ドラゴンボールY 逆行のヤムチャ 作:枝豆豆腐
遂にその日はやってきた。ベジータ達サイヤ人の襲来だ。〝あいさつ〟なんてさせる訳にはいかない。事前に気を察知し、早々に落下地点に先回りして力づくで場所を変えさせた。
一歩遅れて悟空達も追いついたが、その時点で既にベジータはこちらを完全に警戒していた様だ。囲まれた相手の実力が油断ならないレベルだと感じるや否や、即座にパワーボールを作り出し、ナッパと共に大猿化してしまった。この判断力と決断の早さは流石戦闘の天才ベジータといったところか。
変身していなければ正直俺がいなくても楽勝の戦力差だった。みんな戦闘力は万を超えていたし、界王拳も使える。しかし大猿化してしまってはそうもいかない。
いや、実はなんとかならなくはないのだが、悟空の悪い癖が出た。つまりタイマンしたがっていたのである。ベジータが月を作ったことで大きく弱体化しているとはいえ、今の悟空では相当ギリギリだろう。しかし、だからこそ戦いたがるのがサイヤ人という生き物だ。敵の目の前で仲間割れする訳にもいかず、結局悟空は1人でベジータと戦うことになり、俺は万が一がないように2人の戦いを見守ることになった。
ナッパには他の全員で相手をする。暴れられるのを懸念して捕らえた際にラディッツの尻尾を一応切っておいた為ラディッツは変身できていないが、こちらはそこまで厳しい戦いにはならないだろう。ナッパはパワーボールを使っておらず弱体化していない為、一対一なら流石に不利だが、これだけの人数差で不利になる程の力の差はない。一応こっそり四身の拳(二身バージョン)を使って様子を伺ってはいたが。
悟空とベジータの戦いは当初巨体を活かしたベジータが有利に進めていた。戦闘力に大した差はないが、だからこそ単純な質量差が大きく効いていた。
このままでは負けると感じた悟空が自分の負担の大きい倍率まで界王拳を使って戦況は逆転したが、ベジータはそれが大きな負担のある技だと理解したようだ。防御に徹し、悟空の消耗を待った。
そしてそれを察した悟空も消耗し尽くす前に限界まで界王拳の倍率を上げ、一気に勝負を決めにかかった。最後の撃ち合いに勝利した悟空だ。そのままかめはめ波がベジータの作った偽物の月を破壊し、ベジータは変身も解けて最早戦える状態ではない。
しかし悟空もその場を動けないほどに消耗していた。ベジータはその隙をついて宇宙船での逃走を図ったが、それをやらせる訳にはいかない。少し申し訳ないが俺は消していた気を開放して奴の前に現れ、ベジータを気絶させた。
まあ、微妙なオチはついてしまったが、悟空の勝ちってことでいいだろう。
ナッパとの戦いは終始Z戦士達の有利に進んでいた。戦闘力ではやや劣っていたものの数で勝り、豊富な技と連携が更にナッパを追い込む。
戦闘力で勝るといっても、6人に囲まれながら、その全員が致命傷になりかねない攻撃を仕掛けてくるのだ。ナッパの疲労は相当なものだっただろう。
無理に攻撃せずに時間を稼ぐ事に徹し、ベジータの増援を待っていたのは経験が成せる技か。しかしそれも悟空とベジータの強力な気のぶつかり合いでベジータが押し切られたのに気づいてから隙を作ってしまい、更に変身が解けたことで一気に押し切られてZ戦士達の勝利となった。そして地味にラディッツが死にかけてた。殆ど前に出てなかった悟飯を除けば一番戦闘力低かった上にクリリン達みたいに上手く連携もとれなかったからな、仕方ない。
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ラディッツは急いで仙豆を食わせたが、それはそれとして取り押さえた2人の処遇については意見が分かれた。悟空はやはりと言うべきか殺すことに反対した。意外にもラディッツがこれに賛成、結局ベジータ達によって大きな被害が出ていないということもあり、悟飯とクリリンも殺すまでする必要があるのかと迷った結果、悟空達に近い意見だった。
ピッコロと天津飯は今すぐに殺すことを主張した。餃子は天津飯の意見によりどちらかと言えば賛成といった様子。このままでは一触即発かと思われた空気の中で神様の声がみんなに響いた。
多分こうなるだろうと予想できていたので、神様と事前に打ち合わせしておいたのだ。それにしても絶妙なタイミングでの割り込みだ。
