ハートキャッチプリキュア~もう一人のプリキュア~ 作:雪乃音色
ゆりと椿がプリキュアとして復活した数週間後。
ハートキャッチのメンバーは、希望ヶ花市のとある丘に来ていた。
そこには、多くの少女達が集まっており、至極楽しげに話をしていた。
つぼみ「おーい!」
なぎさ「お~い!つぼみ~、えりか~!!」
えりか「お~い!」
つぼみ「お久しぶりです!皆さん!!」
つぼみが手を振ると、それに気づいた少女達が振り返す。それに応えるように、えりかとつぼみが手を振った。
その先には、十人ほどの少女たちと三人の青年がいた。
少女たちと合流したつぼみとえりかは、いつきとゆり、椿の三人と引き合わせた。
いつき「初めまして、明堂院いつきです」
ゆり「月影ゆりよ」
椿「日々樹椿です」
えりか「ちなみに、ゆりさんと椿さんは高校生っしゅ!」
えりかの補足に、少女たちは驚愕の声をあげた。
ゆりと椿は高校生にしては大人びているようにみえるから、なのだそうだが。
もっとも、メンバーのなかにも年相応に見えない人もいるため、深くは追求しなかったが。
三人が自己紹介を終えると、いかにも元気が取り柄のスポーツ系の雰囲気をまとっている少女――美墨なぎさから、自己紹介が始まった。
十五人の少女たちと、三人の青年が簡単な自己紹介を終わらせると、ゆりはつぼみとえりかに視線を向けた。
ゆり「それで?あなたたちとこの人達はどういうつながりなのかしら??」
つぼみ「それはですね……」
えりか「聞いて驚くなかれ!!なぎさたちはなんと……」
いつき「なんと?」
つぼみ・えりか「「先輩プリキュアなんです!!」」
つぼみとえりかが同時に驚愕の事実を口にしたが、椿とゆりは大して動揺しなかった。
むしろ、いつきについては疑問符を浮かんでいたため、そちらのほうが気になってしまっていた。
いつき「……あれ?小々田さんと夏さん、シローさんは??」
小々田「ははは……僕たちはね」
いつきの言葉にそう返すと、小々田たちの体から煙が立ち上った。
煙の中から、白と茶色、オレンジの毛玉が飛びだすと、椿の胸元に飛びついてきた。
ココ「ココ達はプリキュアをサポートする妖精なんだココ!」
ナッツ「改めて、ナッツナツ!」
シロップ「シロップだロプ!」
妖精となった、というよりも本来の姿に戻ったココたちは椿に受け止められながら、自己紹介した。
すると、くるみも歩み寄ってきて。
くるみ「実はわたしも……」
と言った瞬間、ポンッ、と音を立てて煙が立ち上った。
まさか、と椿は思い当たったが、予想通り。
煙の中からココよりも白い毛玉が飛びだしてきて椿の肩に飛び乗った。
ミルク「ミルクも妖精なんだミル!」
椿「ココさん達は何となく察していましたが、くるみさんまでとは……」
いきなり四匹の妖精に抱き着かれ、椿は困惑しながらそうつぶやいた。
いつき「うわぁ!」
ゆり「あら可愛」
すると、なぎさが何かを思いついたようで。
なぎさ「そうだ!ついでだから、メップルたちも出て来たら?」
ほのか「そうね!」
なぎさの親友、ほのかがそれに同意すると、なぎさとほのか、ひかり、咲と舞から何かが飛びだしてきて、椿の方へと飛びついてきた。
メップル「メップルメポ!よろしくメポ!!」
ミップル「ミップルミポ」
ポルン「ポルンだポポ!」
ルルン「ルルンルル!」
フラッピ「フラッピだラピ」
チョッピ「チョッピチョピ!」
ムープ「ムープムプ」
フープ「フープフプ!」
シフォン「キュアキュア、プリプ~」
タルト「ワイはタルトいいますねん。この子はシフォン。よろしゅうたのんます!」
椿「……なんで関西弁?あと、申し訳ないのだけれど、降りてもらってもいいかしら?」
それなりに力持ち(怪力)とはいえ、かなりの数の妖精が抱き着いていたので、両腕にかかる負担が大きくて仕方がない。
椿の頼みを聞き入れて、妖精たちは足もとに飛び下りていった。
ほっと一息ついた瞬間、椿は視線が突き刺さるのを感じて、振り向いた。
すると、そこには目を輝かせながらうずうずと震えているいつきがいた。
椿「……?」
いつき「か……」
のぞみ「か?」
いつき「かわいいーーーーーーっ!!うわぁ、みんな可愛いよ!!」
キーン、と耳鳴りがするような大声が響くと、いつきはしゃがみこんで妖精たちを抱きしめた。
なお、その大音量の一番の被害を受けることになった、一番近くにいた椿とのぞみは、両耳を抑えて、うずくまるのだった。
のぞみ「耳が痛い……」
なお、その様子を見ていたつぼみとえりか、ゆり以外の面々は唖然としていた。
こまち「かわいいものが好きな男の子って……」
