Re:雪のように白く、美しく 作:海童(ワダツミ)
何で今更リメイクするか?理由は特にないですけど、強いて言うなら改良したかったからとしか言いようがありません。あと、アキブレリリース記念?
何で原作10巻から?理由は前作にも書きましたけど、改めて言うとめんどくさいからです。
完結したいなぁ(ボソッ
#1
「俺はどうしたらいいんだろう……」
織斑 一夏は一人そんなことを呟いた。彼が悩むのも無理はない。自らを亡国企業の凶弾から守ってくれたアーリィさん……アリーシャ・ジョセスターフが亡国機業へと移ったのだ。
それだけではない。ついさっき亡国機業のスコールさんから告げられた言葉。
『織斑 千冬には気をつけなさい。それと、倉持技研の動きにも』
ただでさえわからないことだらけの状態なのに自分の身内に注意を払え、ひどく言い換えれば敵と思え、などと言われれば、どんな人間でも戸惑う。
「…………どうすればいいんだろうか、いや。俺は、どうしたいんだろうか………」
守られてばかりだった少年には、どうしたらいいかも解らない、非常な現実が待ち受けていた。
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日本のどこかに存在するオフィスビルの地下。そこで刀魔・R・シルヴィエは暮らしていた。暮らしていた、といっても普通一般の人の居住空間ではない。
壁や床、天井は金属質を一切隠すことのなく、それでいて床には工具やケーブルが散らかっている。
辛うじて部屋の片隅にボロボロになったベッドと毛布がおいてあるが、状態も悪く粗大ごみ置き場にあってもおかしくはない外観だ。
「そろそろ、亡国機業は動くはずだ。そこを狙って………」
彼以外に誰もいない地下の一部屋。
「まずは今回で一機、よければもう一機落としておきたいな……『ガーベラ』、お前にしよう」
古ぼけたオフィスデスクの上に置いてあった3つの小型端末のうち、青いランプを灯す一つを手に取る。
少年の目には、深く濃い復讐の炎が滾っていた。
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IS学園修学旅行、その自由時間、織斑 一夏は一人竹林の中にいた。
「はぁ……、一人でいた方が、落ち着くなこれ」
彼はふと自分の回りを思い浮かべる。彼の環境は、始まりこそめちゃくちゃだったものの、普通の男子高校生からすれば素晴らしい環境だった。女性しかいない学園の中に男子が一人。下世話な言い方をすれば、エロゲの主人公のように選り取りみどりである。
…………普通の男子高校生にとっては。
彼は自覚していた。自分は恋愛観に疎いと。しかし、そんな唐変朴で済む時期はもう過ぎた。ワールドパージ事件、誰かがそう名付けたISのコアインターネットを利用した学園の乗っとり。
結果としては単なる身内内の揉めにすぎなかったし、とんでもない被害を受けることもなかったが、皮肉にもその事件は織斑 一夏を成長させたのだ。他人の恋愛感情を汲み取ることができる、という風に。
「絶対箒とか俺のこと好きだよなぁ………セシリアに鈴、シャルにラウラ、おまけに刀奈に簪も……」
今まではただ単に友人の延長線じゃないか、あるいはたった一人の男子だから興味があるだけ、と思っていたが、もうそういうわけにはいかない。
一番の問題であり彼を苦しめるのは、誰か一人を選ばなければならない現状。
「随分悩んでいるな」
突然誰かに声をかけられた。しかも、男性の声だった。あまりにも気になったのか、声のした方を振り向いた。そこには織斑一夏と同じくらいの年齢ほどの男がたっていた。
「ひさしぶり………あ、いや。はじめましてだな、織斑一夏」
「………誰だ。何で俺の名前を知っている!?」
すると、男は不思議そうな、しかしどこか寂しそうな顔をした。
「いやいや、ニュースであれだけ堂々発表して君のことを知らないやつなんていない。名乗るのが遅くなった。俺の名前は刀魔。刀魔・R・シルヴィエだ。 単刀直入に言おう。
俺の仲間になってくれ。」
刀魔・R・シルヴィエと彼を取り巻く環境:年齢は織斑 一夏と同じでアメリカと日本のハーフである。数年前までは父の凛道 片刃、母のミリア=シルヴィエと一緒に暮らしていた。
しかし、母は彼が小学校に入る前に胃癌によって他界している。残された父と彼は母の死を受け止め、生きていた。
その日常も白騎士事件によってすべては壊れることになる。男性の立場の欠落。父は真っ先にそれの餌食となる。女社長による理不尽なリストラ、相次ぐ不採用、過剰なストレス蓄積。病で倒れるのはそう遅くはなかった。
彼も同様。学校での虐め。男子の顔を見れば使いっ走り、ストレスの捌け口として扱われ、抵抗すれば回りから指摘される。教師の助け船など存在するはずもない。それはもう少年が世界に絶望の感情を持つことを加速させた。
父は結果として一月もしないうちに他界。元々体が強いわけではなかった。
父の残した研究データ、『レイズコア』と一枚の写真が彼にとってのすべてである。