少し日が開きましたが、13話目投稿します!
いよいよ臨海合宿編!ついに黒幕っぽい感じのあの人が登場します!今回は少しだけ長めになっています。
「葉!!!」
「そんな・・・、嫌ぁ!!!」
巨大なエネルギーの塊に、為す術もなく葉が飲みこまれる。届かなかったのだ。葉の技量でも、頼れる仲間たちとの絆でさえも、その悲劇を止めることはできなかった。
当の本人は、海に落ちたら寒そうだなどと呑気なことを考えている。そして、葉は力なく墜落し、海の中へと姿を消した。
―――
「・・・う、葉」
「ん?もう着いたんか?」
遡ること1日、葉達はリニアに揺られていた。どうやら臨海学校の目的地へと着いたようだ。最初はテンションが高かったが、長時間の移動の疲れもあり、静まり、徐々に寝落ちする人が出始めていた。因みに、葉は真っ先に寝ていた。その際、葉の体が傾き、隣にいたシャルロットにもたれかかるような体制になっていたため、シャルロットは興奮して眠れずにいたのだった。眠ることよりも、密着した体制と、コテンと肩に頭を乗っけた葉の寝顔を楽しむことにしたのだ。他のライバルたちに見られたら即座にこの時間が終わらせられそうだったが、生憎とみんな寝ていたため、到着するその時までこの幸せな時間は続いた。起こさなければいけないということが少し残念なシャルロットだったが、葉が起きた時に最初に自分を見てもらえるというのもまた良いと思い、邪魔される前に起こすことにした。
「あ、すまん。そっちに倒れて寝ちまってたみたいだな」
「ううん、大丈夫だよ!それより・・・葉、おはよう!」
あまりに眩しく、嬉しそうな表情で挨拶をされ、さすがの葉も少し照れる。
「お、おう。おはよう」
―――
「11時か。今日は長旅の疲れもあるだろうから、自由行動にする。夕食までには戻って来い、以上」
「やったー!」
「海行こう!海!」
「水着で悩殺するチャンス・・・!」
海辺での自由行動。皆一様に海へ繰り出す。しかし、楽しみ方は人それぞれだ。海で泳ぐもの、砂場でビーチバレーをするもの、無駄に豪華な砂のお城を作ろうとするものetc・・・。しかし、もう一つ大事なことがある。海で遊ぶのもそうだが、何せここにはたった2人だけとは言え、男がいる。それだけで、皆の視線は野獣のごときギラつきを見せる。ビーチバレーをしながらちらちらと目をやっては、気にしてないふりをしつつもちゃんと可愛く見える角度やポーズを計算して見せるようにしている。
「ああ、この状況。お腹が痛い・・・」
一人呟く一夏。女子たちの視線が集まる意味は理解している。しかし、自分をからかおうとしているのだろうと考え、ストレスを感じるあたり、その意図は理解していないのだろう。今は、箒と鈴に「絶対にその場を動かないこと!」と念を押されているため、二人の着替えが終わるまで待つしかないのだ。
「あれ、そう言えば葉は?」
「ラウラ、そんなに恥ずかしがってないで早く行こう!」
「いや、こんな格好葉には絶対に見せられない!!」
「こんなに可愛いのに・・・。そこまで言うなら、僕一人で行っちゃうよ?」
「ま、待てシャルロット!わかった、今行くから!」
そう言って、シャルロットとラウラは姿を現した。シャルロットは、黄色を基調とし、スカートとなっている部分は黒い線が入っている水着で、シャルロットの明るさをよく表した、まさにシャルロットというイメージをさらに引き立たせる格好であった。ラウラは、いつもの髪型から、ツインテールにしており、黒い生地に紫のレースという大人っぽい色の水着を着ながらも、可愛いという言葉がよく合う格好であった。普段の冷静な態度とは打って変わって、恥じらいで頬を染めている姿も、ギャップを生み出している。
「って、あれ?葉は?」
「せっかく恥ずかしい思いをしたというのに・・・」
皆が砂浜やその付近にいる頃、そこから離れた岩場に葉は一人座っていた。他の人のように海で遊ぶことよりも、ただぼーっと海を眺めている辺りが実に葉らしい。さらに言えば、何時間もこのままでいる可能性もある。以前、葉を尾行していたまん太が、夕方まで川を眺め続ける葉に驚いていたこともあった。普段の喧騒も悪くはないが、葉としてはユルくのんびり過ごす方が合っていると感じていた。
「あら、こんなところにいらしたんですね」
セシリアが岩の影から姿を現す。どうやら遠くから葉を見つけ、様子を見に来たようだ。
「何をしてたんですの?」
「海を見てたんよ。潮風に吹かれながら、こうやってゆっくりしてるのが、何だか気持ちよくてな」
「確かに、そんなに海をじっくりと見ることなんてあまりないですわよね・・・。私もご一緒してもよろしいですか?」
「ああ、オイラは構わないぞ?でも、セシリアはつまらないんじゃないか?」
「いえ、そんなことありませんわ。こういう優雅な時間も素敵だと思いますわ」
