IS×シャーマンキング   作:melk

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どうも、melkです。
最近、お気に入りや評価、感想が増えて嬉しいです!

それでは、12話目です!


疑念と殺気と笑顔と困惑

「えーっと・・・転校生を紹介します」

「シャルロット・デュノアです!」

「ということで、デュノア君はデュノアさんでした・・・」

 

 さすがにこれにはクラス中が唖然とする。3人目の男性操縦者にして、ブロンドの貴公子だと思っていた少年が、実はブロンドの美少女だったのだから。当の本人はいつも以上にニコニコしており、その心境を察することはできない。

 

 タッグトーナメントでの熾烈な戦いから数日。シャルロットとラウラの姿がなく、特にシャルロットの話題で持ちきりだった。中には、あの戦いで絆を結んだ二人の駆け落ち説まで出るほどに皆の関心は高かった。そんな中でのこの突然の発表であった。これを予想していたものなど当然いない。ただ知っていた者と知らない者がいただけである。

 

「これからもよろしくね!葉!」

「ん?ああ、よろしくな」

「な!?」

 

 シャルロットが小さな声で葉にささやく。しかし、シンとした教室の中、そのやり取りは周りの生徒にも聞こえており、かえって「コイツら何かある」ということを想像させる。シャルロットと同室であった点と、すれ違いざまのこのやり取りから、葉はすでに知っていたということが知れ渡る。特にセシリアはショックが大きいようだ。その時、バン!と大きな音を立て、扉が開け放たれた。そこにいたのは、話題となっていたもう一人の人物、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。何食わぬ顔で入ってきたラウラに対し、クラスメイトはまたもや驚く。クラス中の気持ちを察し、1年1組の生徒の一人、布仏本音がラウラに疑問を投げかける。

 

「えーっと・・・ボーデヴィッヒさんはIS学園をやめちゃったんじゃないの?」

「?入学してから数日でやめるわけがないだろ?」

 

 さも当然のことのように言い放つ。一夏を狙って入学し、試合では倒しきることができず、さらに国際的に禁止されていたVTシステムを積んでいたことが発覚、さらには暴走までさせたため、様々な説が飛び交う中でも、「もうこの学園にはいられないだろう」という意見が大多数を占めていた。

 

「麻倉葉。お前は私の嫁だ」

「へ?」

 

 突然の告白(?)に葉もさすがに驚く。周りからしてみれば、この数分間に驚きすぎて、理解が追いついていない様子。お構いなしとばかりに、ラウラは葉の顔を自分の元へ引き寄せる。曰く顎クイというやつだ。男子が女子にやるというのも、漫画の世界くらいでしかお目にかからないようなものが、現実に、男女逆転で行われているのだ。クラスのほとんどの女子は、目を輝かせて見守る。唇を奪われかけたその時、約2名邪魔をする者がいた。シャルロットは、葉とラウラの顔の間に手を滑り込ませ、セシリアは、片腕を武装展開して、ラウラの頭へと銃口を向けている。絵面は、なんともカオスで、物騒だ。

 

「突然それはどうかと思うなー。いくら“冗談”とは言え」

「ええ、面白さを求めるのは素晴らしいですが、少しやりすぎですわね。“冗談”にしては」

「?冗談とは何のことだ?それよりもその手をどけ・・・」

「冗談、ですわよね?」

「HR中に冗談を言うなんて、イケない娘だなぁ。さあ、口を閉じたまま、席に座ろうか」

 

 冗談であると連呼するが、その目は決して笑ってはいない。まさに暗黒であった。さらに、上手いことに、両者の表情は葉の位置からは見えていない。見えるのは、これまで見たことがないほど、怯え、冷や汗をかいているラウラの表情だけであった。

 

「その通りだバカ者ども。黙って席に着け」

 

 スパパパパンと綺麗な音が鳴り響く。出席簿を持った千冬がいた。因みに、葉は騒いでもいなければ、席も立っていないが、叩かれている。だが、葉の胸にあるのは、理不尽への疑問などではなく、安堵であった。

 

(何か知らんが、シャルとセシリアが止めてくれて良かった。じゃなきゃ、確実にアンナに殺されてたな・・・。アンナのことだから、必ずいつかバレる)

 

 葉にとっての最大の恐怖とは、アンナであった。ただそれだけのこと。

 

 

― ― ―

「あれ、織斑先生から呼び出しなんて珍しいね。どうしたんだろう?」

「うーん・・・オイラ呼び出されるようなことした覚えはないんだけどな」

 

 放課後、葉は千冬から呼び出しを受けていた。しかも、剣道場にとあれば、ますます理由がわからない。

 

「あー、千冬ね・・・織斑先生のことだから、葉の剣の腕を見て、腕試しでもしたくなったんじゃないか?」

「あの教官が葉の剣の腕を認めたということか!さすがは我がよ・・・。い、いや、何でもない」

 

 いつものメンバー+ラウラ。すっかりラウラも馴染んではいるが、葉のことを嫁とは呼ばなくなった。理由は、そのワードに反応し、向けられる二つの視線。蛇に睨まれた蛙とはこういうことを言うのだろう。