かれん「ちょっと、変わってるわね」
こまちが苦笑しながらつぶやくと、かれんも同じく苦笑しながらそう返した。
それが聞こえたゆりは、そうでもないわよ、と前置きして。
ゆり「だって、いつきは女の子だもの。椿、大丈夫?」
椿「どうにか……いわゆる、男装の麗人ですね。のぞみちゃんも大丈夫?」
のぞみ「うぅ……だいじょうぶです……」
ゆりが心配そうに声をかけると、椿は片耳をおさえながらではあるがそう答え、のぞみに声をかけた。
ゆりと椿のその言葉に、舞が苦笑を浮かべて、宝塚以外で初めて目にしました、と口にした。
ちなみに、妖精たちをもふもふしているいつきを見て、ほのかはなぜかうずうずとしていたのだが、それに気づいた人はいなかった。
えりか「そんなのはどーでもいい!!」
ふと、舞の返しに突然、えりかが大声を上げた。
えりか「ゆりさんはともかく、なんで椿さんも驚かないんですか!!」
どうやら、プリキュアが十五人もいるということに、二人が驚かなかったことが気に入らないらしい。
椿「私たちの先代は?」
つぼみ「……ヒントになってないような……」
椿「ふふ……。私たちの先代にキュアフラワー、最初の大樹のプリキュアはキュアアンジュ。つまり、この四百年の間プリキュアが存在し続けているのだから、他にプリキュアがいてもおかしくないの」
椿はしっかりと勉強が苦手な人でもわかるように言った。
なるほど!と言ったえりかにつぼみは苦笑するしかなかった。
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森の中を散策しながら、おしゃべりをしていると、そういえば、とラブが思い出したように、いつき、ゆり、椿に変身したときのカラーを問いかけてきた。
なぎさ「こうなったら、三人が黒仲間であることに期待して!!」
椿「……この場合、なんて言ってあげたらいいのでしょうか?」
ゆり「見せてあげた方が早そうね。いつき、妖精たちをもふもふはそこまでにして、変身よ」
いつき「えぇ……うぅ……はい、わかりました」
歩きながらも、妖精をもふもふしていたいつきは、名残惜しそうに返事をして、シャイニーパフュームを取りだした。
ゆりはココロポット、椿はココロパフュームを取り出し、コロンとサシェに視線を送った。
ポプリ・コロン・サシェ「「「プリキュアの種、いくでしゅっ/いくよ/いくなの!」」」
いつき・ゆり・椿「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」
コロンとサシェ、ポプリからプリキュアの種が飛び出てくると、三人はそれを受けとめシャイニーパフュームとココロポットとココロパフュームにセットした。
三人は変身し終わると、高らかに名乗った。
サンシャイン「陽の光浴びる、一輪の花!キュアサンシャイン!!」
ムーンライト「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!!」
コスモス「宇宙に花開く一輪の花!キュアコスモス!!」
『おぉ~~~~~っ!!』
三人の変身に、つぼみ、えりか以外は目を輝かせていた。
彼女たちが共通して抱いていた感想は。
『三人とも、綺麗……』
だった。
ゆりと椿が高校生ということもあり、どこか大人びた雰囲気をまとっているからそう感じたのだろう。いつきも同様に。
が、ここで一つ問題が。
ほのか「……なぎさ……」
ひかり「なぎささん……」
ほのかとひかりがひどく落ち込んでいるなぎさに視線を向けていた。
黒仲間かもしれない、と期待していた三人がまったく違う色。
おまけに、ムーンライトとコスモスに至っては自分と逆の色に近い銀と白だったことにショックを受けたらしい。
なお、その愚痴を聞いた瞬間、コスモスとムーンライトは。
コスモス「(……ムーンライトは銀なのでしょうか?それとも紫?)」
ムーンライト「(紫ということでいいと思うわ……)」
コスモス「(それでは、私は白でしょうか?)」
ムーンライト「(服の色がそうなんだから、そうなのではないかしら?)」
ひそひそと自分たちの色について、話し合っていた。
その間、なぎさはほかのメンバーからも慰められていたのだが、再起するまでに少しばかり時間がかかってしまったことはいうまでもない。
おまけ
うらら「もしかして、椿さんって日々樹渉さんの親戚なんですか?」
椿「ええ、そうだけど……」
うらら「本当ですか!?もしよかったら、マジックの基礎を教えてくれませんか?今度のステージに必要なんです」
椿「ええ、もちろんよ!」
こんな会話があったとかなかったとか……