IS×シャーマンキング   作:melk

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どうも、melkです。
予告(願望)より大分遅れてしまいましたが、何とか週が変わる前に投稿することができました!

ラウラ戦の最後となります。それではどうぞ!


戦うのは誰が為か?

「ぁああああああ!!」

「何・・・あれ?」

「何が起こってるんだ・・・?」

 

 葉の斬撃により、地に伏していたはずのラウラから、突如謎の黒い泥のようなものが噴出し、彼女の体を覆っていく。未知の脅威に対し、学園側でも警戒レベルを上げ、観客席のシャッターを閉めるという措置をとっていた。外から見ている人たち以上に、アリーナの内部でその脅威と対面している3人が感じる恐怖は大きいだろう。

 

 次第に泥が人の形、いやISを纏った人のような形へと変わっていった。しかし、その姿は、元であったラウラとは程遠い。それが何なのか一番先に理解したのは一夏であった。

 

「あいつ、千冬ねえの真似してやがるのか!?」

 

 徐々に怒りが込み上げ、試合のこと、周りのことがどうでもよくなっていくのを感じていた。

 

「俺がやる」

「ちょっと、織斑君!?」

「ふざけんな!!」

 

 真っ正面から一夏が突っ込む。しかし、何の考えもない突進は、ラウラだったものの神速の一撃であっさりと防がれる。そして、今の一夏には、返す刀で振るわれる致命の一撃を防ぐ術もなく、白式による武装も解けていた。斬られたところから薄くではあるものの流れる血は、絶対防御ですら防ぎきれないほどのものであったことを示していた。

 

「織斑君!同じ無茶でも、さっきの無茶と違う!今のは怒りに狂っただけの自殺行為だよ!」

「離せ!俺は、あいつを許せない。許しちゃいけねぇんだ!」

 

 一夏を止めるシャルロット。男女で力の差があろうと、武装を解かれた一夏がラファール・リヴァイヴを纏ったシャルロットを振りほどけるはずもなかった。しかし、シャルロット自身も、今のラウラに向かって行こうとは思えなかった。異質で理解できないものへの恐怖、さらに、その力は最強と呼ばれる織斑千冬そのものである。

 すでに、暴走したラウラの機体は、一夏とシャルロットに向かって刀を振り上げていた。ISを纏っていない一夏に避けることはできず、シャルロットは死の恐怖を前にして動けなくなっていた。その時、ラウラの前に葉が立ちふさがり、一瞬動きが止まった。

 

「オイラが相手になってやる」

 

 なぜラウラが止まったのかはわからない。そのまま切り捨てようとしてもおかしくなかっただろう。しかし、後ろで見ていた二人には何となくわかった気がした。この場で一番恐ろしいのは、目の前にいる圧倒的な強者ではなく、それを前にしていつもと何ら変わらない様子で立っている葉だと感じていたからだ。

 

「お前もそんな状態じゃ辛いだろ。もうちょい待ってろ。オイラが何とかしてやる」

 

 放たれる神速の斬撃を、ギリギリの状態ではあるものの受け続けられている。その最中に、超高火力の鬼火を混ぜるも、それすらもたった一本の剣のみで真っ二つにされ、後方で行き場のないエネルギーが爆発する。状況から見て、どう考えても葉に勝ち目はない。しかし、そんな中でもシャルロットの中には、もしかしたら葉ならば止めてくれるのではないかという希望があった。しかし、現実はそう甘くはない。5度目の剣戟のやり取りで、葉が限界に達する。葉が大きく弾き飛ばされたのが見えた。

 

「こりゃさすがにちょっときついな」

 

 ラウラの一撃を防ぎきれず、マタムネの左腕に大きな損傷を受けた。葉自身の左腕からも、血が流れている。世界最強と剣でやり合うには、S.F.による戦いの経験値だけではあまりに不足過ぎた。

 

「シャル、頼みがある。何とかして一夏を戦える状態にしてやってくんねーか?」

「それはできるけど・・・。でも一人加わったくらいでどうにかできるレベルじゃないよ」

「大丈夫。何とかなるさ」

 

 これほどの状況になっても、葉の普段どおりは崩れない。圧倒的な実力差をその左腕に叩き込まれたばかりだというのに。

 絶望的な状況は何一つ変わっていない。それは一夏が加わっても同じこと。しかし葉の姿を見たシャルロットは、自身に大丈夫と言い聞かせ、信じることにした。

 

「サンキュー、シャル。さて、シャルが一夏にエネルギーを供給してる間、何とかオイラが持ちこたえないとな」

 

 自分だけでは到底勝てない相手。しかし、葉は自分一人で戦ってきたわけではなかった。

 

「さて、少し頼むぞ阿弥陀丸!憑依合体!」

「心得た!」

 

