この素晴らしい灰の心は折れている 作:最初の死者ニート
最古の火継ぎを再現するために
…私は、そのために薪の王となったのだよ
この小人が、王の栄誉に浴したのさ
クールランドのルドレス
最初はただの善意だった
───その、火を継がないとこの世界はなくなるんですか?…やります。私には、父の剣技と武具があるんですから。
その次は、友愛故だった
───私に任せてくださいよ!私には絶対にできるんです!
そして、絶望だった
───継いでも、継いでも、繰り返し………もう…やだよ…もう、いっその事…
心は更に絶望に沈んだ
───どうして?どうして?私何度も死んだよ?まだダメなの?助けてよ、神様…
そして、諦めた
───…あぁ…そうだよ…私なんて…
自身を押し潰しながら
───ごめんなさい、ごめんなさい。でも、私はやらなきゃならないんだ。
寄り道もしながら
───…ああ、そうだな。あの爺、早く来るといいな…
しかし使命を全うし続けて
───これで…何回目だ…
だだ、終わりが来るのを願った
───まだか、まだか…もっと、継がねば、消さねば、奪わねば………
友との友好関係すらろくに築こうともせずに
───あぁ、この武器を、だ。…無駄話はやめてくれ。私には時間が無いんだ
───そうか、いいだろう。行ってこい。
───これが炸裂火玉か。よし、次はこれを教えてくれ
───結晶槍か…いい思い出はないな。次はこれを…
───闇術…確かにこれは禁忌だろう。だが、私にはそれを気にする余裕なんてないんだ。
───これが家路、か…骨片を使わないで済むのは便利だな。まぁ、私はこっちを使うが…
私という個は、どこに行ったんだろう?
きっと燃え尽きたんだろう。
ここにいるのはただの燃えカス、要らない廃棄処分品だ。
…だが、あの素晴らしい世界は私を必要としてくれる。
そして、あの女は、私を必要としてくれる。
友として見てくれるんだ。
だからこそ
「退く訳には…」
目の前から奴の剣が振り下ろされる。
だが、奴は片手持ち、私の騎士盾はパリィができる。
「いかんのだッ!!」
「なに!?」
奴の剣は明後日の方向に突き刺さり、大きな隙を作る。
その間を見逃すほど私も愚かではない。
奴の鎧と鎧のあいだ、そこを狙い剣を突き立てる。
もっとダメージを伸ばすよう更に押し倒すように深く突き刺し、引き抜く。
スズメバチの指輪はやはりこういう時に輝くな。こういう時にしか使えないが
「ぐ…まさか、俺の剣を受け流すとはな…」
目の前のデュラハンは平然と立ち上がった。
この街に突如押しかけたデュラハンはなんでも、爆裂魔法に悩まされているらしい。
怒るのは当然だ。
だが、呪いをかけようとするのであればこちらも見過ごすわけにはいかない。
…などと、カッコイイ台詞を言っているが、私ももはや満身創痍。
血が流れて止まらん。
「気に入った。今日のところは退いてやろう。まぁ、爆裂魔法のことは注意した。もう会うことはないだろう。」
「ありがたいな…こっちは死にかけなんだ、その言葉に甘えよう。」
デュラハンは馬に跨り、城へ戻っていく。
それまで立ち続けていた私は奴が見えなくなった途端、力が抜けたように膝をついてしまった。
どうやら、相当体力を使っていたらしい。
なにせ奴はスタミナの限界がないかのように、ずっとブンブンブンブン振り回してくるんだ。
盾受けの私では部が悪かった。
……なんだろうか、記憶の奥底にそんな敵が居た気がする…思い出さないでおこう。頭痛が酷い。
全く…
「これから、どうするか…」
空のエスト瓶を見て少し悲しくなりながら、そんなことを考え始めた。