(それに、葉さんの隣にいるだけで充分幸せですし)
ゆっくり時間が流れるような感覚を二人とも感じていた。時々思い出したように他愛のない話をする他は、言葉も交わさないが、少なくとも二人にとってはとても心地の良い時間であった。
―――
「よ、葉さん。あ、あーん」
「ずるいセシリア!葉、僕にも!」
「くっ!席が遠かったのが災いしたか・・・」
「い、一夏!こっちもよ!あーん!」
「いや、こちらにだ!早くしろ一夏!」
「お前らは箸使えるだろ!?」
「うるさいぞお前ら!織斑、麻倉、罰を与える。後で私の部屋に来い!」
夕食時にはいつもの喧騒。セシリアが箸を上手く使えないということから広まった「あーん合戦」。その罰をなぜか一夏と葉が食らう羽目になった。結局、罰として、一夏は千冬の、葉は真耶のマッサージをすることとなった。お互いにマッサージの腕を見て、姉、許嫁のいる苦労を感じ取っていた。罰でありながらも、気づけば臨海合宿の思い出の一つとなる、良い時間となっていた。
しかし、教師陣にかかってきたある一本の連絡によって、楽しい臨海合宿の様相は終わりを告げる。専用機持ちと箒がとある一室に集められる。具体的なことを何も知らされず、緊急事態だとだけ言われて集められたため、戸惑っている者も多い。特に、箒は専用機があるわけでもないのに呼ばれ、何故呼ばれたのかもわからない状態であった。ただでさえ、最近起こる様々な問題に対し、一夏やみんなが戦っている中、何もできない自分への悔しさが募り、専用機さえあればと感じていたため、自分の呼ばれた意味を考える。
(何故何もできない私が呼ばれたんだ。専用機も持っていないのに、私が呼ばれたのには特別な理由があるはず。特別なと言えば・・・まさか!)
「そう、そのまさかだよー!」
「ね、姉さん!?」
床下から突然出てきたのは、世界中で知らないものなどほとんどいない人物にして、箒の実の姉、篠ノ之束だった。
「お前がいきなり出てきたら場が混乱するから、話の後に出て来いと言ったはずだが?」
「ごめんごめん、ちーちゃん。だからその容赦のないアイアンクローをやめてくれると嬉しいかな」
「はあ・・・。というわけだ、順番が逆になったが紹介しておく。ISの生みの親、篠ノ之束だ。
「あ、あの有名な天才科学者が何でこんなところに・・・」
「よろしくー!と言っても、ほとんど君らに興味がないから挨拶する必要性も見当たらないんだけどね。もちろん、ちーちゃん、いっくん、箒ちゃんは別だよ?それと、そっちのもう一人の男性操縦者君もね」
悪意を一切感じさせない、純粋そのものといった感じで興味がないと言い放つ。葉は逆に興味を持たれたことに驚く。それは元々束を知っている一夏や千冬、箒ですらも、他人に興味を示したことに意外さを感じていた。
「あの無人機の時、ほんのちょっととは言え、この束さんが巫力を込めてO.S.したのに、それをあっさり壊すなんて、一体何者なのかなー?調べても、古くからあるシャーマンの家ってことくらいしか出てこないし、ただそれだけでISを展開しながら、あの
「あの無人機を送ったのはあなたでしたの!?どれだけみんなが危ない目に合ったか・・・」
「うるさいなぁ。お前だれ?気安く話しかけないでくれる?じゃないとお前から潰すよ」
間違いなく本気で言っている。その殺気は千冬のものとも遜色ないほどだ。それだけで、篠ノ之束という人物が、ただの科学者という枠に収まらない化け物だということが一瞬にして理解させられる。セシリアもそれ以上口を開くことができず、束と同格の化け物である千冬と、千冬の殺気に充てられても笑っていられた葉以外は、立っているのがやっとといった状態だった。
「そうか、あの
「何でそんなこと命令されなくちゃいけないのかな?命令してるのはこっちなんだけど」
珍しく、葉も少し怒っているようだ。怒りで自分を見失ってはいないが、静かな怒りが確かにその表情、声色に含まれているのを感じる。
「お前らいい加減にしろ」
気づいた時には、痛みがあった。葉、束の両方の頭に、千冬からの拳骨が入っていた。それにより、一触即発のムードが変わった。
「いったーい!束さんにこうもあっさり拳骨を当てられる人なんてほんとちーちゃんくらいだよー」
「そうか、それがそんなに嬉しいならもう一発行くか?」
「いや、本気で痛いからもういいよ」
「麻倉もいいな?」
「はい・・・」
「それでは本題に入る。ハワイ沖で試験稼働していた、アメリカ・イスラエルが合同開発したIS銀の福音が暴走した。それをお前たちに止めてほしいという極秘任務が来た」
波乱はここに幕を開ける―
文字数的に、どれくらいがいいんですかね?
何となく書いていたら3000字ちょっとくらいになることが多いのですが、少し短いのかなとも・・・
読んで下さる方が、読みづらくないのであれば、少しずつ量を多くしていこうかなと思っています。