 自身の体に霊を憑依させるシャーマンの初歩的な技術。さらに葉は自身と阿弥陀丸のシンクロ率を100%以上にすることができるため、かつて千人切りの伝説を残し、鬼人とまで呼ばれた阿弥陀丸の力をフルに発揮できる。

 再びの剣戟。今度はまさに互角と言える状態であった。

 

「あれ、本当に葉なのか?さっきまでとはまるで違う・・・。剣筋は似てるけど、さっきまでより圧倒的に強い。雰囲気も全然違う・・・」

 

一夏とシャルロットも驚きを隠せない。先程までは圧倒的な差があったはずなのに、今では互角に戦えているという事実に。明らかに先までとは何かが違うということを感じ取っていた。

 

「ここまでとは、なんという剣の腕。だが、意思無きカラクリに拙者の剣は超えられないでござる!」

 

 ついに阿弥陀丸の剣が千冬を模したものの剣を超える。しかし、その斬撃はラウラに傷をつけるには至らなかった。生半可な攻撃ではダメージすら与えられないほど、泥のようなもので固められた全身は堅かった。だからこそ、

 

「一夏!みんなを護るためには、お前の力が必要なんだ!」

「織斑君、僕のエネルギーは全部託した。僕はエネルギーだけじゃなくて僕の思いの全ても君に注ぎ込んだつもりだよ?」

「葉、シャルル・・・。そうだな、俺はこの一撃を、自分の怒りじゃなくて、みんなを護るために必ず当てる。そして、あいつを止める!」

 

 一夏は零落白夜を起動する。1発分のエネルギーしか残っていないが、葉が足止めし、みんなを護るという覚悟を決めた一夏が失敗するとは誰一人考えもしない。

 

「阿弥陀流 真空仏陀斬り」

 

 葉が相手のガードの上から叩きつけ、ラウラのブレードをへし折る。その強い衝撃で体勢が崩れた彼女には避けることもガードすることもかなわない。

 

「今だ!」

「零落白夜!!」

 

 絶対防御すら無視する一撃は、当然のごとくラウラを貫く。禍々しい鎧が崩れていく中で、ラウラには本来聞こえるはずのない声が聞こえていた。

 

「私にはわからない。織斑一夏、何故圧倒的な相手に、敵うはずのないと思わせるほどの敵に向かって行けたのかが」

「俺は、お恥ずかしながら、最初はただただ身勝手な怒りだった。だけど、俺の後ろには護らなきゃならない人がいて、前には一緒に戦ってくれる人がいる。そう思ったら、俺のやるべきことがわかったんだ。そしたらもうビビって何てられないってな」

「護るべきものか・・・。麻倉葉、お前はなぜいつも平然としていられる?やはり、それだけの力があるからなのか?」

「オイラは別に強いわけじゃない。この力だって、オイラ一人のもんじゃねぇんだ。ただオイラはユルく楽でいたいそれだけだ」

「・・・は?」

「オイラが頑張るのは楽でいたいからだ。それで誰かを傷つけたり、自慢したりするためじゃない」

「だが、楽でいたいなら、他の人を護る必要も、ましてやここで戦う必要もなかったはずだ!」

「けど、それじゃ楽でも楽しくないだろ?一夏やシャル、みんなが傷つけられたり、お前が何かに囚われて苦しんでたりするのは嫌だからな。お前が何に苦しんでるのかは正直わからん。でも、戦って全部出しきれたら、お前も少しは楽になるんじゃないかと思ったから、オイラも全力で戦った」

 

ラウラにとって不意打ちだった。葉の答えが思いもよらぬ方向であったのもあったが、葉が自分のため戦ってくれていたということがだ。強さではなく、ただ自分を見て心配してくれていたということが、強さのみを存在意義として考えるほかない生活、体験をしてきたラウラの心をどれほど動かすことだろうか。顔が熱を帯びていくのを感じた。

 

(何だ、何なんだこいつは!さっきまで本気で殺そうとしていた相手だぞ!そんな相手に向かって・・・お前のため戦っていた・・・などと言うとは!どうかしている///)

 

それと同時にラウラは気づいた。葉はユルい。だが、だからこそどんな状況でも飲みこみ、いつも通りの自分で相手に向かっていける。そんな葉に、強さばかりにこだわっていた自分が勝てるはずもないということを。そして、ラウラは静かに意識を手放した。

 

 

「説明のつかない異常な力。無人機の時のこともあいつの仕業なのか・・・?一体何者なんだ、麻倉葉」

 

千冬は一人訝しむ。葉に向けられたその目は、もはやただの生徒に向けられたものではなくなっていた――

 




ラウラとの会話のところが結構難しかったです・・・
もしかしたら違和感あるかもしれませんが、すみません。

これで、アニメ一期で出てくるヒロインは全員登場したので、次回か次々回くらいに、番外編で葉の家を訪問したりするエピソードを書きたいなと思っております。
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