神様の話を要約するとこうだ。
ベジータ達の発言から自分がナメック星人であったことを思い出した。流石に歳を取りすぎて故郷のことを殆ど覚えていないが望郷の念もあり、またナメック星にもドラゴンボールがあるという発言も気にかかった為ナメック星について調べた。すると、そう遠くない内にナメック星が滅ぼされる未来が見えた。界王様にも確認をとったところ、おそらくベジータ達の上司であるフリーザの仕業だろうとのこと。
ここでベジータがスカウターを介してドラゴンボールの情報がフリーザに伝わっている可能性を口にし、その可能性は高まった。
神様としては故郷を見捨てたくはない、しかし自分は地球の神であり、地球を離れることはできない。なので、俺たちにナメック星へ向かってくれないかという。勿論、界王様の口添えまで含めて全て芝居である。まあ、ドラゴンボールを作った張本人であり、その気になれば似たような事ができる神様だからこそ疑う者はいなかった。実際、フリーザはナメック星に向かう筈だし。
そしてこれに反対する奴はいなかった。相変わらずお人好しの集まりだ。ベジータ達の処遇もフリーザ軍の情報が必要な他、ナメック星に向かう為の宇宙船の改造の協力などを条件に一時保留となった。
本人達がフリーザと敵対するつもりなのも大きかった。元々下克上を狙ってフリーザに無断で地球のドラゴンボールを使おうとしていたのだから、それがバレてしまった以上処罰は免れない。加えてフリーザが不老不死になってしまえば一生下克上など不可能となれば、自分達より強くフリーザと敵対するつもりの俺たちを利用しようとするのは理解できる。生殺与奪をこちらが握っているとなれば尚更だ。少なくとも、フリーザとの決着がつくまでは裏切るつもりはないだろう。
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そんな訳でナメック星へ向かう為の準備が始めたのだが、実は事前にブリーフ博士にラディッツの宇宙船を渡して研究してもらっていた。これに今回神様の宇宙船を加えて技術的な不足はほぼないといっていいらしい。未来の世界でタイムマシンを作り上げたブルマといい、あの家族は実はサイヤ人並みに理不尽な存在な気がしてきたぜ…。ナメック星の座標も界王様が協力してくれる為問題ない。
とりあえず宇宙船についてはブリーフ博士達に任せるとして、神様の宇宙船をベースに宇宙船に改造するまでに1ヶ月ほどかかるらしい。そこから1週間ほどで到着する予定らしいので時間的余裕はまだある。
となればやることは一つしかない。修行だ。
ラディッツのスカウターをブルマに頼んで改造してもらってからわかったことだが、やはり俺の戦闘力はフリーザと戦うための目標値までまだ遠く及んでいない。一応アテはあるのだが、仮にアテが外れた場合に打つ手なしでは笑えない。少しでも底上げする必要がある。また、ベジータ達の修行をつけるついでに何度も叩きのめして力の差を見せ、裏切らないよくに釘を刺しておく。こいつは前の世界での前科がある、ちょっとでも油断したら何をするかわからんからな。
そんな事をしてたら思いの外何度も死にかけたらしく、サイヤ人特性と過酷な修行の相乗効果でメチャクチャ強くなっていた。何故か悟空も混じっていたが。
どうもベジータはサイヤ人の下級戦士である悟空に負けた事が許せないらしく、特に対抗意識を燃やしている。修行に身が入って何よりだ。
勿論地球人組も修行を続けている。サイヤ人組程ではないがベジータ達との戦闘で大きく成長し、武闘家としての長い下積みのある天津飯達の強さはかなりの物だ。多様な技と経験、連携により発揮される実力はナッパとの戦いで証明され、自信もつけている。特に天津飯は四身の拳を利用した修行の恩恵もあり、頭一つ抜けた強さを持っている。
ピッコロも気が付けば周りに追いつき、まだまだ未熟な悟飯の面倒をよく見ている。顔には全く出さなかったが、周りに遅れをとっていた頃に悟飯によく励まされていた事をみんな知っているので、悟飯に厳しいことを言いながらこっそり手を貸してやるピッコロをニヤニヤしながら見ていた。
そんなこんなで、俺たちは着々とナメック星に向かう準備を整えている。