りするのは時間がかかると思うよ。おばさんは千早姉に心配かけないようにするため、わざと千早姉を自分から遠ざけていたんだから。」
誠司「そうだな。だが、このままってわけにはいかんだろう。だから、お前が計画していた、この後にある、親しい奴らを呼んでの旅行に千早ちゃんと千種が行けるように手を回しておいたぞ。」
誠也「・・・へっ?手を回していおいた?!」
父親である誠司の言葉を聞いて驚く誠也。誠也は、この皆神村の祭りが終わった後、村を後にするのだが、その前にこの村でお世話になった岩永の家の人達と皆神兄弟。そして、誠也が親しくしている人達を連れて、海へ二泊三日の旅行の計画を立てていた。この旅行は、誠也の祖父である乃木坂王季が海沿いに新しく作った温泉宿のモニターをすることがきっかけだった。その宿は、誠也が「トリコ」の世界の癒しの国と言われている「ライフ」に生息していた様々な医療動植物やグルメ食材を、この世界で栽培・繁殖した物を味わうことが出来る事を売りにした温泉宿である。
王季はこの温泉宿が本格的にオープンする前に、誠也とその友人達に「実際使用しての生の感想がほしいから、モニターとして泊まって欲しい」といわれ、それならばと、誠也は親しい友人達も呼ぼうと、この旅行を計画していた。ちなみにこの旅行には千早が所属している765プロの人達もアイドルとしての仕事で、モニターをやってもらう事になっており、千早達には仕事権休暇の旅行という事になっている。
誠也「ちょ、ちょっと!いきなりすぎるんだけど!?」
誠司「こういう事は早いうちに何とかするほうが良いって。そんじゃ、そういうことだから、じゃあ~な。(ブツン!)」
誠也「あっ!父さん?!もしもしっ!!くそっ!・・・・爆弾落としてさっさと切りやがった。」
切れた自分の携帯を見て愚痴をこぼす誠也。そんな自分の携帯を見ていた誠也の目に、自分の右手に巻かれている包帯が目に入った。この右腕の包帯・・・これは誠也が腕を怪我しているために巻いているのではなく、右腕の甲に浮かび上がっている「地竜の紋章」を隠すために巻いている物だった。誠也は包帯の下にあるであろう「地龍の紋章」を見ながら、銀子の言った言葉を思い出していた。
銀子『紋章の意思に負けたら、あなた達は紋章の力によって世界を破壊する破壊者になってしまう・・・気を付けて。』
誠也(世界を破壊する破壊者になってしまう・・・・か。こんな大きな力・・・・・どうしろって言うんだ。はぁ~)
誠也は紋章に宿っている力を知り、その力に対して不安を抱いていた。
紋章の事で不安になっている誠也の頭に銀子の別の言葉が思い浮かぶ。『不安は心にスキマを作り、紋章はそのスキマをついてあなたに力を使わせ暴走しようとするわ。心を強く持って。』と
誠也(いけないいけない、不安になっちゃ紋章に付け入る隙を与えちゃう!もっとしっかりしなきゃ!)
頭を振って不安を頭から出す誠也。そんな誠也に対して、聞き覚えのある声が誠也に声をかけてきた。
翔子「誠也・・・くん。」
誠也「うん?翔子?どうしたの?翔子も休憩?」
翔子「う、うん。いろはさんから「休憩行ってきちゃって」言われて。それよりもどうしたの?さっきからずーっと右手の包帯を見て難しい顔をして。」
誠也「あ・・・いや、何でもないよ。」
誠也は右手の包帯に話題が上がったので、あわてて話をそらそうとした。誠也は右手の紋章については翔子には話していない。翔子は誠也が仮面ライダーであることは知っているが、あくまで一般人であり、紋章のような危険な物に関しては極力巻き込まないようにした方がいいと考え、銀子と相談して、翔子や孝介、さくや達には紋章関連の事は話さない事になった。
翔子「ね、ねえ・・・誠也くんは・・・この祭りが終わったら、帰っちゃんだよね。」
誠也「う、うん。表向きは祭りの手伝いをする為に来たって事になっているからね。その祭りが終わったら帰らなきゃね。それに遠羽市の方で色々と事態が動き始めているし、戻って色々とやらなきゃね。」
翔子「そうなんだ・・・・」
誠也の言葉を聞いて寂しそうに返事をする翔子。だが次の瞬間、その寂しそうな顔は無くなり、いつもの顔に戻った翔子は、誠也楽しそうな顔を向けて話しかけた。
翔子「ねえ、誠也くん。せっかくのお祭りなんだから、その・・・い、一緒にお祭りの屋台を回らない?」
誠也「え、屋台を?そうだね・・・いいよ。せっかくのお祭りなんだし、一緒に回ろう。」
