今回は葉のシャーマンとしての歩みの説明回です。シャーマンキング側からもあの人が・・・
「さて、シャーマンのこととかを説明していく・・・んだが、何でお前までいるんだ?ついさっき帰ったばっかりじゃねぇか!?」
さきほどいい感じの流れで帰ったはずの束が、他の面々に交じって話を聞いていた。あまりにも自然にその場にいたため、他の人たちも気づかなかったようで、驚いていた。
「ちょっと伝え忘れたことがあったから戻ってきたら、何か面白そうなことやってるし。束さんだけのけ者にするなんて許さないぞ☆」
「伝え忘れたことって・・・?」
「それは後。まずはせっかくだから話を聞かせてよ」
「まあ、いいか」
それまでの話を区切るように咳ばらいを一回。葉の顔には真剣さも見える。シャーマンについてほとんど知らない人に、それも自分の友人に話した経験など、まん太の時しかない。それも、まん太は霊を見ることができ、その結果問い詰められたため話したのだったが、今はみんな葉にとって大事なことだと察して待ってくれていたため、自分から話すような形になっている。改まって自分から話すとなるとさすがの葉でも少し緊張していた。霊が見えるということを話したせいでいじめにあったこともあり、昔ほどではないが人に対して壁を作る傾向が葉にはあった。
「シャーマンっていうのは、あの世とこの世をつなぐもの、霊や精霊などと交信することのできる人のことだ。オイラの家はシャーマンの家系だった。それでオイラにも小さい頃から霊が見えていた。さっきの戦いや、前の無人機が侵入してきた時に使ったのは
「霊って、その・・・幽霊的なもののことなんだよな?」
「ああ、オイラの持ち霊・・・つまりパートナーは、600年前千人斬りの伝説を残した侍、阿弥陀丸だ」
『見えるかはわからぬが、拙者が阿弥陀丸でござる』
「見えない・・・でも声だけは確かに聞こえる!?」
「私には見えてるけどねー。まあ、同じシャーマンだから当然だけど」
『おお、声が聞こえているでござるか!いつも葉殿が世話になっているでござる。それと、束殿。先程は良い戦いであった。今度そちらの伝説に名高い、アーサー王とも純粋な剣技での試合をしてみたいでござるな!』
「千人斬りの侍って聞いてた割には随分と気さくなのね・・・」
「いいやつだろ?もちろん剣の腕がすごかったのもあったが、何より阿弥陀丸と一緒なら楽しそうだと思ったから持ち霊にしたいと思ったんよ。な、阿弥陀丸!」
『懐かしいでござるな・・・。拙者も葉殿なら使えるべき主として、そして友として傍に居たいと思った故、一緒に行くことにしたでござる』
葉のクラスメイト達にも声が聞こえると知って、阿弥陀丸は非常に嬉しそうだった。それは、葉も同じであった。みんなが真剣に聞いてくれて、阿弥陀丸の話もすることができ、葉も非常に楽しそうだった。
「では、葉さんの剣技は阿弥陀丸さんに教わったものなのですか?」
「いや、シャーマンの技術の一つに、自分の肉体に霊を憑依させて、その動きなどを再現するっていうものがあって、オイラは元々
「基本的に、シャーマンだからってそれらの技術を身に付けて戦わなきゃいけないわけじゃない。でも、阿弥陀丸の剣技が体に染みつくほどの戦闘経験、さっきの戦いで使っていた
尋ねる束の表情は真剣なものだった。これまでの話の大体は束の知っている内容だった。先程戦って感じた強さの秘密はここからの話にあるのだろうと思ってのことだろう。
「ああ、世界中のシャーマンが集って争う500年に一度の戦い。それが
「全知全能か・・・。確かにそれが本当ならみんな参加しそうだよね。でも、本当にあり得るの?」
「本当だぞ?
