今回は少しオリジナル設定もあります。苦手な方はブラウザバックで!
一夏達が《銀の福音》を撃墜した直後、千冬が再び口を開く。目的を果たした喜びとは別の空気が流れる。
「さて、私がこんな話をわざわざこんなタイミングでしたのにも訳があってな。
千冬が虚空に向かって話しかけたと思うと、室内中央の床からあまりに不自然なニンジンが勢いよく飛び出してきた。
「どこかにとか言いつつ、しっかりこっち見ながら言うとかさすがはちーちゃんだね!ほんとどうしてわかるんだろ?」
「半分は勘だ。それで、聞いてたんだろ?」
「うん、まあね。それで、ちーちゃんは
「さあな。それはお前が決めることだ」
「ぶー、ケチ。ぶっちゃけ、シャーマンファイト・・・だっけ?そんなマイナーな大会に出て苦労しましたーなんて話を聞いても感想に困るし。ISに選ばれたってのも、いっくんみたいな子なら納得だけど、こんな程度のやつを偶然でなく選ぶような不良品にISを作った覚えはないかなー」
束は基本的に自分の感情を隠したり、取り繕って相手に見せるのは得意ではない。というより、する必要がなかったと言うべきだろう。その類稀なる頭脳はどこに行っても求められるものであるため、必要とする人は必然的に下手に出てくる。さらに言えば、大体のことは一人で完結させてしまえるため、人を頼ることもない。逆に、気に入らないものは徹底的に潰してきており、それだけの力もあった。
そんな束だからこそ、自分が気づかなくとも感情を表に出しているときがある。そう、例えば、
「こんな程度のやつ、か・・・。だが、お前は麻倉のことを大して知りもしていないだろう?」
「ちーちゃんも随分コイツのこと買ってるんだねー。ほんと・・・ムカつく。大した実力もないくせに、粋がってるゴミだってことくらいはよくわかってる」
「確かに、ISの実力で言えば、まだまだ未熟なのは確かだろう。しかし、麻倉の強さの本質がそこではないのはわかってるはずだ。だから、お前も苛ついてる」
「はあ!?ちーちゃんまで何言ってるの!?苛ついてなんかないし!」
「だったら、お前も直接見てみるといい。ただし、お前たちが言うところのシャーマンとしての力をだ。私はシャーマンの戦いについて詳しくは知らない。だが、これは勘だが、その方が明確に現れるのではないか?」
「何か勝手に戦う流れになってる!?」
「そこまで言うなら、いいよ。やってあげる。必ず潰す」
「こっちもやる気だ!?」
いつの間にか葉が戦う流れになっている中、千冬は葉に近づく。その瞳は至って真剣だ。
「麻倉、無理を言っているのはわかっている。お前にとってはする意味のない戦いだということも、ましてや絶対安静と言われている時にやらせようとしているということも。だが、頼む。コイツには、束にはきっと今しかないんだ」
「そこまで言われたら、オイラも断れんな。友達が間違ったときに、放っておけないっていう気持ちはわかるしな」
「すまない。・・・私は最低だな。こういう頼み方をすればお前は断れないのを知っていてやっているのだから。それに、多くの人の命にも関わる任務では休ませておきながら、個人的な友の為には戦ってほしいなんて、自己中心にもほどがある」
「きっと、それが
「ち、千冬さん!?あ、愛!?」
「さて、じゃあいっちょやりますか!」
そう言って、葉がドアを開けると、突き刺すような朝の陽ざしが部屋いっぱいに広がった。
そして、近くの砂浜で、葉と束が向かい合って立っていた。葉は、懐から出したフツノミタマノツルギを右手に、春雨(何故かアンナたちが持ってきていた)を左手に構えていた。一方束は、無構えで、手には特に何も持っていないため、どんな持ち霊、媒介を使って戦うのかが全く分からない。そして、その二人から少し離れたところに、言い出した張本人の千冬と、心配そうな顔で見つめる一夏達がいた。一夏達としても、無事帰ってきたと思ったら、いきなり戦いが始まるというので、驚き半分、混乱半分といったところだろう。
「審判は私が行う。と言っても、ルールなど知らん。どちらかが負けを認めたら決着ということにする。異存はないな?」
「ああ」
「もちろん」
始まる直前の緊張感が周りで見ている者たちの間で漂う。一体何が始まるのか、と。感じていないのは当事者二人のみだった。束は、今まで思い通りにならなかったことなどほとんどない。束にとって勝利は確定しており、故に緊張などするはずもない。葉は相変わらずの呑気さで佇んでいる。死というものが目前に迫った時でさえ変わらない自分で居続けられた葉がこの程度のことで緊張など感じないだろう。外面だけ見れば、いつも通りで待っている二人は似ているのだろう。
「それでは、試合開始!」
「阿弥陀丸in春雨inフツノミタマノツルギ、
最初に
「何が起きている?私には持っていた刀が浮いているようにしか見えん。お前たちには違うものに見えているのか?」
「ち、千冬ねえにはあれが見えないのか!?」
「ということは、違う何かが見えているのだな。他の者たちも様子を見る限り、私以外には見えているようだな」
基本的に霊は大多数の人には見ることができない。それは霊の力をシャーマンの力で具現化した
と、突然、どこからともなくISが飛来し、束の目の前に降り立つ。
「あれはまさか《銀の福音》!?」
「いや、だが微妙に形状が違う。何より手に持っている剣、あれが主武装であるならば、先ほど戦った射撃特化の《銀の福音》とは全く違うものということになるだろう」
「アーサーin《銀の福音》
《銀の福音》を恐らく改造したものであろうISに霊を憑依させる、これが束の
「あら、驚いて声も出なくなっちゃった?そう、束さんの持ち霊はあのアーサー王なのだ!持ち霊の信仰度何かも力になっちゃうシャーマン同士の戦いで、これ以上の持ち霊はないよね!そっちも、剣を使う霊みたいだし、持ち霊の強さでも、シャーマン本人の強さでも負けてるなんてほんと絶望的だよね!この天才束さんに喧嘩を売ったのがお前の敗因さ!」
確かに、束はシャーマンとしても天才と言っていいレベルだろう。束の巫力は約3000、幼少の頃より修行してきた葉ですら、予選で蓮と戦った時には270であったことを考えると、シャーマンの家系でもなく、特別修行などもしてこなかった束のこの巫力は非常に強力なものだろう。そう、相手が葉でなければ。
「っつ!!」
(壊された?この私の
訳がわからないといった様子の束。しかし、次の瞬間、思考が怒り一色になる。
「どうした?こんなんじゃオイラは倒せんぞ?」
束、ブチ切れる。
霊視能力の説明で、「死にまつわる体験」というところは、シャーマンキングの設定です。フラワーズの方でもそんな感じのが出ていました。「物理的、心理的な距離」については、ブリーチに似たような設定があった気がしたため、都合よくお借りしました。
それにしても、血統補正も修行もなしで巫力3000いく束さんマジ天才(笑)。その天才に、巫力108000の凡才(?)はどう戦うのか!?