翔子「!う、うん!一緒に回ろう♪(やった!誠也くんと二人っきりでお祭りを回れる♪)」
誠也からのOKの返事をもらってとても嬉しそうな顔をする翔子。
翔子「じ、じゃあ早速一緒に「あ!マスター!こちらにいらしたんですね」って・・・え?」
翔子の嬉しそうな声を遮るような形で、誠也を呼ぶ声が響いた瞬間、翔子の嬉しそうな顔が陰る。
誠也「あ、こあ。どうしたんだ。確か紅音さんの手伝いをしてたんじゃなかったっけ?」
声のした方向。そこには悪魔の特徴である頭と背中の羽と尻尾を引っ込めて隠したこあが、巫女服姿で立っていた。こあはこの祭りの間、春日神社の巫女である
こあ「はい、紅音さんが「休憩をしてきて」と言われたので、マスターの様子を見に来ました。」
誠也「そっか。ならちょうどいい。今から翔子と一緒にお祭りの出店を回る所だったんだ。こあも一緒に行かないか?」
こあ「え?良いんですか?」
誠也「もちろん。大勢の人で回った方が楽しいだろう?ね、翔子。」
翔子「え?あ・・・・うん・・・・・」
誠也の言葉に対して少し暗い感じで返事をする翔子。そんな様子の翔子を見て誠也は「どうかした?」と聞くが、翔子は「何でも無い」と言って返事をした。誠也もその返事を聞いて訝しんだが、たいしたことないと思い、出店の出ている方へ二人を促しながら歩き始めた。
翔子(もう少しで誠也くんと二人っきりでお祭りを回れたのに・・・・・・あの子・・・・邪魔して!)
翔子は誠也の横に、さも当然のように居るこあの存在を煩わしく思っていた。誠也が皆神村に来てから、誠也の横には常に翔子の姿があった。翔子自身も誠也側に居心地の良い物を感じており、いつしか誠也の横は翔子の居場所だと感じていたし、誠也と二人っきりになれる時間は、翔子にとって幸せな時間となっていた。ところが2・3日前に現れたこあの存在が、翔子の居場所である誠也の横を脅かし始めたのである。誠也の使い魔として、常に誠也の横に居るこあのせいで、翔子は誠也と二人っきりになれる時間が無くなり、更には翔子の居場所である誠也の横と言う、翔子の居場所に平然と居座っているのである。翔子にとって、これは面白くない事であった。
翔子(・・・・なにあの子、誠也くんの横を当然みたいに居座って・・・・・・そこは私の場所よ!あなた邪魔!邪魔なの!)
――――――――――――ジャマナラ・・・・ケシチャエバイイ―――――――――――――――
翔子「え?」
突然、自分に語りかけるように、何者かの声が翔子に語りかける。翔子はその声を聞いて周りを見回すが、その声の主を見つけることは出来ず、周りをキョロキョロと見回すだけだった。
誠也「翔子?どうしたの?」
翔子「あ・・・・ううん、何でも無い。」
翔子は「何でも無い」と返事をした後、前を歩いている誠也とこあの背中を追って歩き始めた。
つづく
おまけ
こあ「所でマスター。その巫女服、とっても似合ってますね。可愛いですよ♪」
誠也「うっ!巫女服のことは言わないでくれ。せっかく着ている服について忘れてたのに(;_;)」
そう・・・今の誠也の格好はこあと同じ、巫女服なのである。神社の巫女である「いろは」が、神社の手伝いをするなら、それ相応の格好をしなくてはと言って、誠也に巫女服を着せたのである。
紅い長い髪と、普段から女性と間違われがちな顔。そして、男の割には細い腰や手足(一応鍛えてはあるが、太くはならず、細いまま筋力が付くという謎体質の腰と手足)のせいで、どこから見ても巫女服を着た、絶世の美少女にしか見えない。それが今の誠也である。
こあ「なんで忘れる必要があるんです?似合ってるのに。」
誠也「「カワイイ」なんて言われて喜ぶ男はいないよ!全く・・・いろはさんにも困ったものだよ。「似合いそう♪」と言って人に巫女服着せようとするんだもん。いくら神社の手伝いをするにはそれ相応の格好をしなきゃならないからって・・・・大体、男が巫女服着て、似合うわけないだろう!」
こあ「だから、普通に似合ってますって。現に先ほど携帯のカメラで取ったマスターの巫女服姿を霞さん達にメールで送ったら、「すごく似合ってる♪」て言う返事のメールが届きましたよ」
誠也「ちょ!なってことしてくれるの!霞達に・・・・知られるなんて・・・・OTZ」
OTZのポーズで落ち込む誠也。ちなみに誠也の巫女服姿を見て、かなでが「誠也くんの巫女服姿!(ブシャー)」と言って鼻血を噴出させて死にかけると言う事があったと言う。