「お二人の試合ともなれば、ぜひ私も観戦したいですわ」

「私も一人の剣士として、ぜひ見てみたいな」

「あー、でも何か『一人で来い』みたいな感じだったんだよな。まあ、行ってみればわかるさ」

 

  

 別れを告げ、一人剣道場へと向かう。その先では、竹刀を持ち、立っている千冬の姿があった。ご丁寧に葉の足元にも竹刀が置いてある。適当に言った一夏の予想が当たったのかと驚く。

 

「麻倉、竹刀を持て。言わずとも、この状況を見れば何をするかわかるだろう?」

「何でオイラが・・・」

「そうか、竹刀なしでも私相手程度余裕ということか。良い度胸だ、な!」

「うぉ!!」

 

 一呼吸の間に、葉の脳天めがけて千冬の竹刀が振り下ろされる。葉は反射的に竹刀を拾い、ギリギリのところで、防御が間に合う。

 

「ほう。これに反応し、防御までするとはな。ではこれでどうだ!」

 

 上から振り下ろされたと思ったら、右から竹刀が飛んでくる。次の瞬間には、左。巧みなフェイントを織り交ぜた連撃が襲う。一太刀一太刀が神速、必殺。葉は防戦一方で、誰が見ても明らかに押されていた。

 

(強えぇ!しかも、まだ全然本気じゃねぇ!本気になったら、多分阿弥陀丸と同じか、下手するとそれ以上・・・!)

 

「どうした?あのタッグマッチの時の力を使えば、この程度簡単に返せるだろう?」

「悪いが、あれはオイラだけの力じゃないんでな」

「ずっと不思議に思っていた。無人機が撃破されたあの時からな。明らかにISや既存の兵器によるものではない力で破壊されていた。誰なのかがずっとわからなかった。だが、この間のタッグトーナメントのVTシステムが暴走したラウラとの戦いを見て確信した。無人機の件もお前だとな。麻倉葉、お前は何者だ?」

「オイラはシャーマンだ」

「は?」

 

 千冬は驚いていた。恐らく、葉の人には言えない核心の部分に関することだと考えていたからだ。しかし、いざ尋ねてみれば、何の躊躇もなく、あっさりと答えた。しかも、その内容が予想の斜め上を行っていた。

 

「シャーマン?霊能力者だと?」

「ああ、そうだ。この間のラウラとの戦いの時は、阿弥陀丸っていう侍の霊を自分に憑依させて戦ってた。言ったろ?オイラだけの力じゃないってな」

「なるほどな。霊能力か。その話なら、状況とも矛盾しないし、私に事実かどうかを確かめる術もないということか。やけにあっさり明かすと思ったら、中々良い言い訳を用意していたものだな」

「いや、本当なんだが・・・」

「真実を語る気がないのはわかった。ならば、こうしよう。真実を今ここで話さないのなら・・・

 

 

 

 

敵とみなし全力で潰す」

 

 

 放たれる濃密な殺気。先程までのお遊びとは違う、本気なのだということを表していた。常人であれば、近くにいるだけで気絶するほどのもの。ましてや直接自分に向けられて、立っていられるものなどそう居ない。

 

 

「信じられんかもしれんが、嘘ってわけじゃねぇんだ」

 

 葉は平然としている。いつもと変わらない様子。それこそが葉の強いところであり、最も恐ろしいところでもある。葉はS.F.(シャーマンファイト)で、多くの敵と命を懸けた戦いをし、実際2度死んでいる。さらに言えば、地獄まで経験しているが、その中でも、自分の魂のあり方を崩さず切り抜けてきた。そんな葉だからこそ、いくら千冬の殺気が凄まじくとも、受け流すことができる。

 

「貴様の言うことを()()信じることはできない。だが、ただ強いとかそういう次元を超えた戦いを経験してきているのは、今のでわかった」

 

 自分の殺気にも臆することなく、答える葉を見て、千冬は先ほどの話は、少なくとも全くのデタラメではないと判断する。実際のところ、葉が何か他とは違う経験や力を持っているのには気づいており、恐れはするだろうが、何とか答えるのではないかとは思っていた。しかし、ここまで平然としているとは予想しておらず、改めてその異様さを感じることとなった。

 

「何だ、オイラを試してたのかよ」

「半分はな。だが、それも次の質問に対する貴様の答え次第だ。麻倉葉、お前がIS学園に入学した目的は何だ?お前はこの学園、そして生徒たちにとっての敵なのか、味方なのか?」

 

 千冬にとっては、最も重要な質問。この質問の答え如何によっては、先ほどの言葉を実行する気であった。そのことに迷いなどない。

 葉はいつも通りだが、その目からは、決意、あるいは楽しさのような感情が混じっているような気がした。

 

「オイラの目的は、この世界を楽々で楽しいものに変えることだ」

 

 そう言って葉は笑い、千冬は少し困った顔を浮かべた。

 




次回辺り、番外編を挟もうかと思っています。


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