「戦ったの!?」
「というか、
「まあ、詳しく説明すると長くなるからな。今回の優勝者の名前は麻倉ハオ、オイラの兄ちゃんだ」
「葉の兄ちゃん!?ってことは葉はシャーマンキングの弟!?でも、さっきG.S.と戦ったって・・・」
「ハオはこの世界を恨んでいた。そして、シャーマンだけが生きる世界を作るためにこの世界を一度滅ぼそうとしていた。だからオイラと仲間たちであえてシャーマンファイトを途中で辞退して、シャーマンキングになるための儀式で無防備になっているハオを倒そうとしたんだが、結局失敗して、
「勝てはしなかったんだよな?」
「ああ、だが、ハオのかあちゃ・・・」
『葉、それ以上そのことを話す必要はないだろう?』
風が傍らを吹き抜けるように声が響いた後、気が付けば一夏達の後ろに髪の長い少年が腰かけていた。見た目は葉とそっくりだが、放つ存在感のようなものが段違いだった。自然と一部になっているような、しかし、ものすごく強調されているような不思議な感覚だった。
「なんだよ、聞いてたのかよ」
『当然さ。僕は神様だからね。この宇宙のどこにでも存在している。』
「もしかして、コイツがさっき言っていた麻倉ハオなのか?」
『口を慎めよ?神様に向かって「コイツ」なんて。今この場で消されても文句は言えないぞ?』
「っつ!!!」
瞬間、ハオが千冬を一睨みすると、凄まじい殺気が千冬を襲った。千冬の知る限りでも、これほど強い殺気を放てるものなどまずいないだろう。シャーマンの王にして、神となったハオは明らかに別格であった。
『まあ、葉の知り合いというなら、一度くらいは見逃してやろう。それよりだ、葉。
「ああ、そうだったな。すまんかった」
『次お前が口走りそうになった時は、この日本が地図から消えるだろう。覚悟しておけよ?』
「そんなに大ごとになるの!?そこまで言われると逆に気になるかも・・・、いえ、全く気にならないです、ハイ」
たった一言で国一つ無くすとかいうハオの聞かれたくないエピソードに一瞬好奇心を示す鈴だったが、ハオが睨むと、自身の身の危険を感じ、決してこのことには関わるまいと決意したのであった。
「んん!まあ、それでオイラ達がこの世界をどう変えていくのか少しの間見守っていてくれることになったから、今もこうしてみんな生きてるんよ。それで、オイラがIS学園に入ったのは、たまたま適性があったっていうのもあったが、ISっていうのがたぶんこれから本格的に軍事的に利用されるようになってくる。だから、それを止めるためにも、男性操縦者っていう肩書だったり、ISでの実力だったりがあったほうがいいと思って今こうして通ってるんよ」
「まさか、戦場でISが使われる日が来ると・・・!?ですが、実際今ISは、徐々にスポーツとしての意味合いで捉えられるようになって・・・」
「それは、国民の多くはそういう風に考えてるってだけ。国のトップとか胡散臭い連中はまだ軍事目的で利用しようとしている。今はまだ各国のパワーバランスが大きく崩れてはいないから、抑止力としてって方が大きいけど、どこかが大きい力を持つようになると、仕掛けてくるところは出るかもしれない。水面下ではどの国もそのチャンスを狙ってる」
「そんな・・・」
葉の話が束の補足によって、現実味を帯びてくる。
「それが、今回私が伝えわすれていたことにつながるんだよね」
「そういえばそうだったな。オイラからの話は大体終わったが、伝え忘れたことって?」
「箒ちゃんに上げた第4世代型のIS《紅椿》と一部第4世代の技術を私が盛り込んだ上に男性が操縦できているという付加価値のついた《白式》は、その世界のパワーバランスを崩しかねないから気をつけてねって言うことを伝えようとしていたのを束さんすっかり忘れてた☆」
「はぁああ!?」
「姉さん、何でそんな大事なことを!」
あまりにも重要なことを忘れていた上に、さらっと言い出す束に、一夏、箒を含めた全員が驚きを隠せないでいる。千冬に至っては頭を抱えていた。
「第4世代はオーバースペックな上に、まだどこもきちんと開発できてないからねー。さらに言えば、機体性能で言えばいたって普通の第3世代型だけど、《白式》と同じで男性が操縦しているってことで《マタムネ》。この3機はどの国、どの胡散臭い組織も狙ってるから、取られたりしないようにね!《マタムネ》はわからないけど、《白式》と《紅椿》は本当に大戦のきっかけになり得るから!それだけ!じゃあね!」
言いたいことだけ言って、束はすっきりしたとでも言いたげな顔で帰ろうとしている。あるいは、鬼の形相で睨んでいる千冬を見て逃げ出そうとしているのか・・・。
『何にせよ、お前の行く道は険しいぞ?覚悟はできてるな?』
「ああ、確かに簡単じゃねぇが、何とかなる」
ハオ登場!母親とのやり取りを微笑ましく見守られていたというのを知られたくないがために、登場(笑)
葉の目的は最初から決めていました。“大地の交渉人”になるまでの準備として、実力があり、たった二人しかいない男性操縦者の一人という肩書があれば、大国の首脳などでも話し合いのテーブルに着かせやすくなるのではないかと思って、このようにしました。
新たな火種は今後どのように影響してくるのか・・・